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第二十六話

 今日は用事があるので早起きして諸々の準備をしている。普段であれば雪音さん達と遠出して遊ぶとかなんだけど今日はそういう楽しい事では無い。先週の初めに菫さんから軍警察に来て欲しいと言われたのだ。とうとう肉欲に負けて女性を襲ったとか、買春をしたとかそういう犯罪を犯したから来い!という訳では無くなんでも俺の現在の立場に関する話をしたいとの事だった。詳しい内容はその場では聞くことが出来なかったが、菫さん曰く悪い話では無いので安心して下さいとの事。とはいえ、軍警察に呼び出されるのは初めてなのでかなり緊張している。

 軍警察は以前少し話をした事があるが、軍と警察が融合した組織となっている。俺が居た世界では軍、警察と分かれていてそれぞれ役割が違っていたし、所属する省庁も違っていた。だがこの世界では一元化し独立した組織として運用されている。特徴は独自の権限を持っており、日本王国の法律に抵触するような事でも許されてしまうのだ。具体的には事件が起きた際各員の判断で殺害可能、各省庁のデータベースにアクセス可能――極秘情報も見ることが出来る――、銃の所持が義務付けられており自分に危害が加えられる可能性がある場合は発砲可能等々色々と特権が付与されている。当然だがそれらの権利をむやみやたらに行使する事は禁じられているし、違反した場合は軍法会議に掛けられ厳しい処罰が下される。

 また、省庁や他の行政組織とは基本的に連携を取っていない独自組織なので国の機関で問題が起きた場合には身内への配慮や忖度など一切抜きで徹底的に潰せるというのも強みだろう。

 ある意味もう一つの国みたいなものなので軍警察長官は日本王国女王と対等の立場と言っても過言では無いだろう。ではそんな組織が国家転覆を企てたり、反逆したら手に負えないのでは?と疑問に思うかもしれないが、軍警察が設立されてから二百余年経っているが今までそう言った事は一度も無かったのでこれからも起こらない可能性は高いだろう。まあ楽観視が過ぎると言われればその通りなのだが、対抗できる組織が現状無いので謀反を起こされたらそれで終わりという話になってしまうんだ。まさに獅子身中の虫と言った所だが、あらゆるデメリットよりもメリットが勝る上に長い時間を掛けて形成された圧倒的な治安維持能力は何ものにも代えがたく国家運営をしていく上で必要不可欠な要素だ。だからこそ、リスクを承知で現状を受け入れているし対抗組織を立ち上げて不興を買う様な事を避けているのだろう。

 とまあ、長々と語ったが軍警察に関して簡単に纏めると超凄い権力を持った組織で、ある意味一つの国みたいなものと覚えて貰えれば良いだろう。それを踏まえて冒頭に戻るわけだが、いつもより早起きしてクローゼットの奥に仕舞い込んでいたスーツを取り出し着替えたり、必要になりそうな物を鞄に詰め込んだりと割とやる事が多い。というかスーツを着たのなんて大手酒販店との契約に赴いた時以来だから半年以上振りに袖を通した事になる。クリーニングに出してそのまま仕舞い込んでいたのでピシッとノリが効いていて皺も無いからだらしなくは見えないだろう。

 さて、そろそろ時間だし家の外に行くとするか。

 戸締りの最終確認をした後玄関を出ると、すでにお迎えが待っていた。

「すみません。お待たせしてしまいましたか?」

「いえ、私達も今到着した所ですのでお気になさらずに」

 そう答えてくれたのは制服に身を包んだ菫さんだ。その隣には雪音さんと小百合さんの姿もある。菫さんは軍警察所属なので当然いるとして、雪音さんは俺の専属医として同行する事になっている。小百合さんは……まあ、あれだ。最初は関係ないので同行する予定は無かったのだが、涙を浮かべながら捨てられた子犬みたいな表情で『拓真さんと一緒に行きたいです』と言われてしまってさ。流石に無碍にも出来ないし菫さんと上司の方に確認を取ってOKだったらいいよという事で話が纏まったんだけど……。俺としては無関係の人が一緒に来るのは無理だろうと思っていたんだがなんと即許可が下りてしまった。色々と政治的なあれやこれやがあったのは間違いないが、下手に突っついて藪から蛇が出てきても困るので一切触れる事はしない。とまあそんな感じで小百合さんも一緒に行く事になった訳だ。

