第五十話
春も近づき大分暖かくなってきた今日この頃だが、季節の変わり目で体調を崩す事も無く元気で居られるのはやはり普段の生活が確りとしているからだろう。冬の間は風邪を引かない様にと雪音さん達が食事にいつも以上に気を使ってくれていたし、暖房をつけっぱなしにしていたのでわざわざ加湿器を買ってプレゼントしてくれたくらいだ。あとは定期健診でも普段よりも時間を掛けて入念に検査もされたっけ。そのおかげで風邪やインフルエンザに罹る事も無くいつも通りで居られたのは間違いないだろう。
寒さも和らぎ気温も上がってくると、外に出る機会も多くなる。俺も御多分に漏れず日課だった散歩を再開したり、気になるお店に行ってみたりと結構アクティブになっている。何かをするには丁度良い季節だが、今日はいつもの休日とは違う過ごし方をする予定だ。なんとボランティア清掃に参加する事になったのだ。何故そんな事になったかと言うと二週間前の休日まで遡る。
雪音さん達女性陣全員と夕飯を食べていた時に桜ちゃんが申し訳なさそうな表情で声を掛けてきたのが始まりだ。
「拓真さん。再来週の土曜日なのですが学校の行事がありまして、もしかしたら一緒に居られないかもしれません」
「そうなんですね。まあ学校関係なら仕方ないですよ。――でも休日に行事をするなんて学園祭とか体育祭とかですか?」
「いえ、そう言った大きなものではなくボランティア清掃です。強制参加では無く任意なのですが内申点にも影響を与えるのでなるべく参加した方が良いという感じですね」
「成程。それならどうしても外せない予定が入っているとかでない限り参加した方がいいですね」
「そうなんですが……、丸一日拓真さんとお会いできないとなると寂しいですしどうしようか迷っているんです。多少の内申点よりも拓真さんと一緒に居たいという気持ちの方が強くて……」
俺と一緒に居たいというのはとても嬉しいが将来を見据えると内申点はなるべく稼いでおいた方が進学に有利になるし、参加した方が良いと思うのだが桜ちゃんの心情も考慮しなくてはいけない。感情を押し殺して嫌々ボランティア清掃をしても得る物は無いだろうし、精神的にも大きな負担になるだろう。その辺りも考慮して俺が出せる答えはこれかな。
「その行事には外部の人も参加出来たりするんですか?」
「基本的には学生だけという形になっていますが、先生からOKを貰えれば大丈夫だと思います」
「そうなんですね。じゃあ俺も参加してもいいか今度聞いてもらっても良いですか?」
「勿論です。ですが学校行事なので多分面白くないと思いますし、初対面の人ばかりに囲まれる事になりますが問題ありませんか?」
「大丈夫ですよ。俺も少しは社会貢献しないとなと思っていましたし丁度良いタイミングです。それと接客業をしているので初対面の人でも問題無くお話したり出来ますから」
「そう言う事であれば明日にでも先生に聞いてみますね」
「お願いします」
あとは学校側の返答次第だがもしNGが出されたら、桜ちゃんには申し訳ないが一人で参加してもらうしかないな。その場合は日曜日にでもいつも以上に一緒に遊んで気を晴らしてもらおうと先の事について考えていると横で話を聞いていた雪音さんが桜ちゃんの方を向いて声を掛けた。
「あの、その行事に私達も参加したいのですがよろしいですか?拓真さんお一人だと何かあった時に即時対応が出来ませんし、菫が居れば護衛も出来ますから」
「……私を引き合いに出すのはいいけど、本音は?」
「拓真さんと一緒に居られないのは耐えられません。丸一日拓真さんと会えないとか死んじゃいます」
「うん、確かに雪音の言う通りだわ。という事でなんとか先生から許可を取って下さいね、桜ちゃん」
「お任せ下さい。どんな手段を使っても首を縦に振らせて見せます」
