第七二話
気が付けば一ヶ月半が過ぎていた。毎日仕事をして、休日は彼女とイチャイチャして、偶に足腰が立たなくなるほど激しく愛し合っていたら学園祭当日になっていた。充実した日々を過ごしていると月日が過ぎるのがあっという間というが、俺にとっては瞬きしたら一月以上経っていた感覚だ。それだけ濃密で濃厚な時間だったのだろう。
とまあそんな感じで学園祭当日を迎えたわけだが、今日は桜を除く彼女達全員と一緒に学院まで行って校門前で桜と合流する手はずになっている。この面子の中で透香は女優として有名なので少しだけ変装してもらっている。帽子を被ってサングラスをして、マスクを着用して顔を隠すという古典的すぎる変装だといかにも怪しい上にバレる可能性が高いので誰もやらないらしい。髪型を変えたり、メイクを変えるだけでも印象は変わるものですよと透香に言われて確かにと納得したのを今でも思い出せる。
そんな事をタクシーに揺られながら思い返しているうちに学院に到着したので車から降りて外に出ると、大きなアーチが目に飛び込んでくる。『四季鳴館学院第九十七回学園祭』と大きく書かれておりかなり目立つし、なによりも九十七回目というのが驚きだ。二十数年くらいの割と新しい学院だと思っていたが想像以上に歴史が古いみたいだ。
思いがけない所で新しい発見をしつつ視線を前へと移すと桜が手を振りながらこちらへ歩いてきていた。
「こんにちは拓真さん」
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
「はい。ご案内はお任せください」
「それにしても開場したばかりだというのに人が一杯だね」
「例年だと午後になってから人が増えてくるのですが、今年は色々と事情が違いますので」
「確かに。この様子だと午後からはまともに歩けないくらい人でごった返しそうだな。それまでにある程度見て回れるといいんだけど」
「そうですね。私の方でも上手に見て回れるよう頑張ります」
「よろしくね。――それじゃあ最初は桜のクラスに行ってみたいんだけどいいかな?」
皆に確認を取ると『はい』と返事が返ってきたので一発目の行き先が決定した。皆で歩きながら教室まで向かっている途中で透香が話しかけてくる。
「そういえば桜さんのクラスはどの様な出し物をしているのですか?」
「江戸時代をモチーフにした和風喫茶ですね」
「まあ、それは素敵ですね。和風喫茶というのは学園祭ではかなり珍しいですし」
「ですよね。俺もどんな風になっているのか今から気になってます」
「江戸時代という設定も印象的ですね。私が大河ドラマに出演した時を思い出します」
「えっ!?透香って大河ドラマに出ていたの?」
「はい。まだあまり有名ではなかった時なので脇役なんですけどね」
「いやそれでも凄いよ。うわぁ~、凄く興味があるし今度観てみようかな」
「うぅ、演技もあまり上手くない時ですし拓真さんに観られるのは恥ずかしいです。出来たら最近のドラマや映画の方にしてもらえると嬉しいです」
「くっ……、恥ずかしがっている透香も可愛い。――んんっ。透香がそういうのであれば残念ですが諦めます」
「すみません。その代わりと言っては何ですが今度夜のお相手をするときは頑張りますので」
妖艶に微笑みながらそんなことを言われたら他の人が大勢いるというのにMy sonが大きくなってしまうではないか。くっ、今だけは大人しくしていてくれと必死に念を送ってみる。
「お辛いようでしたらトイレに行ってスッキリするのはどうでしょうか?お口と手を使って気持ち良くしてあげますよ」
「…………今の俺にそれは反則です。今頑張って抑え込もうとしているのでもう少しだけ待って下さい」
「分かりました。ですが、どうしても無理そうだったら言って下さいね」
