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第三十六話

 菫さんの買い物に付き合って街に出掛けた日から一月ちょっとが経ったある日。いつものようにbarで仕事をしているが、店内の雰囲気はいつもとは全く違う。どこか浮足立っており、至る所で端末を見ながら話している姿が目に入る。普段とは余りにも違う光景に来店されたお客様は驚くだろうなと予想していたが、実際は当たり前の様に受け入れ、そして自身も同じように端末を見ながら話し始めているというね。

 ではなぜこんな事になっているのかと言うと例のあれが二日前に発売されたからだ。そう、俺がファッションビルで撮影した写真が掲載されている雑誌だ。今お店に居るお客様はその雑誌を見ながら盛り上がっているというのが真相になる。当然ボックス席に座ってワイワイと話している人達だけでなくカウンター席に座るお客様も同じような状態になっている。

 俺の目の前に座る女性も例に漏れずに楽しそうな声で話しかけてきた。

「佐藤さんが載っている雑誌ですが、社内でも物凄い評判が良いんですよ」

「そうなんですか?」

「はい。初めて男性を見ることが出来たと泣いている子や、あまりの格好良さに気絶した人も居るくらいです。創作の中に出てくる理想の男性が実在している事に神に祈りを捧げている人も居ましたね」

「喜んで頂けて何よりですが、私はそこまで格好良くも無いですしなにより神に祈りを捧げる様な崇高な人間ではありませんよ。というより怪しい宗教みたいになってしまうので出来れば止めて欲しいですね」

「いえいえ、佐藤さんは物凄く格好良いですよ。目元がキリッとしていて、鼻筋もシュッと通っていますし顔全体のパーツが綺麗に整えられていて羨ましいくらいです」

「うーん……そうなんでしょうか?自分の事なのでよく分かりませんね」

 普段から鏡を見てじっくりと自分の顔を観察なんてしないからな。女性みたいに化粧をするわけでも無いし自分大好き人間という訳でも無い。そもそも鏡なんて朝顔を洗う時くらいしか見ないからなぁ。そもそもの話この世界の男は引きこもりだから見る機会が皆無で、そこに俺の写真が出回った事で男性=俺みたいな一種の刷り込みが行われたのではないだろうか?更に理想の男性像と言うフィルターを通しているから格好良く見えているだけと言う可能性もある。

「自分の事はあまり分からないものですからね。でもこうして佐藤さんの写真を何時でも見れるというのは本当に凄い事なんですよ。多くの女性が男性を見る事なく生涯を終えるのに、端末を見れば場所・時間を問わず男の人を見れるんですから。正に歴史に残る出来事です」

「そういえば朝のニュースでも同じような事を言っていましたね。出版社にも物凄い数の問い合わせが来ているとか、海外から購入希望者が殺到しているけど日本王国内限定販売で物議を醸しだしているとかも言っていた記憶があります」

「私も噂程度には聞いていますが、実際の所はどうなんでしょうか?」

 うーん……と二人で思案していると手が空いていた小百合さんと千歳さんが近くに来て会話に加わってきた。

「今回の事は前代未聞ですし、各国も強い関心を寄せています。この男性は誰なのか?無断で写真を撮って掲載したのではないか?なぜ男性が女性誌に写真が掲載されるのを許可したのか?等々外務省に毎日問い合わせがきていると聞いています。また、自国でも販売して欲しいと言われているみたいですが拓真さんのプライバシー保護の為と、身の安全を確保する為に全てお断りしています。日本王国でも写真の無断転載禁止、加工禁止、海外への流出禁止、無断アップロード禁止などを定めていて、もし破った場合は厳罰が処される事になります」

「成程。ですが小百合さんが言っていた海外への流出禁止は事実上不可能なのでは?ネット社会ですからどこかからデータが行き渡ると思いますし。それにクラッカーがデータを抜き取って勝手に流布する可能性もあります」

