ドーザの市場『スルーズとお出掛け〜ミサンガ詐欺にご用心?〜』
ドーザの町は、クエハーというゲームにおいてはそこまで重視されていない場所である。
というのもこの町には固有のイベントがなく、ただこの町にしかないアイテムがあるから利用する、くらいの活用法しかないからだ。それもRTAにおいては不必要だったりする為、この町そのものをスルーするプレイングも存在し、俺みたいなプレイヤーからは、不遇の町と呼ばれている。
事実俺もやり込みプレイ以外でこの町に立ち寄ることはない為、他の場所に比べると思い入れも低く、手持ちの情報も極端に少ない。
そんなドーザの市場に、俺とスルーズの姿はあった。
「港は封鎖されていても、結構活気はあるんですね」
「んー。そだね」
町に店を構える者や行商人が集まって、町に活気が生まれているようだ。キョロキョロと周囲に目を向けながらそう口にする俺に、しかしスルーズは素っ気なかった。
「スルーズさん?」
なんだろう?と思って彼女に目を向けると思い切り目が合ってしまい、俺は慌ててそれを逸らすこととなる。
え?何?この人ずっとこっち見てたの!?こえー!
思えば、初めての出会いの時もスルーズはじっとこちらを眺めていた。彼女のキャラクター性も相まって、見透かされているような気分でぞわぞわする。
「あ、あの、スルーズ、さん……?」
「あのさ。ミーナちゃん。ちょっちいい?」
「え?え、あ、はい……」
何を言われるのか内心焦っている俺に、そしてスルーズはこう口にした。
「ミーナちゃんって呼びづらいし、ミーちんって呼んでいい?」
「へ、え?────あ、ぇあ。も、勿論構いませんよ!」
深刻な話でもされるのかと思いきや、とんだ肩透かしである。スルーズは他のメンバーのことも一風変わった愛称で呼んでいるので、その仲間になれたようで俺としては寧ろ嬉しいことかもしれない。
「真面目な顔して言うもんだからびっくりしましたよ~」
良かったー。と息を吐き出す俺に、そっかぁ。と笑いながらスルーズはこう口にする。
「でさ。ミーちん。みんなはまるで気付いてないみたいなんだけどさ。あーしは黙ってるのとか苦手だから言うわ」
「────へ?」
こちらへ目を向けたスルーズは、相変わらず真面目な顔をしていた。一瞬ドキリとした俺だったが、すぐに大丈夫だと自身に言い聞かせた。
……この手の言い回しは、今度こそ深刻と思わせてまたしても下らないというアレだろう。大丈夫大丈夫。天丼てんど──、
「ミーちんさ。普通の人間じゃないっしょ?」
大丈夫じゃなかった。
──普通の人間じゃない──
その発言に一瞬意識を飛ばしそうになる俺だったが、慌てて目を見張ると首を傾げ、無知を装いながら恐る恐る問い掛ける。
「あ、あの、それはどういう意味ですか?」
内心は心臓が爆発しそうな程に動揺しているが、つとめてそれを表に出さない様に俺は声を出していた。スルーズは、「ん~」と唸っていたが、ややあって。
「いやさ、だってキミの魂、ちょっと変だもん」
と答えた。……え?魂が変?
