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第四十三話

 なんだかんだで一時間半ほど温泉を堪能した後、脱衣所でレンタルの浴衣に着替えて男湯を出る。事前に待ち合わせた時間まであと数分と言った所だが、女性の風呂上りは何かと時間が掛かるだろうしギリギリでも問題無いだろう。というかある程度待つ事になるんじゃないかと思っているし。確か入り口の近くにベンチがあったからそこで座っていればいいだろうと考えつつ女湯の入口へと行くと既に女性陣が待っていた。

「遅れてしまってすみません。待たせてしまいましたか?」

「いえ、私達もつい先ほど上がった所ですからお気になさらずに」

「分かりました。――お風呂上がりですし飲み物を買ってこようと思うのですが、希望はありますか?」

「そうですね……。お風呂上がりの定番と言えば牛乳・コーヒー牛乳・フルーツ牛乳なので私はコーヒー牛乳にしようかしら」

「私は牛乳にします」

「フルーツ牛乳が好きなのでそれにします」

「私も小百合さんと同じものにしようかな」

「牛乳にします」

「えっと、雪音さんがコーヒー牛乳で菫さんと桜ちゃんが牛乳。小百合さんと千歳さんがフルーツ牛乳ですね。それじゃあ買ってきますね」

 近くにあるガラスケースの自販機に端末を翳して人数分の飲み物を買う。出てきたのは懐かしさを感じるガラス瓶に紙の蓋がついた物だった。今は古い銭湯でもガラス瓶に入った飲み物は置いていない事が多いのに、この銭湯の担当者は分かっているな。古いものに造詣が深いのか、はたまた完全に趣味が入っているのかは分からないがいい仕事をしている。

 懐かしい気持ちになりつつも皆の所へと戻りそれぞれに飲み物を手渡す。俺もベンチに座りフルーツ牛乳の蓋を開けると一気に半分ほど飲み干す。本当は腰に手を当てて一気飲みしたい所だが、いきなり冷たい飲み物を大量に体内に入れると危険なので止めておく。それに汚い話だがげっぷが出るから避けたいというのもある。女性の前だしそこら辺は気を付けないとね。

 残りを少しづつ飲んで人心地がついた。隣を見ると丁度女性達も飲み終わるタイミングだったのでこの後どうするか聞いてみる事にした。

「お風呂にも入りましたしこの後はどうしましょうか?」

「そうですね……。湯上りですし少し休憩をするのはどうでしょう。すぐに動くと身体に負担も掛かりますし二十~三十分程安静にしているのが望ましいので」

「分かりました。確か休憩所兼食事処があったのでそこに行きましょうか。実は少しお腹が減っていたので雪音さんの提案は有難いです」

「それはなによりです。それでは行きましょうか」

 そうして全員で休憩所兼食事処へと向かったが、かなり混雑していて座席は殆ど埋まっている状態だ。座れるかなと思いつつ食事を注文した後に空きスペースを探すがなかなか見つからない。

「全員で座れそうな空いている場所がパッと見た限りでは無さそうですが、どうしましょうか?別々に分かれますか?」

「それはちょっと嫌です。拓真さんのお傍を離れるのは寂しいですし」

「それじゃあもう少し探してみましょう」

 桜ちゃんの潤んだ上目遣いに先程の発言は即撤回して目を皿のようにして席を探す。美少女から離れるのが寂しいとか言われたら全力を出して何とかするのが男ってもんだ。単純で現金だなと思うかもしれないがそういう生き物なんですよ男と言うのは。