「いざとなれば私からお母様に頼んで捻じ込んでもらうので、無理そうなら言って下さいね」
「その時はよろしくお願いします」
ふんすっと気合を入れている桜ちゃんは可愛いが、会話の内容が不穏過ぎる。確かに小百合さんのお母さんなら日本王国女王の権力を使って如何様にも出来るだろうが、あくまで最終手段だよな?ちょっと心配になるがそこら辺はみんな良識の範囲内で動いてくれるだろう。たぶん、きっと、おそらく。
あとは話の流れから透香さんも来るだろうし、騒ぎにならないか少し心配だな。その点について今のうちに話を詰めておこう。
「透香さんも来るとなると学生たちが大騒ぎしそうなんですが、どうしましょうか?」
「事前に説明しておけば騒ぎになる事は無いと思いますよ。もしそれでも心配でしたら眼鏡を掛けたり髪型を変えたりすれば私だとバレる事は殆ど無いはずです」
「それ位の変装でバレないんですか?」
「案外分からないものなんですよ。例えば――こういう風にポニーテールにすると結構印象が変わりませんか?」
「おぉ~、かなり違って見えますね。これに眼鏡も掛ければ確かに別人に見えるかも」
「下手にサングラスやマスクで顔を隠すよりもこういうちょっとした変化を加えた方が見る人の印象って大きく変わるんです」
「勉強になります。――女性だとメイクでもかなり変わりそうですし、男よりも変装に関しては大分やり易そうですね」
「確かにそうですね。男性の場合は帽子を被ったり、大胆に見た目を変えるのであれば髭を剃ったりという手段になるので女性と比べたら変化に乏しいというのはあります」
俺の場合は髭は十代の頃に永久脱毛しているから生えてくることは無いので、尚更変装の難易度は上がるだろう。まあ、一般人の俺が変装する事なんて無いだろうし気にすることは無いんだけどね。
少し話が逸れたが、透香さんの問題もこれで解決したし、あとは待つだけだな。
という感じの話があって、次の日の夕方に学校側からOKを貰ったという話を桜ちゃんから聞いて諸々の準備を軽くしながら今日を迎えた訳だ。清掃活動という事で動きやすくて汚れてもいい格好で行かなければいけないので、クローゼットから昔に買ったけど一度着ただけで仕舞い込んでいたパーカーとスラックスを引っ張り出す。結構奥の方に仕舞っていたので探すのに苦労したが、なんとか取り出す事に成功した。服の状態はほつれも無く綺麗なのでこのまま着る事は可能だが、如何せんダンボールにずっと置いていたからか独特の臭いがする。流石にこのままだと周囲の人に迷惑を掛ける事になるので急いで洗濯をしよう。時短モードを使えば洗濯・乾燥までして十分くらいで終わるだろう。その間に軽く食事をしたり、出掛ける用意をしておこう。
――選択して綺麗になった服を着て、必要な物を持ったら出発だ。今回は現地集合という事なのでタクシーで最寄りの場所まで行く事にする。家から大体数十分かかるのでその間は車内で適当に外の景色でも見ているか。
暇な時間を無心で過ごしている内に到着したのでタクシーから降りると、すでに女性達が集まっているのが見えたので急いでそちらの方へと向かう。
「お待たせしてすみません」
「いえ、お気になさらないで下さい」
「有難うございます。……あれ?桜ちゃんは制服姿なんですね」
「はい。制服かジャージという指定があるのですが、拓真さんにジャージ姿をお見せする訳にはいきませんので制服にしました」
「そうなんですね。でも桜ちゃんのジャージ姿も可愛いと思いますけどね」
「うぅ……、そう言って頂けるのは嬉しいのですが恥ずかしいです。学校指定の物なので可愛くないですし……」
うーん、ここら辺の感覚は女の子特有のものだろう。俺なんかは小豆色の野暮ったいジャージでも普通に着るけどな。女の子としては少しでも可愛く見られたいとか、ダサい格好はしたくないんだろうな。高校生なら尚更そういう気持ちも強いだろうし。
