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ポコぽこポン!  作者: いぐあな
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九月七日之事_____十五話目

「へぇ〜そりゃ大変だったっすねえ〜。」

朝、現場へ向かう車の中で先日の顛末を話した後輩 櫛名田克也、通称串カツの反応がこれ。

「ところで、先輩に妹さんがいたとか高校からの付き合いで初耳っすよ?」


「うっさいわ、あほう! お前みたいなガテン系ガチロリエロ同人作家に妹居ますとか言えんわ。」

こいつが稚日(わかひ)にダメ出しされた例のお宝の押し付け犯だ。

俺はどっちかって言うと若妻甘々ちゅっちゅとろとろ系が好きなのだ。


「いや、俺 先輩ん()何度もお邪魔して泊まってますやん? そん時も「俺一人暮らしやから気楽にしてくれー」いうてたし。」

「色々あったんだよ!色々と! 言わすなや!ダボ。」

「おお〜こわ〜。んじゃ折角だし 今度妹さん紹介して下さいよ。」

こいつ、何を言うかと思えば………。


「無理言うな。今は親戚の子も預かってるからな。お前の様なロリコンに遭わせる訳にはいかん。」

「なんかあわせる、のニュアンス違ってねえっすか? それと俺 幼女の味方っすよ?愛でるだけっすから。」

「くどい!」


「先輩ずっこい! 俺も妹ちゃんに会いたいし 幼女を直に愛でた〜い!」

「うるせえ!幼女言うな!会わせん言うとるやろ、気色悪い!」

こいつ、ロリコンじゃなきゃいい奴なんだが……言い換えればロリコンだからダメな奴なのだ。


「チェっ、まあ良いや。」

「あ、突然うちに来ても上には上げねえからな。」

「な! なぜ分かった!?」

伊達に10年以上もつきあっとらんわい、どアホウめ。


今日さえスルーしたら また当分串カツの野郎とは組まないから今日一日の辛抱だ。



「と、まあ、こんなしょうも無い理由ではあるが家族の各設定とその確認をしたいと思うんだ。」

夕飯も終わり、稚日(わかひ)がお茶を淹れてくれるタイミングで話を切り出す。


「まず、ぽこは近所に住んでる親戚の子! 最近親が忙しいので預かってる!」

「うん!分かったー! ぽこはとうちゃんのしんせきのこー。」


「次に すずは止ん事(やんごと)無い事情があって預かってる遠い親戚の子!」

「………………………ちちうえ…。」

しゅんとしょげ返るすず、慰めたいがまずは設定の打ち合わせだ。

「………ところですずって苗字あるの?」

「…………………知らない。」

すずは首を横に振る。もしかして稚日(わかひ)なら知ってるかと思ったが知らないという。

「直接なずな様に聞きますか?」

「あ、とりあえず それは後で良いよ。あのひと相手するのメンド臭いし。」


『ガタッ!』 ん? なんか音がした様な……。


「二人の年齢だが…5歳で来年から小学生…と言う事にしよう。」

最近調べたのだが身長100cmだと今の時期の小一ではかなり小さいらしいのだ。

ぽこの方は中身も若干幼過ぎる気がするのでそう言う事にした。

稚日(わかひ)にその辺りも説明したが異論はない様なので採用する事に。


「さて、稚日(わかひ)だが…昔 出て行った親父 の配偶者の連れ子で諸事情により居そうろ…………」

「まあ、【ちかをpompom〜義妹をおそって食べちゃって】の千佳ちゃんですね?」

……よく知ってるじゃねえか!


「…………あの〜、稚日(わかひ)さん?」

「なんです、お兄ちゃん?」

これ、どう聞こう…………?


「ひょっとして、全部読んでらっしゃる?」

「はい、先だって(らい)お兄ちゃんの絵草紙を見るに、ひょっとするとわたくしの知っている男女の営みと 今の世の中の男女の営みには随分と隔たりがあるのでは無いかと思いまして 後学の為に〜、と日々研鑽を積んでおります。」

まさかの読破宣言来ましたー。


「そう…………。余り人前では言わないでね。問題あるから。」

「分かりました。……では、以後こう言った話は 夕餉の後の団欒の場で 家族だけの場合のみ、という事で。」


「それでお願いします…………。」

いや、ホントお願いしますよ…人前で少女に不埒なタイトル読み上げとかされたら 間違い無く事案発生です。お兄ちゃんマジ生きてけない…。


「という事ですからね。ぽこもすずも分かりましたか?」

「わかった〜。」「…………はい。」

ぶふっぉーっ!!


ーーーー茶吹いた!

「おーい!なんでこの二人にまで確認とる!? どうなってる、稚日(わかひ)?」

「ん もう! お兄ちゃん、お行儀悪いですよ。」

俺の吹いた茶を拭きながら稚日(わかひ)が答える。

「二人とも最初の件以来それぞれがそれぞれに、ちょくちょく見つけた絵草紙を持って来ては「これはなんだ?」と…。」

………俺の所為?