「普通ね?人間の魂ってのは、母親のお腹の中にいる時には既に出来てて、子供に宿ってるものなの。確かに最初は不安定だけれど、産まれて一ヶ月もすれば身体に定着して安定するってワケ」
「は、はあ」
「その魂が、ミーちん。キミの中では未だに不安定なんだよ。身体と合ってない。まるで、つい最近産まれたばっか、みたいな?」
そもそもが、正体が戦乙女であるスルーズは戦士の魂を女神の元へと届ける事が生業であり、生者であろうと他者の魂を視る術には長けているのである。
そのスルーズから見て、今の俺はおかしな状態なのだという。
「加えて言うなら、魂の形も変だね。まるで別人のそれを植え付けたみたいに見える」
「そ、な、なに、言ってるんです、か?そんな、たましい、とか……」
あくまでしらを切り通す俺をじぃっと見るスルーズであったが、ややあって彼女は「はぁ」と息を吐き出した。
「や、なんでもないわ。ゴメンね?急にスピリチュアルなこと言ったりして」
「ぁ、ぃ、ぃぇ……」
疑いが晴れた訳ではないのだが、それでもひとまずこの場での追求は終わったものと判断して俺は嘆息する。
「じゃ、改めてコリグの実を探そっか」
そうしてぎくしゃくした空気を抱えたまま、二人での市場巡りが始まった……、の、だが。
「お嬢ちゃんら、どうだい珍しいものあるよ!」
「宝石に興味はない?安くしとくよ!」
「うちの孫の嫁に来る気はねぇか?」
「二人旅かい?危ないから俺が仲間になってやってもいいぜ?」
まあ声を掛けられること掛けられること!
元々市場という場所は活気に溢れているので、ある程度の呼び込みは当然のものと思っていたのだが、これは明らかに多すぎる。
恐らくは通りを歩けば殆どの人間が振り返るであろう(と俺が思っている)美女、スルーズが隣にいるからだろう。日頃エールに溺れる姿ばかりが目立つ彼女だが、美少女ゲームのヒロインの一人であり、尚且つ女神の娘たる戦乙女という属性を考えれば彼女が絶世の美女であることも頷けるというものである。
事実、後半になって明らかに彼女狙いの人間が増えたことからもそれは明らかであろう。
その美人っぷりがどれ程のものかと言うと、声掛けが頻発しすぎて声を掛けてきた人間同士のいさかいが起きているレベルである。勝手に彼女を取り合って男たちが殴り合いの死闘に興じているのだ。本当に我ながら、男というやつはしょうがない生き物である。
下心という意味で言うならば、売買以外の目的で近付いて来る輩は後をたたなかった。途中まではいちいちあしらっていたスルーズであったが、そのうち面倒になったのだろう。
「あー、めんどくさあぁぁぁ……!全然実のこと聞けないし!……こうなったら強行手段取るわ」
ついに我慢に耐えかねてそう口にしていた。
「きょ、強行手段?それって……」
「ちょっとその辺で情報収集してくるから。ミーちんはここで待ってて!」
「え!?あ、ちょ!」
言うが早いか俺をこの場に一人残すと、スルーズは近くの建物の影に一目散に消えてしまったのである。
お、おい?置き去りとかマジか──!?
というかこんな訳の分からない空間にいきなり放り出さないで欲しい。
ど、どこ行ったんだあの人は……?あわあわと手を遊ばせながら俺が周囲に目を向けていたその時、俺の腕が突然誰かに掴まれた。
「っわあぁぁッッ!?」
思わず大声を上げて飛び退きそうになる俺だったが、腕を掴む力の方が強い為に振りほどけず、ぐるんと振り返るカタチとなってしまう。
「やあお嬢さん」
片膝をつきながら俺の腕を握っているのは、爽やかな笑顔を浮かべた見知らぬ青年だった。
「え?ぁ、ぇぇ……?」
そのあまりにも爽やかすぎる態度に、驚いて逃げようとしている俺の方が場違いなんじゃないかと思ってしまう程である。困惑する俺の緊張を解すように青年は「見てて」と口にすると、何色ものカラフルな糸が編み込まれた綺麗な紐をカバンから取り出した。
「…………?」
意図が全く理解出来ず眉根を寄せる俺に、青年はにこり、と笑い掛ける。
う、うーん。悪い感じでは、ない、のかな……?俺の気にしすぎ?
