第六十二話
快楽落ち事件から十分ほど経ち大分落ち着いてきたので先程の件について麻美さんに聞いてみる事にした。
「あの、私がお義母さんと呼んだ後に様子がおかしくなっていましたがなにがあったのでしょうか?」
「お恥ずかしい話ですが拓真さんからお義母さんと呼ばれたのがあまりにも嬉しくて感情の制御が出来なくなってしまいました。結果としてあのような醜態を晒してしまい申し訳ありません」
「そういう事だったのですね。もしかして私が何かしてしまったのかと思い心配していましたが良かったです」
「拓真さんの様に素敵で格好良くて、礼儀正しい男性からお義母さんと呼ばれるのがこれほど幸せだとは思いませんでした」
「麻美さんの言う通りです。私なんか恵子お義母さんと言われた瞬間全身に電流が流れましたもの」
「人生で最大の衝撃でしたね。目が開くとはこの事かと実感できました」
「分かるわ。あぁ、私はこの人と出会うために生まれてきたのだと強く感じましたから」
「拓真さんの様な男性が義子なんて今でも信じられません。本当に幸せ過ぎてどうにかなりそうだわ」
「明美お義母さん。思い出しただけで胸がドキドキしてしまうし、多幸感で満たされてしまうわ。はぁ~、幸せ」
麻美さん、恵子さん、美咲さん、由美子さん、裕子さん、明美さんの順でそれぞれ感想を言っていたが内容的にちょっとどうなんだろうか?まだ出会ったばかりだというのにここまで高評価を頂けるのは嬉しい反面少し怖くもある。まあ嫌われたり、この人とは合わなそうだなと思われてないだけマシなんだけどもね。今後俺が下手をしない限りは良い関係が築けそうだし、頑張っていかなければいけないな。
「それではお話も一段落付きましたしお食事にしましょうか」
「そうね。つい話し込んでしまったけれどもうすぐ夕ご飯の時間ですものね」
「はい。事前にコース料理を頼んでいるので店員さんにお願いしてきます」
「分かったわ」
雪音と麻美さんのやり取りを聞きつつ内心ではかなり焦っている。こういう高級店での食事は数える位しかしたことがないので未だにマナーやルールを覚えきれていないんだよな。それに今回は義母達も一緒だし尚更失敗は出来ない。うぅ……お腹が痛くなってきた。
下を向いてお腹に手を当てていると小百合が心配そうな表情を浮かべながら声を掛けてきた。
「拓真さん、顔色が悪いようですが大丈夫ですか?もし体調が悪いのでしたら言って下さいね」
「ちょっと緊張でお腹が痛くなっただけですのでご心配には及びません」
「そうですか。――でも心配ですね。宜しければ何に緊張しているのか教えて貰ってもよろしいでしょうか?原因が分かれば解決できるかもしれませんし」
「お恥ずかしい話ですがこういう高級店での食事のマナーやルールについて不勉強でして。もしお義母さん達の前で間違ったらどうしようと思うと緊張してしまって」
「成程。私が見てきた限り拓真さんは綺麗にお食事をしますし何も問題無いと思いますよ。お母様もマナーについては最低限で来ていれば口うるさく言いませんし。そうですよね?お母様」
「ええ。小百合からお墨付きを貰えるほどであれば何の問題もありません。それに楽しく食事をしたいですし細かい事はあまりにお気になさらないで大丈夫ですよ」
「有難うございます。そう言って頂けて少し気持ちが楽になりました」
気を遣わせてしまい申し訳ないが大分精神的に楽になった。とはいえいつもより気を付けて食事をしなければいけないのは変わらないので気を緩めずに行こう。気を引き締めた所で雪音が戻ってきてもうすぐ食事が運ばれてくると伝えてきたので大人しく席に座って待っていよう。
他愛も無い話をしつつ時間を過ごしていると店員さんが料理を運んできて目の前に並べていく。どれも美味しそうで早く食べてみたい衝動に駆られるが焦ってはいけない。
全員に料理が行き渡った所で頂きますをしてご飯を食べ始める。最初は皆黙々と食べて料理に舌鼓を打っていたがある程度箸を進めた所で裕子さんが話しかけてくる。
