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第3話 「もう一人の転生者」

 目を覚ますとベッドに寝かされていた。

 「知らない天井だ」

 お決まりを決めてから周囲を確認すると自分がギルド内のベッドルームに寝かされていることに気づき、状況を確認するため受付に向かうと

 「目が覚めたんですね!心配しましたよ、とにかく無事でよかったです。」

 開口一番、心配を口にしてくれたのは冒険者登録の受付をしてくれたお姉さんだ。

 「迷惑かけてすみません。休ませてもらってありがとうございます。」

 ひとまず謝罪と感謝を伝え、何があったのかを訪ねると。

 「あそこにいる方があなたを運んでくださったんですよ。ものすごい剣幕で、重症の人間がいるから治療してくれって飛び込んできて・・・一言御礼を言ってあげてくださいね。とても心配していたみたいですから。あと、今後は気を付けてくださいね。町の外に放置されたままではモンスターの餌にされてしまいますから、危なかったんですよ?」

 と、簡単に事のいきさつを聞き、例の恩人に礼を言いに向かうと。

 「目が覚めたんだね!無事でよかった。」

 受付のお姉さんとの会話が聞こえていたのか恩人の方から足を運ばせてしまった。

 出鼻は挫かれてしまったが、まずはお礼をしないと。

 「今回は本当にありがとうございました。わざわざギルドまで運んでもらったみたいで。」

 「とんでもない、俺はただここまで運んだだけさ。後のことはギルドの人に任せきりにしてしまったからね。」

 なんて爽やかな人なんだ。見れば身長は俺よりも頭一つ分高い、180cmくらいだろうか。細身の長身、赤みがかった茶髪に整った顔、イケメンだ。

 そしてなによりも腰にある見たことのある西洋剣。間違いない、転生者だ。腰の剣は俺が選ばなかった転生特典だろう。

 俺の視線に気づいたらしいイケメンは。

 「自己紹介がまだだったね、俺の名前はアマノ・セイヤ。年は18歳だ。お気づきの通り、俺も君と同じ 地球からの転生者さ。この魔剣が転生特典だよ。君のことは女神様から聞いていたんだ、俺のほんの少し前に転生した人間がいるってね。」

 自己紹介しつつ俺の視線に答え、視線で俺にも同じものを求めた。

 「俺の名前はヤマダ・サトル。16歳です。俺がもらった転生特典は・・・」

 俺は自己紹介しつつ右手を掲げ転生特典を呼び出した。

 「転生特典は武器だけじゃないのかっ!」

 驚愕の声を上げた。

 「?? 転生特典の本に載ってましたよね?全部を見なかったんですか?」

 「ああ、君は聞いていないのか。転生特典はすべて一品もの、同じものは選べないんだよ。実際、俺が見たときにはこの魔剣と残り3つの転生特典しかなかったからね。」

 と、説明してくれた。そういえば俺が黒い炎に興奮している横でなにか話していた気がするがまったく聞いてなかった。

 「そうなんですか、それでアマノさんは魔剣を選んだんですね。それじゃジョブは剣士ですか?俺も剣士なんですよ。」

 と、自分の転生特典が真に俺だけのものということを知り、浮かれていた俺は、余計なことを口走った。

 「セイヤでいいよ。サトル。数少ない同郷じゃないか。」

 にこやかにさらっと距離を詰めてくるセイヤに圧倒されていると。

 「それと、俺のジョブは剣聖だよ」

 セイヤへの好感度が地に落ちた。

 この世界のジョブは一部の特殊なものを除いて、下級、上級、最上級の順にランクが高い仕組みだ。・・・中級がないのかって?そんなものはシステムに言ってくれ。

 剣聖は剣士職の最上級職だ。本来何年も剣の修業をし、その果てに手に入れられる剣の極致。目の前の男は自分がそれだと宣言したのだ。下級職の俺に向かって・・・・

 

 それからのことは覚えていない。やけになれなれしい剣聖とともに宿屋へ向かい部屋で別れた。


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