第六十七話
「そう言えばこうして皆で街に出掛けるのも久し振りですね」
「言われてみると確かにそうですね。最近は忙しかったのもあって休日は拓真さんのお家で過ごす事が多かったので、どこかに出掛けたりしていませんでした」
「家で過ごすのもまったりできますし、気が楽で良いですけどたまには人が多い場所に来るのも悪くないです。とは言え特に買いたい物も無いし、ウィンドウショッピングになってしまうのはちょっと勿体ない気もしますが」
「私としては拓真さんとこうして一緒に歩けるだけで幸せですし、街をぶらつくだけというのも良いと思います」
そう言いながら雪音が俺の腕にギュッと抱き付いてくる。深い胸の谷間に二の腕が挟まり、フカフカでプニプニな感触がダイレクトに伝わってきて思わずにやけてしまう。しかもお互い歩いているのでおっぱいがブルンブルン揺れて様々な刺激が齎される。ブラジャーをしているのにここまで揺れるのはそれだけ大きいという事であり、まさに巨乳は正義だな。
「んっ……、ふぅ……、あっ……」
母性の塊を堪能していると隣から艶めかしい声が耳朶を打つ。エロい声を発している犯人は隣で腕を組んでいる雪音なのだが、恐らくブラジャー越しに乳首が擦れたり、おっぱいに刺激が伝わっているのだろう。すぐ近くでそんな声を出されると俺のムスコが『俺の出番が来たぜ!』とばかりに大きくなろうとするので、ちょっとだけ控えて欲しいかも。いや、しかしこういうシチュエーションは街中でしか味わえないだろうし今のうちに堪能しておくべきだろうか?迫られる二者択一に頭を悩ませていると、腕から至高の感触が消えると同時に、険がある言葉が届く。
「雪音、いい加減にしなさい。他の人も大勢いるし、そういうのは人目の無い所でやりなさい」
「ごめんなさい。拓真さんが喜んでくれているのでついやり過ぎてしまったわ。菫の言う通り人が多い場所でやるべき行為では無かったわね」
「分かれば宜しい」
これは俺も反省しなければいけないな。彼女が出来る前は街中で抱き合ったり、キスしているカップルを見ると公共の場でクソみたいな事してんじゃねぇ!お前等には羞恥心と言うものが無いのか!と憤りを感じていたはずなのに、彼女が出来た途端に同じような事をして喜んでいるとか最低じゃないか。これが中学生や高校生カップルであれば若いねぇ~で済んだけど、いい大人がやれば常識の無い馬鹿と言われるだろう。一目がある場所では節度を持った行動をして、イチャイチャするのは家やホテル等然るべき場所でするべきだな。
一通り反省した所で特に目的も無く彼女達と適当に歩きながら他愛も無い話で盛り上がる。そんな中何度も買い物に訪れた百貨店が目に入ったので何となく入ってみる事にした。男性用品は六階にあるが今回は買うものが無い為スルー。雪音達も同じなので一階から順にテナントを見て行く事になった。
お店を冷やかしながら二階、三階と上がり今は四階を歩いている。階ごとにターゲットにしている年齢層が違う為お店の雰囲気や、置いている商品もかなり違うので見るだけでも結構楽しい。他にはどんなお店があるんだろうと少しワクワクしていると、少し先に展示ケースの中でマネキンが下着姿で何体もいる姿が目に入る。
「拓真さん、何を見て――あぁ、下着屋さんですか。そう言えば最近胸が大きくなって下着を買い替えたいなと思っていたんです」
「あっ、私も同じです。この前サイズを計測したらワンカップ大きくなっていたんですよ」
「そうなのですね。私もこれ以上は成長することは無いと思っていましたが、拓真さんに沢山揉んでもらったお陰でしょうか?大きくなりました」
「男性に胸を揉んでもらったら大きくなるという噂は聞いた事がありますが、都市伝説と思って信じていませんでした。でも、拓真さんとお付き合いしてから成長していると言う事は事実なのですよね」
