第七七話
From the teacher/student perspective
「授業を始めるのでまだ座って無い人は自分の席に戻ってください。――はい。それでは特別授業を始めたいと思います。まずは全校集会お疲れ様でした。皆さん聞きたい事が山ほどあると思いますが、言える範囲で説明したいと思います」
「先生。言える範囲があるという事はNGな話もあるという事でしょうか?」
「はい。特に佐藤先生の個人情報については殆ど話す事は出来ません。勿論ご本人から言うのであれば問題はありませんが私の口からは言えないのでその辺りは分かって下さい」
「はい」
男性の個人情報をただの学生に言えるわけがないので当然だろう。詳細を知っているのは理事長くらいじゃないかしら?恐らく先生も咲いて減の情報しか伝えられていないはず。であればここでしつこく食い下がるのは悪手ね。大人しく先生の話を聞きましょうか。
「まずはどういった経緯で佐藤さんが教師になって我が校に着任したかを説明します。――二年C組の久慈宮桜さんと佐藤さんがお知り合いで、学院のボランティア清掃に参加したのが始まりです。その時に理事長と久慈宮さんの担任である桜川先生と出会い親しくなりました。その後も理事長や桜川先生との交友は続いて、佐藤さんが学園祭に来られるという事で打ち合わせをした際に理事長から教師になってみないかと打診したようです。その時は保留となったのですが、二ヶ月ほど前に引き受けるという返事を貰い正式に特別非常勤講師として我が校で働くことになりました」
「あの、久慈宮さんと佐藤先生が知り合いとの事ですがどういう風に出会ったのでしょうか?」
「流石にそこまでは私も知らないので本人に聞くしかないですね。ただ、今の二人の関係は婚約者兼恋人だと聞いています」
「ええっ‼すでに婚約者がいるなんてショックです」
「これはアタックするのは相当厳しそうね」
「佐藤先生はとても格好良いし結婚していると思っていたから私としてはダメージはそこまでないかな」
「逆に考えれば私達みたいな高校生でも恋愛対象、ひいては結婚相手として見てもらえるという事だしこれはチャンスなんじゃ?」
先生の話にそれぞれが意見や感想を言い合っているが、私としてはチャンスだと思う。だって婚約者という事はまだ枠が残っている可能性が高いのだから。もし結婚していたら奥様の人数にもよるけど新しく入るのはかなり難しかっただろうしね。……問題は何人の女性と婚約を結んでいるかね。一般的に男性は三~五人と結婚するけど、佐藤先生のスペックを考慮すると婚約者が十人以上いてもおかしくは無い。そこから考えると枠は一つか二つ。壮絶な戦いになりそうだわ。
「皆さん静かにしてください。先生の話はまだ終わっていませんよ。――こうして佐藤さんを教師として迎え入れたわけですが、本件は国家プロジェクトとして動いています。皆さんは実感がないでしょうが国の命運をかけていると言っても過言ではありません。なので皆さんも学院の生徒としてふさわしい態度や行動をとるように心がけて下さい。あっ、一つ言い忘れていましたが全校集会の様子は今日のニュースで流れますので時間があれば見るようにして下さい」
「事前に教えてくれたら美容室に行ったり、メイクをしっかりしてきたのに~」
「男性にあまり可愛くない姿を見せる事になったとか最悪です。準備万端で最高の自分を見て欲しかったです」
「制服に少し皴があるしクリーニングに出しおけばよかった。あとエステに行ってお肌をベストコンディションにして、少しでも魅力的に見えるようにしたかったです……」
クラスメイトから怨嗟の声が上がるが気持ちは分かる。私だってこんな事になるなら自分史上最高に可愛い状態で臨みたかったもん。先生に愚痴を言ってもしょうがないのは理解しているけど、どうしてもね。あぁ~、今朝の私に一言伝えられるなら時間の許す限り全力で可愛くなりなさいって言いたいよ。