「で、早いかとも思いましたが、学ぶ機会を奪い拗らせるのは、と……とくにぽこは単なるケモノ上がりの人なので まだ神使ですらありませんから 早ければあと1〜2年で誰ぞとまぐわう恐れが……その前にある程度の知識を教える必要があります。」

「たぬきだもんなあ…。」

これは串カツの接触は絶対阻止だな。

まぁ仕方ないのでこの件は稚日(わかひ)に一任するとしよう。


しこたま脱線したが気をとりなおし話を進める。

稚日(わかひ)、名字は生田…って言ってたな、確か。」

「単なる通り名ですので、この際お兄ちゃんと同じ加東姓を名乗るのが面倒が無くて宜しいかと。」

「問題無いならそれで良いかー。」


問題は次に起こった…………。


「…で、年齢だが…「19で。」……は?」 いや、それは無理だろ!


間髪入れず19と言われたがどう贔屓目に見ても小学六年生…制服補正入れたところでせいぜい中一だ。さすがに無理がある。小柄で女子と混ざってもそれほど目立たなかった俺ですら 中一の春には150cm近くあったのだ。先日135cmを記録したばかりの童顔稚日(わかひ)では15歳と言い張るのも難しいと思う。せめておっぱおでかいとかあればなあ。


………をオブラートに包もうとして失敗した。


「もう! お兄ちゃんはわたくしが子供だと言いたいのですか!? 神代より3000余年、活田遷座(せんざ)からも1800余年、先の分祀からでも500年です。読む鯖を今更五つ六つ(いつつむつ)減らした所でなんだというのですか!何がご不満です!? 胸の育ちですか!?毛も生えぬ事ですか!? 今更どうしようも無い事なのに お兄ちゃん酷いです!」


ーーーホント日本の神様って性におおらかだよなぁ などと的外れな事を頭に浮かべつつ、どう宥めようかと…。


歳上の妹が胸だけじゃなくてしもの毛までつるつるとか…お兄ちゃん 知りたくなかったよ。



冷却タイムを兼ねて、すずの名字の件でなずなさんに電話。 その間ぽこすずの二人には風呂に入ってもらっている。

『ふむ。わらわはケモノ上がり故 氏名(うじな)などは持って居らぬ。(かばね)は無いでも無いがな、所詮 眷属は皆ケモノじゃしな。好きにせよ。ま、遠縁というならば加東を名乗るのが後腐れあるまいよ。』

この人…いや神さまか、何でもパンパン答え出すよなー。ちょっと相談に乗って貰おうかな…。


「ーーそんな感じで怒らせてしまいまして…宥める方法とかないですかね?」

茶の間では 稚日(わかひ)がまだ怒ってる風なので藁にも縋る思いなのだ。

『何と、ダーリンは女子(おなご)の心の機微が今ひとつ解って居らぬようじゃのう。他の女子の機嫌取りの話を別の女子にするとは…わらわの心は張り裂けそうじゃ…。』

うっうっうっ、すすり泣きの声が聞こえるが…

「…泣き真似上手いですよねー。」

『う? 何じゃ、詰まらん。……まあ良いわ。』

やっぱり嘘泣きかい!


『先ずは種を仕込むが良い。孕めば乳は膨らむからのう。あとはそうじゃな。始終弄ってやれば そのうち毛も生えよう。 良かったの、これで解決じゃ。』

「あんた、面白がってるだろ…。」

『ふふふふ〜まあの。 で据え膳は食わぬのかの? 折角の馳走が腐れてしもうては随分と勿体ない。』

「降って湧いた可愛い妹だからな。大事にしたいんだよ。」

『あははははは〜 そうか そうか。ならば精々大事にしてやるが良い。だがその様に相手するならば わらわなどよりもう一段 ()()()()() 女子(おなご)じゃぞ。』

それ、どこで聞いてたよ?


『まぁ アレじゃ。見当違いの過保護は過ぎれば呉暁と何ら変わらぬ。その辺り弁えて程々にな。』

ツーツーツー…

切れてしまった。 何も解決してねえし。



「あんな、稚日(わかひ)はどう見たって10歳から12歳、頑張っても13歳くらいにしか見えない。その見た目で19歳とか言ったら今の世の中やと危ない事も多いんや。」

ぽことすずも心配げに会話の行方を伺っている。

そっぽ向いたままの稚日(わかひ)にも解ってもらえるようにじっくり話すしかない。

「マンガでも読んだやろ? 稚日(わかひ)にあんな風な事があったらと思うとお兄ちゃんとても心配なんや。」

「心配…ですか?」

やっとこっち向いた〜。

「そう、心配。大事な妹やからな。」


「じゃあ、仕方ないです。16歳でなら納得します。」

そうか〜、制服着ればどうにかなるか、とほっとしたのも束の間。

「でも学校には行きませんから。家事手伝い、ここは譲れません。」


あとはもう 何を言っても流されてしまい なし崩しで ぽこもすずも納得して寝てしまった。



「はい、お兄ちゃんお茶が入りましたよ。」

にこにこしながらお茶を淹れてくれた稚日(わかひ)…かなりの頑固者だったんだな。


結局、 加東稚陽(わかひ) 父親の配偶者の娘で 血の繋がらない義妹16歳 家事手伝い。という事になった。

ぽこは 福里ぽこ 5歳

すずは 加東すずしろ 5歳

ぽことすずは親戚の子供を預かっている、それを面白がった親戚の影響で父親呼びが定着。


で決まったので 明日にでも安寿さんに伝えよう。




それにしても稚日(わかひ)の頑固さは 確かに なずなさんよりメンド臭いかも……。



「お兄ちゃん、お茶おいしいですねー。」


ソウデスネー。ふー。


読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。

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