セタンタ ブラウン商会『セタンタクイズ王決定戦!(後)』
「第三問!ラスティア中央にかつてあった大聖堂。その中にあった大きなものとは?」
【女神アリア像】
【女神の像】
「──正解っ!」
「第四問!ファティスで秋口に行われる祭りといえば!?」
【イダテン祭】
【イダテン祭】
「──両者正解っ!!」
三問、四問と終えて、代わらず二人とも速攻同時回答で正解を叩き出していた。
「イダテン祭か。懐かしいなあ。去年も今年も出れねーのが残念だよ」
顎に手を当てながら感慨深く口にするレオン。ちなみにイダテン祭とはファティスで毎年秋に行われる祭事であり、参加者が町の端から端まで一斉に走ってゴールを目指し、その年一番足の速いものを決めようという祭りなのである。
「あんなの、男どもが盛り上がってるだけじゃない」
ファティス出身のイレーネが、興味なさ気にそう呟く。それに反応したのはバレナであった。
「ま、足の遅い奴はそうだろうな。アタシは結構参加してたぞ?勝ったこともあるし」
「子供部門の話でしょ!」
とことん犬猿な二人だが、そういえば、とレオンが呟いた。
「去年は誰が勝ったんだ?」
「ああ、えっとね」
思い出すように顎に指を掛けた後で、「ああ」とダニエルは口にした。
「韋駄天のマサだね」
「なるほど。……えー、と……?」
「いや誰だよそいつ」
「会長、私も知らないのですが……」
「ええ!?韋駄天のマサ知らないの!?」
優勝したのに可哀想なマサである。
さて、マサはさておき、この状況にダニエルは焦りを覚えていた。これで両者四問中四問、両者連続全問正解である。二人のレベルが高いのは百も承知なのだが、このままでは出題のレベルが低かったからという話にもなりかねない。
ダニエルが出題を考えていた元々の五問目はスーイエの著名人に関する問題であったが、急遽それを変更することにした。一瞬考え込んだ後で、ダニエルは頷く。
「ではラスト問題!ここセタンタにおいて、お菓子を売る店は何店あるでしょうか?ちなみにお菓子とは、クッキー、タルト、フルーツパイ、ケーキなど、主に砂糖や果物を使った甘味を指します」
言いながらダニエルは、羊皮紙にさらりと短く書き込んだ。
セタンタの街全て、ともなれば、簡単に答えられるものでもない。ここにきて初めて、ミーナとモグリフの二人が羊皮紙を前に手を止めていた。
しかし、頭を止めている訳ではない。両者共にその頭脳をフル回転させて店舗を思い浮かべているのであろう。
一分が過ぎた頃合いで、両者同時に羊皮紙に答えを書き始める。そのまま同時に回答を終えるかと思いきや、
「出来たぞ」
「私も──、あ、すみません!少々お待ちくださいっ」
ミーナの方は慌てて羊皮紙に向かい直すと、何かを書き始めた。──そして。
「出来ました」
「……じゃあ、もういいかな?回答が出揃ったようなので、答えを提示して下さい」
言われて、二人は同時に羊皮紙を掲げる。そこには、こう書かれていた。
【八ヶ所】
【七軒】
ミーナは、七ヶ所と書き込んだ回答を消して、八ヶ所と書き直している。初めて二人の回答が割れたのだ。これには観客席もどよめきを隠せない。
『おーっとォ!?初めて答えが割れました!スルーズさん、どう思われますか!?』
『この二人のこれまでを見るに、両者不正解ということはないでしょう。……つまり、これで勝者が決まる……!』
『な、なるほど……!』
ああ……、と心根に呟いた後で、ダニエルは意を決して羊皮紙に手を掛けた。
「最終問題、制したのは──!」
そうしてめくったそこから現れた言葉は、
【七軒】であった。
「──モグリフ教授の勝利ッッ!」
「────フン」
その宣言を受けて、モグリフは安堵したように鼻を鳴らした。得体の知れない小娘に知識で拮抗されて結構焦っていた教授であったが、終わってしまえば勝ちは勝ち。
