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鬼のエンジ  作者: 白紙 真白郎
15/36

悪魔の犠牲

罵詈雑言の罵詈が罵倒になっていたので修正しました。

この話の終盤にあるアーニマスのセリフに間違いがあったので修正しました。(3/22)

縄で縛り上げられもはやどうすることもできないイーリイにアーニマスは余裕の笑みを浮かべながら尋ねる。



「何か聞きたいことはありませんか?処刑の時間までなら答えてあげましょう。貴方は知る権利があるでしょうから」



上昇志向や野望で頭がいっぱいだったイーリイだったが縛られ床に転がってからは何故このような事態になったのかという疑問だけが心を埋めていた。



「俺と協力し兄のショーシャを討つんじゃなかったのか!」



イーリイの叫びにアーニマスは「ああ、そうだったな」といった表情をしながら答えた。



「ええ、貴方にはそういうことにしましたが真実は違います。あの夜、私は2匹の眷属をラノークに向かわせました。1匹は貴方の元へ。そしてもう1匹は貴方の兄ショーシャの元へ。ショーシャの元に向かった眷属が彼に伝えたことはこうです。『たった今王政の一部は王政に加担しながら反王政の志を秘めています。しかし人手が足りないので反王政派の多いラノークの力がほしがっています。そこで貴方を殺害し弟君をラノーク領主として担ぎたがっています。そして王政内の反王政派はたった今弟君の元へ使者を出しています。これを捕らえ計画を阻止しなければ貴方に禍が降り注ぐことになります』と、眷属の伝言に驚いたショーシャは実際に警備を固めていると貴方の元に派遣した眷属を捕らえ計画を吐かせました。裏も取れたので貴方を捕らえようとしたのです」




「だ、だが兄は反王政派を匿っているだろう!俺ならば反王政派を駆逐してやるぞ!」




弱気のイーリイは精一杯自身の存在の有効性をアピールするがアーニマスには届かない。




「ショーシャは別に反王政派ではないことはわかっています。あの男は反王政派を匿うことで王政に対する取引の材料にしていたにすぎません。またあの地に住む魔物もショーシャそのものを慕うわけではなくショーシャの元で働きショーシャと領民相互の口利きだった貴方を慕っています」




「今回貴方の計画を王政が阻止することでショーシャは王政に恩を感じたに違いなく、今回の出来事を契機に王政との仲を深めたいと考えているでしょう。つい貴方が王都に来る前に王政から両者の親和のため使者を派遣しました。王政と仲良くすることと反王政派を匿い取引材料とすることどちらが自身にとって利益をもたらすか商才のある彼ならばどちらが良い選択肢かわかるでしょう。そうすればラノークの反王政派の駆逐に彼は動きだしますから貴方はもう不要です。要は王政とショーシャの間柄が友好的なものになるため貴方を使いました。まあ、あなたが死ぬことで別に利益が王政にあるのですがね」




「とにかく、ショーシャを抱き込む最後の仕上げとしてあなたの首が必要なのです。死んでください」




「お、俺を羽目やがったな!!」




「ええ、そうですとも。ですがただ死ぬのではないダーバルンの平和と安寧のために死ぬのです。身を捧げることができる貴方がうらやましい」




そういい終わるとアーニマスは部屋を出て近衛兵にイーリイを処刑台に連れていくように命じた。余計なことを叫ばれたら面倒なのでイーリイは猿ぐつわを噛まされ麻の袋を頭に被せられ、自身が王宮に来る前にのってきた馬車で目的地に向かうことになった。そうあの囚人用の馬車である。








処刑台への道のりの間イーリイは馬車の中でもがいていたが近衛兵に数度腹を殴られ大人しくなったり、これから処刑されることを考えたらじっとしてられなくなったのかまた暴れだし殴られるということの繰り返しを続けていた。




やがて多くの野次馬の歓声が聞こえてきた。先ほどの馬車では何とも思わなかった野次馬の声が今ではとても恨めしく感じる。できることならば彼らに罵詈雑言を吐いてやりたいが猿ぐつわのためそれすらできない。



馬車から降ろされたときイーリイの目と耳に入ったのは民衆たちの自身を見下す目と「殺せ!」といった言葉であった。





そして処刑台に首を乗せるよう強制された後、裁判所の役人がイーリイの罪状を述べたのち死刑の執行を宣言した。ちなみにイーリイの罪状は「国家反逆罪」やそれに関する細かい余罪であった。ちなみに正規の手続きを受けることなくイーリイは死刑宣告されたが全て滞りなく事が進むよう根回ししたのはもちろん悪魔のアーニマスである。




イーリイが最期に見たものは重々しいギロチンの刃で最期に聞いたものは彼を否定する言葉だった。





余談だが王政内に反王政派がいるというのはアーニマスが考えた出鱈目でありショーシャに捕らえられたアーニマスの眷属(これもアーニマスの計画の一部だが)はアーニマスに切り捨てられ、わけもわからず殺されている。必要な犠牲だということである。




後日悪魔のアーニマスはたった2つの命でラノークの問題が解決に向かうのであれば些細なことだと王サキュラに語っている。




物語の内容との関係は全くありませんがペンネームを白紙真白郎に変更しました。

引き続き「鬼のエンジ」をよろしくお願いいたします。

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