透香の手淫と口淫はレべチだからな。たった数回でコツを掴み、見る見るうちに腕を上げて今では天上の極楽を味わわせてくれるまでになった傑物だ。そんな相手にさっきみたいな言葉を言われたら少しの間逡巡してしまうのも致し方なし。だって男だもの。学院のトイレでイヤラシイ事をされるとか背徳的で滅茶苦茶興奮するし、滾ってしまうのも仕方ない。だって男だもの。
男を免罪符にすれば何をしても許されると勘違いするなよ!と怒られそうなのでこの辺りでピンク色に染まった思考を打ち切る。
何度か深呼吸をして落ち着いたところで、再び桜のクラスを目指して歩き出す。廊下を歩く生徒達や来賓の人達から凝視されるが一々気にしていたら精神的に参ってしまうので申し訳ないが無視して進んでいくこと暫し。教室にたどり着いたが外観は至って普通で特に装飾が施されていたりはしていない。扉の前に和風喫茶と書かれた立て看板が置かれているだけだ。潔いほどシンプルだが個人的にはこういう徹底的に無駄を省いているのは好きだ。
「着きました。ここが私のクラスになります。どうぞお入りください」
桜に促されて教室内へ入るとそこはまるで別世界だった。完全に江戸時代の茶屋を再現している。雨除けの朱色に塗られた大傘の下に置かれた長床几、奥には畳敷きの座敷もある。小物も時代に合ったものが配置されているし、壁や窓がある位置はホログラムで生い茂った草木や道が映し出されている。パッと見た感じ街道筋の峠にある茶屋をイメージしているのだろうか。正直ここまで完成度が高いとは思っていなかったので呆然としてしまう。それは他の面々も同じなようで口々に感想を言い合っている。
「物凄いクォリティですね。とてもではありませんが高校の学園祭レベルではありません」
「どれだけお金をかけているのかしら?畳は合成イ草ではなく本物のイ草を使っているし、障子紙もプラスチックではなく和紙を使っているわ。レンタルしているとは思うけど凄いわね」
「私も舞台やドラマ、映画のセットで何度か見る機会がありましたが遜色ありません」
「窓や壁に映し出されているホログラムもかなりの高精度ですね。それにしても峠をイメージした素材なんて初めて見ました。どこからデータをお借りしたのか興味があります」
「あまりにもリアルで臨場感があるのでなんだかタイムスリップしたみたいです。洋服着ているとなんだか場違い感が凄いですね」
雪音、菫、透香、小百合、千歳の順で感想を言っていたがすべての意見に俺も賛成だ。このレベルだと入場料を取ってもいいくらいだよ。いや~、本当に素晴らしいと心の中で賞賛を送っていると桜が話しかけてくる。
「立ち話もなんですしお席にご案内いたしますね」
「お願いします」
人数が多いため大笠の下に置かれた長床几ではなく奥の座敷に案内された。座ると畳の香りがフワリと鼻腔を擽る。これだけで心が落ち着いてしまうのは日本人特有だろうな。
一息ついたところで座卓に置いてあるお品書きを見ながらそれぞれ注文をする。何気にメニューも豊富で定番の団子からケーキまで取り揃えてあった。時代設定的にケーキはどうなんだと言う人もいるだろうが江戸時代にもカステラは食べられていたし超拡大解釈をすればケーキだってOKだと思うんだ。それに時代に合ったお菓子しかなかったら正直味気ないし、楽しみも減るので飲食物は現代に合わせた方が絶対に良い。これで文句を言う人が居たら干し飯をお湯で戻さずにそのまま食べさせてやればいい。
先に出されたお茶を飲みながらあれこれ考えているうちに注文したお菓子が届いたので皆で食べ始める。
「うん、美味しい。――これって業者から仕入れているんですか?」
「大体はそうです。ただお団子やおはぎ、あんドーナツなどは作るのが簡単なので私たちの手作りになります」
「そうなんですね。という事は俺が今食べているゴマ団子はもしかしたら桜の手作りかもしれないという事か……」
「はい。ですがお菓子作り班は二十人いるので私が作った物に当たる確率は結構低いかと」
「それは残念だな。できれば彼女が作った団子を食べたかったんだけど」