「それじゃあ行きましょうか」

「はい。拓真さんは真ん中の座席にお座り下さい」

「分かりました」

 そうして車に乗り込んだ後左に菫さん、右に雪音さんが座る。そして菫さんの隣に小百合さんという形だ。運転席と助手席には制服に身を包んだ女性が座っている。恐らく護衛の人だろう。なんとなく物々しさを感じつつゆっくりと車が走り出す。

 雪音さん、菫さんと一緒に自然公園に行く時に乗ったタクシーでも似たような状況だったが今回はあの時のような色気は一切無い。胸が当たる様な近距離では無いし、楽しく会話するような事も無い。車内は沈黙で包まれておりどことなくピリッとした空気が流れている。

 そんな重苦しい空気の中走り続ける事数十分程で目的地に到着した。平置きの駐車場には止まらずに地下の駐車場へと行き停車する。と同時に銃を持った完全武装の人達が待ってましたとばかりに車を取り囲む。すわ、襲撃か!?と思わず身構えてしまったが、隣に座る菫さんが安心させるように笑顔で説明をしてくれた。

「彼女達は軍警察の人間です。今回拓真さんが来庁するにあたって警護に当たる者達ですのでご安心下さい」

「そうだったんですね。てっきり襲撃かと思って焦りました」

「申し訳ありません。事前に説明しておくべきでしたね」

「菫さんにも事情があるのでしょうし、仕方ないかと。それによくよく考えれば軍警察本庁舎で襲撃をするなんてありえませんよね」

「お心遣い有難うございます。――普通であればそう言った事は起こり得ませんが、万が一の可能性がありますので今回は万全の態勢を整えているんですよ」

「なるほど」

「では、行きましょうか」

 簡単な説明を受けた後、菫さん先導のもと庁舎内へと入る。初めて見る軍警察内部は想像と大分違っていた。軍とか警察の建物って質実剛健で飾り気が無く、どこか殺伐としていて部外者は居ずらい感じと言うイメージを持っていた。だが目の前の光景を見てそれらはすべて一新されたよ。通路にはお花が活けてあったり、可愛らしい啓蒙ポスターが貼っていたりするし雰囲気も行政機関独特の居心地の悪さは無くサロンのような心地よさがある。それにふわりと良い香りがするのもポイントが高い。

 やはり女性しかいないからこそ細かい部分まで気を使うし、よりよい環境にしようと思うのだろう。仮にこれが男が大多数の場合は乱雑でそこら中に物が散らばっている空間になるのは間違いない。それは偏見だろうとか男女差別だという方もいるかもしれないが、あくまで俺の主観であり実体験に基づいた個人的な意見なので悪しからず。

 そんな事を考えながら暫く歩いているが不思議と誰にも合わない事に気付いた。まだ昼過ぎだし仕事をしている時間だと思うんだけどまさか全員が出払っている訳でも無し。誰かしらどこかに移動しているはずなんだけどすれ違う人は皆無とかちょっと怖いな。

 まあこの厳戒態勢を考慮すれば何かしらの制限が掛かっている可能性もあるのか。なんか俺のせいで迷惑を掛けてしまって申し訳ないな。今度機会があれば謝っておこう。――静かな廊下を俺達の靴音だけが響く中更に歩き続ける事十分程で目的の部屋へ着いたみたいだ。