「そういえば拓真さんは普段食事はどうしているのですか?」
「千歳さん達が毎日作ってくれるので用意して頂いたご飯を食べています」
「まあ、そうなのですね。娘の料理はお口に合いますか?一通りは作れるように教育はしているのですが少し心配で……」
「千歳さんの作るご飯は凄く美味しくて毎日の楽しみになっています。味も私の好みですし、バリエーションも多くてつい食べ過ぎてしまう事もあるくらいですよ」
「それはよかったです。でも男性にここまで言って貰えるなんて娘に嫉妬してしまいそうです」
「あ、あははは……」
これはどう返すのが正解なんだろうか?裕子さんも素敵ですし嫉妬する事はありませんよと言うのは千歳から反感を買いそうだし、かといってそれだけ千歳が魅力的な女性という事では?と返すのも問題だろうし。愛想笑いでなんとか逃げ切れたから良かったが、今後の事も考えてもっと上手い返事の仕方を身に付けないといけないな。
「そういえば拓真さんは好き嫌いはありますか?もし今食べている料理で苦手な食材があれば無理をして食べる必要はありませんからね」
「お気遣い頂き有難うございます。特に好き嫌いは無いので大丈夫です。ただドリアンやシュール・ストレンミング、ホンオ・フェ等の臭いがキツイ食べ物は流石に無理ですがそういった物でなければ問題ありません」
「好き嫌いなく食べられるなんて偉いですね。料理を作る側からしても色々なレシピに挑戦できるのでとても嬉しいんですよ。それと臭いがキツイ食べ物や独特の味がする食材は私も苦手です。ああいった物を好んで食べる人もいるのでしょうがちょっと……」
前半は慈母の様な表情で話していた裕子さんだったが後半は苦虫を嚙み潰したよう顔で話していたが何か嫌な思い出でもあるのだろうか?まあ特殊な食材を好む人や所謂ゲテモノを好んで食べる人も世の中には居るし人それぞれなんだろうが俺は無理だな。例え彼女の手料理で出されたとしても口を付けることは無いだろう。ぐっ……、なんか臭い食べ物を想像していたからか胃が少しむかむかしてきた。ここはお吸い物で気持ちと胃のムカつきを緩和しよう。
話の流れから思わぬ事態になったりもしたが会話も弾んでいるし良い感じだな。それにご飯も美味しいし幾らでも食べられそうだ。特にこの天ぷらが外はサクサク、中はふわふわで滅茶苦茶美味しいのでお代りしたいが出来るのかな?でもコース料理だしもし頼むとしたら一品料理として注文しなければいけないのかもと考えていたら美咲さんが話しかけてきたので思考を一旦終わらせる。
「拓真さん。今の生活で何か困っていたり、不自由している事はありませんか?」
「そうですね……。現状困っている事や不自由している事は特にありません。ただ困っているというのとは違うのですが友人が欲しいです」
「友人ですか。それは男性、女性どちらでしょうか?それとも両方ですか?」
「男同士腹を割った話をしたり、男性特有の悩みを聞いてもらったり、下らない事で盛り上がったりしたいので出来れば男性の方が良いです」
「成程。そういう事であれば確かに同性の方が良いと思いますがこの世界の男性は基本的に人前に出る事はありませんし、他者との交流を拒む傾向が非常に強いです。ですので運良く出会えたとしても友人になれる可能性は限りなくゼロに近いかと思います。女性であれば選り取り見取りなのですが」
「そういう事情であれば男の友人は難しそうですね。ただ可能性がゼロではないのなら可能な限り頑張ってみようと思います」
「はい。私も出来る限りお手伝いしますので一緒に頑張りましょう」
「よろしくお願い致します」