「桜ちゃんの場合まだ高校生だし、これからもっと大きくなるんじゃないかしら?少なくともあと一、二回は下着の買い替えが必要だと思うわよ」
「愛している男性が好む身体になれるのですから、問題ありません。というかもっともっと拓真さん好みに開発して欲しいです」
…………桜。その発言は色々な意味でマズと思う。俺好みに女子高生を開発するとか完全にエロゲの世界だよ。いや、エロゲだと女子高生ではなく女子校生だな。登場人物は全員十八歳以上だし高校では無く学園や学院に通っている十八歳なんだからそこを間違えてはいけない。
ただ、桜の場合は正真正銘十六歳の女子高生だからな。しかも美少女。そんな娘を自分の好きな色に染められるという事実は物凄い背徳感と快感を得られる。最初は何も分からずにただ翻弄されるだけだったのに、数回行為を行う事で自分から積極的に動くようになっていく様は正に男冥利に尽きるだろう。
あぁ、勿論それは桜だけではなく雪音達も同様だ。うぅ……、情事を思い出したらムラムラしてきた。子いう時はアレで気持ちを落ち着かせるしかないな。
心頭滅却、心頭滅却、心頭滅却。深呼吸も忘れずに行うのが心を落ち着かせるポイントだ。――ふぅ……大分落ち着いてきた。これなら多少エロいハプニングが起きても心に漣が立つくらいで終わるだろう。何とか心の安定を取り戻した所で和気藹々と話している彼女達へと視線を送ると透香が話しかけてくる。
「拓真さん。皆さんと話していて下着を新調しようという事になったのですが、買いに行ってもよろしいでしょうか?」
「構いませんよ。では俺はお店の近くで待っていますね」
「もしご迷惑でなければ拓真さんに私達の下着を選んで頂きたいのですが、駄目でしょうか?」
「んー……、男が女性用の下着店に入るのは他のお客さんの迷惑になりませんか?恥ずかしいとか気が散って集中して選べないとか不都合もあるのでは?」
「問題無いとは思いますが、確かにそういう人も居るかもしれませんね。それでは拓真さんも同行しても大丈夫かどうか店員さんに聞いて来ます。もしOKを貰えたら一緒に来て下さいますか?」
「はい。その時は一緒に行って、選びます」
「分かりました。では聞いて来ますので少々お待ち下さい」
そう言ってから透香がお店へと向かって歩いて行く。俺が居た世界では例えカップルであっても男が居るのは嫌だという人達は多かった。それは服屋さんでも同じで異性がその場にいるという事が問題なのだろう。逆の立場だったら服屋さんはOKかな。ただ下着は家族や彼女なら大丈夫だけど見ず知らずの他人だったらアウト。
まあ、この辺りの感覚は人によって結構違うと思うし、許容範囲も変わるだろうから一概には言えないんだけどねと何となく考えを纏め終わった所で透香が戻ってきたので思考を打ち切る。
「お待たせ致しました。確認した所問題無いようです」
「そうですか。そう言う事でしたら行きましょうか」
「はい」
若干緊張しつつお店に入る。と同時に店内にいたお客さんや店員さんから一斉に視線が集まる。こういう風に見られるのは慣れているはずだが、場所が場所な事もあってか冷汗が背筋を伝う。やはり来るべきでは無かったと踵を返そうとした所で服の裾をそっと引かれたのに気が付いた。
「大丈夫ですよ。皆さん男性が来たのに驚いているだけですから」
「そうなんでしょうか?なんか申し訳ないです」
「そういう気遣いが出来る拓真さんはとても素敵ですが、あまり気にし過ぎるのも良くありませんよ」
「確かにそうですね。――よし、可愛い彼女の為に頑張ります」
「か、可愛いって。はぁ~、幸せです」
蕩けた表情を浮かべながらモジモジとしている菫が見れただけでも俺としては大満足です。とはいえ何時までもこうして眺めている訳にもいかないし商品を選ばないと。
「そういえば俺が選ぶという話でしたが、それぞれ好きなデザインもあるでしょうし選んだ物を俺が見るという感じで良いですか?」