「それでしたら、今度お休みの時にお作りします。お団子だけでなくリクエストがあればほかのお菓子でもいいですし」
「おっ。それじゃあお願いしようかな。今から楽しみだ」
こういう会話も付き合っているからこそできるんだよな。昔の俺が聞いたら末永く爆発しろ!とニヤつきながら言われそうだ。……というか爆発しろ!とかもう死語だったりするんだろうか?俺の語彙は十代後半くらいで止まっているから若い人には通じない可能性もあるのか。今後はちょっと気を付けた方が良いかもな。
もぐもぐと団子を頬張りながらジェネレーションギャップを感じるという何とも不思議な状態でいたからだろうか、下らないことを思いついてしまった。
「茶屋で団子を食べていると自分が剣術修行で諸国を流浪している剣客になった気分になりますね。でも服装が洋服だと駄目か。着流しと刀があれば完璧だったんだけどな」
「使わないので仕舞っていた刀がレンタルした小道具の中に確かあったはずです。あとは着流しですが代用として女性用の無地の羽織ならご用意できます」
「えっ⁉本当に?」
「はい。もしよろしければすぐにご用意致しますが」
「桜。ぜひお願いします」
「分かりました。では少々お待ちください」
なんとなく言ってみたがまさか実現するとは。これは嬉しい誤算だ。――我儘を言うなら銀杏髷にした方がよりリアリティが出るがカツラが無いので諦めるしかない。地毛でやるのは……仕事にも日常生活にも甚大な影響が出るので無理だしね。
まあ、今回は突発的な事だし雰囲気重視で行こう。方針を固めた所で桜が戻ってきたので羽織を貰い着てみる。うん、サイズが女性用なので小さいが着れるし大丈夫だろう。あとは刀を腰に差したいのだが帯がないためベルトに差し込もう。これで何となくそれっぽい感じになっただろうか?自分で見える範囲で確認してみるが日本文化を何も知らない外国人がコスプレしてみました感が半端じゃない。
一応彼女達にも感想を聞いてみるか。
「どうでしょうか?なんちゃって侍みたいで恥ずかしいですが……」
「衣装や小道具をすべて用意出来た訳ではないのでそれは仕方ないと思います。ですが、それを抜きにしても様になっていますし、格好良いです」
「女性物の羽織も傾奇者っていう感じがして私は好感が持てます。あと、格好良いです」
「ベルトに刀を差し込むというのはやはり違和感がありますね。帯を腰に巻いてみたらどうでしょうか?今よりも少しリアリティが向上すると思いますし」
「確かにそうですね。余っていた帯がいくつかあるので取りに行ってきます」
「あっ、桜さん待って下さい。今拓真さんは打刀だけしか差していませんが、剣客なら脇差も必要なはずです。小道具に脇差はありますか?」
「多分あったと思いますが確認してみます。もしあれば帯と一緒に持ってきますね」
「すみません。よろしくお願いします」
「という事は現状まだ未完成という事ですね。これはどうなるか楽しみです」
それぞれ感想を言ってくれたが悪い意見は一つもなかったのは素直に有難い。彼女として俺を立ててくれたのかもしれないがそれでも嬉しいことに変わりはない。あとは小百合と千歳の意見で帯と脇差を桜が探しに行ってくれているがあるといいな。ソワソワしながら待っていると桜が小走りで戻ってきて帯と脇差を渡してくれたので早速身に着けてみる。
「おぉ、これだけでも結構雰囲気が変わりますね」
「とても素敵です。あの拓真さんに一つお願いがあるのですがよろしいですか?」
「何でも言って下さい」
「写真を撮ってもいいでしょうか?もし可能なら動画も撮りたいのですが」
「構いませんよ。雪音だったら変なことに使ったり、データの流出もしないでしょうし問題無いです」
「やった。有難うございます」
「菫たちも好きに撮影していいですからね」
「はい。有難うございます」