「私も詳しくは知らないのですが、拓真さんの写真が掲載された雑誌のデータは国が厳重に管理するネットワーク上にあり、私達はそこにアクセスして見ているので手元にデータがあるわけではないらしいです。また、その様な場所にデータが保管されている為クラッキング等も問題にならないと聞いています」

「……こう言っては何ですがたかが男の写真程度で大袈裟では無いですか?」

 普通に考えてありえない。俺が居た世界の感覚で言うとそこらの一般男性のどうでもいい写真を国が国宝の如く扱うという話だからな。しかも小百合さんの話を聞く限り新たにサーバーを立ち上げてネットワークを構築したのではないだろうか?こんな短期間で普通は出来ないが高度に発達したAIがあれば可能なのだろう。まあ、なんにせよ大袈裟だよなというのが俺の感想だ。

 果たして小百合さんは俺の考えをすぐに否定した。

「いえ、決して大袈裟なお話ではありません。もし海外の犯罪組織に渡ればあらゆる手段を使って拓真さんの情報を集めますし、それが終われば身柄を押さえる為に動きます。なので海外には情報は渡したくないのです。日本王国内であれば軍警察が如何様にも処理できますので問題無いのですが、外国人相手だと色々と難しい事になるので避けたいというのが本音ですね」

「外国人だと日本王国の法律で裁くのが難しかったり、帰属している国の法で処罰を受ける為送還されるとかありますね。それに外交問題もあるか。――成程。そうなると事前に情報やデータを流さないようにした方が楽ですね」

「そう言う事ですね。ただどんなに厳重に管理・統制しようともどうしても穴はありますから、完璧にとはいきません」

「それはそうですね」

 俺が居た世界と比べて高度に発達した科学技術を持ち、AIも信じられない程進歩したこの世界でも完璧は不可能だろう。そこはもう割り切って出来る範囲で頑張るしかないし、国だって必要以上にリソースを割ける訳じゃないからな。

 ……というかお客様を置いてけぼりにしてつい小百合さんと話し込んでしまった。接客業をしてるものとしてアウトだし、なにより人としても駄目だろう。反省は後でするとしてまずはお客様に謝罪をしなくては。

「お客様を置き去りにして話してしまってすみませんでした。お詫びと言っては何ですが、お好きな飲み物をお作りしますのでリクエストがあれば仰って下さい」

「とても興味深い話でしたし、私自身話を聞いていて楽しめたのでお気になさらないで下さい」

「お気遣い頂き有難うございます。――ですがご厚意に甘えるわけにもいかないのでどうぞお好きなリクエストをして下さい」

「分かりました。ではバーボン・バックをお願いします」

「畏まりました」

 バーボン・バックは凄くシンプルなカクテルでバーボンとジンジャエールを混ぜたものになる。作り方は簡単で大きめのグラスに氷を入れた後バーボンを注ぎ、トップにジンジャエールを注ぐ。その後軽くステアして完成だ。ウチの店ではグラスのふちにライムウエッジで飾り付けている。

 材料もどこでも手に入れられるし、作り方も簡単なので自宅でも楽しめるカクテルだ。アルコール度数もそこまで高くないし、テイストはやや甘めで口当たりも良く飲みやすいので男女問わず結構人気がある。また、スコッチ、ラム、ジン等を使う場合は名称が変わり『~・バック』となる。

 例えばスコッチ・バックなど。使うお酒が変わっても基本的な作り方は同じなので本当にお手軽に楽しめるカクテルと言えるだろう。などと考えつつ出来上がったのでお客様の前にコースターを置き、グラスをそっと乗せる。

「お待たせいたしました。バーボン・バックでございます」

「有難うございます。――んっ、美味しいです」

「お口に合ったようでなによりです」

「そういえば、佐藤さんはご存じか分かりませんが非公式ファンクラブが二日前に出来たんですよ」

「…………えっ?」

「反応を見る限りご存じなかったようですね」

「はい、初耳です。えっと、二日前に出来たという事ですがもしかして俺の写真が掲載された雑誌の発売日に開設されたんでしょうか?」

「私が確認したのが発売日の夜だったので遅くとも夕方には出来ていたと思います」

 滅茶苦茶仕事が早いな。というか基本的には電子書籍だからわざわざ書店に買いに行かなくてもいいというのを考慮しても販売開始が午前十時として中身を読んでそこからサイト開設まで数時間しかない。物凄くシンプルで必要最低限であれば作れない事もないだろうが、一般的な社会人は仕事をしてるはずだし学生は学校に行っているはず。となると夜勤とか夜の仕事をしている人が作ったんだろうか?