「はい。それで問題ありません。あっ、そうだ。拓真さんにお聞きしたいのですが清楚系とセクシー系どちらがお好きでしょうか?」
「どちらも好きですが敢えて言うなら状況によって履き分けて欲しいです。例えば普段は清楚系だけど、夜の営みの際はセクシー系とかですね。あとは身体のラインが出る服を着る時もセクシー系だとグッドですね」
「ふむふむ。成程。それでは可愛い系はあまり好みでは無いという感じですか?」
「中高生くらいの年齢だったらありだと思いますが、大人の場合はちょっと……」
「私達の中だと桜ちゃんが可愛い系も有りという事になりますね。では私達は清楚系とセクシー系で探しましょうか。それでは選んでくるので少しだけお待ち下さい」
「ここら辺で待っていますのでゆっくり選んできてください」
「はい。お気遣い頂き有難うございます」
雪音と話し終えた後それぞれが下着を選びに行ったので俺だけがポツンと残される形になった。戻ってくるまで突っ立たままなのも不自然なので適当に並んでいる商品でも眺めるか。
しかしあれだな。女性用下着は男物と違って種類が豊富だし、デザインも多種多様で羨ましい。男の場合は無地かプリント柄が基本でバリエーションなんて殆ど無い。生地もコットンが主流で化繊や天然素材の物はあまり多くは無いし、そもそもの話男で下着に力を入れているという人は少数では無いだろうか。実際俺もショッピングモールで三枚セットで六百八十円という激安のトランクスを履いているし、拘りも無いので何の不満も無い。
そんな事を考えつつ、何となく目についた商品の値札を見て見ると上下セットで千五百円という驚きの値段が飛び込んできた。見た感じかなり細部まで作り込まれたデザインだし、安っぽさも一切感じない。恐る恐る商品に触れてみると手触りも良いし、裁縫も確りしているのすぐに解れたりはしないだろう。正直女性用下着の相場は分からないが、少なくともこれだけ良い物であれば六千円~七千円くらいしてもおかしくは無いと思う。もしかしたらこの商品のみ在庫処分で格安になっているだけという可能性もあるので他のも一応値段を見てみるか。
――結果としてはどれも同じような価格で、高級品に分類される商品でも三千円以下というどうなっているんだ?と頭を抱えたくなるような内容だ。この世界で俺が買ったトランクスの値段は一枚四千円くらいしたので、大体女性用下着の二.七倍になる。何故ここまで価格差が生まれるのかと頭を悩ませていると選び終わった彼女達が戻ってきたようで声を掛けてきた。
「お待たせいたしました。……何かありましたか?」
「待っている間適当に商品を見ていたのですが値段が凄く安くて驚きました。男物は物凄く高いのに何でこんなに価格差が生まれるのだろうと疑問が浮かんで少し考えていたんです」
「そうなのですね。――答えは簡単で需要と供給の差です。女性の方が圧倒的に多いのであらゆる分野の会社がメインターゲットに据えて商品を開発・販売しているので価格競争が生まれて安くなります。また買う人も女性が殆どなので特大の需要が生まれます。結果として高品質の商品が安く買えるという好循環が生まれます。翻って男性の場合は絶対数が少ない上に最低限の物以外は買わない傾向があるので必然的に男性をターゲットにした商品は少なくなりますし、売れない為値段も上がってしまいます」
「あー、言われてみれば小百合の言う通りですね。どうしても考え方が俺が居た世界基準になってしまうのでこれは気をつけないと駄目ですね」
「ふふっ、そこまで気になさる必要は無いと思いますよ。今回の様に都度私達がお教えしますし、拓真さんの新しい一面を知ることが出来て嬉しいですから」
「そう言う事なら良いのかな?」
「はい。――あの、選んだ下着を今から試着するので着替え終わったら見てもらっても良いですか?」
「勿論です」
「お待たせさせてばかりで申し訳ありませんが、着替え終わるまで少しだけ待っていて下さい」