これで晴れて、くだらん茶番だったと鼻で笑えるのである。
『ついに勝者が決まりました──!!!!!モグリフ教授の勝利です!!!!!!!解説のスルーズさん!ミーナ選手は惜しくも負けてしまいましたねー。解説のスルーズさん、どう思われますか?』
『はー…………ないわー』
『え?あの?スルーズさんー?スルーズさーん?』
「……………………っ」
「なんでだー!」
「あー!くっそ~!」
実況の二人の温度差はさておき、対するミーナは敗北が決定してからこっち、ずっと困惑していた。何も言うことも出来ず、レオンやバレナたちの方が余程悔しがって騒いでいるくらいだ。しかし十数秒もすれば、状況を飲み込めたのだろう。はー……、と深い息を吐き出した。
「やっぱカウントされてないのかぁ……。あー……」
「──娘」
悔しがろうとしたミーナであったが、モグリフに呼び止められて横へと顔を向けた。
「確かにその若さにしてはよくモノを知っておる。……しかし、負けは負けだぞ。約束は忘れてはいまいな?」
「……分かってます。今後一切、世界学者を名乗らない。それで──」
「待ってください」
と、もう勝負も終わった筈のこの場面で、口を挟む者がいた。レオンたちだというのなら分かる。仲間としてミーナの負けが納得出来ないのだろうと容易に想像がつくからだ。
しかし実際に声を上げた相手の意外さに、ダニエルは驚いてその名を口にしていた。
「ルーカス!?」
口を挟んだのは今まで存在感を欠片も発揮せず、何なら今回の対決にすら何ら興味を示さずにソフィアのラボの片隅で持ち込み仕事をしていたルーカスであった。
「ルーカス、どうしたの?」
「まだ勝負を終わりにするのは早いと言ってるんす。……少なく間違えるのなら分かります。しかし会長、ミーナさんは八軒だと答えたんすよ。……話を聞くべきじゃないっすか?」
「…………!」
ルーカスの言葉に、ダニエルもその発言の意図を理解したらしい。驚いたように息を飲んだ。
「そうか!……ただ今の勝負、判定は少々お待ちください。審査員が確認を行います」
そう口にすると、ダニエルはミーナの元へと足を運んだ。
「ミーナさん。君が今書いたその八軒のお菓子屋さん、名前は言える?」
「──え?……あ、は、はい。分かりました」
驚いたような表情を浮かべたミーナであったが、すぐに指折り数えながら店名を口にし始めた。
モックモック
ヘンリー・シャルペンティエ
シスタードーナツ
クッキーマダム
ウーハイム
テディーフルーツパーラー
ルカ&ダン
七つの店名を挙げるミーナ。これらは、ダニエルやルーカスも知るものである。息を飲むダニエルを前に、そしてミーナは八軒目を口にした。
「あと、ミルフェボン。これで、八軒です」
「ちょ、ちょっと待って!ミルフェボン!?それ僕知らないんだけど!?場所は!?場所はどこ!?」
「えっと、大通りを抜けた先の──」
「あ、待って地図地図!」
実に慌ただしくダニエルが駆けていくと、セタンタの地図を手にパタパタと戻ってきた。
「場所、場所教えて!」
セタンタの菓子店は全て網羅していると自負しているダニエルだけに、謎の八軒目の存在は決して看過出来ぬ要素であった。ルーカスに言われるまで気付けなかった己を情けないと反省しつつも、胸の高鳴りを抑えきれず食い気味にミーナへと詰め寄る。
「え、ええとですね。…………ここ、です」
ダニエルの気迫に気圧されながらも、ミーナはとある一画を示した。
「え?」
その示唆された場所を思い浮かべて目を丸くしたダニエルだったが、すぐにその表情は苦笑へと変わった。
「あはは。ミーナさん、そこは住宅街だよ。商店はないんだ。だいたい僕もよく通るけど、店なんて見た覚えもないし」
完全に記憶違いだろう。安心半分、がっかり半分に息を吐き出すダニエルだったが、次のミーナの言葉はそんな彼の予想を超えるものだった。