 まずはどういう作りなのかを聞いてみるか。

「そのサイトって白い背景に文字だけとかのシンプルな作りなんですか?」

「いえ、明らかに本職の人が制作したとしか思えない凄くしっかりとしていて細部まで作り込まれています」

「そうですか。ちなみにその非公式ファンクラブにどのくらい加入しているのか分かりますか?」

「はい、分かりますよ。サイトトップに会員数が表示されていますので。私が朝確認した時点で一千万人を超えていました」

「…………」

 俺の聞き間違いだろうか?一千万人と聞こえたんだが。大々的に宣伝している訳でも無いし、国や軍警察の目もあるから変な事は出来ないはずなのだが、何故にたった二日でそんな会員数になるの?日本王国の総人口を考えると約十%弱の人がファンクラブ会員という事になる。まだサイトの存在を知らない人も大勢いるだろうしこれから更に増えるのは確実。順当に増えていけば総人口の半数位になるのではないだろうか?自分の考えに背筋がゾッとする。

「ちなみに私もファンクラブに加入しています」

「私も入っています。サイト開設当日に加入しました」

「私も小百合さんと同じく加入してます」

 まさかのお客様だけでなく小百合さんと千歳さんも会員と言う衝撃の事実が判明した。余りの事に呆然としていると千歳さんが更に爆弾を投下してくる。

「昨日雪音さんと菫さんとお話ししていたのですが、お二人ともサイト開設当日に会員になったと仰っていました」

「そ、そうですか。いや、あの~嬉しくはあるのですが何と言いますか……」

「吃驚していますか?」

「はい。正直私は芸能人でもありませんし、メディアに露出している訳でも無いですからそこまで熱狂されると申し訳ないという感じがします。それに今回撮影したのは偶然が重なった結果であり今後同じような事は無いと思うのでその点についても悪いなと思います」

 例えば俺が芸能事務所やモデル事務所に所属していれば露出する機会は何度もあるだろうが、ただのバーテンダーだからテレビに出たり撮影したりと言った事は皆無だろう。それに見ず知らずの男のたった一枚の写真しかないというのも悲しい物がある。それで満足できるのだろうか?俺だったら絶対に他のも欲しくなるし、何かないか必死に探すだろう。この点を女性はどう思っているのだろうか?その辺を聞いてみようと口を開きかけた所で小百合さんが先に言葉を紡ぐ。

「それについては気にしてる人は殆どいないと思いますよ。拓真さんは以前にテレビに出ていますし、それだけでも奇跡的な事なのに今回の雑誌に写真が掲載されたのですから感謝こそすれ文句を言う人はいないです。というかそんな事を言ったら袋叩きにあいますから」

「ですね。私もそうですが友人も佐藤さんが出演されたテレビのデータは保存していますし、今回の雑誌も同じくです。これ以上を望むのは余りにも欲深すぎて神様から天罰が下りますよ」

 小百合さんの意見に同意するようにお客様も同じような事を言っている。という事は彼女達はそれで満足なのだろう。この世界の事情を考えれば当然なのかもしれないが、どうしても俺が居た世界だとアイドルや芸能人がグッズを出したり動画投稿サイトで沢山動画を出していたりというのが当たり前だったので違和感がある。だからと言って自撮りしてSNSにアップしたり、動画を投稿すれば社会的な大問題に発展する事間違い無しだろう。そうなれば国にも軍警察にも大迷惑をかけてしまう。もしそう言う事をするならば確りとした芸能事務所やモデル事務所に所属した上で各方面と何度も話し合いをした上で実行しなければいけない。安易な行動を取った結果洒落にならない事態になるのは避けるべきだろう。