「言いたい事は分かりますが私達にも守秘義務があるんです。それに佐藤先生とは今日限りで会えなくなるわけではありません。今後は週に三回学院に来て頂いて教鞭をとる予定です」
「という事は一週間で一年生~三年生までの授業を受け持つという事ですか?」
「一学年につき一週間ですね。なので三週間で一巡する形になります」
「もっと多く授業を受け持ってもらう事は出来ないんですか?一ヶ月に一回しか授業を受けられないなんて寂しすぎます」
「あくまで非常勤講師ですし、佐藤先生のご都合もありますのでこれ以上増やすのは無理です。それに授業は受けられませんが、毎週会う事は出来ますし、休み時間にお話ししに行ったりできるのですから十分だと私は思いますが。私たち教師は授業の準備等で中々会うことが出来ないですし……」
「先生。最後に本音が漏れていますよ」
「仕方ないじゃないですか。あんなに格好良い人が近くに居るのにすれ違いばかりになるんですよ。耐えられる訳ないじゃない」
「言われてみると確かにそうですね。近くて遠い存在というのは物凄くもどかしいし、辛いですよね」
「本当にね……。いっそうのこと職務放棄してずっと佐藤先生とお喋りしていたいくらい」
「流石にそこまでやると校長先生や理事長から怒られそうなので止めておいた方が良いと思います。まあ気持ちは痛いほど分かりますが」
先生も社会人である前に一人の女性なのでそういう風に思ったり、考えたりするのは当然でしょうね。仲良くなるのは私たち生徒よりも難しいでしょうし、この時ばかりは学生でよかったと心底思うわ。
――そういえば受け持ちのクラスとかってあるのかしら?二年C組の久慈宮さんと婚約関係という話だったし担当するとしたらC組の可能性が高いけど一応聞いてみましょう。
「先生。質問なのですが佐藤先生はどの学年のクラス担任になるのでしょうか?」
「基本的に非常勤特別講師は担任業務を受け持つことはありません。なので佐藤先生もどこかのクラス担任になる事はないですね。もしご本人が希望されれば話は別ですが」
「分かりました。有難うございます」
うーん、駄目だったかぁ。こればっかりは残念だけど仕方ないか。それにどこかのクラスを担当する事になったら選ばれなかったクラスの生徒が暴動を起こしそうだし、ある意味で妥当な判断なのかも。
「それでは最後になりますがこれから皆さんの周囲が騒がしくなったり、生活環境が変わる事もあるかもしれませんが学院の生徒にふさわしい態度と行動を取るようにして下さい。また、何か困った事があれば遠慮なく先生に言って下さい。早急に対処しますので。――何か質問や疑問がある人はいますか?」
「一つだけ聞きたい事があります」
「なんでしょうか?」
「放課後に佐藤先生と一緒に街にお買い物に行ったり、お茶をしたりしてもOKでしょうか?」
「学院の規則では放課後は速やかに帰宅しなければいけないのですが、佐藤先生が了承した場合のみ許可します。ただし無理にお誘いしたり、跡をつけてタイミングを見計らって声を掛けるなどは絶対にしてはいけません。もしそういう事をした場合最悪逮捕されてしまうので注意して下さいね」
「分かりました。気を付けます」
「他に何か質問や疑問はありませんか?……無いようなのでこれで特別授業を終わります。チャイムが鳴るまでまだ時間があるので各々自由にしていいですよ」
「やった!」
ふぅ。かなり濃い時間だったわ。情報が濃密すぎて精神的にかなり疲れたし、この後授業が無いのは助かるわ。あとはHRをしたら帰れるし、もう少しだけ頑張ろう。家に帰ったらベッドにダイブしたいけど先生に言われた通りニュースもチェックしておかないと。それにお母さんにも色々聞かれると思うから寝るまでは気を抜かずにいこう。
From the teacher/student perspective END