 ――辺りを見渡しながら探していると、出入り口からかなり離れた所に空いている場所を発見。少し歩かないといけないし、食事の受け取り口から遠い為人気が無いのだろう。

「あそこに空いている場所を見つけたのでそこにしましょう」

「分かりました。私達で席を確保しているので拓真さんは食事を受け取ってから来て下さい」

「そうします。受け取りまで少し時間が掛かると思うので待たせる事になってすみません」

「大丈夫ですよ。では先に行っていますね」

 一人残されて食事が出来上がるまで受け取り口の近くで待機する事になるが、手持ち無沙汰で暇だ。周囲に目を向けると俺を凝視している無数の目と、話し声が聞こえてくる。今まで何度も言ってきた事だが基本的に男は引きこもりで外に出ないのでこういう施設に来る事も無い。そういう認識と事実がある中で浴衣に身を包んだ男がいれば注目の的になるのは当然だろう。とはいえ今更何かを感じる事も無いし好きなだけ観察して下さいと言う感じだ。――俺としては美人・美少女を眺められて眼福だし、見ていて飽きないので最高だよ。よく美人は三日で飽きると言われるが、それは間違いだと声を大にして言いたい。小百合さんと千歳さんとはほぼ毎日顔を合わせているが見飽きる事は無いし、信じられないくらい整った顔立ちはずっと見ていたいと思わせる魅力がある。それに加えてスカートから伸びる黒ストッキングに包まれた脚が大変素晴らしい。全女性に黒ストッキング着用を義務付けて欲しいくらいには俺の性癖の根幹ある大事な要素だ。

 可愛い子を見ながら頭の中で下らない事を考えている内にワンタッチコールが鳴り、受け取り口で頼んでいた料理を受け取ると雪音さん達が待っている席へと向かう。

「お待たせしました」

「お食事は無事受け取れましたか?」

「はい。この通り」

 空いている場所に座りながらトレーに載った塩ラーメンを見せながら言う。席は畳敷きの床に木製のテーブルが置かれていてこれまた定番と言った所だ。胡坐をかいて座り一息ついた所で隣を見ると親子だろうか小学校中学年くらいの女の子とお母さんが座っていた。親子と目が合ったので会釈をしてから前を向き、温くなる前にラーメンを頂くことにする。

 ちなみにご飯を食べているのは俺だけで他の面々はお茶を飲んでいるので少し申し訳ない気持ちになるが、お腹も減っているしさっさと食べる事にしよう。

 黙々とラーメンを啜っていると何故か女性達から微笑ましい視線を向けられているんだが……。もしかして口の端にワカメでも付いていただろうか?

「あの、もしかして口の周りに何かついていましたか?」

「いえ、食事をしている拓真さんが可愛らしくてつい見入ってしまいました」

「拓真さんって凄く美味しそうに食べるし、夢中になると無言になる所とか凄く可愛いわよね」

「あっ、分かります。ちょっと子供みたいで可愛いです」

 雪音さんから可愛いと言われ、菫さんと千歳さんからも同じように言われてしまう。男としては可愛いと言われるのはあまり嬉しいものでは無いが、楽しそうだしまあいいか。

「それにしても久々にラーメンを食べましたが美味しいですね。普段あまり食べる機会も無いので今日食べられて良かったです」

「自分で作るとなると相当手間暇がかかりますからね。一応インスタントのスープの素や麺がありますが、やはりお店で作るものとは雲泥の差がありますから」

「確かに。家の近くにお店があれば通いやすいんですけど無いんですよね。というか飲食店が近場に無いのが辛いです」

「拓真さんのお家の立地上どうしても利益が見込めないのでかなりの人気店でも無ければ採算が取れませんからね。しかもそういうお店はお客さんが沢山来るところにしか出店しませんし」

「ですよね。――歩ける距離にコンビニがあるだけ有難いと考えるしかないか」

 小百合さんと話していて結局はそういう結論に落ち着くことになったが、路地裏で入り組んだ道が多いから人通りも本当に少ないし仕方無いんだけどさ……。でもいつかはチェーン店で良いのでファミレスとか食堂とか出来ないかなと少しだけ期待してはいる。毎日女性達がご飯を用意してくれているが、結構負担だと思うしそれらを軽減する為にもお店が出店してくれると俺が凄く喜ぶので一つよろしくお願いしたい所だ。

 そんな事を考えている間にラーメンを食べ終えた。

「ふぅ、ご馳走様でした」

「拓真さん、それだけで足りますか?」

「物足りないですが今日はこれだけで大丈夫です」

「そうですか。またお腹が空いたら仰って下さいね」

「はい。そうします」

 雪音さんに心配されてしまったが普段食べる量を考えると当然だろう。この世界基準で二人前、俺の居た世界基準で一人前を食べているからね。まあ、さっきフルーツ牛乳を飲んだしそれでお腹が膨れたというのもあるけど。――さて、お腹も満たされた事だしこの後どうするかを決めないとな。

