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鬼のエンジ  作者: 白紙 真白郎
11/36

老人と魔人

間違いがあったので修正しました。

正 東海竜王敖広 誤 東海竜王及敖広

エンジと人間でも魔物でもない男たちの戦闘が始まった。エンジは最初は「適当に戦えば逃げていくだろう」と思い男たちの武器を払いのけながら隙をみて剣を軽く振るっていたのだがこの男たちはそれなりの武術の心得があるのかエンジの剣戟を躱して見せた。4割程度の力で戦っていたエンジも敵が案外やる連中だと思い距離をとって叫んだ。


「おおう。お前たちなかなかやるじゃないか。お前たちほどの腕前をもった連中はダーバルンくらいにしかいないと思っていたが・・・世界は広いのだな」


エンジの言葉を無視し男たちは再び襲い掛かる。1人の男が剣で斬りかかってきたところをエンジは剣で払いのけたがエンジの持つ剣は人間の鍛冶屋が作ったものでこの人間でも魔物でもない男たちの持つ武器と何度も打ち合うには耐えきれず折れてしまった。


武器を失ったエンジをみて好機と思ったのか男たちは3方向から責め立てた。エンジは突きだされた槍の柄を掴み男を引き寄せ腹に蹴りを加え槍を奪った。槍を奪われた男はよろめき後退したがエンジはその手の槍を眺めた。


「俺はしばらく人間の国で暮らしていたがこんな武器はあの国にはなかった。とても人間には作れる代物ではないな。お前たちがどこからやってきたのかなんとなく想像がつく」


エンジは笑いながら槍を構え狙いを定め振り回した。男たちはエンジの突然の攻勢にひるむことなく反撃したかったがエンジの振り回す槍が速すぎてとてもではないが防ぐことに精いっぱいになってしまった。


「おらおらおら。どうした?そんなものなのか?」


男たちを馬鹿にしながらエンジは槍に注意を向けることしかできない男たちにある者には腹に蹴りを加えある者には足を払いのけ、ある者には手の甲を柄で打ち、態勢が崩れたところを槍の柄で殴った。エンジにこてんぱんにされた男たちは悔しそうに後ずさりしていった。エンジはそんな男たちを見て叫んだ。


「命だけは助けてやる。だがお前たちの主に報告しろ!『エンジ様は強すぎて我々ではとても敵いません』とな!」


エンジは奪った槍の柄をへし折り投げ返した。男たちは何も言わず走って闇の中へ消えていった。


村に戻ったエンジは村長に男たちを追い払ったことを伝え安心させた。そのあと村長を彼の部屋に呼びいくつか質問をした。


「村長このあたりに人間以外の鍛冶屋はいるか?」


「人間以外となりますと・・・このあたりには・・・」


「先ほどの男たちの武器は人間には作れない代物だった。今後あのような連中に出会ったとき困るのだが・・・このあたり以外ならば知っているか?」


「ううむ・・・ここは人間の国ですからな・・・そのようなものを手に入れるのは難しいでしょう。ただ王国の外でしたら・・・竜王などが貴方様にふさわしい武器を譲ってくれるかもしれません」


「竜王?何者だ?」


「竜王は4つの海に住む竜の王です。東西南北それぞれの海底に宮殿を持ち暮らしているとか・・・」


「海だと?海と言えば行ったことはないがアルバイン帝国の西の更に西、ジラウ連邦の北の更に北、東と南についてもとてもではないが歩いて行ける距離ではあるまい・・・」


「移動に関しては私には何もお助けする術はありませんがこの村の少し先に変わった老人がいましてな・・・その老人は人ならざる者であると言われてるのでもしかしたら・・・」


エンジはこのあと老人と竜王についていくつか情報を提供してもらい就寝することにし、早朝その老人に会うために村を出た。


竜王は東西南北の海に住んでいるがそれぞれの竜王の名は順に、東海竜王及敖広、西海竜王敖閏、南海竜王敖欽、北海竜王敖順といった。それぞれの竜王には何人か子供がおり湖や川に住んでいる者もいるという。竜の王だから彼らなら良い武器をもっているはずだとエンジは思ったが、まず彼らに会えるのかどうかすらわからなかった。それもすべてこれから会う老人にかかっているのだが。


