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ノミ騒動

 梅雨入りした。

 雨の降る日が断続的に続き、畑はぬかるんだ状態で手入れが進まない。

 それでも……。

 夏野菜たちは花を咲かせ、日を追うごとにそれらを次々と小さな実に変えていた。


 今朝。

 ノラがメシを食いながら、しきりに腹をポリポリとかいている。

「どうした、痒いのか?」

「ああ、ノミに喰われた」

「ノミ?」

「そうだ。毎年、この時期になると喰われる」

「こんな天気なんで、たぶんノミが増えてるんだろうな。どうだ、風呂に入らんか?」

「入らん」

「それじゃあ、ノミに喰われっぱなしだぞ」

 ノミを洗い落すよう勧めるが、ノラはがんとしてイヤだと言い張る。

 この日を境に……。

 ミケは我が家にまったく寄りつかなくなった。ノミを移されるのを恐れているのであろう。


 数日後。

 バイトを休んで病院に行くハメになった。

 横腹のあたりに赤いぶつぶつができ、ひどく痒いのである。

「ノラ、オマエが風呂に入らんからだ」

「しったもんか。ノミが勝手に、アンタのところに行ったまでだ」

「このままじゃ、ミケはいつまでも会ってくれんぞ」

「ふん! あんなヤツ」

 ノラが鼻を鳴らして、プイと横を向く。

「どうした、会いたくないのか?」

「会わんでもかまわん」

 ミケが会いに来ないので、ノラはすっかりすねてしまっている。


 皮膚科からの帰り。

 ノラのノミ退治の薬を買おうと、サオリさんのいるペットショップに立ち寄った。

「ノラのヤツ、体を洗うのがイヤみたいで」

 ノラにノミを移されたことを話し、ノラにもなにかいい薬がないかたずねた。

「大変なことになりましたね」

 サオリさんはオレに同情しつつ、スプレー式の薬と飲み薬を出してくれた。

 それから首輪をすすめられる。

「これはノミ取り首輪といって、ミケもしてるものです。ノラさん、してくれるかしら?」

 そういえば、ミケは赤い首輪をつけている。あれはノミ取りを兼ねていたのだ。

「絶対にさせます」

「これは家の中で燃やしてください。ノミがいなくなりますので」

 さらにはオレのために、煙が出るという殺虫剤を渡してくれた。


 帰りぎわのこと。

「実はミケのことで……」

 サオリさんから、ノラとミケのことで思わぬことを聞かされる。

「アイツ、前にもやってまして」

 以前、ノラがベッピン猫に手を出して、ミケに猫パンチをもらったことがあったのだ。

 ミケが我が家に寄りつかなくなったのは、ノミのせいだけではなかったのである。


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