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フィーブの酒場 ギリアン『火蓋は突然切り落とされる』

挿絵(By みてみん)

 さて、時間は少し巻き戻り、ミーナ達が夕食を食べていた頃のこと。


 フィーブの酒場にバレナの姿があった。


「ったくよぉ……」


 頬杖と悪態を同時につきながら店内の一点へと目を向けているバレナ。彼女の目線の先には、上機嫌に歌うスルーズの姿がある。


「Während du die verlassene Straße entlanggehst und Licht und Schatten trägst, tapferer Held, lass dein Herz brennen, bis die Siegesglocke läutet.

Kämpfe, geh vor und habe keine Angst. Erhebe dein Schwert und umarme die Hoffnung. Die Zukunft liegt vor Ihnen. Dieser eine Schritt wird ein Wunder bewirken.

Auch wenn du fällst, wirst du wieder aufstehen. Verwandeln Sie sogar Ihre Narben in Stolz. Mit Ihrer Klinge, die durch die Dunkelheit schneidet, sind Sie derjenige, der vor Leben brennt und die Herausforderung annimmt!

Kämpfe, geh vor und habe keine Angst. Erhebe dein Schwert und umarme die Hoffnung. Die Zukunft liegt vor Ihnen. Dieser erste Schritt wird ein Wunder bewirken.」


 相変わらず彼女の歌はよく分からない。周囲の人間も当然理解できていないようだが、雰囲気で盛り上がっているようだ。声が綺麗なのは分かるがもう少し分かりやすい歌を歌ってもバチは当たらないだろうに。と、バレナは思う。


「────けっ」


 そもそもが、どうしても一緒に飲みたいとバレナを誘ったのはスルーズなのだ。渋々だろうが付き合ってくれた相手を蔑ろにするのはどうかと思う。

 ちびちびとエールを煽りながらそんなことを考えるバレナだったが、自身の思考の幼さについ笑ってしまった。


(寂しがりかよオイオイ)


 スルーズが歌っているのは、彼女なりのパーティへの貢献なのだ。ただ飲んでいるだけではなく、こうして皆の前で歌声を披露することで日銭を稼いでいるのである。


(ただ飲んで、こうして管巻いてるアタシみたいなのよりかはよっぽど上等だわな……)