うーん、やはり男友達を作るのは難しいか。エロい話で熱い議論を交わしたり、あの子が可愛いとかどこどこの受付嬢がおっぱい大きくてエロいとか、オナ禁を一ヶ月続けた後シコるとぶっ飛ぶぜ!みたない話が出来ないのは残念極まりないが仕方ない。野郎相手だからこそ出来る話であり相手が女性だったら絶対に無理だからな。セクハラどころの騒ぎじゃないし、最悪情緒不安定になったり、PTSDに罹る可能性もある。だからこそ当たり障りの無い内容かつ相手に配慮して会話しなければいけないから、ざっくばらんに遠慮なくどんな内容でも話せる男友達には勝てないよな……。
何時か男友達が出来たらいいなと思いつつ食事を進めながら前に座るお義母さん達に何気なく視線を向ける。今更だが洋服が三人、和服が三人でバランスが良いな。皆さん既婚者――精子提供を受けて子供を作った場合は既婚・未婚どちらになるのだろうか?狭義の意味で言えば未婚だろうし、広義の意味で言えば既婚と言えなくもない。ここら辺はかなり難しい問題なので既婚という事にしておこう――なので和服を着ている人達は訪問着を着用しているが素人の俺から見ても良い品だと分かる。色やデザインに華やかさはあまり無いが落ち着いた印象を相手に与えるし、洗練された感じだ。個人的にもこういったシックなデザインが好きなのでつい見入ってしまうな。
「拓真さん、じっとこちらを見ていますが私の顔に何か付いていますか?」
「あっと、これは失礼しました。裕子さんのお召しになっている着物がとても素敵なのでつい見惚れてしまっていました」
「まぁ、嬉しいわ。もう少し華やかなデザインの方が良いかと思っていたのですが気に入って頂けたようでなによりです」
「こちらこそ素晴らしい着物姿を見ることが出来てとても嬉しいです」
「そんなに褒められると恥ずかしいです……」
裕子さんが頬を赤らめながら少し俯いてしまったが滅茶苦茶可愛いんだが。とても二十歳前半の子供がいるとは思えない可愛さ。もし千歳さんのお母さんじゃなかったらワンチャン狙いでアタックしていたかもしれないくらい破壊力がある。
「私も着物を着ているのですがどうでしょうか?」
「とてもお似合いですよ」
「有難うございます。でも折角ですから全身を見てもらってもよろしいですか?」
「勿論です」
俺が返事を返してすぐに明美さんが立ち上がりゆっくりと一回転する。和服を着こなすのは結構難しくて姿勢や歩き方、所作が非常に重要になる。ここが出来ていないと見た目も悪くなるし、品が無いように映るのである程度訓練しなければいけない。だが、明美さんは全てを完璧に熟していて流石という他無い。
「綺麗です」
「そう言って頂けてとても嬉しいです。でも綺麗だなんて男性から初めて言われたのでドキドキが止まりません。あぁ、もう。年甲斐も無く胸の高鳴りが止まらないわ」
「でも本当に綺麗ですし、所作も洗練されていて美しかったです」
「……はぅ……」
明美さんが耳まで真っ赤にしてへたり込んでしまったが、大丈夫だろうか?心配になり透香の方へ目を遣ると一つ頷いてから口を開く。
「お母様でしたら心配ないですよ。拓真さんから沢山褒めて頂いてオーバーヒートしたんだと思います。暫く休憩すれば落ち着くと思うのでそっとしておきましょう」
「分かりました」
こうして明美さんは少し休憩という事になったので俺もお茶でも飲んで一息つこうかなと思った矢先に今度は麻美さんが私の着物姿も是非見て下さいと言ってきたので鑑賞する事に。
うーん、裕子さんや明美さんと違って色が少し明るめでデザインも華やかだがこれはこれで良いな。麻美さんの雰囲気にも合っているし、スタイルが良いから実に絵になると言った事を麻美さんに伝えたらオーバーヒートしてしまったのでしばらくお休みしてもらう事になった。
色々とあったが一段落したのでお茶で喉を潤して一息ついていると、小百合から質問が飛んできた。
「拓真さんは和服がお好きなのですか?」
「はい、好きです。日本の伝統的な服装ですし、何よりも奥ゆかしさや独特の色香があってとても魅力がありますから。勿論洋服が駄目という事では無く、どちらも素敵ですし良いと思います」
