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一 平凡完全崩壊一歩手前。…何この漢字ばっかり且つ、不吉なタイトル。

正直、終了のチャイムが鳴ってからの記憶があまりない。


教室から校門てこんな遠かったか?



「よ、山田!お疲れちゃん」



ぽんどころか、肩にずしりとした重みが加わる。突然だったから余計に重たく感じた。



「どーした?冴えない顔が、更に澱みきってるぞ」



一言も二言も多いのは、隣のクラスの宮島だ。こいつは凡人の俺とは違い、秀才という人種だ。小さい頃から知っている、良く言えば幼なじみ、聞こえが悪いと腐れ縁。



「あー、もう。放っておけ、…」


「ありゃりゃー、さてはテストしくったな?」


「…言うな、聞くな、話題に触れるな」


にやにやと探偵の真似事をする宮島が、凄く憎たらしく見える。

その銀縁眼鏡、叩き割って良いだろうか?



「確かに、今回の数学は応用とか捻り問題が沢山あった」


「とか言って、お前は普通に解いたんだろうな」


「まぁ、うん。それなりに。…休みに学校に缶詰になって補習は勘弁願いたいし」



嫌味か?嫌味なのか?

そうでなければ、忍耐力調査?俺の沸点がどれくらいか調べるつもりか?


くっ、目頭が熱いぜ…


ふふふ、ははは、そうか宮島。そんなに眼鏡を割って欲しいんだな?


任せろ!

この眼鏡クラッシャー山田(自称)が破片が飛散しない様に、叩き割ってくれよう!



「くす」



背後から忍び笑いが聞こえた。

余裕だな、宮島、だがしかし…!


交わせるか?俺のこの渾身の!!



「笑ってろ!次の瞬間にお前の眼鏡は…え?」



拳を固め、勢い良く振り向くも眼鏡クラッシャー(自称)の攻撃は不発に終わった。


行き場を失った拳が、力なく下降する。



「え、と、どちら様?」



俺視線の先には、女の子。

しかも見覚えありまくりの銀縁眼鏡を掛けている。



「山田の知り合いかと思ったけど違うの?校門らへんから一緒だったよ。お前が目頭を抑えて肩を揺らしていた時ぐらいに、鮮やかな手捌きで俺の眼鏡を持ってったけど」


宮島、詳しい状況説明ありがとう。


2人して失礼を承知で、まじまじと女の子を見る。


銀縁眼鏡以外全く見覚えがない。


宮島も俺も、互いに顔を見合わせて首を傾げた。


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