「分かりました」
男の場合は下着を試着するなんて事は無いから分からないが、服とかと違って直接肌に当たるものだし絶対に買わないといけないのだろうか?それだとサイズが合わない場合は無駄な出費になるし……。もしかして服の上から着けるのかな?あ~、それだと履いた時に微妙にサイズが小さいとか大きいとかありそうだよな。んー、良く分からん。謎です。
推理小説を読んでいる時並みに思考を巡らせたが手掛かりすら掴めず思わず溜息が出そうになった時試着室のカーテンが少し開き雪音が顔を出しながら声を掛けてくる。
「拓真さん。終わりましたので試着室の中に来て下さい」
「えっと……、俺が入っても大丈夫でしょうか?問題になったりしませんか?」
「大丈夫ですよ。寧ろカーテンを開けた状態で見て貰う方が色々と問題になります」
「確かに。それじゃあお邪魔します」
中に入った瞬間目に飛び込んできた光景に思わず生唾を飲んでしまう。完璧に調和がとれた溜息が出る程の肉体美、そして女性であれば誰もが憧れるだろう胸は大きく、腰は括れ、脚はスラリと長くて無駄な贅肉が一切無い至高の脚線美。正直雪音の身体は隅々まで見ているし、なんなら週に二回は裸体を拝んでいるがそれでも見慣れることは無く、その美しさに見惚れてしまう程だ。
つい無言になって凝視していると、頬を赤らめながら雪音が少し恥ずかしそうにしながら言の葉を紡ぐ。
「どうでしょうか?どこか変な所があれば言って下さいね」
「とても綺麗ですし、似合っています」
「よかった。先程まで無言で見ていらしたのでもしかして似合っていないか、拓真さんの好みでは無いのでは?とドキドキしていたんです」
「それはすみませんでした。雪音があまりにも美しかったのでつい見惚れていました」
「そ、そうですか。なんか照れちゃいますね。あはは……」
そう言った後少しモジモジするのはいけないと思います。狭い室内なので時々身体が当たるし、動くたびに胸が揺れ、柔らかい太ももが俺の脚に当たるんですよね。下着を身に着けているとはいえほぼ裸みたいなものなんだからその威力は推して然るべき。
しかし本当に良い身体をしているなぁ。……少しくらいなら触っても大丈夫だろうか?彼氏彼女なんだし嫌がられることは無いとは思うが、他の人も居るし結構リスクはある。もしイチャイチャしている時に店員さんが来たらアウトだし、我慢するのが正解とは分かっているがこの生殺しの状態で何時まで理性が持つかが問題だ。さっさと試着室から出れば良いだけだろと思うかもしれないが、足がまるで縫い留められたように動かない。となれば俺に出来る事はただ一つ。流れに身を任せよう。
「拓真さん。触りたいのでしたらどこでもお好きに触って下さい。私の身も心も全て拓真さんの物ですから、遠慮せずにどうぞ」
「――分かりました。じゃあちょっとだけ触りますね」
「はい。……んっ、気持ち良いです」
「雪音のお尻は柔らかいのに適度な弾力があっていつまでも揉んでいられます。それにここも」
「あっ……、そこは弱いのでダメです」
「もうちょっとだけ触らせて下さい。それに口では嫌だと言っても身体はそうでは無いみたいですよ」
「うぅ~」
可愛らしい呻き声を聞けたし、この辺でここを弄るのは止めておくか。次は脚を触って、その後はお腹と胸を触ろう。やばい、滅茶苦茶楽しくなってきたぞ。さっきまでリスクがどうとか考えていたがそんなものはどうでもいい!今はただ雪音の身体を堪能する事に全身全霊を注ぐべきだろう。
性欲に支配された結果雪音の腰が抜けて立てなくなるまでやってしまった……。肌は汗ばみ、頬を上気させて息も荒い。くたっと壁にもたれている姿はエロ過ぎるが今の俺はそれどころではない。雪音が座り込んでしまった時点で我に返り冷静になって物事を考えられるようになったからこそ現状が如何にマズイかが理解できる。まず最初にやるべき事は謝罪だろう。
