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セタンタの宿屋 キング亭『レオンの歌をつくろう ~その3~』

挿絵(By みてみん)

「で、スルーズさん。これはどういうことなの」


 思わぬ早さで再会したダニエルであったが、スルーズ相手であってもその声は強張っていた。犬猿の相手を連れてきたのだから無理ないとも言えるが。


「……オ、私だって来たくなかったし……です」


 その目線から外れた隣で、椅子に腰を下ろしたミーナが吐き捨てるようにそう呟いた。ちなみにその手には真新しいタオルが握らされている。

 商会に再来した際、引きずられてきたミーナに驚いたルーカスが渡してくれた来客用のものだ。自分との扱いの差が大分違くないかとスルーズは文句を言ったが、ルーカスは相手にせずさっさと仕事に戻ってしまった。


「会長さんは音楽家に頼むと言ってたけど、ミーちんは自分で作った方がいいって言うんだもん。あーしがいちいち間に入るのも面倒だし、だったらもう直接やりあってもらうしかないじゃん」


 なんということ。因縁の相手に決闘させようというのである。


「……ふぅん?」


 緑色の瞳に剣呑な微笑みを浮かべて、ダニエルがミーナを見遣る。


「つまりミーナさんは、作詞作曲出来るの?」


 怖い。口調は穏やかで表面上は笑顔を浮かべているのに、不愉快だと言うのが空気の冷たさで伝わってくる。


「あ、別に責めている訳じゃないからね。ミーナさんの口からそう判断した理由を直接聞きたいし、これはレオンの歌を良いものにする為に忌憚のない意見を交わす場だから」


 押し黙ってしまったミーナに流石にまずいと思ったのだろうか。なるべく公正に語ろうとダニエルが少し言葉を和らげる。

 そう。ダニエルは何も、好き好んでミーナとケンカしたい訳じゃなかった。レオンに怒られるし。

 レオンを喜ばせる為に歌を作ろうとしているのに、ここでミーナとケンカしたりしたら本末転倒だ。一番大事なのは、レオンが喜ぶかっこいい勇者の歌を作ることなのだから。


「……作曲は、出来ませんね」


 前世含めて音楽関係には携わっていなかったミーナである。これは嘘ではなく、彼女の本心を口にしたようだ。恐らくダニエルに嘘を吐くリスクを考えてのものだろう。


「もともとスルーズはアカペラで歌ってきたわけですし、わざわざ作曲家に頼む必要はないと思いますけど?作詞なら私たちにも出来るだろうし」


 ミーナの言葉に、ダニエルは目を瞬かせた。


「え?じゃあスルーズさん作曲得意なの?」

「え?あー、いやその、即興でね?ぱっと歌うくらいだから、得意かって言われると、うーん……?」


 どうにも煮え切らないスルーズだが、ミーナにじと目で見られていることを察知すると、「あー、いや」と意見を変えた。


「ま、まー、それなりに?……出来る、かも?」


 スルーズの煮え切らない返答に頷いて、ダニエルはミーナの方に視線を戻した。


「確かにスルーズさんに詳細を訊かずに話を進めたのは僕の手落ちだったね。勇者パーティーでヒーラーまでやる人が、まさか作曲まで出来ると思わなかったし」


 ダニエルの言葉に、スルーズはあわあわしながら「さ、作曲とかそんな大したものじゃないよ?即興で適当に歌うだけだし」と自信なさげに否定している。

 しかしダニエルは構わず続けた。


「でもさ。別にプロに頼むことはそんなに悪いことじゃないよね。僕は僕なりに真剣に良いものを作ろうと思って提案した訳だけど……ミーナさん、それじゃ駄目な肝心の理由を言ってないよね?」

「んー。ダニエルさんなら分かってると思ったんだけどなぁ」


 実に含みのある言い回しをした後で、ミーナが改めて口を開いた。


「じゃあダニエルさんの中のレオン、プロに歌を作ってもらったよ!って言うのと、私たちが歌を作ったよ!っていうの、どっちが喜びますか?」


 沈黙が落ちた。しんと静まり返る応接室で、ダニエルが聞こえよがしに溜め息を吐いた。


「……あのさぁ、ケンカ売ってるの?」


 緑の瞳に絶対零度の微笑みを浮かべて、ダニエルはいっそ静かな声で言った。


「答えはね、『どっちも喜んでくれる』だよ。レオンは君と違って素直で優しいから」


 そう言い切った後、はーっと長い溜め息を吐いた。


「さっきから何なの?僕が一生懸命気を遣ってあげてるのに喧嘩腰でさ……何か勘違いしてるみたいだけど、君、たかだかレオンに出会って一ヶ月かそこらのにわかでしょ?」


 優しげで温和な微笑みを浮かべたまま、ダニエルはそう穏やかに吐き捨てた。


「僕、物心ついた頃からレオンと毎日一緒に遊んでるし、何なら五年間同じ家で暮らしてるからね?