「この後はどうしましょうか?俺としてはマッサージ屋さんがあるのらしいのでそこに行きたいなと思うのですが」

「「「「「駄目です」」」」」

 俺の提案に全員から即答でNOを突きつけられてかなり驚いた。スーパー銭湯にあるマッサージ屋さんなので別にいかがわしい事をする訳では無いのだが……。ここまで否定される理由が分からずに首を傾げていると神妙な面持ちで菫さんが話しかけてきた。

「マッサージをするという事は拓真さんの身体を触るという事です。幾ら相手がプロでも必ず邪な気持ちを持ちますし、必要以上にベタベタと接触したり自分の身体を押し付けたりと言ったセクハラをする可能性が高いです。最悪自制が効かなくなり襲うという事態も考えられます。そんなのは断じて許せませんし、拓真さんの身に危険が及ぶ可能性がある以上認めることは出来ません」

「他にもお客さんがいるわけですし流石にそんな危険な事はしないのでは?」

「それは甘い考えです。男性の身体を合法的に触れるチャンスなんて二度と巡ってこないのですからここぞとばかりにアクションを起こすでしょう」

「菫さんがそこまで言うなら止めにしましょうか。――お風呂上がりで身体を解す絶好の機会だと思ったのですが少し残念です」

 マッサージや整体などの身体を解す施術はお風呂上りや軽く運動した後の方が効果があるし、よりリラックスも出来る。立ち仕事なので足腰に負担がかなり掛かっているので良い機会だと思ったのだけど残念無念。と内心で空しくなっていると菫さんが『ですが』と前置きしたうえで代替案を提示してくる。

「女性に身体を触られるのは危険ですが、マッサージチェアなら問題ありません。事前に調べた所によると最新のマッサージチェアが複数台あるみたいなのでそちらを使用してはどうでしょうか?」

「おぉ、それは良いですね。是非行ってみましょう」

 菫さんのナイス提案により全員揃ってそちらに行く事になった。

 リラクゼーションルームと銘打たれた広めのスペースには十数台のマッサージチェアとストレッチ道具が置かれていてそれぞれの目的に合わせて選べるようになっている。俺達の目当てであるマッサージ機は半数ほどが使われていたが幸いな事に全員が使えるだけの台数は未使用だったので早速使う事に。

 椅子に横になり、ホログラム表示されたメニューを見ながらどれにするか決めていく。選んだのはツボ押しがメインのメニューだ。早速スタートボタンを押し少し待つと僅かなモーター音と共に肩や腰、足のツボが押されていく。最初は優しい感じで痛みも感じず少し弱いなと思っていたのだが、時間が経つにつれ押す力が強くなり、ゴリゴリとツボを押してくる。全身を駆け巡る様な痛みに思わず呻き声を上げてしまう。それがいけなかったのだろう、即座に女性達が心配気な表情で俺に方へ近寄ってきて声を掛けてくる。

「拓真さん大丈夫ですか?どこか痛めたりしていませんか?」

「大丈夫です。足ツボを押された時に想像以上に痛かったものでつい声が出てしまっただけですから」

「そうですか。ですがマッサージとは呻き声を上げる程の痛みを伴うのは危険ですので強度を下げるべきです。痛気持ちい程度になる様に調整しましょう」

「強度を調整できるんですか?」

「はい。リモコンで出来ますが……。今はどの程度の設定になっていますか?」

「ちょっと待って下さいね。……うわ、最高設定なっていました」

「それなら痛いはずです。私が強度二なので拓真さんの場合は三か四くらいが丁度良いかもしれませんので試してみて下さい」

「分かりました」

 小百合さんに教えて貰うまで全く気が付かなかった。そりゃあ最高強度で押されたら悶絶するよな。パパッと説明を見ただけで終えてしまった俺の落ち度だ。今度は入念に確認しながら調整をしよう。そうして改めて設定し直してスタートボタンを押すと丁度良い感じで凄く気持ち良い。まさに極楽とはこの事を言うのだろう。全身を満遍なく指圧してくれるので物足りなさも無いし、凝り固まっているであろう足腰を重点的にやってくれるのも有難い。心地良さにいつの間にかウトウトとしてきて瞼が重くなっていきいつの間にか眠りへと落ちていく。