「そういう事でしたらこれからは着物を着る機会を作った方がよさそうですね。三着ほどしかないので新しいのを今度買いに行こうかしら」
「素朴な疑問なのですが小百合は自分で着付けが出来るんですか?」
「はい、出来ます」
「おぉ、凄い。着付けって着物や帯以外にも沢山小物が必要になりますし、扱い方もルールが一杯ありますよね。それに襟元や袖口・帯周りなど細かい部分にも気を使わなければいけませんし慣れている人でも大変ではないですか?」
「仰る通りある程度慣れていても時間は掛かりますね。洋服と違って簡単に着られませんし、難しい部分も多いですが一度徹底的に勉強して慣れてしまえばそれ程大変では無いんですよ」
「そうなんですね。俺の場合浴衣でも着るのに手間取ってしまうので羨ましいです」
「着物や浴衣は普段着る機会があまりありませんし仕方ないかと。もし和服を着る機会があった時は私が拓真さんの着付けをしますのでご安心下さい」
「有難うございます。その時はよろしくお願いします」
「はい。お任せ下さい」
これで着物や浴衣を着る時も安心できるな。でも、小百合が居ない時はどうしよう……。着付け師や美容室でやってもらうしかないのかな?いや、待てよ。そう言えば雪音達も自分で着付けできるって前に聞いた事があったし、お願いするのもありか。ふふふっ、まさに盤石の体制だな。
完全な他力本願だがまあ良いだろう。などと下らない事を考えている間に明美さんと麻美さんが復帰したので頭を切り替える。
最初は緊張していたがなんだかんだで楽しい食事も終わりに近づいて最後にデザートとして出されたのは創作羊羹だ。今回出されたのは透明な羊羹の中に金魚が泳いでいて、水流まで再現されている至極の一品となっている。こういう目でも楽しめるお菓子というのは初めてだが非常に美しい。正直食べてしまうのが勿体なく感じるが手を付けないのは失礼だし頂くことにしよう。
真ん中から切ったら金魚が真っ二つになってしまうので、なるべく避けて切り分けた方が良いよな。下半身しか残っていない金魚とかちょっとグロテスクだし……。上手い事切って一口食べると上品な甘さと爽やかな風味が舌を喜ばせる。普通の羊羹とは違い小豆が使われていないので口に残る甘さも無いし、舌触りもとても良い。これは美味いな。つい無言になってパクパクと食べ進めていると、恵子さんが話しかけてくる。
「拓真さんは甘いものがお好きなのですか?」
「割と好きです。自分から買いに行くほどよく食べる訳では無いですが、お客様から頂いたりコンビニに買い物に行った際に食べる事が多いです」
「そうなのですね。普段は和菓子と洋菓子どちらをよくお食べになるのですか?」
「洋菓子が多いですね。ケーキとかシュークリーム等が好きでよく食べます。ただカスタードクリームが苦手なので使われているお菓子は避けています。後は和菓子ですがこちらは特に苦手な物はないので何でも食べます」
「ふむふむ、カスタードクリームが苦手なのですね。これは気をつけなければいけませんね」
「絶対に食べられないという事は無いのですが、舌触りと味が独特なので好んで食べるという事はありません。カスタードクリームではなく生クリームを使っているお菓子であれば問題無いのでそちらを基本的には選んでいますね」
「成程。拓真さんに差し入れ等をする際はそう言った点に注意しないと駄目ですね」
「お気を遣わせてしまいすみません」
「いえ、誰にでも苦手な物はありますのでお気になさらないで下さい」
もし間違ってカスタードクリームを使ったお菓子を貰っても誰かに食べてもらえば良いだけだし、さして問題はない。それに頻繁に食べる訳でも無いから大丈夫だろ。羊羹の最後の一切れを食べながらそんなこと思う。
――さてと、これで出された料理は全て食べ終わったが正直物足りない。腹六分くらいなのでもう少し食べたいがここは我慢だな。家に帰ってから冷蔵庫にある食材で軽くご飯を作れば良いだろう。最悪コンビニで適当に弁当でも買って帰れば良いしな。食べ終わったお皿を眺めながら考えていると菫が小声で話しかけてきた。