「や~。歌った歌った」


 上機嫌に戻ってきたスルーズであったが、鼻白んだ様子のバレナを見つけると「およ?」と首を傾けた。


「バレっちどしたの~?あーしがいなくて寂しかった?」

「そんなんじゃねーわ」

「ほ~ん。じゃああれだ。勇者サマがいなくて寂しいんでしょ」

「ばっ!そ、そんなんじゃねえ!!」

「はいはい」


 軽くあしらわれてバレナがその目をつり上げる。しかし彼女はそれ以上の反論をすることが出来なかった。スルーズの言葉に思うところがあったのも事実なのだ。


──寂しがってる?アタシが?……そう、なのか……?でも──


 それ以降はスルーズもバレナをからかったりせず、二人は無言でエールを煽っていく。ややあって、小さく口を開いたのはバレナであった。


「なあ。一つ、聞いてもいいか?」

「ん?なになに?」

「あー、えっと」


 興味津々、といった様子で小首を傾げるスルーズに、バレナは逡巡した様子を見せた後で問い掛けた。


「ミーナのことなんだけどよ。お前、なんかアイツのこと聞いてねえか?」

「ミーちん?どしたの?なんで急に」

「いや、上手くは言えねーんだけど」


 困ったように頭を掻く仕草を見せると、バレナは彼女なりに考えていたことを口にした。


「アイツは突然レオンが拾ってきた奴で、世界学者とかで物知りで、旅の傍ら協力する。最初に言ってたのはそんな感じだったよな?」

「ん。そだね」

「まあアイツともそれなりに付き合ってはきたけどよ。……どう見てもそんな風には見えないんだよ」

「そんな風?」

「つまりだな。……あー、つまり……」


 上手く言語かするのが難しいのか、天井を見上げながら腕組みしてしばし考え込むと、バレナは顔を戻して小さく頷いた。


「アイツのやり方は、アタシに似てんだよ。なんつーか、レオンを支えるのが目的みたいなさ。なんつえばいいんだろうなぁ」

「ん~、言いたいことは分かるよ」


 スルーズはミーナの事情を本人の口から聞かされている。故にバレナの相談にどう返したものかと考えた末、静かに口を開いた。


「でもさ。結局それはあーしに聞いても仕方ないし、本人に聞くしかないんじゃない?」

「いや、言わねーだろ」

「言わねーかどうかは、聞かないと分かんないじゃん」

「あー、まあ、いや、そうなんだけどさぁ」

「ふうん」


 歯切れの悪いバレナを眺めて、スルーズは悪戯っぽく笑う。


「ガサツなこんなアタシなんかがいきなり話し掛けて聞いたら、嫌がられちまうかもしれねえしなんか聞くの怖いなってぇ?」

「ばっ!だ、誰もそこまでは言ってねえ!」


 しかし近しいことは考えていたらしい。スルーズはけらけらと笑っていた。


「バレっちって案外気が弱いし可愛いトコあるよねえ」

「んなぁ!?う、うるせー!!」

「はぁいはい……」


 楽し気なスルーズと真っ赤なバレナ。それきり再び二人の会話は途切れ、テーブルは静寂に包まれた。周囲の喧騒を耳に、それぞれがエールを煽る音だけが聞こえている。


「────ん?」


 酒場内で聞こえてきた大声に反応して二人が目を向けたのは、そんな折であった。


「だからな!オヤジ!勇者レオンはどこにいるかと聞いているんだぁっ!」


 無駄に大きい声とでも言えばよいのだろうか。皆の視線が一様に集まる中心に、その男はいた。

 天に向かって突き立った金髪のショートヘアに青い目。体躯は大柄で、むくつけき、と表現するのが正しいであろう程に筋骨粒々なその体は見るからに強そうなオーラに満ちている。

 そんな相手に大声を出されて尚、酒場の店主は萎縮することなく男へ面と向かって口を開いた。


「勇者、レオン?誰だ?そいつは」

「しらばっくれるなよオヤジ!フィーブを救った英雄サマを忘れる訳がないだろうが」

「……?いや、俺が知ってるのは、投擲の勇者バレナなんだが……。くそったれのデルニロを倒した凄腕の女で」


 やり取りを聞いていたバレナが、ぶっ、と噴き出した。まだ続いてたのかその話!といったところか。


「ええいそいつは知らん!とにかく勇者一味の男だ!知らんのか!?」

「なに?男?ああ、あの兄ちゃんか。そういうことはもっと早く言ってくんな」


 勇者パーティに男は一人しかいない為、レオンの存在そのものは知れ渡っている。しかしデルニロ戦において表面的に目立った活躍の出来なかったレオンは、勇者としての認知がイマイチ足りないのである。


「その兄ちゃんなら確か、どっかに行くとかでこの町には居ねえぞ。数日で戻るとか言ってたみたいだけどよ」

「なにぃ!?」


 一応、レオンと他二名がフィーブを離れることは町の人間には通達済みである。悲しいかな、レオンの印象が以下略によりうろ覚えだったようだが。


「ちッ。無駄足かっ」


 相変わらず無駄に大きな声量で憤る男。次に彼はフン、と鼻を鳴らすと大声でこう口にした。


「この俺に恐れをなしたか!まあ仕方あるまい!勇者レオンとやら、とんだ臆病者だったな!」

「──は?」


 それまでエールを煽りながら静観していたスルーズの目が座った。がた、と間髪入れず立ち上がる彼女に、意外にも常識人寄りのバレナが「おいおい」と声を掛ける。


「なるべく穏便にしろよ?」


 いや、バレナもスルーズ側だったようで、店を壊さない程度に分からせてやれ、と怒れるスルーズを送り出した。

「だってアイツ、こうなると誰よりこえ~し止めらんねーからさ」

 ははあ、なるほど。

 ──とまあ、ここまでなら日頃でもままある光景ではあったろう。勇者やその仲間を舐めて掛かった輩がスルーズによってボコされることなど別段珍しくもない。実際、彼女を甘く見て矯正させられたガトー、ヘンリー、ボックスの三人も、自分たちと同じ運命を辿るであろう男に同情しつつ、ワクワクしながら動向を見守っていたりする。


「ちょっと」


 スルーズが男の肩を掴む。そして間髪入れず、どごん、と大きな音が店内に響き渡った。何もいきなりぶん殴るこたぁねえだろ、と血気盛んすぎる仲間に顔をしかめるバレナであったが、数秒後その顔が引きつることとなった。


「──は?」


 目を向けた先に倒れていたのはスルーズの方だった。吹き飛ばされてテーブルを崩し、床に倒れ込んだまま動く気配がない。

 バレナが顔を上げると、その先に拳を握った男が立っていた。


「おお!すまんすまん!あまりの敵意についぶっ飛ばしてしまったっ!」


 スルーズに触れられたその瞬間、振り返りもせず男が裏拳で彼女を殴り飛ばしたのだ。その大声を皮切りにパニックになった店内の客たちが一斉に逃げ出し、その場は阿鼻叫喚の大騒ぎとなった。


「スルーズ!おい!」

「…………」


 思いきり顔面を殴られたスルーズは、鼻と口から血を流して意識を失っていた。少なくとも、その辺のゴロツキ程度ならば相手にならぬ強さは持っている彼女である。油断していたとはいえ、それを倒した相手の男が弱いということはないだろう。