 ――どこかからか優しい声で起きて下さいと言われるがまだ起きたくはない。折角気持ちよく寝ていたんだからもう少しだけ……と微睡みの中で揺蕩っているともう一度起きて下さいと言ってくる。俺の睡眠を邪魔する不届き者はどいつだとゆっくりと瞼を持ち上げると、マシュマロみたいにふわふわで柔らかそうな大きな膨らみが二つ目に飛び込んでくる。無意識の内に手が伸びてその柔らかいそうな膨らみを鷲掴みにして揉みしだくと、とても気持ち良い感触が返ってくる。と同時にあんっ、んうっという凄まじい色気を含んだ艶声が耳朶を叩く。男の本能を刺激する感触と声で次第に意識がはっきりしてきて、ようやく自分が何をしてるかを把握した。目の前で頬を桜色に染めながらトロンとした顔をしている雪音さんのおっぱいを盛大に揉みしだいていたのだ。

 事態を認識した瞬間に手を離し、すぐに頭を下げる。

「大変申し訳ありませんでした」

「い、いえ。拓真さんが謝る必要はありませんよ」

「ですが女性のその……胸を触ってしまいましたし。本当にすみませんでした」

「私は気にしていませんので大丈夫です。以前胸を触らせてあげるとお約束したのに機会が無くてどうしようと悩んでいたのですがこうして果たせてなによりです。――私の胸はお気に召しましたか?」

「柔らかいし、モチモチしているし最高でした。それこそずっと触っていたいくらいに」

「そう言って頂けてとても嬉しいです。拓真さんさえ良ければお好きなだけ堪能して頂いて良いのですよ?遠慮なさらずにどうぞ」

 そう言いながら俺が揉んだ事ではだけてしまった胸元をグイッと近づけてくる。ゴクリと生唾を飲みつつ自然と手はたゆんたゆんのおっぱいへと伸びる……が横合いから待ったの声が響く。

「雪音。そこまでです。他にもお客さんが居ますし少しは自重して下さい」

「菫が壁になれば他の人からは見えませんよね?それに折角訪れたチャンスをみすみす逃すような馬鹿ではありませんし、自重などとうに捨てています」

「はぁ~……。気持ちは分かるけどズルいと思っているのは私だけでは無いからね。もし強行するなら小百合さん達と力を合わせて絶対に阻止するから。それに雪音だけ拓真さんに胸を揉んでもらえるとかズルい」

「――分かりました。ここで無理をしても拓真さんにご迷惑をお掛けするだけですし退きましょう」

 何とか話し合いは丸く収まったようだが、色々とツッコミたい所がある。まずは幾ら親しい中とは言えいきなり胸を揉まれたらビンタの一発や二発食らうと思うんだ。物理的な暴力が無くても罵倒を浴びせられるくらいはするだろう。なのに雪音さんはもっと触って良いんですよと自らおっぱいを差し出してきた。これだけでもとんでもない事なのに菫さんが最後に言った『拓真さんに胸を揉んでもらえるとかズルい』という爆弾だ。つまりは自分もおっぱいを揉んで欲しいという事だ。童貞だから変な勘違いをしているんじゃないの?と言われそうだが、菫さんの言葉に雪音さんを除く全員が深く頷いていたので間違いない。美人・美少女の胸を好きなだけ揉みしだける……そう思ったのがいけなかったのだろう。視線が自然と五人の胸元へと吸い寄せられる。俺のイヤラシイ視線を敏感に感じ取ったのか雪音さん達がさり気無く胸元を少し開けさせて深い谷間をアピールしてくる。当然下着も身に着けているのでそちらもチラリと見えているのが最高過ぎる。

