帰り道
蓮斗「あー、ちょっと遊びすぎたかな……」
1人でゲームセンターに行き、新作のシューティングゲームに夢中してしまった結果日は既に沈み、景色は真っ暗であった。
何が襲ってきてもおかしくないような帰路を1人で歩いていた。いつもなら、朝の散歩やジョギングをしている人で溢れているのが嘘みたいにシーンとしている。
蓮斗「それにしても、今月の小遣いがな………自業自得とはこの事か」
エンディングが気になって数千円も使い込んでしまった。クリアーした時は喜びと感動しか湧いてこなかったが、今思うと馬鹿だと思った。
そんなにやるなら、普通にソフトを買えと言われそうだ。
気分転換にメールを見ると、服部からのでいっぱいであった。
アシタゼッタニコロス……
それが無限に書かれていた。蓮斗は気にもせずにそのメールを全部消去した。でも、あれは調子に乗った服部が悪い。
………とは言うもののこちらにも責任があるのでコンビニに寄ってロリコンもののエロ本を買っておいた。明日にでも渡そう。
服部の他にもメールはたくさん来ていた。靖彦からは「よろしくね!(^.^)」となんとも可愛らしい文字で送られてきて、なぜだか教えてないのに小十郎からもメールが来た。というか、携帯持っていたのか。
他にも天荒姉さんからも「今、友達とショッピング中で〜す。新しい水着を買おうと思うんだけどどれがいい?」と水着写真付きで送られていた。
どちらの水着も一言で言うなら過激の一言でしか言いようがない。一体誰が着るんだこんなもの。
適当に、天荒姉さんならなんでも似合うよと返信をした。
ブルル!
直ぐに返信して来て、「じゃ、楽しみにしててねぇ〜♡」と何を買ったのかわからないが、天荒姉さんのフラグでは俺とプールか海に行くことは決定しているようだ。
ポケットに携帯をしまい、再び歩き始めた。
しばらくすると、公園へとたどり着いた。
蓮斗「懐かしいな……」
昔はよく、ここで天荒姉さんとよく遊んだものだ。砂でお城を作ったり、シーソーで遊んだほのぼのとした思い出がある一方、遊具を破壊したり、滑り台に落書きしたりしてよく怒られたっけ。
ブランコに座りながら当時の光景を思い出す。
破天荒そのものだった姉も今や、立派に育ち、優秀な成績を収め、アメリカへ留学。そして、ストレンジャーの資格を取った。
蓮斗「俺は……何にも変わっちゃいないな」
両親は差別することなく蓮斗を育ててくれた。しかし、両親に対して何も応えてない自分がどうしても嫌だった。
だから、ジェネレーションの整備士になる事にした。少しでも役に立ちたかったか故の決断であった。
蓮斗「もう、こんな時間か。一人暮らしとはいえども、あまり羽目をはずのはよそう」
蓮斗は学園からで徒歩30分ほどのアパートに住んでいる。寮暮らしも考えたが、両親から姉一緒に暮らす条件を突きつけられてアパートになったのた。
学園の近くもマンションやアパートが沢山あるが、既に満室だらけだった。
そんななか、ようやく見つけたのが今のアパートだ。決してボロボロというわけではなく、和室が基本の部屋だった。
2人で寝るには十分なくらいだ。
ブランコから立ち上がり、公園から出ようとした瞬間……
ガササ!
後ろの方から何が動いたような音がし、振り返ると、人影のようなものが森の奥へと消えていった。
何だろうと思い、追いかけようとしたら……
ギィィィィィイ!
辺りに耳がつん裂くような音が発生し、蓮斗は耳を塞いだ。黒板をひっかいたあの嫌な音がまだマシなくらいだ。
そういう兵器を自衛隊が持っていると聞いたことはあるが、それは悪魔で電気を使った人工的な音だ。
これは、生き物の雄叫びのような感じがするのだ。その音はステンドグラスを割り、上からは大量の鳥たちが泡を吹いて死んでいた。
すると、森が明るく輝いていた。まるであそこだけ夕焼けのようだ。
蓮斗「なんだ……あれは」
あそこにはぜったに行ってはいけない。そんな気がする。しかし、その考えよりも本能が動いていた。
蓮斗は気を引き締めて、森の奥へと進んだ。