 菫さんがノックをしたあと続けて中に居る人に声を掛ける。

「佐藤様をお連れしました。入っても宜しいでしょうか?」

「どうぞお入りください」

 入室の許可が下りたので開けてもらった扉を潜り中へと入る。部屋の大きさは中会議室程度でロの字型にテーブルや椅子が配置されている。そして壁際には銃を持った警備の人が左右に四人ずつ並んでおり物々しさを醸し出している。思わず気後れしそうになるがグッと腹に力を入れて座席の真ん中に座る女性に目を向ける。制服に身を包んだその人は一言で表現するなら氷のように冷たい美貌を持つ女性だ。顔立ちは非常に整っているし、間違いなく美人と誰もが言うだろう。だが、滲み出る雰囲気が只者では無いと感じさせる。幾度となく修羅場を潜り抜け、死地を経験してきた猛者の様な冷たく鋭い眼差しに見つめられると背筋に冷汗が流れる程だ。普通であれば自己紹介を含めた挨拶を交わすのだが口を動かす事が出来ない。緊張で身体が鉛の様に重くなり一歩を踏み出す事すら途轍もない労力を必要とするだろう。そんな重苦しい空気の中口火を切ったのは目の前に座る女性だった。

「どうぞお好きな席にお座り下さい」

「えっ……と……」

 良く通る澄んだ声で着席を促されたが上手く返事が出来なかった上にすぐに動くことも出来ない。マズイマズイと内心で焦っていると隣にいる菫さんが背中を優しく摩ってくれた。そして俺の耳元に口を寄せて言葉を紡ぐ。

「拓真さんのお傍には私が居ますから安心して下さい。――少し深呼吸をすれば楽になると思うのでしましょうか。はい、吸って……吐いて。はい、吸って……吐いて。どうでしょうか?少しは落ち着きましたか?」

「はい、有難うございます」

「お力になれたようで良かったです。では、あちらの席に座りましょうか」

 菫さんが差す席に座ると左右に菫さん、雪音さん、小百合さんが座りここまで一緒に来た護衛の人は壁際へと移動する。こうして全員が揃い準備が出来た所でいよいよ本題に入る事になる。

「まずはお忙しい中来庁して頂き有難うございます。――今回佐藤様にご足労頂いたのはこの世界に来て半年以上経ち色々と判明した事があるのでそれをお伝えする為と、世界間移動に関する事で少しだけ手がかりを入手できたので佐藤様に意見を聞きたいと思ったからです」

「成程。そういうお話でしたか。私も色々と気になっていたのでこのような機会を設けて頂き感謝します」

 そう言ってからホッと胸を撫で下ろす。こちらが知りたかった情報だったしなによりも元居た世界に関する手掛かりが得られたというのはとても大きい。正直これに関しては半ば諦めていたし、科学技術が発展してるとは言え調査・研究には数十年単位で掛かるだろうと思っていた。だが、この短期間で成果を上げるなんてちょっと信じられない。……まあ嘘を吐く意味も理由も無いし兎に角話を聞いてみるしかないだろう。こちらが改めて聞く姿勢を整えた所で目の前に座る偉い人――勲章みたいなのを付けているし多分そうだろう――が話始める。

「まず最初にお話しさせて頂く内容は女性の価値観や考え方の変化についてです。佐藤様も御承知だと思いますがこの世界の女性は男性との出会いがありません。話す機会はおろか遠目から見る事ですら一切無いのです。結果ほとんどの女性が生涯男性を見る事なく過ごす事になります。また、極一部の運が良い女性は男性と話す機会を持つ事が出来ますが嫌悪感や不快感を前面に出した男性が嫌々一言二言交わすだけで終わります。縁を深めるどころか最初の段階で物凄く嫌われているという状態ですね」

「確かにネットに載っている情報や、私自身が聞いた話も同様でした」

「はい。それが普通であり当たり前なのです。――では、こちらの資料を見て頂けますでしょうか?」

 目の前に座る女性の隣にいた人が書類を俺の所まで持って来てくれたので、すぐに目を通す。

 ……グラフがあるがこれは何を意味しているのだろうか?内容的には一般女性と俺に関わりがある女性の対比みたいな感じだが、さっと流し読みしただけだから詳しくは分からないな。