学院についての説明や、授業の方針についての話し合いがようやく終わった。内容自体はさほど難しくなかったけど、俺が自由にしていい部分がかなり多くて頭を悩ませた。右も左も分からない新米だから好きにしていいよと言われてもどうすればいいのか分からないのだ。結局他の理事長がある程度の道筋を立ててそれに肉付けする形で方針を何とか決めることが出来た。
あとは話を聞いて驚いたことが一つある。それは教師・学生と交際してもOKという事だ。もっとザックリと言うと好きに肉体関係を結んで良いですよと言われてしまった。先生であれば成人しているし、職場恋愛を認めているんだなで話は終わるが、学生はマズい。非常にマズい。
付き合うだけなら幼稚園児から可能であり、SEXに関しては生理が来た段階で合法になるのは知っているがどうしても俺が居た世界の倫理観が邪魔をしてしまう。たとえ学院や国が認めていたとしても流石になぁ……となってしまうのだ。避妊薬を使えば百%妊娠しないとはいえ、エロゲの主人公みたく手当たり次第に処女を奪ってしまったらSchool Daysの伊藤誠みたいな最期を迎えてしまうかもしれない。あんなクズ野郎になりたくないので教師・学生の皆さんとは一線を引いたお付き合いを心掛けようと思う。
ただ理事長と桜川先生がこの話をしている時に目をギラギラさせていたのが気になる所だ。お二人とは他の人よりも仲が良いのでもし積極的に迫られたら我慢できるかは微妙だな。勿論彼女がいる身なので不義理な行いはしたくは無いが、もし彼女から了承を得られれば欲望を抑える事は……三・七で無理かも。
はぁ~と小さく溜息をついてしまうが、ここが職員室だったのを思い出して周囲を確認するがバレていないようで良かったと安心したのも束の間。隣の席の桜川さんから心配そうな声色で話しかけられた。
「佐藤先生。もしお疲れのようでしたら応接室でお休みになりますか?それともお帰りになりますか?」
「あっ、すみません。色々と考え事をしていたらつい溜息が漏れてしまっただけなので大丈夫です」
「そうですか。今日は短い時間でしたけど色々とあったので仕方ないですよね。かくいう私もお家に帰ってベッドでゴロゴロしたいですし」
「はははっ。その気持ち凄い分かります。何もせずにダラダラ、ゴロゴロするのって最高ですよね。時間を無駄にしているのは分かっているんですが、止められないんですよね」
「そうなんです。特に忙しい日が続いた時などは一日中ベッドの上で過ごすこともあるくらいで……ってこれだと物凄くだらしない女という印象を与えてしまうのでは?あ、あの!そういうのは本当に偶になんです。普段は家でもしっかりしていますし、ぐぅたらしていませんので!」
「別にそういう面があっても良いと思いますよ。気を緩める時間も大切ですし、なにからなにまで完璧にしないと駄目というわけではありませんから。寧ろそういうちょっとだらしない所がある方が俺としては可愛らしいなと感じますよ」
「そうなんですか?」
「はい」
「じゃあ今の私でも大丈夫という事ですね」
「問題無いです。それに俺も結構だらしないと事があるのでお互い気楽にいきましょう」
実家暮らしの人だと分かりづらいかもしれないが、毎日仕事から帰ってきたら家事をして食事を作るのって結構大変なんだよ。それを毎日しなくてはいけないんだから休日くらいは怠け者になっても許されると思う。自分の事をやるだけでも大変なんだから世のお母さん達は本当に凄いと思う。家族の生活を一手に支えているのだからその苦労は推して知るべし。
とまあなんか偉そうなことを言っているが、彼女に家事炊事を全て任せている俺が言うなって話ではあるんだけどねと自虐していると職員室の前が騒がしい事に気が付いた。端末で時間を確認すると丁度放課後に入ったタイミングだったので、帰宅する生徒たちが話でもしているのだろう。そう思っていたのだが丁度職員室に入ってきた先生がいたので何気なく廊下へ視線を向けると人だかりが出来ていた。自席から見える範囲だが生徒たちが犇めき合っている。その尋常ならざる光景に思わず隣の席の桜川さんに声を掛ける。
