告白
サオリさん宅訪問の日が、三日後の日曜日、昼の十二時と決まった。お父さんの仕事が休みで、サオリさんもペットショップを休めるという。
その日からオレは夜勤である。
日曜日の朝。
畑でトマトの実を収穫した。訪問の際に、手土産として持参するのである。
「ワシもミケに……」
ノラが自分もお土産をとやってきた。
「オマエも?」
「ああ、オヤツだ」
畑で捕まえたというトカゲ二匹を見せ、トマトの袋に一緒に入れてくれと言う。
もちろん即座に断った。
昼前。
自転車を押して向かう。
ノラに道案内をさせ、約束の五分前、サオリさん宅に着いた。神社の近くだと聞いていたが、紅葉狩りのときに見た銀杏の樹が見上げる位置にある。
「来たよー」
どこやらミケの声がして、それからすぐに門の内からサオリさんの笑顔がのぞいた。
「お待ちしていました、こちらです」
手招きされて敷地に踏み入る。
わざわざ出迎えてくれたのだろう、ご両親が玄関の前でそろって待っていた。
この日は弟さんもいて、五人は昼食をはさんで長いこと談笑した。
お互いの家族のこと、仕事のこと、畑のこと、倉庫の件……など、なごやかな雰囲気のなか、話題は尽きることがなかった。
結局、三時近くまでお邪魔する。
帰りの別れぎわ。
道路まで見送ってくれたサオリさんを前に、自分でも信じられない言葉が口から飛び出した。
「ボクと、おつき合いしていただけませんか?」
「えっ?」
サオリさんの表情がかたまった。
返事はない。
ふられたのだと思った。
「今日はありがとうございました」
頭を下げてから、急いで自転車に飛び乗った。
――なんであんなことを?
心の中に閉じこめていた、サオリさんへの思いが一気にあふれ出したのだろうか。
自分でもわからない。
家に帰り着いたところで、サオリさんからメールが届く。
『本当にびっくりしてしまいました。突然のことで返事ができず、申しわけありませんでした。おつき合いのこと、わたしからもお願いします』
――やったあ!
オレは天にも昇るほどうれしかった。
『ありがとうございます』
すぐに返事を返す。
「おい、やったぞ!」
いっときも早く教えたくてノラを探した。
けれど、どこにもいない。
――あっ!
やっと気がついた。
ノラはサオリさんのところである。
あのとき頭が混乱していて、ノラを置き去りにしてきたのだ。