「今見て頂いた資料は一般女性・佐藤様と何らかの接触があった女性・佐藤様と関わりがある女性と分類分けして価値観の変化を視覚化したものです。まず一般女性についてですが男性に対する考えに変化はありません。一度で良いから見てみたい、お話をしてみたい等ですね。次に佐藤様と何らかの接触があった女性ですがこれについては買い物中に話をした、間近で見る機会があり喋っている所を見た等が該当します。――この方たちは男性に対しての憧れや理想を捨てている方が多いです。理由としましては自身の中で培われていた男性観が佐藤様と接触する事により瓦解した事が挙げられます。学校教育やネット情報、人伝に聞いた話で男性は繊細で女性を嫌っているので優しく丁寧に接しましょうと言うのが普通です。ですが佐藤様は――」

 そこで言葉を濁して言いづらそうにしていたので俺が引き継ぐことにする。

「嫌がるそぶりを見せるどころか喜んで話をするし、心の距離感も近い。それにちょっとした身体接触であれば気にする事も無いと」

「はい、仰る通りです。その様な男性と触れ合ってしまえば今までの男性に対する見方は大きく変わります。ただ問題なのは佐藤様が並行世界から来た人であり、この世界の一般男性とは全く違う存在であるという点です。もし彼女達が普通の男の人と接した際に受ける衝撃は計り知れない物でしょう」

 確かに言われてみればその通りだ。俺が基準になってしまえば普通の男と出会う機会があった際に全然違う!となるのは火を見るよりも明らかだ。その結果どうなるのかは……。

「結果として女性にとっては佐藤様とのあまりの違いに心を病んでしまい良くて心神喪失状態、悪ければ自殺をするでしょう」

「…………」

 果たして俺と出会う事は正解なのだろうか?もし俺と言う存在が居なければ彼女達は夢を見たまま幸せに暮らせたのかもしれないし、心を病む事も自死を選ぶ事も無かっただろう。世界に混入した異物が俺であり、良い意味でも悪い意味でも劇薬になる存在だ。決して望まれていた訳では無く、何の因果か世界を超えて生み落とされたイレギュラー。改めて俺の行動一つで人の運命まで変えてしまうという事実に背筋が寒くなる。

 だが、話はこれで終わりでは無く最後に残っている俺と関わりがある女性についてという項目について目の前に座る女性が話始める。

「最後になりますが佐藤様と関わりがある女性についてお話させて頂きます。対象はbarに通う常連客や静川さん、倉敷、九条さん等ですね。彼女達は男性=佐藤様と言う認識であり、その他は全て有象無象と捉えています。仮に他の男性と会う機会あったとしても儀礼的に対応するだけで微塵も関心を寄せないでしょう。また、価値観も固定されており一般男性から無礼な態度や失礼な言動をされても何の痛痒も感じる事は無いと思います。――それは男性と言う存在の対象が佐藤様に固定されているからであり一見強固に見えますが、仮に佐藤様に嫌われるような事があれば…………」

 言葉の先を濁したが言われなくても分かってしまう。間違いなくその時点でこの世界から命の灯が消えるだろう。彼女達と接していて薄々は勘付いていたがまさかここまでとは思っていなかった。

「今更ですが私と言う存在はこの世界にとって害悪ではないでしょうか?人の在り方を変えてしまうなんて有ってはならない事ですし、今からでも誰も知らない土地で過ごした方が皆さんの為になるのではと思うのですが」

 本心からの言葉が口をついて出る。今まで一応対応には気を付けて女性と向き合ってきたがこうして事実を突きつけられると無人島でひっそりと暮らしていた方が良いのではと考えてしまう。

 だが、俺が喋り終わった瞬間に左右から否定の言葉が返ってくる。

「害悪なんてとんでもありません。寧ろ拓真さんはこの世界に希望を齎してくれた方です。もし、拓真さんと出会えていなかったら私は無味乾燥な生活を続けていたでしょう。だから居なくなるなんて言わないで下さい」