こういうのは記念になるし、俺にコスプレ趣味があれば別だけど今後こういう格好をする機会が無い可能性が高いからね。彼女たちが喜ぶのであれば幾らでも写真でも動画でも取ってくれて構わない。
あっ、ポーズとか取った方が良いのだろうか?棒立ちも味気ないし適当に侍っぽいポーズでも取ってみるか。――少し恥ずかしいけど。
「拓真さん。目線をこちらにもらってもいいですか?」
「刀の鯉口を少し切って、斜め横に目線を向けて欲しいです」
「畳に胡坐をかいて少し羽織をはだけさせることは出来ますか?」
最初の方は何も言わずに夢中になって撮影していたが途中から今のように指示が飛ぶようになってきた。なんだかモデルになった気分だが、如何せんこういうのは初めてなので中々指示通りにするのが難しい。期待に応えるために精一杯やっているが果たして彼女たちが満足できるポーズを取れているのだろうか?不安になりつつもパシャパシャと撮られながらなんとなく周囲に目をやるとなんか人だかりが出来ているんだが⁉えっ、ちょっと待って。なんで甲崎さんや桜川さんも交じっているの?理事長と教師なんだから学園祭期間中は忙しいはずなのに一心不乱に端末で写真を撮っている。
「あの、一旦ストップしてもらっていいですか?」
「分かりました。この辺りで休憩しましょう。拓真さんも慣れない撮影でお疲れでしょうし」
「菫、有難う。――えっとですね、幾つか聞きたい事があるのですがまずなんでこんなに人だかりが出来ているんですか?」
「接客していた子たちが途中で参加してきて、それにつられるようにお客様も一緒に参加してきました。それから来店して下さったお客様が座敷の方が賑わっているのを見て……という形でこのような状態になってしまいました」
「あー、成程。桜の説明で理解しました。ちなみに甲崎さんと桜川さんは仕事の方は大丈夫なのですか?かなり忙しいと思いますが」
「少しの間なら大丈夫です。それよりも佐藤さんの貴重なお姿を収める方が大事です」
「私はこのクラスの担任ですし、問題が起こっていないか確認に来たので決してサボっている訳ではありませんよ。あくまで仕事の合間に佐藤さんの格好良い着物姿を撮影しているだけですので」
さいですか。お二人とも物凄い有能だし少しくらいなら問題ないのだろう。結果としてうまく帳尻を合わせられるのなら多少サボって……休憩しても文句は言われないはずだしね。
とはいえいつまでも撮影会を続けるわけにもいかないし、お店に来たのに店員さんが誰一人いないという状況はマズすぎる。というわけでここらへんでお開きしましょう。
「一通り写真なり動画なりが撮れたと思うのでこれで終わりにしたいと思います」
「分かりました。拓真さんの着物姿を沢山見れましたし満足です」
「帰ったらオフラインのローカルサーバーに保存しないと」
「まさか学園祭でこんな嬉しいイベントが起こるとは思っていなかったので本当に来てよかったです」
皆が喜んでくれて何よりだけどまだまだ始まったばかりだし、本番はこれからと言っても過言ではないからね。――さて、まずは衣装と小道具を返さないとな。ササッと身に着けていたものを外して桜に返す。
「桜、悪いけどこれ返してきてもらってもいいかな?」
「はい。お預かりしますね。……ふわぁ、拓真さんの匂いがします。それに羽織からは温もりが……」
「もしかして臭かった?一度クリーニングに出した方がいいかな」
「全然臭くありません。寧ろとってもいい匂いです。このままずっと嗅いでいたいくらい」
「あ、あはは……。うん……なんかありがとう?」
俺が着ていた羽織に顔を埋めてハスハスと匂いを嗅いでいる女子高生彼女に返す言葉としてはこれが限界だ。というか結構酷い絵面だけどクラスメイトからの印象が悪くなったりしないだろうか?それだけが心配だが、桜の満ち満ちた表情を見ると何も言えない。
と、取り合えず一旦席に戻って落ち着こう。話はそれからだ。
追加で注文したお茶を飲みながら一息ついたところで話を切り出す。