「「「姐さん!」」」

「……スルーズを頼む」

「え?」


 慌ててスルーズの元へと駆け寄ってきた三馬鹿、もといガトーたちに彼女を任せると、バレナは意を決して立ち上がった。衝動的に、ではない。相手の強さを理解した上で、それでも戦う決意を固めたのだ。


「なんだ喧しい。これでは満足に酒も飲めんではないか」


 自分でやっておきながら騒ぐ周囲に文句を言っている男。そんな彼の元へ、バレナがゆっくりと歩み寄った。


「おい、てめぇ……!」

「──む?」

「仲間に随分な挨拶してくれたじゃねぇか。表に出ろ」


 彼女にしては冷静な──しかし内に激しい怒りを秘めた言葉を浴びて、男はふっ!とそれを鼻で笑った。


「もし、嫌だと言ったら?」

「────」


 からかうような言葉を受けて、バレナはふっと微笑んだ。


◆◆◆◆◆


 いつもと変わらぬフィーブの酒場【ギリアン】。外から見えるその光景も、別段普段と変わるものではない。良い気分になって店を出る者、これから飲もうと店に足を向ける者、口論を始める酔っ払い等々。いつもの光景がそこに広がっていた。

 広がっていた。そう、過去形だ。何故なら普段と変わらぬ、と表現したその光景が、これから破られるのだから。


──どごん


 突如店内より響き渡った轟音に、皆の目がそちらへと向けられた。音と同時に壁が砕かれ、中から屈強な男が吹き飛ばされてきたとあれば、誰もが我が目を疑うのも当然だろう。


「づありゃあッ!!」

「ぬぉぉっ!?」


 豪快に壁をぶち破って蹴り出された男であったが、怒りでも苦悶でもなく、その表情は喜びに満ち溢れていた。


「がっははははは!長いこと生きてきたつもりだが、店の外まで蹴り出されたのは初めてだぞっ!」

「なに笑ってやがんだてめー!!」


 強制的に表に出された男とバレナは改めて対峙する。強気な口調ではあるものの、その額には冷や汗が浮かんでいた。


──コイツ、やっぱり強い……。


 バレナの蹴りも敢えて受けた上に、まるでそんな攻撃の事実などなかったかのように男はピンピンしている。

しかしそれでも、バレナはここで逃げる訳にはいかないのだ。


「うちの店がァ!」

「わりぃ親父。後で弁償すっから!」


 店内を滅茶苦茶にされた挙げ句壁を壊されて嘆く店主に、バレナが声を掛ける。

 そんなバレナを眺めて、男はくつくつと笑った。


「俺に勝つつもりでいるとは、大した女だ。──では、やるとするか!」


 体勢を低くし、拳を構える男。スルーズに放ったのは棒立ちでの裏拳だ。つまりこれからが彼の本気ということなのだろう。──しかし。


「待った」

「む?なんだ良いところで」


 そんな男にバレナは待ったを掛けた。口を尖らせる男に面と向かって口を開く。


「戦う前に聞かせろ。そもそもテメェはなんでレオンを狙ってるんだ。テメェは誰だ」

「……確かに言ってはいなかったな。チッ、水を差すとは無粋の極みだが──」


 仕方あるまいっ。と構えを解いて腕を組むと、男は不承不承ながらに口を開いた。


「俺はファルクス!イケゴニアのメンバーだ!勇者一味の女?だか何だかが今回のターゲットでな。任務ついでに勇者と称される程に強いであろうレオンと殺り合ってみたくて来た、というわけだ」

「ターゲット……?──暗殺者か?テメェ」

「そうだが……、あ。いや待て、待て待て待て待て。これ言ったら駄目なやつじゃないか?あ、駄目だった気がする!よし!聞かなかったことにしろ!」

「ええ……」


 本当に馬鹿なのか、それとも馬鹿の振りをして嘘偽りを口にしているのか。ファルクスと名乗った男の行動は、今一つ読みきれない所がある。


「……不本意だが、こちらの情報は話してしまったぞ!女、次はキサマの番だっ」

「アタシは──、……勇者の仲間だよ。さっきの女は違うけどな」


 幼馴染み。そう言い掛けた言葉を飲み込んでバレナはそれだけ口にした。「ふむ」とファルクス。


「ならばお前は殺す対象ってことで良いんだな!手間が省けて助かるぞ」

「ほざいてろ。三下!」


 話し合いも終わりか。ファルクスとバレナは、それぞれ言葉を交わし終えると同時に構えを取って向かい合う。


「さて、存分に俺を楽しませてくれよ?女」

「バレナだ!ッッッだあッッ!!」


 そして先に仕掛けたのはバレナであった。仁王立ちするファルクスに向かって突進すると、その延髄に鋭い蹴りを放つ。並大抵の相手であればそれだけで倒せてしまう代物だが……。