 世界学者だか何だか知らないけど、あんまり知ったかぶりすると恥をかくよ?」

「じゃあなんで今一緒にいないんです?」


 あわあわとするスルーズの隣で、一切引かずにミーナが切り返した。


「私ね、レオンの一番の理解者だってしたり顔で詰めてくる貴方に腹が立ってたんです。……先日は怖くて逃げるしかなかったけど、改めて考えていてもやっぱりこの苛立ちは抑えられない。一か月が何ですか?私たちは死線を潜っている。私も彼も、互いの、皆の命を守るために最善の行動をしている。そういう一か月だったんです。安全圏から勇者の伝説を聞いているだけの貴方には、理解出来ないでしょうね」

「ミーちん!」

「最初に喧嘩を売ってきたのはそっちでしょ!力がなくても、レオンを守るために側にいることは出来た!それをしなかった貴方に私たちのことに口出しする権利なんて――!」

「いい加減にして!!!!」


 響いた絶叫に、その場がしん、と静まり返る。見るとスルーズが目に涙を溜めてそこに立ち尽くしていた。


「そんなことのために呼んだんじゃない!私、ただ三人でなら、いい歌、作れると思っだ、から……」


 今にも涙が零れそうなスルーズに、そっとハンカチが差し出される。


「……ごめんね、スルーズさん。僕もケンカしたくはなかったんだけど」


 癖毛をくしゃりと手で掻き回して、ダニエルはミーナに向き直った。


「ここまで言われたら僕も流石に黙ってられないし……わだかまりが残ってたら一緒に何かを作るなんて無理だと思う」


 ダニエル・ブラウンは世界を股にかける規格外の商人だ。穏やかで理知的な語り口に、誠実な取引と取り扱う商品の確かな品質。そして何より、並外れた観察眼。それらが彼の商会をここまで大きくしてきた。

 しかし。勿論平和主義者ではあるのだが、実の所ダニエルは並外れて頑固で絶対に自分の意志を曲げない青年だった。

 新しい物や技術は大好きで柔軟に取り入れるが、一度こうと決めたことは絶対にやり抜く。

 その為なら、あらゆる手を尽くすのがダニエル・ブラウンという男だった。


「だからこの際、互いについて思ったことは全部この場で吐き出そう。その代わり後腐れはなし。――レオンの為なら出来るでしょ?」

「――できる…できます」


 ミーナも深く息を吐き出すと、了承してそう口にした。彼女としても、ここで争うのは本意ではなかったようだ。


「ごめん。スルーズ。そんなつもりじゃなかったんだ」

「うん……」


 そうして、異例の話し合いの場が設けられることになったのである。


スルーズには本日二杯目のエールが注がれ、ダニエルとミーナの手元にはそれぞれ一杯ずつ香り高い湯気の立つ紅茶とミルク、シュガーポットが置かれている。種類はアールグレイだろうか。ベルガモットの香りがふわりと漂った。


「喉渇いたでしょ。これから喋ることになるし、紅茶が苦手なら魔導冷蔵庫からエールでも何でも好きに飲んでいいから」

「助かったぁ……もう喉カラッカラだよ」


 エールエールと素直に喜んでいるスルーズにくすりと笑って、ダニエルが口を開く。


「じゃあそれぞれ相手について許せないことを挙げて、それに対して何かしらの返答を言っていこうか。さっきはミーナさんが話したから、僕から答えてもいい?」


 ダニエルの言葉に、黙ってミーナが頷く。それを確認してダニエルは語り始めた。


「君は安全圏から勇者の伝説を聞いてるだけってミーナさんは言ったよね。……それこそ君に僕の何がわかるって言うの?」


 ダニエルの静かな怒りにスルーズがびくりとするが、ミーナが手で制する。


「僕はね……力も無いくせに無駄に命を張って周りの人間を危険にさらしたり、大事に思ってくれる相手を悲しませるような馬鹿が一番嫌いだ。……昔の僕みたいにね」


 そこまで言い切って、ダニエルは深いため息を吐いた。


「これだけレオンにべったりだった僕が、一緒についていこうとしなかったと思う?ついて行った先で、いつか確実にレオンの足を引っ張ってレオンの命を危険にさらすって確信したから諦めたんだよ」