「お客様は良くお店に来て頂いていますし、今もこうして私とお話をしていますがそれでも媒体に出ている私を見たいと思うのでしょうか?会おうと思えばお店に来店頂ければいいだけですし正直わざわざ見る程かなと思ってしまのですが」

「確かに佐藤さんの仰る通りお店に来ればお会い出来ますが、それでも二~三時間程が限度です。それに仕事の関係上毎日通える訳でもありませんから。――会えない時間がとても長いのでその間に感じる寂しさを紛らわす為にも絶対に必須です。もしそういった物がなかったら精神的にかなり辛く苦しい毎日を過ごす事になるでしょう。あの頃の様に」

 最後の言葉は重く、とても実感が篭っていた。俺には分からないが相当大変な日々を過ごしていたのだろう。そう考えるとある意味精神安定剤的な用途で使う事も出来るのか。勿論人によると思うが。

 ――そういえば前に俺と深く関われば関わる程依存していくという話を聞いたな。お客様の話を聞いた限り極めて強力で依存性が高い薬物=俺みたいな感じなのだろう。一度関わりを持てばズブズブと嵌まっていき戻ることは出来ない。更には症状が進行すればたった一日二日会えないだけで精神に悪影響を及ぼすとか……ヤバすぎだろ。

 となると一緒に働いている小百合さんと千歳さんは最早俺無しでは生きられないのでは?嫌な考えが頭を過り二人を見るとニコリと可愛らしい笑顔を浮かべてくれた。だ、大丈夫だよな?

 そんな俺の疑問を読み取ったかのようにお客様が千歳さん達に話しかけた。

「お二人もお店で働いて結構立ちますけどお仕事が終わった後とかお休みの日等は普通に過ごせていますか?」

「家に帰ってからの時間がとても寂しくて辛いですね。ルーティンワークを終えたら気力も尽きてしまって何も手に付かないですし、早く拓真さんに会いたい。声を聞きたいと常に考えています」

「分かります。ベッドの上で悶々として悩んだ末にお電話しようと思っても拓真さんが寝ているかもしれないし、ご迷惑をお掛けしたくないので止めたり。あと何時間で職場に行って拓真さんに会えるんだと何度も時計を確認したり。……本当に虚無の時間が延々と続く感じがして嫌になります」

「長時間一緒に働いていたらそうなりますよね。もっと一緒に居たい、同じ時間を過ごしたい。一杯お話して、佐藤さんの笑顔が見たい。身の回りのお世話をしてあげたい。そう言った思いで溢れているのに出来ないのは拷問となんら変わらないですからね……」

 千歳さん、小百合さん、お客様の順で話をしていたが重い。余りにも俺に向ける感情が、思いが、好意が重い。別に二人ともヤンデレ気質があるわけでは無いし、とても甲斐甲斐しくて良い人なんだけど俺に向ける愛情がとても大きい。これは二人に限らず雪音さんや菫さんも同様だ。友人関係でこれだけ大きな気持ちを向けられているのに恋人、更には夫婦になったらいったいどうなってしまうのか。

 今と何ら変わらない可能性もあるが恐らくそれは限りなく零に近いと思う。人の気持ちに限界は無いし思いにも限界は無い。だから萎むことなく際限なく膨らんでいき最終的には……どうなるのだろう?

