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ポコぽこポン!  作者: いぐあな
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六月二十五日之事_____一話目

勢いだけで書いてる拙い作品ですが読んで頂けると幸いです。

宜しくお願いします。

俺の名は加東慎太郎、ピチピチの30歳。


二週間程ほど前に建築現場で怪我をしてしまい現在は労災による休業中。

余り大きな声では言えないのだが…落とし穴にはまって肋骨が折れた。

結果としてその現場に絡んだ業社関連の仕事の一切に当面出入り禁止となってしまった。

怪我自体はどうという事も無いのだが、別の業社関連の仕事が出るまではどうしようも無いので 関西地方の政令指定都市とは名ばかりの片田舎、家族の絶えた実家で独り 引きこもり上等のナマクラ生活を満喫している。


「ごめんくださーい。」

つい先程、昨日裏の家に入居した母子家庭の親娘が挨拶にやって来た。

「お初に御目文字しやす。この度 裏に越して参りやした 福里 と申しやす。どうぞよろしゅうお頼もうしやすぅ。」

若干言葉が妙な訛り方をしている気がするが 見目麗しいという言葉がしっくりくる、しっとり艶やか和風美人で 変に大人な色気がユンユンである。 あとおっぱおデカい。


そこまでは良かった…。

「ぽこです! よろしくおねがいします!」

大きな声で挨拶してくれた、一緒に来ていた娘さんがいろんな意味で衝撃的過ぎた。

名前のキラキラ具合はともかく、母親に似た容姿に将来性を感じさせる少女だ。

髪質や色合いは父親譲りなのか、このまま育てば母親とはまた違った感じの美人に育ちそうである。


いや、まあ それは良いんだ、うん。


将来性は一旦置いておくとして…その頭の上に毛の生えそろったケモ耳がちょこんと一対。

そのケモ耳の間にはちょうど良いサイズの柿の葉が乗っている。

更には太股の影にぽてっとした感じの毛玉がぶら下がって…いや、毛玉じゃなくてしっぽだ、これ。


「えーと…。」

まさかとは思うが…デザイン的にはたぬきっぽいよなぁ…。

こう言うのって昔なにかで見た気がするんだが…。

…あれか? 昔話のアニメでみたのか、それとも童話か絵本だったか?

いや、いくらなんでもな。 あっ! アレだ、単なるコスプレかも知れん。

良くある、我が子が可愛いと親はついつい頑張っちまう ってヤツじゃねえか?


どうする? 直球で聞いてみるか? なんて⁉︎ どうやって⁉︎

「あなたの娘さん、ひょっとしてたぬきですか? 」 とでも聞くのか?

そんなの単なる頭おかしい危険な奴認定で終わりだ‼︎

あ、挨拶のどさくさ紛れに頭撫でるフリして耳引っ張るとか?

いやいやいやいや!さすがに子供相手にそれは駄目だろ‼︎


この混沌具合の度を深める思考と その耳と尻尾をじっくり見たい弄りたいと言う欲求をボール紙の如き精神力でどうにかこうにか ねじ伏せる。俺の脆弱な脳細胞は良い仕事をしました。我ながら褒めてあげたい。

いや、ホント思考回路がショート寸前…今にも脳が焼け付きそうだよ。

うさぎじゃなくてたぬきだけどな!


ぽこと呼称するたぬき系美少女の挨拶からここまで 約1秒。



兎も角も挨拶を返す。 それが大人だ。

「ぽこちゃんこんにちは。丁寧なご挨拶ありがとう。お兄ちゃんは加東慎太郎と言います。ヨロシクね。お歳はお幾つかな?」

少女に声を掛けた。

はにかみながら、怖ず怖ずと開いた手の平をこちらにむけて親指を折る。

「4歳?」


と言う問い掛けに首を横にプルプルッと振り大きく元気に答える。

「4ヶ月!」


やはり野生動物ってのは自立早いんやなー、などと かなりどうでもいい事が脳を駆け巡る。

で、どうにか出た言葉が

「ホンマか~。 可愛らしいしっぽやねえ。」

普段はあまり出ない訛りがつい出てしまう。


少女は顔を赤らめて「えへへ~」と微笑んだ。





そうして、たぬき系少女とのご近所付き合いの日々がこれから始まる。


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