目覚め
初めましてこんにちは、ネルネラと申します。語彙力も文才も無い私ですが自分の好きな展開が書きたいがためにこんな物を書き始めてしまいました。文章が稚拙すぎるので自分が思うロマン(厨二)だけ追っていこうかと思います。流し読みだけで充分内容はわかると思うので軽い気持ちで読んでもらえると嬉しいです。面白い物を書けるように物書きの勉強も並行して頑張っていくので、どうぞよろしくお願いします。
(何だろう...?)
絶え間なく疑問が生まれゆく思考の中で自分が意思を持っていることに気が付いたのは、それが初めてであった。
未だ覚醒しきっていない、靄がかかったような覚束ない頭で考える。自分の右側に意識を向けるとそこには腕がある。下方に目を向ければそこには白い布に覆われた胴体がある。
自分が「考えている」ことに気づき、自分で体を動かせることに気づき、自らの呼吸に意識を向け、初めて実感する。
(生きている)
なぜだかはわからないが自分は生後一か月から二か月の赤子であり、そのことを理解できる知識を有している。
靄のかかっていた思考がだんだんと晴れていく。唐突にあらわれた自我に戸惑いながらも現状を精査しようと生まれてからのことを思い出そうとする。すると、記憶が次々と蘇ってくではないか。「赤子ではない自分の記憶」が。
そしてやっと何が起きているのかを理解した。テレビや雑誌などでみたことがある。前世の記憶を持ちながら産まれた人間が極まれにだがいる。今まさにその現象が自身に起こっているのだと、そう理解した。
ガタンという音とともに一人の人が自分が寝かされているベッドに近づいてくる。後ろに纏められた黒く長い髪に、少し赤みがかった茶色い瞳、目じりはやや吊り上がっていて力強い印象を受ける。そんな端正な顔つきをした女性が自分に話しかける。
「よう、オルル!元気にしてたか?」
誰だろう。おそらくは子供部屋か寝室と思われる場所に入ってきて話しかけてきていることから推測すると、この人物は自分の母親だろうか。そんな彼女が自分をオルルと呼ぶ、なので、きっとそれが自分につけられた名前なのだと当たりを付けた。
オルル。頭の中で自分の名前を繰り返す。オルル自身は前世で横文字の名前で呼ばれていた記憶はないのだが、不思議とその名前がしっくりときていた。
この時オルル自身は知らないのだが、オルルというのは愛称であり本人の名前はオルルカンといい、本人が認知しているよりも少し長い名前となっている。
「あーっ…あぁーっ…。」
名前も知らない母親に呼ばれたオルルは、なんとか意思疎通をはかろうとするが意味のない言葉しか発することしかできない。声帯が成長しきっていないからなのか、はたまた前世では当たり前のように出せていたが故に不慣れな身体での発声方に乏しいだけなのかはわからないが、せっかくの機会を逃すまいと必死に語りかける。
そんなオルルの事情を知る由もない母親はオルルがお腹を空かせているのだと勘違いするが、言葉が通じない以上それも仕方のないことだと言える。
「ほーら、わかったわかった。お腹が空いたんだよな?今あげるから待ってな」
そういうとおもむろに服をまくり始める。次に彼女が取る行動がわかったオルルは自分が望んでいることではないと首を横に振る。食事の前にミルクを拒むことのなかったオルルがごはんを嫌がっていることに気が付いた母親は不思議に思ってその手を止める。
「なんだ?満腹でもないのに嫌がるなんて珍しいな。漏らしてるわけでもねぇしな… …ウィルに聞いてみるか」
そういうと入ってきたドアを開けて大声で誰かを呼ぶ。数秒後、ゆったりとした足音とともに一人の男性が部屋のなかへと入ってくる。穏やかな表情で母親と目を合わせると笑顔で口を開く。
「どうしたんだい?エリー」
彼の名前はウィリアム・カーティス、オルルの父親である。白髪、ではなく白銀の髪に蒼い瞳を持ち、やわらかな印象を受ける顔だちをしている。そして彼の妻がエリーことエリシア・カーティス、オルルの母親である。
「オルルがぐずってるんだが原因がわからないんだ。何かわかるか?」
エリシアがそう尋ねる。尋ねられたウィリアムは首を傾げながらオルルへと視線を合わせる。見たところ排泄物があるわけでもなく、原因がわからないと妻であるエリシアが言うのだから既にごはんをあげることも試したと考える。そこでオルルが手に何も持っていないことにウィリアムは気が付いた。手持ち無沙汰なオルルが手を開いたり閉じたりしていたのだ。
このとき、オルル自身は気が付いていなかったのだが、無意識に体を動かしていたのだ。
ウィリアムは数秒考える素振りを見せる。その後、来た道を戻り数分後にまた寝室に戻ってくる。その手には複数の玩具が抱えられており、持ってきたウィリアムはエリシアに話しかける。
「たぶんなんだけど、暇なだけだと思うよ。ここ数日エリーは忙しくてオルルの相手をできていなかったし。だから玩具を持ってきたんだけど、どうかな?」
「なるほどな、確かにそうかもしれねぇな。最近はウィルだけしかオルルの面倒見れてなかったもんな」
エリシアがそう言い頷くと、ウィリアムが持っていた玩具をオルルに見せ始める。当たり前ではあるがそこにあるのは乳児専用の玩具ばかりである。
オルルは目の前で起きている急展開に戸惑っていた。別段、退屈していたわけでもなかっただけに対処のしようがない。また、いくら前世の記憶が蘇ったばかりとはいえ、本人に精神は乳児とはかけ離れているため今更それらの玩具にも興味が湧かない。そう思っていたのだが、ふとウィリアムの手にあるものへと視線が合わさる。
そこにあるのは絵本。
オルルは両親が来る前から気になっていたことがある。。それはここは何時代の場所なのかである。周りを見たときに木製の壁がオルルには新鮮であった、オルルの前世ではあまり木製の壁がむきだしになっていることは少なく、木製の壁であったとしても壁紙が張られていたからである。
絵本に興味を持ったオルルは指を差しウィルへと伝える。明らかに日本人ではない両親と思われる人物たちの言葉が、おそらく前世は日本人であった自身に通じていることに違和感を覚えたオルルは、その絵本から何語かを確認することを試みる。
「なんだオルル、絵本なんかが読みたいのか?仕方ねえあたしが読ませてやろう。」
エリシアはそういうとオルルを赤子用のベッドから出すと、自分のベッドに胡坐で座り、そこへオルルも座らせる。
いざ本を読み聞かせようとエリシアが本を捲るとオルルはその文字を見て驚愕した。読めなくはない、決して読めなくはないのだが、日本語でもないのだ。丸みを帯びているという点では日本語の平仮名に似ているといえるのかもしれないが、その実、日本語とは大きく違う形をしている。
(なんで…読めるんだ?)
原因のわからない現象に見舞われたオルルは殆ど放心状態であったのだが、エリシアはオルルが絵本に夢中なのだと勘違いし、そのまま読み続ける。
奇妙な事が次々と起こり、どうしていいかわからないオルルはこの先の方針について頭を悩ませるのだった。
導入のこの話はまだ自分が描きたい部分に入っていないのでとても苦労しました…。