路上パフォーマンスとかそういうのだろうか。現代でも、海外に行けばそういうのは当たり前だって聞くしな。
困惑しつつも青年のやることを見守っていると、一分も経たずに紐は俺の手首にしっかりと結ばれていた。
へー。なかなかかっこいいな。……でもなんかこういうの、昔見たことあった気がする。なんだっけなー。
しげしげと手首に巻かれた紐を眺めている俺に、目線を合わせてニコッと青年が微笑む。
「それ、気に入った?」
「あ、ハイ。ありがとうございます」
どうやらプレゼントだったらしい。お?ひょっとしてナンパか?スルーズが居なくなってそういう声掛けはなくなるかと思ったが、物好きはいるらしい。
だが残念だったなぁ。俺は男なんだよキミ。それもオッサン。すまんね。
なんて調子に乗ったことを思いつつ、しかし好かれるのは悪い気分ではないので俺はうっすらと微笑んで挨拶を返す。
すると俺の答えに満足したのか、青年は笑顔を張り付けたまま立ち上がり──、
「銀貨五枚な」
と冷たい声で言い放った。
「────へ?」
「へじゃねぇよ。銀貨五枚だよそれ。早く払えよ。それとも持ち逃げする気かてめぇ」
今さっき笑顔を浮かべてた人と同一人物とは思えない変貌ぶりである。
しかも立ち上がった彼は俺が見上げる程背が高く、体もがっしりとしていて何というか一目でこう、強そうな感じが伝わってくる。
争いになったら俺など瞬殺であろう。
「ぁ、ぇ、ぁぁ、ぁの……」
その長身と威圧するような大声は、元から度胸がある方じゃない俺をすくませるには十分だった。
「す、す、すみませんこれ、か、か、返し、ます……、あ、あれ」
震え上がって手首の紐を外そうとする俺だったが、困ったことにガッチリと結ばれたそれは、俺の力じゃびくともほどけそうになかった。
「あ?商品壊すつもりかよ!ちょっとほつれまったじゃねえか!どうしてくれるんだよ!」
「す、すみませんでした!」
怒鳴られて、つい反射的に頭を下げて謝罪してしまう。この辺り、仕事柄の謝り癖が出てしまっている感じだろうか。
しかし参ったことに俺が下手に出たことで、押せば行けると判断されてしまったらしい。
「大事な商品をよぉ。どうしてくれるんだよなぁ?」
更にドスの効いた声を張り上げながら、青年が俺の肩を力強く掴む。もう駄目だ恐すぎる。恫喝によって完全に萎縮してしまった俺は、涙目で青年に許して欲しいと訴えるが、
「じゃあ、金貨一枚な」
「な、なんで!?さっきは銀貨五枚って……!」
青年から提示された金額の高に、目眩を覚えてよろめく俺。
クエハー世界における貨幣の価値を現代の日本円にざっくりと照らし合わせると、銅貨一枚が百円、銀貨が千円、そして金貨が十万円程度だろうと思われる。
つまり青年は最初、どこにでもありそうな紐を五千円で売り付けようとし、今は十万円を請求しているのである。道理も何もあったもんじゃない。
「そんなの、は、払えませんっ!ひ、人を呼びますよ……」
言われるがままじゃ駄目だと漸く気付いた俺が精一杯の虚勢を張って拒否を示すも、残念ながらそんなものは吹けば飛ぶ紙切れのようなものである。
「あ゛あ゛!?なめてんのか!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
案の定一息で吹き散らかされてしまった。
「モノは壊すカネは払えないじゃあ、筋が通らねぇよなぁ?おら、来い!」
「ちょ、いた……や……」
青年は俺の腕を掴み上げると、強引に引っ張った。抵抗しても全く意味をなさず、無理矢理引きずられていく。
くそ!こんなやつにいいようにされて、何で何も出来ないんだよ俺……!
