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二 平凡完全決壊。…厄介な奴に好かれた、どうなる俺!


「ふふ、私、小川光って言います!」



突然現れた女の子は、前触れもなく名乗り、「はい」と俺の顔に眼鏡をかけた。



「また、明日!眼鏡クラッシャーさん!」



固まってる俺たちを一瞥してから、女の子は手を振りながら走り去って行った。


なんだなんだなんだ?

頭が全くついて行かないんだが…


やたら、フレンドリー?


制服を着ていたし、とりあえずは同じ学校だ、よな?ま、まさか、コスプレとかじゃ…い、いや。いくらうちの学校の制服に定評があるからって、こすぷ…っぁあっ、否定出来ない!


しかしながら、見覚えはないが、女の子が名乗った名前は、何だか聞き覚えがある気がした。飽くまでも気だが。うん?どこだったか。


思い出しそうで思い出せない感覚が気持ち悪い。曲名も歌詞も出て来るのに、歌手がわからないみたいな感じだ。


もやもやもやもや



「あの子、山田のクラスじゃないのかな?ほら、【おがわ ひかる】って、新学期からずっと来てないって言ってなかった?」



あー、だ、うーだ唸っていたら、我らが宮島がぽつりと呟いた。



「あぁ…!」


もやもやが一気に吹き飛ばされた。

そうだ。

ナイス宮島!

この際、隣のクラスのお前が、なんでそんな事を知っているかなんて気にしない。



「今居るなら、テスト、山田と一緒に受けたって事だね」


「いや、もう、自分いっぱいいっぱいだったんで!わからないッス!」


「…、何キャラだ。しかし。登校拒否ってた女の子が自ら名乗るって、お前何したの?」


「何もしてない。テスト受けただけだしな」



小川が去って、いつもの下校風景に戻る。あー、落ち着く。

いきなり現れたから何かと思ったが…、ふぅ、やっぱりいつも通りが一番いいな。


明日テスト最終かー


なんて、お互いに呟いて、採点休みの日は、久々に電気屋行くかとか約束をして、家に帰る。

それからもやっぱり、いつも通り平凡に、飯食って、風呂入って、テレビ見て、寝た。


翌朝も普通に、携帯アラームを一度止めて寝て、母親に3回起こされ(最後は背中に蹴りが入る)起きたし。顔を洗ってから、ご飯、味噌汁、目玉焼きを食べて、歯磨きをして、支度を整えるのも、いつも通りだった。


だから、忘れていた。


普段通り過ぎて、忘れていたんだ。昨日のイレギュラーの存在を。


その存在を思い出したのは、行って来ますと玄関のドアを開け、門を出たとき。



「おはよう、山田君!」



彼女は昨日と何ら変わらない笑顔を浮かべていた。

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