 疑問が頭を過った時目の前に座るお客様から声を掛けられる。

「色々と言いましたが私は佐藤さんと出会えて本当に良かったです」

「有難うございます。私もお客様と出会うことが出来て嬉しいです。――barなんて星の数ほどありますし、このお店は場所も分かりづらくてお店もそこまで大きくないですから開店当初は誰も来てくれないだろうと思っていたんですが、今では沢山の人が来店して下り本当に感謝しかないです。改めて有難うございます」

「こちらこそ有難うございます。前までは家で一人寂しく飲むくらいだったんですが、このbarを知ってから普段は関わりが無いような人とも縁が出来ましたし、なにより佐藤さんが作るお酒を飲みながらお話を出来るんですから本当に夢見たいです」

 お店に訪れた人からこういう言葉を貰うのは嬉しいし励みになる。もっと精進しなきゃいけないし、ご来店頂いたお客様を笑顔に出来るように頑張ろう。

「そう言って頂けるとバーテンダー冥利に尽きますね」

「そういえば佐藤さんは普段お酒は飲まれるのですか?」

「普段はほとんど飲みません。新しいレシピを開発するときなどは結構な量を飲みますが、その分普段は節制している感じですね。あとは一人で飲んでも楽しくないし、つい深酒をしてしまって翌日後悔する事になるので」

「そうなんですね。てっきり普段からお酒を嗜んでいるのかと思っていました。あとお酒に強いイメージがあったのですがあまり飲めないタイプですか?」

「バーテンダーのイメージ的に毎日飲んでいるって思う人は多いですね。それとアルコール耐性は結構ありますよ。具体的にはノッキーン・ヒルズ・ポチーンというアイルランドのスピリッツがあるのですがアルコール度数九十度の商品をストレートで五杯飲んでも全く酔わないくらいです。まあ二日酔いはするのですが」

「……それってかなり強くないですか?私だったら一口含んだだけで飲み込むことは出来ないですね。というかそんなに度数の高いお酒ってあるんですね」

「色々とありますよ。私が知る限り一番アルコール度数が高いのはポーランドのウオッカでスピリタスというお酒が九十六度あります。勿論ストレートで飲む事はお勧めしませんし、ロックなどでも基本的には止めた方がいいですね。こういった度数が高いお酒は基本的にはカクテルの材料として使われるのでそのまま飲むというのは推奨されていません」

「そこまでいくと何かで割らないとまともに飲めませんものね。世界には色々なお酒があるんですね。一つ勉強になりました」

「私も仕事柄お酒について調べる機会が多いのですが、一つ一つのお酒に歴史があって楽しいですよ。カクテルも三百年以上の歴史がありますし、お酒を混ぜ合わせるという文化は古代ギリシアや古代エジプト時代――紀元前が始まりなので広義で考えると途轍もなく長いと言えます」

「そんな昔まで遡るのですね。という事はカクテルの歴史は酒類の誕生とほぼ同じとも捉えることが出来るのではないでしょうか?」

「仰る通りです。お酒と人類は切っても切り離せない関係であり、良くも悪くも人々に影響を与えてきた物ですね。適度なお酒は身体にいい影響を与えますが、飲み過ぎれば内臓にダメージを与えますし健康を損ねてしまいます。節度を持って楽しく飲むのが一番と分かっていても中々難しかったりするんですが、そこは頑張るしかないですね」

「ふふっ、確かにその通りですね。何も知らずにカクテルを飲むよりもそう言った歴史や由来を知っているとさらに楽しめそうなので私も勉強してみます」

「それは嬉しいですね。ぜひ頑張って下さい」

 興味を抱いたものを勉強するというのは簡単な様に見えて実は難しい。最初は関心があったけど日が経つにつれてどうでもよくなったり、最初は頑張って調べたりしていたけど三日坊主で終わるなんて事も当たり前にある。そこを根気強く続けられるかで結果は変わるのだが大変だし時間も取られるしで止めてしまう人も多いだろう。例えば仕事に関する事であるならばそうも言ってられないし真剣に取り組むがあくまで趣味の範疇だと長続きさせるのは本当に難しいんだ。

 だが、例えお客様がすぐに飽きてしまったとしても興味を持ってもらえたという事実は変わらないし俺としては嬉しい話である。

 そんな事を考えながらお客様との楽しい時間は過ぎていくのだった。



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