 もう周囲の事なんて気にせずにむしゃぶりつきたい衝動に駆られるが、ふとある事が頭を過る。このままエロい事をすれば俺は兎も角彼女達の立場が悪くなるのではないか?衆人環視の中で初めての肉体的接触を行うのは後々悪い思い出になるのでは?という考えが浮かぶ。大切な人だからこそ思い出に残る様な初めてをしたいし、後で後悔するような事はしたくない。そうと決まれば今俺がすべきことはただ一つのみ。

「皆さんの気持ちは大変嬉しいですが、出来ればそう言う事は二人っきりの時に思う存分したいのでそれまで取って置いてもらってもいいでしょうか?」

「分かりました。ではその時を心待ちにしております」

 ニコリと微笑みながら小百合さんが言ってくれる。それから着崩れた浴衣を直し、その場を後にする。リラクゼーションルームを出る際に他のお客さんが雪音さんを羨ましそうに見ていたが、もう何も言うまい。

 そんなこんなでエッチなハプニングもあったマッサージが終わり、一度気持ちを切り替える為にももう一回お風呂に行く事にした。誰もいない男湯で最初に入ったのは勿論水風呂だ。天を突くが如くそそり勃った息子を鎮める為である。風呂に行くまで前屈みで歩いていたので女性達からは不審に思われたが堂々と見せつけるなんて出来るはずも無いので致し方なし。

 十分程水風呂に入っていると先程までの馬鹿みたいに主張していた下半身は鳴りを潜め可愛いサイズに戻っている。全くこういう時男と言う生き物は不便だよなと思う。女性であれば濡れるだけだから外から見た時に変化は分からないし楽だよな。――んっ?まてよ。そう言えば昔の事だけど百貨店に雪音さんと菫さんの三人で買い物に行った時に俺の下着を選んでいた際女性二人が大変な事になったな。ベチョベチョに濡れてしまって替えの下着を買う羽目になったんだ。……そう考えると女性も楽では無いし、結構大変なんだな。男女の違いはあれどどちらも苦労しているという結論に達した所で水風呂を出てサウナへと向かう。本来であればサウナの後に水風呂と言う流れなのだが今回は下半身事情の為に逆になってしまった。

 その後何だかんだで数十分は二度目の風呂を満喫した後に出て、再び雪音さん達と合流する。今度は俺が先に着くことが出来たので良かったよ。また待たせる事になったら申し訳ないしねと思いながらベンチに座って数分で彼女達がやって来た時には思わず早いなと言いそうになったのは内緒だ。

「お待たせしました」

「いえ、俺も今来たばかりなので大丈夫です。――この後ですが何かしたい事とかありますか?」

「お食事はもうしましたし、マッサージも堪能したので少し身体を動かすというのはどうでしょうか?勿論汗を掻かない範囲でになりますが」

「身体を動かすような施設なんて有りましたっけ?」

「卓球台とビリヤード台があるみたいでそちらで遊ぶことが出来ます」

「そうなんですね。卓球は定番ですがビリヤードってなんか違和感がありますね」

 桜ちゃんと話していて思ったが古い考えかも知れないけど温泉=卓球と言う考えが染みついているから違和感が無いが、ビリヤードって……。浴衣を着てナインボールをするとか絵面が物凄くシュールなんだが。和洋折衷と言えばその通りなんだけどなんかモヤッとする。なので今回選ぶのはこれ一択だろう。

「それじゃあ卓球をしませんか?こういう機会でも無いとやらないですし」

「分かりました。それでは行きましょう」

 そうして遊戯室へと移動した後遊び始めた訳だがこれが意外に白熱してかなり熱い戦いになった。そして俺の下半身も熱く滾る事になったのは内緒だ。だってラケットを振る度にぶるんぶるん胸が弾むし、浴衣が着崩れて半分くらいおっぱいが見えてるんだからそりゃ仕方ないよね。……男の本能には敵いませんでした。

 そんな嬉しい出来事もありつつ、夜の帳が降り始めた頃にスーパー銭湯を出て帰路に着く。初めて女性と銭湯に来たがこんなに楽しいとは思わなかったし、色々とハプニングもあったしで大満足です。

 今夜は良い夢を見れそうだ。

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