表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポコぽこポン!  作者: いぐあな
25/45

九月二十日之事_____二十話

「うげっ! ……っぷ!」

まただ。ぽこの蹴りが顔に、稚日わかひの踵が腹に。 目が覚めた。


結局ぽこは引き続きうち預かりになったのだが、先日来、川の字で寝る様になってからと言うもの、夜中はずっとこの調子なのである。

すずに被害は無いのかと思うが、夜中こうして見ていると 寝ては居てもぽこや稚日わかひの攻撃を綺麗に回避しているのだ。

全く、どれだけ鍛えられているのやら…。

まだ夜中の2時…。寝るか…。




「うごっ!……………ガッ!」



「ちょいと稚日わかひさんや、お話があるんですが。」

「ん? はい、なんですか?お兄ちゃん。」

朝の食卓で稚日わかひに言っておく事にした。


「あなたはちょっと寝姿のお行儀が悪すぎます。」

「もうお兄ちゃんたら〜冗談が上手いですね〜。さあ早く召し上がってくださいな。」

「いや、冗談や無いねん…。寝てる間に殴られたり蹴られたりで しょっ中起こされるんや。」

シャツをめくり 赤くなった腹の辺りを見せながら説明する。

昨夜だけで二回踵を落とされたので結構なダメージだったのだ。

ちょうど肋骨の下に掛かったので若干変色している。因みに仕事で折ったのもこの辺。


「えー、おねえちゃん怖いなあー。」

「言ってないだけでぽこも同じくらい酷いんやけどな。」「えー!」

子供の寝相の悪さは成長の証なので本来ならこう言う事は言っても仕方が無い。


「そんな、…どうしましょう。」

「まあ 考えがあるから…まずは帰宅してからだな。先にお風呂に入って待っといてなー。」

「……お風呂ですか?」



帰宅後、夕飯前〜


稚日わかひの寝相の悪さだけど……。」

「お兄ちゃん…わたくし、そんなに酷いのですか?」

「結構すごい感じで酷いです。」

稚日わかひはえらくしょげている。普段お淑やかに振舞っているし 自らそうあろうとしているのだからショックなんだろうとは思う。


稚日わかひの寝相の原因は〜。」

「げ、原因は………?」ゴクリ

「長年蓄積された疲労の所為では無いか、と見当を付けてみた!」


ポカンとした表情の稚日わかひ。意外だったのかも。


しかし、人間の場合、寝相の悪さは疲労の自己回復機能だったりする。

要は寝ている間に自分で整体しちゃうのだ!


そして、稚日わかひはこの五百年、心身ともに非常に苦労を重ねて来た。


以上を踏まえて!

「心身共に疲れ切った 稚日わかひちゃんをほぐします!」

「え、えぇ〜…。」



先ずはうつ伏せになって貰い背骨に沿って付いている筋肉を首から骨盤の付け根まで上から下に。

「……うう〜、……う〜、ふー。」

手のひらでこねほぐした後は親指で指圧。

「う、う、う、い、ぐ、ぎ、う、う、」

効いてる効いてる。で骨盤の付け根がミソです。骨の隙間に親指ずぶり。

「ふにゅゔゔゔ〜〜〜。」

これでしばらくは力が入りません。

あははははははははははは〜楽しくなってきた〜〜〜!


取って返して頭蓋骨と首の付け根もぐりっとな。

「ゔぁああ〜。」

肩甲骨を剥がす様に浮かせて指を押し込んでほぐしついでに間の背骨をねじり込む。

「ぐひゅっっ…ゔっ!」ボキッ「んふう」

あはははははははははははははははははすげえ楽しい〜〜ははははははは……。


「さて基本的なほぐしは終わった。どうかな?稚日わかひ。」

「あぅう〜〜。」

眼の焦点が合ってない、なんとも言えない様な表情で呆然としている。


ふむ、これなら まだいけるかな。

次は開脚で座らせて脇から抱え上げる様にして背骨を捻る感じで上下に伸ばしてほぐす。

左に〜

パキパキポキパキ「にょヴァアうゔぁううゔぁ!」

右に〜

パキパキポキパキ「いいぃゔぇゔぇあああああ!」

良い反応するなああははははははは〜〜ほぐすのたのしい〜〜〜〜!


肩の三角筋から首筋に掛けて 鷲掴みでほぐすのがこれまた楽しい!

「ううゔゔゔ………うゔっ」

中間点のツボに人差し指第二関節までズボボッっと入れてみる。ぐりぐり。

「うびゃああ〜〜!」


あははははははは〜ホント、人の身体ってなんでこんなに楽しいんだ〜?まったくぅ〜あははは〜。


「……あ、いかん、やり過ぎた…かも?」

稚日わかひは放心状態、目に力無く光も無い…これレイプ目って奴や。尚且つ 口を半開きでよだれが垂れている…。さてどうしたものか。

後まだ頭蓋骨マッサージと下半身のほぐしがあるんだが………止めた方が良さげ…かな?


……いや、でもここでやめても効果がなあ…。

ま、良いか。稚日わかひの為だ。やっちゃおう……………………。



その後、正気に戻った稚日わかひは大泣きし始めた。

「お兄ちゃん!酷い〜怖い〜 稚日わかひをぐりぐりする〜!ぐりぐりいやあああ!びぇええぇぇぇ〜ん!!」

なんかよっぽど怖かったらしい。泣き止んでくれない。

稚日わかひ〜〜ごめんよ〜ごめんよ〜」


全身ほぐしたので多分暫くは動けないだろうから、夕飯は俺が作った親子丼とお澄まし。

手ずから食べさせてご機嫌取りに徹する。

「はい、稚日わかひちゃん q あ〜んして。あ〜ん。」

「あ〜ん。 」ぐすっ。


「美味しい?」

「うん」ぐすっ。



結局、幼児返りしたようになった稚日わかひを その日寝るまでお姫様扱いする事になったのだ。


その一部始終を黙って見ていたぽこすずが翌朝から三日 幼児返りを起こして大変だった。

「とーちゃ〜ん、だっこ〜。」

「ととさま〜、おんぶ〜。」


「あー、はいはーい。」


なお、稚日わかひの寝相はかなり改善された様で起こされる事は無くなった。


何時もお読み頂き誠にありがとうございます。



人の身体をもみほぐすのってきっと楽しいはず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