お店の手伝いに来るときは制服姿なので毎日のように見ているが大変可愛らしいし俺としてはどちらでも大歓迎なんだけどね。っと、何時までもここで話している訳にもいかないし移動しないとな。
「それじゃあ行きましょうか。桜ちゃん、案内をお願いします」
「分かりました」
こうして桜ちゃんが先導する形で集合場所まで皆で移動する事になった。――然程時間も掛からずに目的地に到着するとまず目に飛び込んできたのが女子高生の集団だ。いや、高校の行事なんだから当たり前だろ!と言われるだろうが、百数十人の制服を着た学生集団というのは兎に角目立つし得も言われぬ圧力がある。その光景に気圧されてしまうが、横に居る雪音さん達は平然としているので俺の肝っ玉が小さいだけなのだろう。
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、引率の先生に挨拶をする為に女子高生集団へと向かって行く。一歩一歩近づくたびに近くにいる学生がこちら――俺を見て固まっているが今は無心で進むのみだ。そうして数人で固まっている先生達の元へ辿り着いたのでまずは挨拶をしよう。
「おはようございます。今回のボランティア清掃でお世話になる佐藤拓真と申します」
「おはようございます。私は四季鳴館学院の理事長を務めております甲崎と申します。よろしくお願い致します」
「私は久慈宮さんのクラス担任をしております桜川と申します」
「甲崎さんと桜川さんですね。今日はよろしくお願い致します」
普通に挨拶したけど内心では冷汗がダラダラだ。だって理事長が来ているなんて聞いていないんですけど。というか任意参加の学校行事に学院のトップが来るとか普通じゃ有り得ないよな。もしかして女子生徒ばかりの中に男が一人居るとなればセクハラ的なトラブルが起きるかもしれないし、学生の安全を守る為に参加したとかだろうか?だとすれば納得は出来る。男という生き物は無意識でおっぱいやお尻に視線がいってしまうし、それが女子高生ともなれば何かの拍子に箍が外れるかもしれないので理事長の判断は大正解と言えるだろう。
勝手にそう判断したが、真剣な顔で俺を見ながら口を開いた甲崎さんの言葉で俺の考えが間違っていたと思い知らされることとなる。
「普段はこのような行事には参加しないのですが、今回は男性がいらっしゃるという事で我が校の生徒が不必要な接触をしたり、無理やり佐藤さんに迫ったりしない様に監視役兼責任者としております」
「そう言う事だったんですね。ですが、いきなり抱き付いたり腕を組まれるくらいなら驚きはしますが問題にするような事では無いので大丈夫ですよ」
「「………………」」
甲崎さんと桜川が二人揃って口をポカンと開けている。美人のこういう表情は初めて見るがちょっとシュールだな。ただ、ジッと見るのは失礼なので早々に視線を外す事にしよう。さてこのまま唖然としているお二人を放置は出来ないし何かしら声を掛けた方が良いのだけど、この状況を作り出した俺が何を言っても困惑させそうなんだよな。どうしようかと視線を彷徨わせていると、桜ちゃんが俺の方を見て一つ頷いたのですぐに意図を汲みこの場はお任せする事にする。
「桜川先生。拓真さんは少し特殊な事情がありまして、私達が認識している一般男性とは女性に対する考え方が違うんです。かなりフレンドリーですし、女性に対して忌避感や嫌悪感を抱く事も私が知る限りでは一度もありません。私達が思い描く理想の男性という認識で接して頂けると有難いです」
「驚いてしまいましたがそういう事情がおありだったのですね。では久慈宮さんの言う通りにします。ですがいくら女性に対してお優しいとはいえ節度を持って接する事は忘れてはいけませんね」