「桜川先生。なんか廊下に凄い数の生徒がいるのですが何かあったのでしょうか?」
「あー……、多分佐藤先生を見に来たのだと思います」
「俺ですか?」
「はい。なにせ初めての男性教師ですしみんな興味津々なんですよ。もしご迷惑でしたら私が注意してきましょうか?」
「いえ、大丈夫です。いい機会だし生徒の皆と少し話してきます」
「そういう事でしたら私もご一緒します。万が一暴走する生徒がいた場合は私が止めますので安心して下さい」
「分かりました。その時はよろしくお願いします」
さて、俺が教師になって初めての交流だ。就任式での感触はあまり良くなかったがここで挽回を図ろう。仕事で磨いた話術が若い子に通じるかは分からないが頑張るのみだ。
桜川先生と二人揃って出入り口まで向かいドアを開けると、いきなりの事で驚いたのかポカンとした表情を浮かべている女子高生の集団が目に入る。ちょっと間の抜けた感じで笑いそうになってしまうがグッと堪えて話しかけてみる。
「こんにちは。もう帰る所ですか?」
「えっと、はい。そうです」
「そうですか。今日はいつもと違って大変だったと思うので、気をつけて帰って下さいね」
「お気遣い頂き有難うございます。――佐藤先生もお疲れではないですか?」
「実を言うと結構疲れています。さっき桜川先生とベッドでゴロゴロしたいですよね~って話していたんですよ。あっ、これ言ったらマズかったですか?」
「それくらいの内容なら許容範囲なので大丈夫です」
よかった。教師として厳格なイメージがあった場合はそれを壊す事になっていたし、印象も変わってしまうだろうから本当に危なかったぜ。桜川さんは大丈夫と言ってくれたがこれからは気を付けよう。
「桜川先生って緩い所があるもんね」
「こら、佐藤先生の前でそういう事を言っちゃ駄目です」
「隠してもいつかはバレると思うし、今のうちに知ってもらった方が後々楽になるんじゃないですか?」
「むぅ……。確かに一理ありますね。でも私の印象が崩れてしまうのは避けたいですし」
「そこは上手い事印象操作をすれば問題無いですよ」
「なるほど。これは腕の見せ所ですね」
「あー……すみません。本人がいる前で言ったら意味が無いと思うのですが」
「「あっ」」
俺の顔を見ながら今気が付いたみたいな表情を浮かべられても困るんだが。相手に好印象を持ってもらう為に努力するのは大事だが、そういう話は本人がいない所でしないと駄目だと思います。とはいえ今にも泣きだしそうな表情を浮かべている二人にそんなことは言えないしさり気なくフォローしておこう。
「桜川先生には良い印象を持っていますし、今のままでいいと思いますよ。初対面で悪口を言われたり、悪態をつかれたりしない限り悪印象を持つことは無いので安心して下さい。それに今みたいなうっかりとか微笑ましくて可愛いですし、個人的にはポイントが高いです」
「「やった‼これで正妻へ一歩近づいたわ」」
「あ、あはは……」
「ちなみにポイントの上限はどのくらいですか?」
「それじゃあキリのいい所で百にしましょうか。上限まで貯めたら一日俺を自由にしていい権利を差し上げます。――これだとあまり嬉しくないかもしれないし、別のにした方がいいかな」
「是非それでお願いします。というかそれ以外にはいりません」
「あっ、はい」
桜川先生の鬼気迫る表情に気押されてしまっておざなりな返事をしてしまったが、まさかここまで食いついてくるとは。周りに居る生徒達も大興奮しているし選択を間違えたかもしれない。もっとカジュアルに一緒に食事をするとか、遊びに行くとかの方が良かったのではないだろうかと今更ながらに気が付いたが時すでに遅し。この状況で前言撤回など出来るはずもなく、受け入れるしかないだろう。
「一日佐藤先生を自由にできるという事はデートしたり、一緒にご飯を食べたりできるんだよね」
「それだけじゃないわよ。合意を取れればHな事も出来ちゃったりするかも」