「拓真さん、これだけだと足りないでしょうしお料理を追加で頼みましょうか?」
「こういった場で追加で何か頼むのはマナー違反になったりしませんか?それにお義母さん達に悪印象を持たれたら嫌ですし……」
「大丈夫ですよ。マナー違反にはなりませんし、お母様も気にしないでしょうから問題ありません」
「そうですか。じゃあお言葉に甘えて頼む事にします」
「はい。メニュー表をどうぞ」
「有難うございます」
あまり時間を掛ける訳にもいかないのでメニュー表を流し見して気になった料理を選んだ後、店員さんを呼んで注文をする。個室から店員さんが出て行ったタイミングで由美子さんが声を掛けてきた。
「男性なのですから私達よりも沢山お食べになるのを失念しておりました。申し訳ありません」
「こちらこそ皆さんの食事が終わったのに時間を取る様な真似をしてしまいすみません」
「拓真さんが謝る様な事は何もありません。――娘から話を聞いて事前に多めに注文していればよかったですね。失敗です」
「いえ、小百合さんに伝えていなかった私の落ち度でもありますのでお気になさらないで下さい」
「……分かりました。ところで拓真さんは普段どのくらいご飯をお食べになるのですか?」
「小百合さんが食べる量の二倍ちょっとですね。ファミレスなどに行った際は必ず二人前を頼むので大体それ位かと」
「まあ、健啖家でいらっしゃるのですね。これは料理の作り甲斐がありそうです」
「自分では普通くらいだと思っているのですが、この世界だとかなりの大食いになるんですよね」
「そうですね。私も他の男性の食事量は存じ上げないので比較は出来ないのですが、拓真さんはかなり食べる方だと思います。でも男性らしくて良いのではないでしょうか」
「あはは。有難うございます。毎日彼女達が美味しいご飯を作ってくれてつい食べ過ぎてしまうので最近は太らない様に注意しているんですよ」
いくら週三回トレーニング施設で運動しているとはいえ気を抜くとすぐに太ってしまうからな。元々太りやすい体質では無いのだが、十代の頃と比べれば代謝も落ちているだろうし痩せづらくなっているはずなので色々と気をつけな良ければいけない。普段の食事に関しては彼女達が栄養バランスやカロリー計算をして作ってくれているので多少食べ過ぎても多分大丈夫だと思うが、寝る前にチョコやポテチをつまむのは止めた方が良いだろう。でもあの背徳感がたまらないんだよなぁ。駄目だというのは分かっているんだけどつい手が伸びてしまい、気が付けば半分以上食べていたなんて事も多々ある訳で……。
女性がムッチリしているのは一定の需要があるが、男がムッチリしているのは普通に見た目も悪いし駄目だろうな。折角恋人が出来たのに太って嫌われてしまうとかなったら目も当てられないので体形維持に今後は努めよう。
そんな風に思いつつ、使い注文した料理が届いたのでササッと食べてしまう。
食事が終わった後はお茶を飲みつつ雑談をして楽しい時間を過ごしているが、なんだかんだで結構時間が経っているのではないだろうか?時間的に大丈夫かなと雪音の方に視線を送ると一つ頷いて口を開く。
「それではそろそろ良いお時間ですしこの辺りでお開きしたいと思います」
「分かったわ。拓真さん、本日は楽しい時間を過ごせました。本当に有難うございます」
「こちらこそお義母さん達と色々なお話が出来て楽しかったです。また機会があればお店に来て頂けると幸いです」
その後各々挨拶をしたあと顔合わせは終わりとなった。最初はどうなる事かとドキドキだったけど、楽しくお話を出来たし、お義母さん達の為人も分かったので実に有意義な時間を過ごせた。ただこれで終わりでは無く、より良い関係を築いていく為にも努力していかなくてはいけない。
なにせ将来は家族になるのだから良好な関係は必須だ。よし、これからも頑張って行こう。