「そうですね。生徒も多少接触しても問題無いと分かれば大胆な行動に出る人も居るかもしれませんし確りと目を光らせましょう。桜川先生もよろしくお願いしますね」
「分かりました。――問題が起これば私達の首が飛ぶだけではすみませんしね」
桜川さんの心配も分かるが日本王国三大高校の一つに入学できる学生なんだし大丈夫だと思うんだけどね。集まっている生徒たちをパッと見た感じ素行の悪そうな人も居ないし、制服を着崩したり改造している人も皆無だ。それに今まで接してきたこの世界の女性達の傾向から考えると突拍子もない事をいきなり仕出かすような真似はしないだろう。最悪何か問題が起これば護衛をしてくれている菫さんが対処してくれるだろうし無問題だ。
結論を出した所で甲崎さんがこちらを向いてから声を掛けてきた。
「それでは挨拶も済みましたのでこれより班ごとに分かれてボランティア清掃を始めたいと思います。あちらに生徒が集まっていますのでそちらに移動しましょう」
「はい、分かりました」
全員で十人くらいが一ヶ所に纏まっている場所へと移動する。最初は和気藹々と話していた生徒さん達が俺達が近づくにつれ会話が少なくなり、到着した時にはまるで石像の様にカチコチに固まっていたので思わずクスッと笑ってしまいそうになったが我慢する。
「今回皆さんと一緒にボランティア清掃をして頂く事になりました佐藤さん、静川さん、倉敷さん、九条さん、清川さん、宮前さんです。我が校の生徒としてご迷惑をお掛けしないようにして下さいね」
「いきなりの事で皆さん驚きもあるでしょうが、事前に説明した場合大事になる可能性があった為今迄黙っていました。色々と思う所もあるでしょうが、節度と常識を持って清掃活動をして下さい」
桜川さんに続いて甲崎さんが挨拶をしたが適当に聞き流す学生は一人もおらず、真剣な表情で聞いていたのは非常に好感が持てる。それと桜川さんが事前に俺達の事を紹介してくれたので自己紹介をする手間が省けたのも大きい。ちなみに桜ちゃんは同じ学校の生徒なので態々紹介する必要が無い為省かれている。
とまあそんなこんなで先生から簡単な作業説明を受けた後軍手と火ばさみ、ゴミ袋を受け取って俺達が受け持つ場所へと徒歩で移動する事になった。といっても歩いて五分くらいなのでかなり近いんだけどね。結構離れた場所まで行く班もいるみたいのでラッキーだったな。
「よし、それじゃあ作業を始めますか」
「怪我をしないように気を付けて下さいね。破損している瓶や缶は軍手越しでも絶対に触ったら駄目ですよ」
「ははっ、大丈夫ですよ。火ばさみで取りますし、大きい物の場合は危なくないか確認してからゴミ袋に入れますので」
「その際は私に声を変えて頂ければお手伝いしますので遠慮なく言って下さいね」
「その時はお願いします」
雪音さんが子供に言うような注意喚起をしてきたが、安全第一だからな。何も起こらないだろうと慢心している時こそ怪我をしやすいのでこういう注意は有難い限りだ。無理せずに出来る範囲でやっていきましょう。
それぞれ少し距離を空けてゴミ拾いを開始したが案外ゴミが落ちていない。ポイ捨てする人が少ないのか、はたまた倫理観が確りしている人が多いのかは知らないが軽く見回した限りでは綺麗な状態なんだよな。草むらの中とかベンチの下とかは結構ゴミを捨てやすいのでそこら辺を重点的に見てみよう。
――案の定人の目が届きづらい場所だけあってそこそこあるな。ジュースの缶や、お菓子の袋等いくつか拾った所でベンチの下に落ちている紙袋を発見。次はあれにしようと目を付けた所で同じ班の女子高生がベンチに近づいて行ったので譲る事にした。ただ紙袋のサイズが少し大きいので一人で大丈夫かなと見ていると信じられない光景が飛び込んできた。