「大変申し訳ございませんでした。感想を言うだけだったのに、こんな事になってしまって申し開きの余地もありません。本当にすみませんでした」
「いえ。お好きにして下さいと言ったのは私ですし、拓真さんは何も悪くありません。それにとっても気持ち良くて幸せでしたしwin-winという事にしませんか?」
「そう言って貰えるのは有難いですが本当に良いですか?」
「はい。拓真さんも満足されたようですし、私も先程申し上げた様に気持ち良くて幸せだったので何も問題はありません」
「分かりました。――たが今後は同じような事態にならない様に節度を持って行動したいと思います」
「私としては今よりもっと進んだ行為でも一向に構わないのですが、それは機会があればという事にしましょうか」
「………………はい」
おいおいおい、なんだこのエロ可愛い女性は!付き合う前も男の理想を体現した女性だったけど、エロ方面も他の追随を許さない強さとか完璧超人を通り越して究極超人じゃないか。強い、余りにも強すぎる。戦闘力を計ろうとしたらスカウターが爆発四散する位の強さは間違いなくある。正直俺には勿体ない程の女性だし、俺が居た世界基準で考えると地位、名誉、権力、財力全てを兼ね備えた超イケメンとお付き合いしたり結婚できるスペックを有しているからな。男女比が著しく偏っている世界だからこそ俺でも幸運な事に結婚を前提にお付き合い出来ているが、少しでも釣り合いが取れる様に努力を怠ってはいけない。改めて自戒した所で冷静になった思考が告げてくる。いつまでも試着室に居たら怪しまれるだろうと。
「それじゃあ試着した感想も言いましたし俺はこれで失礼します」
「分かりました。あっ、そういえば菫たちも私と同じように拓真さんに見てもらって感想を欲しいと言っていたのでお願いしてもよろしいでしょうか?」
「途中で理性が焼き切れてまともな感想を言えなくなる可能性がかなり高いですが、それでも大丈夫でしょうか?」
「もしそうなったら各々で対応すると思いますので問題ありませんよ」
「雪音がそう言うなら……分かりました。では行って来ます」
「はい。いってらっしゃいませ」
雪音と別れた後に順番に下着姿を見て感想を言ったが、よく耐えたと思う。二人目まではギリギリのところで理性を保てていたが、三人目からはどんな話をしたのかよく覚えていない。騒ぎになっていないし、彼女達も至って普通な様子を見ると取り返しのつかないやらかしはしていないのだろう。
今まで何度も悟りを開けそうなほどの出来事があったが今回は別格だ。――もしゲームであれば求道者の称号を得られるくらい心身共に限界を超えた戦いだったぜ。
だが、その甲斐あってあとは俺が伝えた感想をもとに各々で好きな商品を買って終わりだ。買い物が終わるまである程度時間が掛かるだろうし、ぼけっ~と突っ立って心を休めよう。まだまだデートは序盤なのだから。
雪音達の買い物は思っていたよりも短時間で終わり、お店を出て下着屋さんがあるフロアを歩いている。服を買う時もそうだったが基本的に余り時間を掛けずに買う物を決めてしまうタイプの様だ。下着の場合は長時間身に付けるものだからこそ吟味するだろうなと思っていたので少し以外だ。
まあ、待つ方としてはササッと決めて買ってくれるのは有難い限りなのだけどね。
「次は五階ですね。どんな物が売っているフロアか分かりますか?」
「少々お待ちください。……えーと、子供服売り場ですね」
「俺達には関係ないですし、飛ばして六階に行くのもありですね」
「将来子供が出来た時の事を考えて少し見てみたいのですが駄目ですか?」
「確かに先の事を見据えるなら今から色々と見てみるのもありですね。じゃあ、行ってみましょう」
「はい」
小百合の提案に乗る形で五階へと上がるエスカレーターに乗り込む。子供が生まれるのはまだまだ先の話だが、見るだけならタダだし問題無いだろう。




