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目標

お久しぶりです。今回はいつもより内容が少ないのですが、次話から話が進むのでそのつなぎとなっています。おそらく、次回の終盤で魔眼が覚醒すると思うのですが、もしかしたら変わるかもしれません。楽しみに待っていただけると幸いです。




  昨日、ウィリアムの書斎に忍び込み、本を漁ったオルル。計画の詰めが甘かった結果ウィリアムに見つかってしまう。オルルがベッドから落ちたと勘違いしたウィリアムに心底、心配された。オルルはまた反省し、計画を立てるときは入念に穴がないか調べることを誓う。

 それはさておき、前回の作戦により、気になった三冊の本から多くの情報を手に入れられた。本来の目的だった今までの魔法よりも高等な魔法も調べることが出来た。結果は重畳…に思われたが実は違う。選ばれた三冊の本の内、魔法書ではないものが二つある。目的のことを考慮すると三冊とも魔法書であるのが好ましいのだが、そうでないものが過半数を占めている。何もオルルが自分の知識欲の為だけにこの選択を行ったわけではない。ではなぜオルルは他の魔法書を手に取らなかったのか、理由は二つある。

 一つ目の理由だが、中級以上の魔法の規模が多き過ぎたことに起因する。他の魔法書を流し読みした際、記載されている多くの魔法が攻撃的且つ、規模が大きいものだった。これは「冒険者入門書」というものがあるように、この世界での主な魔法の使用用途が魔物の討伐などであるためだろう。よって、魔法は攻撃的な方向に進歩していき、その方面で需要があるので魔法書には日常的に使える魔法が載っていなかったのだ。

 そして二つ目の理由は、闘気の存在だ。魔力と闘気は共に消費することによってその総量を増やすことができ、オルルは若いうちから鍛錬を行うことの有意性に気が付いていたはずだった。しかし、魔法という摩訶不思議な力に魅了され、闘気の存在をすっかり忘れていたのである。初めて読んだ魔法書には鍛錬の方法が記されていなかったとはいえ、オルルは魔法にばかり気を取られていたことを自覚した。

 この二つの理由により、読む魔法書は一冊だけにした。

 冒険者の為の本に関しては将来の身の振り方やこの世界について知るいい機会だったので選んだ。単純にこの世界の文化に興味が湧いたというのもある。この本に出合ったことで冒険者になるのも悪くはないと思っている。

 

 さて、各本の内容だが、二度とはないチャンスであっただけにオルルはその内容をしっかりと記憶している。時間の関係により、要点のみの記憶となるが充分であった。今後、自分が将来のためにやらなければいけないことや方針も本の情報から絞ることが出来そうである。

 大まかな方針としては、闘気の強化、新しい魔法を加えての鍛錬の継続、魔法と闘気の研究だ。

 一つ目に関しては、先にも触れた通り、闘気の強化を行うことで将来的に大きなアドバンテージを得るためだ。冒険者になるにしても、他の職業に就くにしても時間を持て余した今のうちから鍛えておけば、他の者より安定するだろう。

 二つ目は魔法の鍛錬の継続だ。新しい本を読んだことにより、周りに影響の少ない物限定にはなるが、魔法の種類と数が増えた。魔法書から得た魔法の知識の中から自分が使えるものと有用そうなものを厳選し、引き続き魔法に慣れる特訓を行わなければならない。今回の作戦にて読んだ本以外の魔法書には、より規模の大きい魔法が記載されていた。いつかは自分自身もそれらの魔法が使えるようになるかもしれないと思うと興奮が止まらない。なので、今のうちに魔力錬度を高めて高度な魔法を使えるよう備えておきたいのだ。

 そして最後に、魔法と闘気の実験と研究。オルルは闘気の扱い方や鍛錬の方法が記された本を読んでみて疑問に思ったことがある。それは、闘気も魔法と同じように工夫次第で記載されている方法以外にも修練の仕方が見つかるのではないかということ。オルルが発見した魔法の重ね掛けなどは、あるいは魔法使いの界隈で有名な訓練法であり、基礎知識として広まっているため、本に載っていなかった可能性もある。ならば、闘気も本に記載された方法のほかにより効率的な訓練ができるやもしれない。そう考えたオルルは、新しい魔法を交えた実験や闘気の効率的な鍛錬法の開発を目標にしたのだ。

 

 時間は持て余せど、あまり自由のないオルルは当面、この三つの目標をもとに行動することとなる。もし、会話ができたのならエリシアやウィリアムに相談などができたのだが、赤子なので仕方のないことだ。オルルは言葉が話せるようになり、自分の足で立てるようになったら両親に魔法の使い方やこの世界のことについて教えてもらおうと考えていた。

 ここ数年の目途が立ったところで、オルルは冒険者や世界の神秘に思いを馳せながら特訓に移るのだった。


 

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