てっきりしゃがんで拾うものと思っていたのに、前屈みになって拾おうとしているのだ。ここまでなら何の変哲もない光景だが彼女は制服を着ている。更にスカート丈がお尻が隠れるくらいの短さなので前屈みになるとパンツが丸見えになるのだ。水色の面積が小さめのパンツでスラッと伸びた綺麗な脚とプリッとしたお尻が俺の目を刺激する。しかもだ、態勢的に取りづらいのかフリフリと腰を左右に動かしているもんだからエロい。ただただエロい。この状況を誰かに見られれば間違いなく糾弾されるだろうから視線を外したのだがどうしても見てしまう。
ヤバイ、ヤバイと思いつつも凝視しているとゴミを拾い終えたのか件の女子高生が態勢を戻し、いきなり俺の方に振り返ったではないか。これは確実に俺の人生が終わった……。これでもかと罵倒された挙句ビンタの一発でもくらって済めば良い方だろう。思わず遠い目をして判決を待つ死刑囚のような心境でいると、女子高生が俺の方に近づいてきたと思えばいきなり腰を四十五度に曲げてこう言ってきた。
「お見苦しい物をお見せしてしまい申し訳ありません」
「いえ、俺の方こそすぐに立ち去るなり、視線を外すなりすればよかったのにジッと見てしまいごめんなさい」
「そんな事はありません。私が気を付けていれば避けられた事態ですので。本当にすみません」
「それじゃあお互い様という事で。――それに役得でしたからお礼を言うべきですね」
「お礼を言われるようなことはしていないと思いますが、何かありましたか?」
「えーっと……かなり言い辛いのですが、パンチラの機会を与えていただいたので」
「パンチラですか?」
不思議そうに小首を傾げている所を見るに本当に意味が分からないのだろう。圧倒的に女性が多いこの世界では異性に不意に下着を見られる事なんてほぼ無いだろうし、同性に見られたところで何とも思わないからパンチラという言語自体が存在していない可能性が高い。となれば説明しなければいけない訳だが、女子高生相手にパンチラとは~なんて語るのはある意味で変態で勇者だ。言葉を濁して伝えるのもありだが、下手に誤魔化すと後々マズイ事態になりそうな予感がするし変態のレッテルを貼られるのを覚悟で言うしかない。
「パンチラというのは見せるつもりはないが、何らかの拍子でちょっとだけ下着が見えてしまった状態を言います。まさに先程の状況が該当するので思わず口を衝いて出てしまいました」
「成程。その様な言葉があるのですね。勉強になります。――あの、一つ疑問なのですが男性は女性の下着を見て嬉しいと感じるのでしょうか?見苦しい物を見せられて不快だと感じたり、汚らわしいとは思わないのですか?」
「それは人によりけりだと思います。不快感や嫌悪感を覚える人も極々少数ですが居ると思いますが、俺が知る限り大多数の男は嬉しいと感じますね。相手が美少女や美人だと数日は幸せな気分で過ごせること間違いなしです」
こういうちょっと下世話な話題になると知らずに熱が入ってしまうのは男なら仕方ないだろう。最初はもう少し言葉を選んで伝えようかと思ったが、相手が真面目に聞いてくれているのと嫌な表情を一切浮かべていないのでついつい調子に乗って語ってしまったよ。流石にこれは引かれたかなと不安を覚えた所で、周囲に人が集まっている事に今更ながら気が付いた。というか雪音さん達を始めとして理事長、クラス担任の桜川さん、更には一緒の班になった他の学生もいるんだが……。
冷汗が背筋を伝い、震える声で恐る恐る千歳さんに問いかける。
「あの、どこから聞いていましたか?」
「『それじゃあお互い様という事で。――それに役得でしたからお礼を言うべきですね』の辺りからお聞きしていました。別に盗み聞きするつもりでは無くて、彼女が拓真さんに向かって頭を下げていたので何かあったのかと思い駆け寄った次第です」
「………………思いっ切り最初の方から聞かれていたんですね。ははっ、終わった……」