「この世界が拓真さんの事を害悪と言うのであれば私は全身全霊をもって否定します。拓真さんと出会えたからこそ今の幸せがあり、人生に色がついたんです。貴方が居る場所が私が居る場所です。どこに行こうと絶対に付いて行きます」

「人の在り方を変えると仰いましたが、それは決して悪い方向にだけではありません。私は拓真さんと出会い、親交を深めたことで目が開きました。毎日が楽しくて、幸せに満ちていてこれからもこんな日々が続くのだろうと思うと嬉しくなります。ですから、拓真さんがどこかへ行かれる必要はありませんし、色々な人との出会いを拒絶する必要もありません。どうか今のままでいて下さい」

 雪音さん、菫さん、小百合さんの順で言葉を述べていく。どれも切実な願いが込められており、心に立ち込めていた靄を取り払ってくれる。勇気を与えてくれた彼女達に俺が言えるのはこれだけだ。

「ありがとう」

 ただ一言。でもその言葉に込めた意味を理解したのか三人とも笑顔で頷きを返してくれた。

「すみません。話の腰を折ってしまって」

「いえ、私の配慮が至らず申し訳ありませんでした。もう少し順序立てでお話すればよかったですね。すみません」

「いえ、こちらこそ申し訳ないです」

「――では、話の続きに戻りますが佐藤様との友好度が大きければ大きい程多大な影響を受けるという事が分かりました。今までの統計データから言えばこのような事は起こりえるはずが無く、私達も最初は意味が分からず困惑しておりましたが様々な仮説を立て検証した結果一つの結論に至りました。それは佐藤様が並行世界から転移した際に女性に対しての超常的な影響力を得たのではないか?という事です」

「確かに普通であれば幾ら貴重な男とは言え相手の根本の部分を変えるなんてほぼ不可能ですよね。どれだけ口が上手かろうと、女性に対する接し方が普通とは逸脱していようと人間を変えるなんて芸当は無理です。であるならば先程仰ったように超常的な力を授かったと考えるのが私としても妥当かなと思います」

「そうですね。――因みになのですが、佐藤様はその様な力に思い当たる節はございますか?」

「…………無いです。もしかしたら自分でも気が付かないうちにその様な能力を使っているのかもしれませんが自覚はありません」

「成程。では無意識下で発動している可能性が高いですね。とはいえそのような超常的な力など存在しない可能性もありますし、要研究と言った所でしょうか」

 未知なる力か。言葉だけ聞くと格好良いし、ロマンを感じるが実際自分自身にそんな力があると分かると空恐ろしい物がある。自分でコントロール出来ず、相手と仲良くなればなるほどより大きな力を発揮していくとか只々恐ろしい。相手を傷つけたり、人生を滅茶苦茶にするような能力出なかったのは不幸中の幸いかな。ただこういう情報知った事で今後どういう風に動けばいいのかが問題だ。

「すみません。質問があるのですが宜しいでしょうか?」

「どうぞ」

「今の話を踏まえて今後私はどのように行動すれば良いのでしょうか?barを経営している以上来店して下さる女性とはどうしてもある程度仲良くなりますし、それは避けられないです。ただそれ以外の女性に対しては距離を置いたりなるべく接する機会を減らすべきかなと考えているのですが」

「barに関しては今まで通りで問題ありません。私共の方で行く頻度を減らせと通達を出した所で猛反発を食らいますし、彼女達も決して納得しないでしょう。なので今まで通りで大丈夫です。――一般女性に関してですがこちらは少々難しいですね。佐藤様が以前街頭でTVに出演してしまったので全国的に認知されています。その時点で今まで教えられてきた男性像との違いに気が付き、多少なりとも影響を受けているので……」

 あー……、確かに小百合さんと街中で出会ってブラブラしている時にTVに出たな。あの時はこんな事になるなんて想像していなかったからな。今更悔いても仕方ないし、これからどうするべきかを考えなければ。

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