「きゃぁ~!なにそれ、最高じゃない!」
「学校の授業で習っていた時は一生披露する機会が無いんだし宝の持ち腐れだと思っていたけど遂に日の目を見る時が来たのね」
「短期間で胸のサイズアップって出来るのかな?男性は大きな胸が好きだって聞いたし、ワンカップくらい大きくしたいんだけど」
「まだ成長期だしワンチャンスあるかもしれないけど、かなり難しいんじゃない?よくて三~四cmアップといったところじゃない?」
「うーん、それくらいかぁ。くっ、普乳の家系を今ほど呪った事は無いわ」
「まあ大事なのは胸だけじゃないし気にすることないよ。例え普乳でも他の所で勝負すればいいだけだしね。脚とかお尻とか、くびれているお腹とか女性として戦える場所は沢山あるんだし」
「確かにそうね。よし!もっと女性としての魅力を磨くことにするわ」
こういう会話を女性がしている時男はどうすればいいのだろうか?分かる人教えてください。空気になっているのが正解なのか、はたまた会話に参加する方が良いのか、それとも自分の意見を言うのが正しいのか全く分からない。チラリと桜川先生に視線を送るも笑顔で返されてしまったしな。この場に桜がいれば助けを求められたのだが生憎といないし。
というか今どきの女子高生は結構明け透けに話すんだな。しかも内容が的を射ているし、男心を理解しているのには少し驚いた。多分色々な所から情報を仕入れているのだろう。その情熱と意欲は見習いたいところだなと考えていると端末がポケットの中で震えたので確認するか。
「すみません。ちょっとメール確認しますね」
「はい」
差出人は桜で内容は今から昇降口に向かうので一緒に帰りませんか?というお誘いだった。今日はお店のお手伝いをする日だし、断る理由も無いのですぐにOKと返事を送る。さてと、そうと決まれば俺も変える準備をしないといけないな。
「すみません。そろそろ帰らないといけない時間なので皆さんとはもっとお話をしたかったんですが、これで失礼します」
「あっ、そうですよね。もっと早く気付くべきでした」
「いえ、俺も楽しくて時間を忘れていたのでお気になさらずに。――というわけで皆も気を付けて帰って下さいね」
「はい。佐藤先生さようなら」
「さようなら」
生徒達と挨拶を交わしてから職員室に戻り、荷物を持って校門前へと向かう。こうして桜と学院から一緒に帰るのは学園祭の打ち合わせ以来だな。しかも今回は教師という立場だから新鮮味があるし、生徒と一緒に帰るというのはちょっとした背徳感もあって心がムズムズする。
こういう感情は慣れてくれば感じなくなるものだし、今のうちに味わっておこう等と考えていると桜の姿が見えてきたので小走りで向かう。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
「いえ、私もちょっと前に来たばかりです」
「それならよかった。それじゃあ帰ろうか」
「はい」
二人並んで最寄りの駅に向かって歩き出す。――お店の手伝いで何度も桜の制服姿は見ているが、こうして学院からの帰り道で改めて見ると印象が全然違う。なんというか女子高生感が増すと言えばいいのだろうか?上手く言葉で表すことが出来ないが、とにかく違うんだよ。
ブレザー制服に少し動くだけで下着が見えそうなほど短いスカート、美脚を包む黒ストッキングとローファー。まさに王道であり、制服と聞けば誰もが思い浮かべるだろう姿だが着ているのが美少女だと物凄く絵になる。このまま写真に収めたいなと益体もない事を思い浮かべていると、桜が不思議そうな顔で声を掛けてきた。
「拓真さん。どうかしましたか?」
「いやさ、桜は今日も可愛いなと思って」
「もう、いきなりそんな事を言われたら照れてしまいます。……でもとっても嬉しいです」
頬を染めてハニカミながら喜ぶ姿がとても愛らしい。このまま食べてしまいたいほどだ。はぁ、俺の彼女は今日も花丸満点だぜと思いながら帰路に着くのだった。