「なんだかんだで長い時間桜のクラスに居ましたが、次はどの出し物を見に行きましょうか?皆はどこか行ってみたい所はありますか?」
「はい。三年生のクラスがアート展をしているみたいなので見に行ってみたいです」
「へー、割と珍しい出し物ですね。高校の学園祭でやっているのは見たことが無いので俺も興味があります。皆はどうですか?」
「「「「「賛成です」」」」」
「それじゃあ次はアート展という事で決定です」
行く場所も決まったし、そろそろお暇しようか。残っていたお茶を一気に飲んでから立ち上がり出口へと向かう。クラスに居た生徒達が寂しそうにしていたが、ずっとここにいるわけにもいかないしな。最後にお礼とお茶とお団子美味しかったですと伝えてから教室を後にする。
「三年生の教室は……どこだ?」
「私がご案内しますので着いて来てもらってもよろしいですか?」
「何度も案内をさせてしまって申し訳ないけどお願いします」
「こういうのは私の役目ですのでお気になさらないで下さい」
「有難う」
いやな顔一つせずに案内役を再度引き受けてくれた桜にお礼を言いつつ移動を始める。次はどんなものを見れるか楽しみだな。期待に胸を膨らませながら三年生の教室へと向かう。
「着きました。ここがアート展をしている教室になります」
「特に飾りつけもしていないし、看板も出ていないから一見すると空き教室に見えるけどここで間違いないんだよね?」
「はい。間違いなくここです」
「そっか。じゃあ入ってみましょう」
教室の中に入るとこれまたシンプルでルートに沿って展示物が並んでいるだけというね。下手すると手抜きと言われそうだが、メインはアートなのだから余計なものを徹底的に排除したのかもしれない。だとするとよく考えられているし、それだけ展示物に自信があるのだろう。
さてそれではお手並み拝見と行こうか。エア眼鏡をクイッと上げてからゆっくりと歩きだす。
「おっ、これは風景画か。――細かい所まで丁寧に描かれているしタッチも繊細で上手いな。とてもじゃないが学生レベルとは思えない」
「そうですね。もしかしたら美術部に所属している生徒が描いたのかもしれません」
「あー、確かにその可能性もあるか。あれ?なんかタッチパネルがあるけどこれはなんだろう?」
「ちょっとお待ちください。……説明によるとパネルに表示されている番号を押すことでギミックが表示されるみたいです」
「そういう感じなのんですね。取り合えず一番を押してみよう」
千歳の話を聞きながら番号をタッチすると描かれている絵の草木がゆらゆらと風に揺れて動き出し、小川が僅かな水飛沫を上げながら流れていく。まるで現実の景色を切り取ったかのような光景に開いた口が塞がらない。人間驚きすぎると言葉が出ないというがそれは本当のようだ。そして番号は三番まであるのであと二回驚きが待っているという事実が恐ろしい。
「いやはや、これはあまりにも凄すぎますね。予想外すぎてビックリしました」
「私もです。こういう発想が出来ること自体相当凄いですし、実現できるだけの技術があるというのも学生の枠を超えていますしね」
「ですよね。千歳の言う通りでこういう形でデジタルとアートの融合をするというのは俺には絶対に出来ないので発案者には拍手を送りたいです。というかこの絵って手描きなのか、手描き風なのかどっちなのでしょうか?」
「私は芸術には疎いのでどちらなのか判別はつきませんがおそらく手描き風なのではないかと思います。動いていますし、紙に直接描いていた場合無理でしょうし」
「言われてみると確かにそうですね。いやー、最初からこんなにインパクトがある作品を見たら他の作品の印象が薄れてしまいそうです」
「もしかしたら他の作品も負けず劣らずの驚きがあるかもしれませんし、一通り見てみませんか?」
「分かりました。なんか今からドキドキしてきました」
はてさて俺の心臓は持つだろうかと思いながら順繰りと見て回る。