「あ、ええとですね、そこは隠しイベン……じゃなかった、隠れた名店というやつでして。店主がとにかく引っ込み思案な為に、商店街にも出店出来ず、看板すら出せずにいるんです。だから知ってるご近所さんしか利用してなくて、その、閉店の危機なんですけど……、あ、と、とにかくあそこのケーキは凄いんですよ!スペシャルデラックス苺デリシャスケーキなんてHP、MP共に全回復して状態異常まで治っちゃうんですから!……あ、いやこれは違うな……。とにかく凄いんです!」
「ま、待って待って待って情報が多い!一旦落ち着こう」
「はい」
途中から立ち上がって力説を始めたミーナを座らせると、ダニエルはこほん。と咳払いした。
「話を要約すると、──つまり住宅街の中に看板も出してないケーキ屋があるってこと?」
「……はい」
「具体的な場所は分かる?」
「この近辺に赤い屋根の大きな家がありまして、その向かいにある黒い屋根の建物です。入り口には観葉植物が置かれていたかと」
「うん。分かった。オリバー!」
『はいぃ!これはとんでもない展開だぁぁ!……じゃなくて……』「んっん……。はい。ちゃんとメモしておきましたよ!」
ダニエルに呼び掛けられたオリバーが、実況モードから元に戻ってメモを片手に駆け付けた。そんなオリバーに、ずしりとした小袋を渡すダニエル。
「金貨二枚分の銀貨が入ってるから、足りないことはないと思うけど。……ミーナさん、そのスペシャルなケーキっていくら?」
「確か、銀貨三枚だったと思います」
「うん。もしもその店があったら、良さそうなものを見繕ってきて!」
「了解でーす!」
言うが早いか飛び出していくオリバー。そうしてその場はしんと静寂に包まれた。
「訳の分からん展開だな」
「すみません教授」
モグリフにしてみれば、勝ちを宣言された後でうだうだと難癖をつけられているようなものだ。そりゃ気分も良くないだろうとダニエルは頭を下げた。
「ただ、僕らにしてもこれは大問題なので……。もし本当なら、ショックは隠しきれないですね。美味しければ尚更」
そんな名店を知らずに、セタンタの菓子は食べ尽くしたかのようなつもりでいた自身が許せないといった所か。モグリフは、フン。と鼻を鳴らした。
「本当にあれば、な」
そして皆が注目する真偽は、十数分の後に山のような箱を抱えて帰ってきたオリバーによって証明されることとなるのだった。
「うっわ!?でっかぁ!?」
果物がふんだんに盛り込まれたもの、栗をつかったもの、ベイクドチーズのケーキなど、様々なケーキが所狭しと並べられていくが、中でも一際目を引くのは、他よりも大きめのホールケーキが三段重ねになっている代物だろう。まるで現代のウェディングケーキである。
「スペシャルデラックス桃デリシャスケーキだそうですよ!」
「へええぇぇ!なるほど、今の季節にイチゴはないもんねぇ」
はしゃぐダニエルであったが、ハッと我に返ると咳払いをした。
「では、結論を。先程の判定は取り消します。八軒目の菓子店が確認出来たため、勝者はミーナ女史とします!!」
「おおおおお!」
「っしゃあ!」
「やりましたわね!」
「良かったぁ」
『ぅおっしゃ見たかー!!』
皆が大逆転に沸く中で、モグリフは「つまらん」と席を立った。
「……約束は約束だ。好きに名乗るがいい。……ワシがお前を認めた訳ではないがな」
「……モグリフ教授……」
ミーナがモグリフへと顔を向ける。モグリフは、フン、と鼻を鳴らした。
「最後のは意表を突かれたが、こんなクイズ紛いなものでは世界学者の資質を計ることなど出来んわ」
「うぐ……」
結局出題への駄目出しを浴びることとなったダニエルがダメージを受けている。対照的にレオンは、「なにぃ!?」と身構えていた。
「負け惜しみを──」
「レオン」
そんなレオンを手で制すると、ミーナは真っ向からモグリフへと向かい合ってこう口にした。
