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第2話 「初めてのクエスト!!」

 こんなはずじゃなかった・・・・

 女神から『転生特典』という名のチートをもらい、これから異世界にて冒険が始まるんだと、胸を躍らせて早1週間。英雄への一歩を踏み出した俺はごみスレイヤーの称号を得てバイト戦士になっていた。。


 ここは始まりの街『コマンス』。

 一週間前、無事異世界に転生された俺は女神の説明通り始まりの街に送られた。冒険者ギルドへ向かい冒険者登録をし、クエストを受注した。

 受け付けのお姉さんは丁寧に冒険者の説明をしてくれたし、登録も冒険者カードに触れるだけで必要な情報は記載される仕組みですぐに済んだ。

 冒険者カードには名前、年齢、ジョブ、レベル、ステータス、スキル等が記載される。クエストをこなせばその情報も記載される仕組みだそうだ、便利なものだ。

 この世界ではジョブは冒険者カードを使い、自分で選択する。ジョブ覧に触れると選択できるジョブの一覧が出るのだ。

 満を持して、俺に秘められた力よ、目覚めろ!!と気合を入れてジョブ覧に触れるとつくことの出来るジョブが表示された。

 まず表示されたのは剣士、次に戦士、続いて盗賊、その次を見ようとして戦慄した。

 ・・・なにも表示されない。俺に許されたのは下級職、それも誰にでもなれる基本職のみだった。

 隠された真の力の覚醒を待つわけにもいかず、剣士の道を選んだ。他二つよりかっこいいしね。

 ジョブを決定し、受け付けのお姉さんに伝えると、初めは皆下級職から始まりますよとフォローされた。優しさという刃を持つお姉さんの剣士への適正に震えながら続きの説明を受けると。

 なんでも、ジョブを決定したことにより神の加護が得られ、そのジョブに応じたステータスに補正が掛かるとのことだ。だからこの世界では冒険者家業をしていない人たちもその恩恵を受けるためにカードを作ることが多いのだとか。身分証明にも便利らしい。

 とまあ、出鼻をくじかれる形にはなったが、気合を入れなおした俺は、初心者用の手頃なクエストをいくつか紹介してもらい、その中からゴブリンの討伐を受けた。


 ゴブリンはどこにでも出現するモンスターらしく街の外の草原に出ればすぐに出てくると説明を受けた。クエストの詳細はゴブリンの討伐1体以上。討伐した数はカードに自動的に記載され、死体を持ち帰る必要はないがゴブリンの持っている武器やアイテムなどは持ち帰れば買い取ってもらえるそうだ。追剥みたいだと思ったがゲームでもそんな感じだったなと深く考えるのをやめた。

 とにもかくにもゴブリン討伐の始まりだ!!


 記念すべき初クエストは達成した。討伐数1体という輝かしい戦果を残して。


 人間がモンスターに勝てるわけがない。なにが初心者用クエストだよ、ゴブリン1体倒すのに死に掛けたわ!!チートがあるからって余裕振って装備を整えず素手で挑んだ結果、俺はボロ雑巾へジョブチェンジした。


 ――ゴブリンとの戦闘――


 野生のゴブリンをみつけた!

 20m程先、草原の中を堂々とこちらへ歩いている。緑色の肌に小さな体、手に持っているのは棍棒だろうか?太い木の棒のようなものを抱えている。正にゴブリン!!ゲームのまんまだっ!!

 軽く感動しながら戦術を練る。残念ながら俺は武器は持っていない、剣士のくせに剣無しだ。俺は初見のゲームでも縛りプレイの出来る男。

 だが今回は縛りプレイではなく、ヌルゲーだ。なぜなら――

 現れろ!!『黒い炎』!!・・・・・いずれ黒い炎は改名しよう。

 俺は右手から『転生特典』を発現した。すべてを焼き尽くす漆黒の炎、俺だけの最強の能力だ。加えて言えば俺のカードに唯一表示されているスキルだ。俺は右手であいつに触れるだけでいい。闇色の炎は俺に不思議な優越感を与え――

 作戦など必要ない。そんな風に俺に思考を捨てさせた。

 ゴブリンごとき雑魚モンスターに不意打ちなど情けないことが出来ようか?いいや、ない!!

 正々堂々、正面から戦ってやるぜ!そして俺は右手から炎を出しながらゴブリンの正面に躍り出た。


 バトル!!


 先手必勝!右手を当てれば勝てるんだ。俺はゴブリンに正面から突っ込み、ゴブリンに右手を当てようかというところで・・・

 眼前に迫る棍棒に気づいた。

 しかし、これは現実、漫画とは違うのだ。気づいた時には棍棒は俺の頬を砕いていた。

 俺は仰向けに倒れ空を眺めていた。棍棒が直撃したことに気づき同時に走った激痛に顔を歪めていると、腹の上になにかが乗った。

 痛みをこらえ顔を向けると・・・

 ゴブリンが馬乗りになっていた。棍棒を持っていない方の手で俺の右手を押さえた次の瞬間ゴブリンがニタリと笑った。背筋に怖気が走り、抵抗しようと体を動かすが、棍棒が頬を撫でるのが速い。否、撫でられているのではない、棍棒により殴られている。馬乗りになっている分、威力は初撃ほどないが人間の意識を飛ばすには充分なものがある。

 意識が飛ぶ。目覚める。意識が飛ぶ。目覚める。飛ぶ。覚める。飛ぶ。覚める。飛ぶる!?。完全に玩具にされていたところで右手の押さえが無くなっていることに気づいた。見れば棍棒すら放り出して両手で交互に殴っている。

 この野郎っ!!!

 瞬間、『黒い炎』を呼び出し、ゴブリンの足を掴んだ。一瞬のことだったゴブリンは悲鳴を上げる事さえ許されず燃え尽きた。棍棒だけ残して。

 ゴブリン討伐終了!!・・・・やばいっ!!!ゴブリンを焼き尽くした炎が燃え移ったら俺も死ぬ!!!そこまで考えすぐさま飛び起きると・・・

 「燃えて・・ない?」

 黒い炎は跡形もなく消えており自分はおろか周りの草にも燃え移っていなかった。

 ひとまず危険が去ったことに安堵した俺はそのまま気を失った・・・・


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