村を出て道なりに進んでいくと1人の老人が道端の大きな石に腰かけていた。エンジはこの老人に人ならざる老人のことを聞いたが腰掛けている老人は知らないと言った。


だがこの近くの森に魔人が住んでいることを教えてくれた。魔人はどうもその森で悪さをしているらしく意味もなく人を攫い殺したり森に入った人間を迷わせ悲観している様子をみて喜ぶと言われているらしい。


エンジは別に魔物の退治がしたかったわけではなかったがその魔人ならば何か知っているかもしれないと思い老人が教えてくれた通りに道を歩き森へ入っていった。



森のなかは暗く鳥の鳴き声や動物の住んでいる形跡が見られたが歩いても歩いても魔人とやらが現れる様子はなかった。しばらくそのまま歩いていたがエンジは先ほどの老人の言葉を思い出し、あることをしてみせた。



それはその場に座り込み俯いていることであった。魔人は森にはいった者が迷い苦しむ様を喜ぶことを利用しあたかも悲観しているかのような態度を取ることで魔人をおびき寄せようという狙いだった。



エンジの狙い通りどこからともなく気味の悪い男なのか女なのか聞き分けのつかない笑い声が周囲に響き始めた。恐らく生い茂る木々や雑草の陰に身を隠しているのだろうがエンジは立ち上がらず悲観するフリを続け時折体を震わせて見せた。



エンジが怖がる演技をするほど魔人と思われる声は上機嫌になりとうとう茂みの陰から姿を見せた。黒いボロボロのローブを身にまとい髑髏に紐を通してつくったネックレスを身に着けていた。顔はしわだらけで男か女か見分けがつかず目の下が黒く肌の色は緑であった。だが目の前の魔人以外にももう1人誰かがこちらの様子を伺っていることにエンジは気づいた。魔人は座って俯くエンジに近づいて声をかけた。


「人間よ。わしの森に足を踏み入れたこと後悔するがいい。わしの腹の中でな」



魔人はぐはははと下品な笑い声をあげエンジに一歩また一歩と近づいたが、魔人がエンジに辿りつく前にエンジは手で顔を擦り顔についている染料を拭い、俯いたままゆっくりと声をかけた。



「人間・・・というのは俺のことかい?」


「お前以外に誰がいるというのだ?哀れな人間の男よわしの糧にしてくれるわ」



魔人がエンジまであと一歩というところで立ち上がり叫んだ。



「これでもか!!」



魔人の目に映ったのは青い肌と黒い眼球であった。人間であったらきっとエンジを見て腰を抜かしていたであろうが魔人は一瞬だけ驚いた様子を見せたがすぐに冷静になり魔物とわかると距離を取り魔法詠唱を始めた。



魔人の手には火の粉がちらつき始めた。炎の球を飛ばす攻撃魔法の1つ<バースト>であった。10段階あるうちの5段階目の魔法である。やがて詠唱が終わると魔人の手から火の玉が放たれエンジに向かっていった。



エンジならば魔法詠唱が終わる前に魔人に接近し腕を引きちぎり詠唱を妨害したのち殺害することは可能であったが、ここは攻撃魔法を受けどの程度の威力があるのか知りたかった。そして火の玉がエンジに直撃し土埃が舞ったがエンジには全く効果がなかった。エンジは魔法の習得はできてはいないものの魔人の魔法がバーストであり5段階目の魔法であることを知っていたがまるで自分に効果がないことが残念であった。「習得する甲斐」が見いだせないといったところか。だがこれがただ人間であれば既に死体か重傷で戦闘不能になっている。



魔人はそんなことは知らないのでエンジは自身の魔法を躱せずくらったと思ったが土埃でエンジがどうなったのかはわからなかった。だが土埃が晴れてくると魔人は土埃のなかにあの男立つ影を認識しもう一度バーストを詠唱し始めた。だがこの次の瞬間魔人が見たものは無傷のエンジが土埃の中から突進してくる姿であった。



エンジの膝蹴りが魔人の顔面に直撃し魔人の頭は潰れたトマトのようになってしまった。エンジは魔人の死体を払いのけ近づいてくるもう1人の気配に警戒した。



その人物は先ほど魔人のことを教えてくれたが村の村長が教えてくれた人ならざる老人のことは知らないと言った老人であった。実は彼こそが例の老人であり、この付近に住んではいたがいつからか魔人が近くで悪さをするようになり困っていたという。そこで道を通りかかったエンジならば倒せると見抜き魔人の存在を伝えたとのことだった。


老人はエンジに感謝の意を示したのち自身の屋敷にエンジを招待してくれた。





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