「分かりました。……それでは、どうしたら認めて頂けますか?」
その言葉を受けて、モグリフはニヤリと口角を上げる。
「そうさな。三日後、ワシは街の講堂にて講演を行う予定なのだが……、三十分やる。そこで好きに話してみろ。──まあ、馬脚を現すだけだろうがな!かっかっか!!」
それだけ口にすると、モグリフはラボを出ていこうとする。慌てて呼び止めるダニエル。
「あ、教授!」
「フン。もうここに用事はないわ」
「ケーキ、食べていかないんですか?」
「…………」
ズラリと並んだケーキを一瞥した後で、モグリフはフン、と鼻を鳴らした。
「甘いものは好かん」
そうしてモグリフ教授が出ていった後で、そわそわし出したのはルーカスであった。
「ここにこんなにケーキもあることですし、会長、みんなでアレ、やりません?」
「ふふ。ルーカスはほんっと好きだねえ」
「アレ?アレってなんだよ?」
二人のやり取りに首を傾げるバレナ。そんな彼女に、ルーカスは得意そうに口にした。
「勿論、ミーナさん勝利おめでとうおやつパーティっす!」
「ミーナさん勝利おめでとうおやつパーティ!?」
曰く、ブラウン商会では新メンバーが加わったりちょっとした祝い事があると、おやつを囲んでお祝いするらしい。
「……ラボでやるんですか……。はぁ……」
ソフィアの小さな抗議の声は聞き届けられず、そうしてケーキに加えてモックモックやヘンリーシャルペンティエなど、先程ミーナが挙げた菓子店から選りすぐったお菓子たちがテーブルに並べられ、大パーティーが開かれる運びとなったのであった。
リューカが大喜びしたことは言うまでもない。
「こら。取りすぎでしょバレナ」
「しょうがねーだろ。ちょっとずつ違うのが食いてぇの。イレーネこそ、そんなドカンと取ったら他の奴の分がなくなるだろーが」
「なっ、そ、その辺は考えてるわよっ」
「ほんとかぁ?脳筋だからなー。昔からお前」
「あんたに言われたくない!」
「あ?」
「は?」
ヤンキーさながらに額をぶつけあっている二人を尻目に、オリバーはスルーズに熱心に話し掛けていた。
「と、言うわけで祝勝会も兼ねまして、今夜あたり、どうです?夕食でも」
「あー。ごめんねー?夜は夕飯食べるから、ちょっち無理かもー。ほんと残念」
「なるほど。それは仕方が……え?」
「ん?」
「あのー……」
自慢のコーヒーを飲みながらおやつパーティの心地好さに浸っているルーカスに話し掛けたのは、ミーナであった。
「ルーカス、さん。さっきはありがとうございました」
「…………え?俺すか?」
すす、と若干距離を開けながら首を傾げるルーカス。なるほど彼のパーソナルスペースはこのくらいなのか、と理解してミーナも言葉を続ける。
「会長さんに確認するよう言ってくれたじゃないですか。あれがなかったら負けていたので……」
「まあ良かったっす。けど、別に恩義に感じる必要はないっすよ。あれもつまるところ、自分のためなんで」
「自分のため?」
まるで独り言でも呟くように、コーヒーの黒に視線を落としながらルーカスが言う。
「別に現状に不満が、とかそんなんじゃないんすけど、新しいお菓子屋があるってなったら、そりゃ嬉しいじゃないすか」
「お菓子、好きなんですね」
「ええ。まあ。……それに、どのみちミーナさんに確認するつもりではいましたから。後から聞いて、実は店があった、なんてことになったら、判定間違えた!って会長が落ち込むじゃないすか。そうなると数日は沈んだままなので、俺も困るんすよ。……だからっす」
「な、なるほど……。だとしても、助けて頂いたことには変わりないので。──ありがとうございました」
そう口にして、ミーナは頭を下げる。ルーカスは「っす」と呟いて軽く会釈すると、それきりコーヒーに目を向けて静かになった。
会話はもう終わり、ということらしい。その場を離れようとするミーナであったが、その背中に別の声がぶつかった。