 魔王軍のファティス襲撃の時も、傭兵の実地訓練の時も。ダニエルはレオンに手を引かれ、背中に守られるだけだった。魔物の討伐は命懸けで、いつだって死と隣り合わせだ。昨日隣で笑い合った奴が、次の日にはもういない。この世界では、そんなことは珍しくないのだ。


「人は簡単に死ぬんだよ、ミーナさん。父さんだって旅先で魔物に襲われて二十七で死んだし、まだ八つだった妹も魔王軍に殺された。昨日まで笑い合って毎日一緒に居た家族だって、魔物に襲われたら嘘みたいにあっけなく死ぬんだ。……そして誰よりレオンが、そのことを一番身に染みてわかってる」


 静かな語り口だからだろうか。ダニエルの怒りが深く深く滲み出るように伝わってくる。


「臆病者だってなじるならなじれよ。僕は自分のせいでレオンが死ぬのも、レオンが自分のせいで僕が死んだって重荷を背負わせるのもまっぴらごめんだ。そんなことになったら一生、僕は自分で自分を許せなくなる」


 しん、と静寂が落ちる。誰も何も言えなかった。

 少し気持ちが落ち着いたのだろう。ダニエルが気まずそうにぽつりと言った。


「それにさ。母さんに怒られたんだ。……不用意に命を危険にさらして先に死んだら、一生許さないって」


 そう言って、ダニエルは苦笑いした。


「僕の理由はそんな所。何か質問はある?」

「質問は、ないです」


 ミーナがそう呟くように口にした。


「そこまで深く思い至っていませんでした。すみません。先程の非礼を詫びます」


 謝罪の言葉を告げた後で、「私は」と彼女は言葉を続ける。


「私は、レオンの――、勇者パーティーの行く末を見たんです。予知なのか何なのか、それはハッキリしないけれど。このままであれば、彼らの殆どは生きて帰れないと、そういう未来の光景を見てしまった。それを変えるために、彼らと今旅をしています」


 それは今までスルーズにも語っていなかったことだ。口に手を当てて驚くスルーズを尻目に、ミーナはふー、と息を吐く。


「もしかしたら私のやっていることは無意味かもしれない。見当違いかもしれない。それでも、命を懸ける彼らの旅を辛いものにさせない為に、出来ることをしたいんです。私が知る知識で彼らを少しでも助けられるなら、それが私がここにいる意味だと思うので……」


 ミーナの唐突な言葉にダニエルは眉をひょいっと上げた。しばし考え込んだ後、恐る恐る問いかける。


「つまり……ミーナさんは元々世界学者じゃなくて、予言者とか東の国で言う巫女みたいなものだったってこと?」


 グリンバーナ王国において東の国は海を隔てた遠い異国であり、国交はほとんど無い。にも関わらず巫女と言う単語が出てくる辺りダニエルの博識さが伺えた。


「巫女なんて大それたものではないんですが……」


 そう言いかけて、ミーナはふと気付いた。いや待て。重要なのはそこではない。


「……信じてくれるんですか?」


 スルーズでさえ、初めてミーナの事情を話した時は無茶苦茶な話だと称したのだ。だと言うのにダニエルは、この荒唐無稽な話を真実として受けとめているように見えた。


「え?そりゃ無茶苦茶な話だなとは思うけど……本当のことなんでしょ?」


 憮然としてダニエルはそう言った。


「正直、僕はファティグマ以外の神様は信じてないけど……子供の頃に飼ってたドラゴンが女の子になってるくらいだし、どんなに無茶苦茶でも事実は受けとめていかないと」


 そう述べた上で「今日は嘘、吐いてないみたいだしね」とダニエルはうそぶいた。


「正直、君のような年齢の女の子があれだけ世界中のありとあらゆる知識を持っているのは明らかに異常なんだよ」


 グリンバーナ王国では、町と町を繋ぐ交易路はほとんど機能していない。魔物に出くわす危険を冒してまで常態的に町と町を行き来するのは、腕に覚えがある傭兵か冒険者くらいのものである。つまり、現地の情報は実際に足を運ぶか、懇意にしている冒険者などに聞かなければ到底手に入らない。

