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4/11

10/1 修正しました。

こっちではクラスでいじめは起こっていなかった。

スクールカーストによる格差はあるものの、悪くない雰囲気が全体的に漂っている。このクラスにはそこそこ良い見た目な人は何人かいたが、飛び抜けて目立つ人がいなかったのが幸いしたのかもしれない。

だがそれは来てから数日間のことであり、早くも陰りが見えてきた。

いじめなんてそれが些細なことであれ、きっかけさえあれば簡単に起こるものだ。



「きゃああああ!!」


教室内に妙に甲高い声が響く。これは女じゃなくて男の声だな、と見れば声を上げたのは後藤だった。後藤の制服のシャツは濡れていて、その後藤の目の前に立っている女の手元のペットボトルと合わせて見れば何が起きたかは明白だ。


「サイテー!マジでありえなぁい!」


そう言って濡れた胸元を抑える後藤は、なんというかキモいなと思ってしまった。まあ確かにこの教室にいる女子の視線が今、後藤の胸元にいってるのは分かるけどさ。ここの女子からしたらこの状況はラッキースケベの一種なんだろうな、と思うと少し悲しい気持ちになる。


「瑞希、大丈夫?」

「えぇー、どーしよぉ!シャツの替え持ってきてないよぉ!」


後藤のぶりっ子ってどうしてこんなに鼻につくんだろうか。後藤の回りにいた男子達もまるで女子のように心配した顔をしてタオルなんかを渡したりしている。その男子達もついこの前まではグループを組んでお喋りをしていた奴等ばかりで何とも言えない。

今や後藤達は教室中の視線を集めていた。ざわざわと漣のように噂が広まっていくのが分かる。


「まっ、だよねぇ。こんなんなるなんて思わないもんねぇ」

「うーん、じゃあ体育着とかは?」

「あっ、僕貸せるよ!」

「えっ、ありがとぉ!ごめんねぇ」

「いやいや。ってか瑞希全然悪くないし!悪いのはお茶かけたコイツじゃん!」

「ねっ!ほんと篠崎ってサイテー」


簡単にその矛先は後藤にペットボトルの中身をかけた女子、篠崎に向かった。篠崎も不憫な奴だな。この分だと当分の間はこの教室で居心地の悪い思いをするだろう。篠崎は若干怯えた様子でごめんなさい、としきりに謝っているが、そんな言葉で後藤達が満足するはずがないのは明らかだ。

周りも好き勝手なことを話しているが、耳に入ってきている限りでは後藤に同情的なものばかりだ。

そうこうしている内に後藤の近くにいた友達の一人、坂井が篠崎を軽く蹴る。うわ、男が女に手ぇ上げるってどうなんだ?いや、ここでは逆転しているからあっちでの暴力女みたいな?いや、それもどうかと思うが。


「ブスが調子乗んないでよね」


坂井がそう言うが、何と言うか見た目があんまりだから決まらないと思ってしまうのは俺だけだろうか。ってかそれ何てブーメランだ?

だが後藤達の間では笑いが上がっている。勿論良い笑いじゃなくて、嫌な笑いだ。その笑いは段々と周りへと広がっていく。

何となく居心地が悪くなって席を立つ。

数日前は自分にも起こりうることだったと思うと奇妙な感覚だった。


俺はそっと未だに続いている話し声を背に教室を出た。



皆様からいただいている感想がとても励みになっております。このような拙い文章をお読み下さり、有難う御座います。とても嬉しく思っております。

現在この作品は、結末以外は大方粗筋は決まっている状態です。こんなに更新が遅いのに全四章予定なのでまだまだ先は長いのですが、これからも宜しくお願い致します。

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