トラックドライバーのおかしな常識
大型トラックのドライバーをやっております。
今年のゴールデンウィークは飛び飛びなせいか、仕事をしている仲間が多いようです。休日の今日も、高速道路に大型トラックがバンバン走ってらっしゃいます。
さて、たまに事故をしているのを見かけると、大抵大型トラックが絡んでいるような印象が私にはあります。
独断と偏見ですが、これは大型トラックドライバーの持っている『おかしな常識』に原因があると私は睨んでいます。
トラックドライバーの方々には『その常識、おかしいよ』と訴えたくて、乗用車の方々には『トラックドライバーはこんなおかしな常識もってるから気をつけて!』と知らせたくて、こんなものを書きます。
大型トラック、トレーラーの運転手というのは職業運転手ですから『プロ』と呼ばれます。
ただ、その大半が、ただの『慣れ』で運転しているのが実情です。
安全確認を怠る、ウィンカーを出すなり急ハンドルで車線変更する、テレビやスマホを観ながら運転する、お酒を飲みながら運転する、どれだけ速度低下しても登坂車線だけは絶対に走らない等、危険、迷惑な運転をするトラックドライバーはとても多いのでお気をつけください。
それでいて『俺らはプロ』『俺ら運転うまいよな』と自信満々に思ってらっしゃるのが大部分のトラックドライバーです。
横の連帯が強く、一人称が『俺ら』なのがトラックドライバーです。
そして『俺ら』の中でのみ通用する常識を、『車を運転するにおける、みんなの常識』だと勘違いされています。
私のような、そのへんな常識に従わないトラックドライバーは敵視し、幅寄せや車間詰め、急加速などで攻撃してきます。
さて、そのへんな常識を少し紹介してみます。
・運転免許を持っていれば誰でもプロなのだから、プロの運転をすべきだ
子どもの送迎や買い物にしか車を運転されないママさんなどにも彼らはプロの運転を求めています。ふつうに考えれば、不慣れなそういうドライバーさんはプロが守って──あるいは導いてあげるべきものだと思うのですが、彼らは「運転免許持ってんのかゴルァ!」と攻撃し、恐怖を与えてきます。
ゴールデンウィークは普段運転をあまりされない方々も高速道路を走ったりするものと思われます。もちろん中には攻撃しないトラックドライバーもいますが、そういうひとでもウィンカーやライトを使って『走り方、おかしいよ』とアピールしてくることはあります。
アピールを受けたらとりあえず左へ避ける等の配慮はお願いします。
・合流は本線の車が避けろ
彼らは合流車線をまったく使いません。流入してくるなりウィンカーを出し、『どけどけ!』とばかりに幅寄せをしてきます。「合流してくる車を見たら右へ車線変更してかわすのが当たり前だ!」と豪語するトラックドライバーをインスタグラムなどでよく見かけます。
正しい常識としては『本線の車は車間距離をとって走行し、流入する側は並んでしまったら、本線の車の後ろ或いは前に入る』です。大型トラックは遅いので、焦って急いで入ろうとするひとが多いようですが、加速車線をしっかり使って加速すればそれほど本線の流れを乱すことにはならないものです。そのために本線の車が車間距離を空けておくことは大切ですが、それさえしていれば右車線にわざわざ移動して譲るなんてことはする必要がありません。
いちいち本線側が合流車を入れてあげるために右へ車線変更なんかしていたら危険ですし、円滑が妨げられます。
合流してくる車を見るなり急ハンドルでウィンカーを出しながら右車線へ避けて、後ろから来ていた乗用車さんに急ブレーキを踏ませ、それでいて合流車にはかすりもせずに前へ離されて、照れくさいのかそのまんま右車線をずっと走り続けて迷惑になるようなトラックドライバーをよく見かけることと思いますが、それが彼らの常識だと思ってため息をついてあげてください。
・大型トラックを左から抜くな
このステッカーを後ろに貼ってらっしゃる大型トラックすら見たことがあります。
左側には死角が多く、左から抜かれるとびっくりしたりするのです。
自分が左側を空けて延々右側を走っているからそうなるだけのことですので、そんなステッカーを貼っているトラックを見ても無視してあげてください。構わず左側から追い抜いてください。危険が入らないよう左側を締めて走るのが安全運転の常識です。左側をぱっかり空けて走っておいて『左から抜くな!』と命令するのは、へんな常識です。
・譲ってもらったらサンキューハザードをつけろ
これは乗用車さんにも多く見られる間違った常識です。
ふつうの合流でいちいち『ありがとう』とか言う必要はありません。
また、『ありがとう』がなかったからといって激怒する必要もありません。
・延々と追越車線を走るな
正しい常識とはいえます。道路交通法に従うなら、何も追い越すことなく一番右側の車線を1.5km以上走り続けたら『通行帯違反』、一般道でも『左側通行義務違反』という名の違反です。
ただ、サンデードライバーさんにそんなことを命令するのは酷というものです。そんな法律知らないという方も多いと聞きます。「左側は合流とかあって怖いから」という気持ちもよくわかります。
何よりそんなことを言う大型ドライバーにも『通行帯違反』、『左側通行義務違反』をしている方はとっても多いので、そこがおかしいと言えます。大半の高速道路において、大型トラックは左側通行指定となっています。そんなところで片側3車線の真ん中を延々と走る大型トラックのなんと多いことか──。新東名の120km/h路線等では真ん中車線は乗用車にとっては『第二走行車線』ですが、大型トラックにとっては『追越車線』となります。
・俺たちは仕事で運転しているんだから、優先されるべきだ
これを言う方が多いですが、道路は譲り合いが一般常識です。速い乗用車も、遅いトラックも、どちらも優先ではないですので、譲り合いましょう。
・レジャーは邪魔
大型トラックドライバーは乗用車さんのことを『レジャー』と呼んでバカにしています。
乗用車さんは大型トラックを邪魔な障害物のように思われてらっしゃる方が多いように思います。
仲良くしろとまでは言いませんが、せめてどちらにとってもどちらも邪魔であるということぐらい認識しませんか?
他にもまだまだありますが、このへんで──