凡才ですが、なにか?…あ、でも今回ばかりは、赤点みたいです。
特筆する事もなく、俺は凡人である。
頭は良くもなく悪くもない。
目と鼻、口が付いた顔は、一度見ただけでは記憶に残らない程特徴の無い顔だ。
運動神経だって、この前のスポーツテストは全国平均とぴったり同じ数値だった。
やはり所謂、普通なのである。
そんな俺は、ブレザーに身を包む学生で、日々学舎という箱で、専ら学業に励んでいる。
まぁ、間違っても、模範生ではないからそれなり(教師に目を付けられない程度)に、羽目を外しているけれども。
長期休みを間近に控えた今日は、地獄のテスト2日目。
些か面倒だが、仕方ない。気を抜けば、平凡な成績も、ある種非凡になりえるのだから。
時が長い…。
テスト終了時間が、またまだなのに関わらず、俺の解答用紙は、開始から殆ど変わらず白いまま。クラスと名前の欄と前半の問題が少し埋めてあるだけ。
ぐっ
たまらず、鉛筆を握る手に力が入った。
解けない。
まるで解けない。
ヤマを外した、尚且つ、応用ばかりとなっては、手も足もでない。
俺の前に座る奴の背中を見つめる。
ああ、もうそれは穴が開くほど。
本当に開けば、答えが見えるのに。
じーっと、瞼も動かさずに見ていると段々奴の背中が透過してきて、答えが…なんて、そんなSFチックなうまい話もあるはずない。
追い込まれた状況で為す術もなく、無情にも終了のチャイムが鳴り響いた。
この時は、知る由もなかった、真っ白に燃え尽きた俺を見て、笑いを堪える人物が居たことなど。