6 再会
さして大きくも無い眼を見開いてみる。どこをどう見ても藤堂くんだ。フォークを持ったまま馬鹿みたいに眺めてしまう。人間は思いも因らぬ事が起きると固まるものなんだな。
「元気そうだね」
「うん」
そうだ、直人さんとは親友なんだから此処にいても不思議じゃない。
「ひかりさん知り合い?」
「うん。高校の同級生」
「本日はおめでとうございます」
本日の主役に負けない爽やかさで礼服を着こなしサラリと礼に沿った挨拶をする。相変わらず出来過ぎてる。
「そのワンピース似合ってるよ」
「ありがとう」
額面通りに受け取るつもりは無い。
社交辞令だと分って礼を言う。それ位の大人の対応は身に付いた。
伊達に接客業をやっているわけじゃない。
外面だけは完璧なのだ。
「松井家の出席者が少なくてびっくりしたよ。親戚とか縁が薄いの?」
「いや、普通にいます。でも式は織田家が全額持つことになって、あんまり呼んじゃうとなんか気が引けるんじゃないんですか。」
「派手にやりたくないって言ってたからね」
会場を見渡せば織田の関係者でほぼ埋め尽くされている。格差結婚の難しさを目の当たりにした気分だ。直人さんとの仲は心配してないけれど、家のお付き合いが大変そうでまっちゃんが気掛かりになる。
「ひかりこの後の2次会参加するの?」
「うんん。友達は私1人だけだし、これが終わったら帰るよ」
「そっか、知らない奴ばっかりじゃ辛いよね。今日は会えて良かったよ。またね」
「うん」
「何か、感じの良い人だね。直人さんも格好良いけど、あの人は誠実そうだね」
本当に誰が見てもそう思うだろう。私の勤める書店に来ればたちまちパートさん達のアイドルになれる。もしかしたら口コミで噂が広がって大量にお客さんが押し寄せるかも知れない。
そんな一見誠実そうな出来すぎ君に浮気された私って何なのだろう。
酷すぎる。
けれど1年ぶりとは思えない自然な振る舞いだった。
昨日の延長のような話し方。言葉も自然にスラスラ出てきた。
友達のままでいれば良かったのかな。
そうすれば別れる事もなくずっと一緒にいられたんだろうか。
考えても仕方のない事を気にして料理はすっかり冷めてしまった。