 戦う力も護衛を雇う財力もなく、誰かに師事している訳でもない少女がルード大陸中の知識を得られる筈がないのだ。


「モグリフ教授のあの知識量は、人生のすべてを世界を知ることに賭けたからだ。全部、自分の目で見て、足で集めた情報だからこそモグリフ教授は世界学者を名乗るに値する人だと僕は思ってる」


 年端もいかない少女が、それに匹敵する知識量を持っていること自体が異常なのだ。だとしたら。


「ありえない、と否定することは簡単だけどね。僕は自分の目で見たものを一番信用しているし、商人だから実利を取る」


 ダニエルは胸ポケットから革の手帳を取り出すと、真剣な眼を向けた。


「もしミーナさんの言葉が真実だとしたら、大事なのはこの先だ。レオンやバレナの命が懸かってるなら、尚更出来ることは全部手を尽くさなきゃだろ?」

「そう、ですね」


 決意を胸に頷くミーナ。


「うんうん。そうだね」


 同じく頷くスルーズ。


「じゃあ、頑張って歌を作らないとね」

「え、いやいまそういう感じじゃ」

「そういう感じなのぉぉ!!!!」


 重い空気の中で素っ頓狂な発言をするスルーズに嘆息するミーナであったが、口にしようとした苦言に被せてスルーズが吠えた。


「歌!歌つくる話だったでしょ!!!!なんで喧嘩した挙句に真剣な流れになっちゃってるのさぁぁぁぁ!!!!歌作ろうよぉぉぉぉ!!!!!」

「あ……」


 確かに言われてみれば、そういう話だった。

 スルーズの必死の訴えに堪え切れない、と言った様子でダニエルが噴き出してくすくす笑っている。


「ご、ごめん……あはは、そうだったね。ふふっ」


 よほどツボに入ったのか時々ぶり返しつつ、ダニエルはすごく良い笑顔で言った。


「じゃあ、歌作ろっか」


 かくして、発案者のスルーズが場を仕切って歌作りが再開されることになった。

「えーそれでは考え得る最強のメンバーが集まったので!これから勇者サマの歌を作ろうと思います!」

 