がッ


「んな──」


 バレナ渾身の一撃は、ファルクスに届くことはなかった。その場を微動だにせず、無造作に上げた片手によって彼はバレナの蹴りを掴み、防いだのである。


「ふむ。なかなか鋭いなっ!女だてらによく鍛えている!」

「ちッ!」


 攻撃が刺さらなかったことを理解して、咄嗟にバレナはその場を飛び退いた。距離を取って体勢を立て直すバレナに、ファルクスはフン、と鼻を鳴らす。


「しかし遅いな。それでは俺は捉えられんぞっ!もっと本気を出してみろ」

「そいつは悪かったな……!」


 冷や汗を浮かべながら、バレナはそう口にする。彼女の放った一撃は別段手を抜いていた訳ではない。むしろ速攻で決める為に、彼女の出せる最速で放たれたものだ。それを容易く防がれてしまったのだから、その自信に揺らぎが生ずるのも無理ないことだろう。


(コイツ、マジでつえぇぞ……?)


 バレナが知る中で、ここまでの底知れぬ強さを感じさせた相手はレオンくらいだろうか。それでも泣き言を言ってどうにかなる場面ではない。売られた喧嘩を買ってしまった以上、逃げる訳にはいかないのだ。


「だったら、見せてやるよ!」


 すう、と息を吸い込んで肺へと溜め込むと、バレナはその場を強く踏みしめた。放つものは、呼吸を開放すると同時に力を脚に集約させて弾丸の如く相手に突撃する技である。クエハーのゲームでは『外門頂肘がいもんちゅうちょう』と名付けられている技だが、バレナは特にそんな名を付けたりはせず、ただそういう技として認識しているのみである。


「────ふッ!!」


 強く息を吐くと同時に、バレナは両脚に込められた力を──、

「遅いっ!」


 その腹に、拳がめり込んでいた。


「かっ……ぁ……」


 溜め込んだ呼吸が散らされる。その眼前、小さくなった瞳孔の捉える先にファルクスの姿があった。


「誰も受けてやる等とは言っていないぞ。遅ければ潰すまでだ」

「ぁ、く、か……、てめ……」

「ふん!」


 必死に言い返そうとしたその顔に、勢いよく突き出された拳が突き刺さった。


「っがぁッッ!?」


 その勢いのまま、数メートルは吹き飛ばされて転がるバレナ。そんな彼女を前に、ファルクスは小さく息を吐き出した。


「温い。温すぎる。やはり女ではこんなものか。女と男では絶対的な力の差があるからなっ!貴様が如何に鍛えたところで、貧弱な男は倒せても、屈強に鍛えた俺には通じん!ましてや酔った上でこの俺と戦おうなどとは無礼も良いところだっ!」

「──っ」

「……むっ、まだ立つのか」


 鼻を押さえて、ブッと鼻血を落とすと、バレナはふらつく脚を押さえてその場に立ち上がっていた。

 確かに彼女の足のもつれは、ダメージだけが原因ではない。直前までエールを飲んでいた酔いの影響が残ってしまっているのだ。


「なるほど……。俺の一撃を受けて立ち上がる根性は大したものだっ!だが!」

「ぐぶッ!?」


 その言葉と同時に拳が頬にめり込み、バレナはまたしても吹き飛ばされて大地を削りながら転がった。


「っが、は……」

「大人しく寝ていれば、楽に殺してやるというのに……。まだやるのか?」


 呆れたような声を出すファルクス。その目は、またしてもその場に立とうとするバレナへと向けられていた。


「何故逃げん?動物は敵わぬ相手とは戦わず逃げるものだ。それが賢い選択というやつだろうに」

「そう……かもな……。けど、それは出来ねぇ」

「ほう?何故だ」


 少しばかり興味が出たのか、追撃せずバレナの言葉を待つファルクス。バレナは震える体を押さえながら、その場に身を起こすと口を開いた。


「アタシはバカだからな……。賢い選択なんざクソ喰らえだ。――それに、もう逃げないって、決めたんだよ!」


 バレナの言葉に、ファルクスは目を丸くすると、「ぐはははッ!」と豪快に笑った。


「良いぞっ!まだまだお前とは楽しめそうだっ!」


 そうして愉快そうに笑うと、バレナに向かって突進する。

 まるで暴走機関車のような眼前の相手を迎え撃ちながら、バレナは自身に言い聞かせるように繰り返していた。


(逃げる訳には、いかねえんだよ。もう、あの時みたいに……!)


 その瞬間の彼女の脳裏に過るものは、幼き日の光景。


 バレナという女が、ここに至る切っ掛けの物語だ。


<次回、エピソード・オブ・バレナ>

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