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4.装備マン、ボスに挑む

 そこで10分の休憩を取り、最深部を目指してひたすら進む。


 ここは簡単なダンジョンという事もあり、事前に買っていた地図にはとても正確に道が記されていた。



 おかげで道に迷うこと無くすぐに5階層へと続く階段にたどり着く事が出来た。


 5階層にあるボス部屋の場所も地図に載っているので、そこに向かって小走りする。

 何のステータスの効果か分からないけどスタミナも少々上がっていて、疲れる事無く横幅5m、高さ8m程ある扉の前に辿り着く事が出来た。


 この扉を開けるとボスが居るらしい。


「いくぞ!!」


 俺は恐怖で少し震えている体を落ち着かせ、覚悟を決めて中へと入った。




 中には身長150cmはありそうな大きいゴブリンが、錆びた剣を構えてこちらを見ている。


 事前情報によるとホブゴブリンという名前だそうだ。


 いつも通り走って近づこうとしたが、やっぱり怖い。

 そう考えている間にもゆっくりとホブゴブリンが近づいてくる。


 改めて覚悟を決めて、こちらからもゆっくりと近づいていく。

 そしてお互いの距離が5mまで近づいた時、勢い良く全力で疾走する。


 自分に相手の剣が当たらない事を祈りながらすれ違いざまに短剣を振るい、手応えを感じながらもそのまま部屋の奥へと駆ける。


 そして後ろを振り返ると・・・ホブゴブリンが倒れて黒い霧となっていた所だった。


「あれ?」


 俺は激闘を想定していたのだが、思ったよりも歯応えの無かった相手に、喜びよりも困惑が沸いてくる。


 まあでも良く考えると今の自分のステータスは弱めのEランクダンジョンのボスと渡り合える程だし、【厚木ダンジョン】はFランクでもかなり簡単な部類だ。


 ボスであるホブゴブリンもスキルを持っていない人間がレベル10あれば倒せると言われているので、攻撃力や速度が50レベル相当になっている俺には圧倒的格下と言う訳だ。


 ホブゴブリンの魔石と攻略報酬の魔鉱石を拾い鞄に入れようとしたが、入らなかったので一番価値の低いスライムの魔石を8つ捨てる。


 そして俺は部屋の奥にある、触れると地上に転移してくれる『転移水晶』の元に向かおうとして気づく。


 部屋の中央に宝箱があるのだ。


「た、宝箱?」


 ボス部屋に宝箱というと、特別クリア報酬だろうか?


 特別クリア報酬というのは、始めてそのダンジョンボスを討伐した時に特殊な条件を満たしていると貰える報酬で、アイテムが貰える場合は宝箱に入っているらしい。

 ただ、特別クリア報酬を貰った人と全く同じ条件で挑んだ人がいたが特に何も無かった事から、その条件を一度満たすと二度と同じ条件で特別クリア報酬は現れないと言われている。


 つまりは意図的に引き出す事が出来ない、超レアな現象なのだ。



 驚きとワクワクが混じった心境で、宝箱を開けてみる。

 開けてる途中で罠とかないよな!?と思ったけどもう遅い。


 幸い宝箱には罠は無く普通に開けることが出来た。


 これは・・・


「スクロールか?」


 中には巻物のような物が入っており、ネットで見たスクロールと酷似している。


 よほど変なスキルでは無い限り、100万円以上の価値がある。

 だから売ろうと思ったのだが・・・そこで過去を思い出す。



 小学生の時にダンジョンが出来てから中学に入るまで、大好きなアニメの主人公の様にダンジョンに潜って世界最強の冒険者になる!!!

 そう意気込んでいたことを思い出す。


 だが、期待を膨らませていたユニークスキルが戦闘向きの能力じゃない事と・・・あと何だっけ。

 確かもう1つ何かがあって夢を断念していたのだが、どうにも思い出せない。


 ただ、夢を断念したとはいえまだその思いは自分の奥底に眠っている。


 《装備マン》を戦闘に活かす方法も判明し、その夢を叶えられるだけの力が今の俺にはあるかもしれないのだ。

 このスクロールを自分に使えば少なからず強くなり、その夢に一歩近づける。


 最低でも数十万、最高で数億円か・・・。


「んー、分かんね」


 取り敢えず家に持ち帰ってゆっくり考えよう。



 そうして地上に転移した俺は、変な目で見られながら家に帰るのだった。





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