 スルーズの宣言にダニエルがにこにこしながら小さく拍手する。それに対してどーもどーもと調子に乗ってる辺り、スルーズもいつものペースが戻ったようだ。


「あ。ところで、必殺技名はわかったのかな?」


 ダニエルが質問すると、スルーズは琥珀色の瞳を見開いた。


「あ、ごめんごめん忘れてた!でも今更だけどそれほんとに要るかなぁ」

「「絶対必要」」


 レオンフリークたちの声が揃う。そこは共通見解らしい。


「だよね。僕は残念ながら閃光剣とレオン固めくらいしか知らないからさ、今レオンが気に入ってるかっこいい必殺技を入れたかったんだよ」

「レオン固め?勇者固めではなく?」

「そりゃそうでしょ。子供の頃は勇者じゃなかったんだから。けど確かに先日見たあの技は、僕が知るものよりも随分進化していたね。まったく、どれだけ研鑽を重ねたやら」


 感慨深げに呟くダニエルに、ふむふむ。とミーナ。


「まあ勇者固めもいいですけど、多分本人に聞いたら、猛虎昇龍撃を上げると思いますね」

「えっ!?モーコショーリューゲキ?聞き覚えがあるような……。──そうだ!三回前の手紙でレオンが言ってたやつだ!どんな技なの?」

「猛虎昇龍撃っていって、地上で猛る虎の如き一撃が相手を空へと打ち上げ、天に昇る龍の怒りが如く二撃が相手を地に打ち下ろす。これすなわち猛虎昇龍撃なりや」

「ぐうかっこいい……!決まるところ見たかったなぁ……!どんな感じだった?」

「そーですねえ。あれは幽霊船に──」


「歌詞作りは進んでいますかぁ?」

「「あっ」」


 スルーズの言葉に、ダニエルとミーナの二人はハッとして顔を上げた。

 スルーズをまとめ役に任命して歌詞作りを始めたのだが、レオンの冒険譚だったり必殺技だったりと、何かにつけて脱線して盛り上がってしまうのである。


「まず出だしから考えていこうよ。勇者サマの旅立ちまでをざっくりまとめる感じかな」

「レオンの旅立ちをざっくりとなんてまとめられないよ!本にしたら十五冊はいるよ」

「うんうん。でもまとめてね。歌にならないからね」

「むむむ……」


 終始こんな感じであり、歌詞作成は難航を極めた。

 それではここで、三人のやり取りの一部をかいつまんで紹介しよう。


ダ「出だしは盛り上げて行きたいよね」

ス「じゃあ、燃えろレオン!とか?」

ミ「いや、それは短絡すぎる。闇を切り裂く光の勇者レオン!くらい言わせたいかなって」

ダ「なるほど。確かにレオンの人々を照らす感じは光の勇者だね。……でも燃えろ、もワードとしては使いたい」

ス「ふむふむ」

ミ「どうするんです?」

ダ「ちょっと考えてるから静かに。……………………燃え上がれ心の剣よ。闇を切り裂く光の勇者レオン!──どう?」

ミ&ス「「かぁっこいいー!!」」



ス「盛り上がりの後はクールダウンして、勇者サマの過去から始めたいかなって」

ダ「うん。じゃあ考える。やっぱり、あの日が勇者レオンの原点だろうから……」

ミ「…………」

ダ「書いてるところ覗かないで」

ミ「あっ。すみません……」

ダ「──よし。『全てを奪われた幼きあの日、魔王の影が世界を覆う。されどレオンは絶望を払って立ち上がり、師を得て傭兵を志す。巨大な竜を従えて、いつしか彼は勇者となった』って感じかな。ちょっと短くまとめすぎちゃったけど、出だしとしては」

ミ&ス「「長い長い長い」」

ダ「えー!?」

ミ「魔王の影が世界を覆う、までで十分かな」

ダ「それじゃレオンのこと何も分からないじゃん!?」

ミ「レオンの経緯についてはもっとぼかしたいんですよね。あまりに詳しく語りすぎるのも良くないかなって思うので。……『勇者は立ち上がり、人々の為に歩き出した』くらいふわっとしててもいいかも」

ダ「でもレオンの歌だよね?あまりぼかしたら意味なくない?嘘だったり誰でも良さそうな歌は作りたくないよ」

ミ「それはそうです。でも幼少の頃から今に至る道は、レオンにとっても苦難の道のりですよね?そこはあまり掘り下げず、流すくらいの方がいいと思うんですよね。この後称えまくる訳なので」

ダ「……なるほど。それなら納得だ」

ス「……う~ん。あ!思い付いた!『選定の剣を高く掲げ、選ばれし勇者は立つ』ってどう?」

ミ「うん。……うん?」

ダ「選定の剣?そんなのあったの!?」

ミ「私も聞いたことないですけど……」

ス「へへ。あったらいいなって」

ミ「ないんかぁい!あのねえ。ふわっと纏めろとは言ったけど、創作しろとは言ってないんだからね?」

ス「えー?でもかっこよくない?なんかアリそうじゃん。勇者しか引き抜けない伝説の剣みたいな」

ミ「仮にそうだとしたらレオン伝説の剣叩き折ってんじゃん……。と、とにかくだなぁ!」

ダ「待って。……僕はこの歌詞、結構いいと思う」

ミ「え!?いやだって、嘘は嫌だと今しがた……」

ダ「勇者レオンを称える歌だからね。全てが真実でなければいけない訳じゃない。称える側の願望が入っていてもおかしくないよ」

ミ「(こいつ……)」

ダ「あはは。それじゃあミーナさん逆に聞くけど、ミーナさんの中のレオンならなんて言う?この歌詞に対して」

ミ「ぐっ……!それ、は……」

ス「勇者サマ、なんて?」

ミ「……『選定の剣?んなもんなかったけど?……いや、でもちょっとカッコいいな勇者選定の剣。……いやちょっとじゃねえ!滅茶苦茶カッコいいな!?オイ!やー、なんか持ってた気がしてきたわ。……俺選定の剣抜いたことにしちゃダメ?』……かな……」

ス「あっはっはっはっは!言いそう~!!」

ダ「く、悔しいけど似てる……!」

ス「ミーちん演技が上手いんだよね」

ミ「どーも。……悔しいけどアリだな。確かにレオンが喜ぶならアリだ」

ス「いぇ~い!」



ミ「森を抜け、遺跡の深く、海の果て……と」

ス「遺跡の深くは行ってなくね?入り口で解決しちゃったし」

ミ「だぁらっしゃい!心は奥まで行ってるの!まだラドナ遺跡諦めてないからな!」

ス「はは」

ミ「失笑すんな!」



ス「ねえホントに必殺技名必要?あーし歌うの恥ずかしいんだけど……」

ダ&ミ「「絶対に必要!!」」

ス「ふぎぃ!」

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