元の俺、南信彦の姿だったなら、倒せ――はしなくともここまで一方的にされることはなかった筈だ。自分が小さい女子というだけで、こんなにも勝手が違うっていうのか。歯を食い縛り、目尻に悔し涙が滲む。
「おい、大人しく――」
青年が怒声と共に腕を振り上げたその時――、
「アンタさ。あーしのダチになにしてるワケ?」
青年の背後から、そんな声が聞こえた。
「あ?」
咄嗟に振り返る青年であったが、次の瞬間その首にはハイキックがめり込んでいた。吹き飛ばされて転がる青年。
「ぐあ!?て、てめ……!」
怒りと驚愕が混じったような表情で振り返る青年だったが、その耳元を空気を斬って何かが掠めた。
「っ………………」
顔の横にピタリと止められたのは、トゲの付いたメイスであった。元来打撃用であるメイスに更に凶悪な改良を施されているそれは殺傷力も抜群になっており、もしそれが頭に叩き込まれていたら即死であったろう事実が、青年の心を一撃で折り砕いていた。
「ひ、ひいぃぃぃぃッッ!」
悲鳴とともにその場に尻餅をついてしまう青年に冷ややかな目を向けていたスルーズだったが、その表情に笑顔が咲いた。
「ふふ。少し悪戯が過ぎてしまったようですね。じゃあちょっとだけ、お話ししましょうか」
「ゆ、許してくれ……、俺は別に──」
「ええ。ええ。聞きますよ。お話しなさい。貴方自身のことを……」
強面の青年をすっかり手玉に取っているスルーズの姿を眺め、俺は(やっぱり彼女は凄いな)と改めて感じていた。
クエハーの中で俺が一番好きなスルーズのシーンは、十八禁版のギルディアに誘拐されるくだりだ。
ギルディアの居城に連れ去られ、痛め付けられたスルーズ。それでも音を上げぬ彼女に、ギルディアは大型のオークをけしかけるのだ。
汚されて、それでもレオンの元に帰りたいと言えるのか試してやる。と。
そこでのスルーズの啖呵に、俺は痺れたのだ。
「汚れる?汚れるっていうのはね。魂が濁ることを言うの。私に決してそれはない。どれだけ身体と心を犯されようとも、この魂が汚れることは決してない。────やってみろッッ!」
この言葉に激昂したギルディア。結局その後のシーンでオークに襲われてしまうスルーズなのだが、事が済んだ後、自力でオークを仕留めて脱出し、何事もなかったかのようにレオンの元に帰っているのだ。
ヒロインの多いクエハーなれど、ギルディアの元から自力で帰ったのは彼女だけである。それだけでも、その強さが分かるというものだろう。
こちらの世界に来た俺としては怖い印象ばかりのスルーズだが、その根底にある強さを思えば、納得なのかもしれない。
あ、まずいまずい、ぼーっとしてた。
呆けてスルーズに想いを馳せていた俺が意識を目の前に戻すと。
「俺が、俺が全部悪かったんです……!」
「大丈夫。女神アリア様は全てをお許しになられますよ……。貴方が不当に奪ってしまったお金は、私が女神に代わって還元しましょう。さあ、こちらの教典と、それから女神様の壺を買うのです……」
「はい……。はい……」
……いつの間にか、青年は泣きながらスルーズにすがり付き、女神グッズを買わされていた。
…………前言撤回。やっぱ怖いわこの人。
「ミーちんさぁ?駄目だよあーいうの多いんだからさっさと逃げなきゃ」
ややあって、青年から搾れるだけの金と情報を搾り取ったスルーズと俺は二人行動を再開していた。彼女のお小言に、すみません……と頭を下げる俺だったが……、
「……いや、そもそもスルーズさんが私を置いていかなければあんなことにはならなかったんじゃないですか?」
「────ばれたか」
てへ。と舌を出すスルーズにムカッときて、その背中にべしべしと平手を浴びせる。
「あたた。ごめんて~。ほら結果的には情報も手に入ったことだしさ~」
「それは、まあ、そうですけど……」
俺を騙そうとした青年は、コリグの実を扱っている店やその値段など、詳しい情報を持っていた。
この人、最初からそれ目的で俺を囮にしたんじゃあるまいな……?