「ねえねえミーナ」
「ほえ?……あ、ソフィア」
葉巻のような菓子をボリボリと噛りながら近付いてきたのはソフィアであった。
「困るよねえ。勝手に人のラボでクイズだのパーティーだのさー。まあ美味しいから許しちゃうんだけども。……あ、そうだ。どうどう?付け心地。もう数時間は経ったでしょ」
一人で次々と言葉を繰り出していくソフィア。最後に飛び出した話題に、ミーナは顔を引きつらせた。
「ソフィアさー。それ人前で聞くぅ?」
「いいじゃん。端から聞いても何のことか分かんないって」
「んむむむ……。まあそれなら言うけど、全然不快感はないんだよね。なんかすごい自然っていうか。……どうなってるか確認はしてないけど」
「えー?確認したい!気になる!」
「やーめーろ!」
一方リューカは、スペシャルデラックス桃デリシャスケーキをひたすら食べ進んでいた。
「ん~ま~あ~!なんっっって美味しいんですのぉぉ!」
「リューカちゃん、アップルパイも一個分まるごと食べてなかった?」
「ええ。ええ!美味しいものはいくらでも入りましてよ」
「そ、そう」
その大食漢ぶりに若干引きながら、ウィズはチョコクッキーを口に入れる。
「────おいしい……」
「どーよダニエル。ミーナすげーだろ!」
盛り上がる皆を微笑ましく眺めていたダニエルの元にやって来たのはレオンであった。ふんふん、と興奮気味に息巻いて、実に嬉しそうに笑っている。
「はいはい良かったね」
レオンの様子に、仕方ないなぁと言うようにダニエルは苦笑した。
「そーだよ。良かったんだよ。あいつといると、なんだかんだ上手くいくんだよな。…お、これうめ…」
モンブランケーキを頬張りながら、感慨深い様子でレオンはそう口にする。ダニエルは、はー、と嘆息した。
「まー、そうだね。今回は僕の完敗だ。あそこまで知っているのは立派な世界学者だよ」
不承不承ながらに頷くダニエルに。「だろー?」とレオン。
「俺のこと気にしてくれたんだろ?気持ちは嬉しいけど、お前は色々気を回しすぎなんだよ昔から」
「……そうかな。自分では分かんないかも」
呟くようにそっと口にした後で、ダニエルはレオンへと目を向ける。
「色々……、色々言いたいことはあるけどさ。――今は置いておくよ。まあ、レオンも色々考えた末の行動だってことが分かったから、少し安心したし」
「俺のこと考えなしだと思ってたのか?」
「え?うん。だって考えるより先に動くタイプだったでしょ」
言われて、「ぐむ~」と唸るレオン。
「それは……そうだな……。考えなしに突っ走る子供だった」
だが彼は成長した。両親を亡くして、成長せざるを得なかったのだ。
「お互い、大きくなったもんだね」
「──ああ。……ま、こまけーことは置いておいてだ」
レオンは深く頷くと、握った拳をダニエルへと軽く差し出した。
「会えて良かったよ。親友」
その言葉に目を見開いた後で、ダニエルはふふ。と微笑んだ。
「僕もさ。親友」
そうしてコツンと、二人は拳を合わせるのだった。
作中に出てきたシスタードーナツについて
セタンタのとある孤児院のシスターが始めたとされるドーナツ店。初めは、孤児の子供の誕生日にも特別な美味しいものをと思い作られたドーナツ。
少しでも孤児院経営の足しになればとチャリティーバザーでもドーナツを売ってみたら評判となり、セタンタで知らぬ者はいない名店となった。
ここでしか味わえない間違いなく美味しい定番ドーナツと、季節ごとにシスター会議で決められる限定ドーナツがある。他店とのコラボもよくやるので、セタンタ中の菓子屋や人気店と繋がりがある。
今でも売り上げの何割かを孤児院に寄付しており、美味しく食べて名声も上がると貴族の間でも人気が高い。勿論お値段は庶民にも優しく、シスドの名前で親しまれている。カロリーは高い。




