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最強守護神ふくシリーズ

最強守護神の黒猫、犬派が増えたので追放されたがる

作者: モカ
掲載日:2026/05/26

王宮、謁見の間。


空気は重かった。


「……最近、犬派が増えているそうです」


大臣の一言で、

場がざわつく。


「なっ……!」


「まさか……!」


「そんな……!」


兵士たちに衝撃が走る。


そして。


玉座の横で香箱座りしていた黒猫――ふくが、

ゆっくり顔を上げた。


『……ほう』


静寂。


ふくは窓の外を見る。


どこか遠い目だった。


「おい」


『ついに来たか』


「何が」


『追放イベント』


「やめろ」


ユキトは即座に止めた。


だが、ふくは聞いていない。


『薄々感じていた』


「感じるな」


『最近、犬型魔獣グッズも増えておる』


「市場分析するな」


『なるほど。そういうことか』


「どういうことだよ」


ふくは、すっ……と立ち上がった。


やたら神々しい動きだった。


『世話になった』


「帰ってこい」


『止めるな』


「まだ出てもない!!」


兵士たちが慌てる。


「ま、待ってください守護神様!!」


「誰も追放なんて!!」


だがふくは、

悲しげに目を細めた。


『分かっておる』


「絶対分かってない」


『我のような旧時代の守護神は不要なのだ』


「どこで覚えたその空気」


ふくは窓辺へ飛び乗る。


風が吹く。


なぜかカーテンも揺れる。


「演出すな」


『これより我は辺境へ向かう』


「絶対寒いの嫌がるだろ」


『…………』


「ちょっと迷うな」


すると大臣の一人が、

おそるおそる口を開いた。


「あの……犬派というのは、その……」


「ん?」


「最近、城下で大型犬カフェが流行っておりまして……」


沈黙。


ふくの耳がぴくっと動いた。


『……犬カフェ?』


「そこ反応すんの?」


『ほう』


ふくは目を細める。


『敵情視察が必要だな』


「行きたいだけだろ」


『断じて違う』


「尻尾ぴーんだぞ」


『……』


「分かりやすすぎる」

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