……怖かったんだからな。マジで……。
「あ、ここじゃね?」
そうして俺たちは、遂にコリグの実を扱う露店商の元へと辿り着いた。
「確か、一つ銅貨四枚って話でしたよね」
「そうそう。うーいおっちゃん。コリグの実買いたいんだけど」
俺たちに気付くと、鼻の大きな中年の店主は気だるそうに身を起こした。
「コリグ?へへ。ありゃ貴重品でね。一つ銀貨六枚ってところだな」
「……………………」
開いた口が塞がらない。日本には、とりあえず吹っ掛けようっていう文化はないからな。嫌な予感を感じて俺が振り返ると、そこには額に青筋を浮かべた笑顔のスルーズの姿があった。
そしてメイスを取り出すと、彼女は微笑みながら、
「ちょっとお話ししましょうか……」
と口にするのだった。あーあ。
◆◆◆◆◆
さて、まだ空に陽が昇っている午後の事、俺とスルーズの二人はオーカン亭へと戻ってきた。
「へいお待ち!コリグの実十個買ってきたよ!」
言って、皮袋からゴロゴロと赤い果実を取り出すスルーズ。
「コリグ、間違いないわね。これだけあれば十分よ。ありがとう」
まあ買ったというか、最終的にはただで貰った挙げ句に色々と売り付けていた訳なのだが。俺は特にその辺については言及しないことにした。
「それじゃあ私は下ごしらえに入るから、二人は休んでいて貰える?失敗出来ない作業だから、集中したいの」
どうやらウィズは、オーカン亭の厨房を借りて作業させて貰える様取り付けたらしい。
言葉の端々から彼女の気負いが伝わってくるが、レオンのことはウィズに任せるしかない現状、彼女の言葉に甘えさせてもらうこととした。
スルーズと二人で客室に移動する。そこにリューカの姿はない。当然だが、町中での売買に従事した俺たちが一番早かった様だ。
「ほんほんほほ~ん」
売上金を集計しているスルーズの背中を眺めながら、俺はじっと自身の左手首を眺める。トリコロールカラーが鮮やかなそれの名前を先ほどまでは失念していたが、落ち着いた今なら思い出せる。
……ミサンガだこれ。
ミサンガ。刺繍糸を様々なデザインに編んで作り上げる組み紐のことをそう呼ぶ。日本では、巻いたミサンガが自然に切れると願いが叶う、なんてお守り的な意味合いで一時流行したこともある。こっちの世界じゃどういう名前かは知らないけれど、まあ意味合いとしては似たようなものだろう。
そういえば現代でも、外国でミサンガ詐欺みたいなのあったとかなんとか聞いたっけなあ。
……はあ。まあ、今はそれは置いておこう。問題はそっちじゃない。
俺は小さく息を吐き出すと、先程のスルーズの言葉を思い返していた。
──ミーナちゃんさ。普通の人間じゃないっしょ?──
──だってキミの魂、ちょっと変だもん──
──身体と合ってない。まるで、つい最近産まれたばっか、みたいな?──
──魂の形も変だね。まるで別人のそれを植え付けたみたい──
流石戦乙女というべきか。スルーズは俺の特異な性質に気付いている。彼女に疑われたまま冒険を続けるのは、恐らく得策ではないだろう。……それに。
──女神アリア様は全てをお許しになられますよ──
スルーズが口にしたアリアとは、このクエハー世界における唯一神にして、スルーズの母的存在である女神様の名だ。
ゲーム本編でも、後半に訪れる女神の神殿にてレオンたちを迎え入れ、魔王討伐における助言をくれたりする全能の存在なのだ。
女神ならば、今の俺の状態についても分かるかもしれない。そんな女神の一番近くにいる存在もまた、スルーズだ。
そう考えれば、俺の取るべき行動はおのずと決まっていた。
俺は小さく深呼吸すると、意を決して背を向けたままのスルーズへと呼び掛けた。
「……スルーズさん。────いや、スルーズ。オレの話を、聞いてほしいんだ」
ミサンガ詐欺、許せないですよね……!
ノクターンノベルズに同タイトルでこの回のIFとなるバッドエンドVerを掲載しています。
陵辱、暴力とあった描写が含まれていますので、閲覧にはご注意下さい。




