2人でおでかけ
「本当だ。先輩の言ってたとおり全然居ませんね。」
「ふふーん。今日は勘が冴えてるからねー。じゃあ、そこのスーパーでいい?」
小夜ちゃんはこくっと頷く。
本当にまわりには全然いない。もしかしてさっきで全部倒しちゃったのかな? そんなにこの辺、人少ないっけ? まぁ田舎だし、そんなもんか。
「どうしたんですか? 早く行きましょう。」
「あ、ごめんごめん。」
今日、夕ご飯何にしよっかな。私と小夜ちゃんで二人分。お父さんは、どうせ帰ってこないんだろうな。ま、仕事が忙しいから仕方ないよね。
ふと、小夜ちゃんのほうを見てみる。スカートをギュッとつまんで立ち止まっている。
そりゃ、辛いよね。ほぼ毎日一人で暮らして、いきなり友達を亡くして、知らない人の家に泊まることになって、その知らない人の母親は死んでて。…母親が、死んでて。まだ実感が実感がわかないからかな。涙も出てこない。それとも、人が死ぬのに慣れちゃったのかな。それは、嫌だな。
「ね、小夜ちゃん。今日の夕ご飯、なにがいい?」
「せ、先輩。あ、あれ。」
小夜ちゃんが指し示した場所を見た。そこは私達が今から行くショッピングモールだ。
いつもと変わらない景色。
「え。嘘。」
いつもと変わらないからこそ、今の私達には特別なものなのだ。