3.装備マン、人目に晒される
翌朝、俺はいつもより早く起きてポケットにイヤリングを詰め込んでいたが、1つ気づいてしまった。
「歩きずれぇ!」
落とさない様に歩くとまともに足を上げられないし、ダンジョン内でここまで動きを制限されては魔物と戦えない。
そこでポケットの中には2個だけ入れて、着ている物や顔に付けまくったが、まだ全て付けられない。
そこで適当な帽子をかぶり、その鍔部分に付ける事により解決した。
俺はステータスを開き、装備の項目をタップする。
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魔石のイヤリング×14:攻撃力+42
魔石のイヤリング× 14:速度+42
魔石のイヤリング×8:防御力+24
革の帽子:攻撃力+3
革の鎧:防御力+5
革のズボン:防御力+5
革の靴:速度+5
魔鉱石の短剣:攻撃力+5
合計:攻撃力+50 防御力+34
速度+47
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ダンジョン攻略に必要が無さそうな魔力とMPのイヤリングは置いていく。
魔鉱石の短剣は扱いやすさと強さを兼ね備えている剣で、この店の武器の中では一番強いと思う。
早速ダンジョンに出発だ!!!
俺は近所のFランクダンジョン、【厚木ダンジョン】の前に来ていたのだが・・・妙に視線を感じる。
最初は俺がイケメン過ぎて見られていると思っていたのだが、笑われたり恐ろしい物を見るような目で見られたりでどうやら違うっぽい。
普通の人と違う事といえば身体中にイヤリングを付けまくっていることしか思い浮かばない……。
他に何があるのだろうか?
まあ気にしなくて良いかと思いダンジョンに潜っていく。
地下にこんなスペースがあったら地面が陥没するんじゃないかと心配する程の大きな空間が目の前に広がる。
ダンジョン内は光源が無いのにも関わらず光に照らされており、茶色い地面と人間5人分程の高さの天井が、地上まででは無いもののかなり先まで見渡せる。
「出たなゴブリン!」
歩くこと数分、目の前に全身緑色でナイフを持った身長100cm程の人型の魔物―ゴブリン―が居た。
走って近づき、短剣をナイフに当てて弾いた隙にゴブリンの顔に思い切り突き刺す。
手応えを感じながらも後ろに5m程下がり、短剣をゴブリンに向け様子を見る。
だがゴブリンは床に倒れ、そのまま黒い霧となって霧散した。
「本当に強くなってるな」
以前までであればゴブリン1体を倒すのに10分程かかっていたが、今の俺には全く驚異ではなかった。
俺は倒したゴブリンがドロップした魔石を拾い鞄に入れて先に進む。
このダンジョンは5階層まで存在するが、ボスを除けばスライムという液体が固まったような魔物とゴブリンしか棲息していない。
この調子ならボスも倒せそうなので、今回はこのダンジョンの最深部を目指すことにする。
それから2時間程歩き続けて3階層に到達し、13体のスライムと5体のゴブリンを倒した。
「次の魔物を倒したら休憩するか」
噂をすればなんとやら、目の前にスライムが表れた。
サクッと倒し、魔石を拾おうとした所で身体に違和感が生じる。
「この感覚は…確かレベルアップか」
俺はステータスを開く
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名前:水無月 平也 Lv4
HP:14/14 MP:16/16
攻撃力:12 防御力:16
魔力:13 速度:13
精神力:12
魔法:
スキル:装備マンLv1
装備:魔石のイヤリング×14
魔石のイヤリング× 14
魔石のイヤリング×8
革の帽子
革の鎧
革のズボン
革の靴
魔鉱石の短剣
SP:40
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SPは増えたけど……まだ《装備マン》のレベルを上げる事が出来ない。
レベルアップに必要なSPは、スキル毎に違う。
通常のスキルであれば必要SPはネットに載っているのだが、ユニークスキルは世界に1つしかないスキルなので当然ネットには載っていない。
取り敢えず当面の目標は経験値を稼いでSPを獲得し、《装備マン》のレベルを上げる事にしよう。
俺はそう決意して、ダンジョンの壁に背中を預けるようにして座り込んだ。