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第二十四話

 えっ!?と思ったのも束の間。彼女達が一斉に声を揃えて口にしたのは……。

「この度搬入作業をさせて頂きます、ネコ運輸です。よろしくお願い致します」

 という挨拶だった。しかも腰を深く折り、頭まで下げている。それを見て俺も慌てて頭を下げながら言葉を返す。

「こちらこそよろしくお願い致します。まだ、片付けが出来ていなくて少し散らかっていますが大丈夫でしょうか?」

「はい、問題ありません。私共で片付け、清掃、設置まで行いますのでご安心下さい」

「有難うございます。でも流石にそこまでしてもらうのは申し訳ないので俺も手伝います」

「えっ、ですが……」

 あー、流石に素人が手を出すのは迷惑かな?俺が手伝う事で返って作業スピードが停滞する可能性もあるしな。ここはプロに全てお任せした方が良いだろうか。前言を撤回してお任せしますと言おうと思った所で雪音さんから声を掛けられる。

「拓真さんが作業をするのでしたら私達もお手伝いします。こういうのは皆でした方が早く終わりますし、今回は買った物も多いですから」

「分かりました。あの、俺達は素人ですが邪魔にならないようにしますので作業を手伝ってもいいでしょうか?」

「分かりました。では、お願い致します」

 業者の方から了承が取れたので俺達も手伝いをする事になった。さて、最初にする事は冷蔵庫の中身を取り出す作業からだ。とはいえ最近は自炊もあまりしていなかったので碌に食材は入っていないのだが。だからパパッと終わるだろうと予想していたが、いざ片付け始めるといつ買ったのか覚えていない食品や冷凍庫の奥にポツンとあった冷凍食品なんかが出てくる、出てくる。

「冷蔵庫に入っていた食品は傷んでいるので処分しますね。冷凍食品は……消費期限が四ヶ月前なのでこれも処分ですね」

「前に買い物をした際に古いのは捨てたはずなんですが、漏れがあったみたいですみません」

「いえ、構いませんよ。ついつい忘れてしまう事は私もありますから。――それよりも間違って食べたりはしていませんか?」

「それは大丈夫です。基本的に手前にある食材を使用しているので奥にあるのは食べていません」

「それなら問題無いですね。消費期限が切れた食材を間違って口にしたらお腹を下したり、最悪病気になったりしますから」

 確かに雪音さんの言う通りだ。もし食べるとしても数日位ならなんとかなるだろうが、一月以上となれば確実にトイレに引き籠る事決定だ。傷んだ物は食べないのは鉄則だけど買い物に行くのが億劫な時とかはついつい火を通せば大丈夫だろうという甘い考えで食べてしまう事もあるからな。これからはより一層注意しなければいけない。と考えていると横で作業をしていた菫さんが声を掛けてくる。

「確かに雪音の心配も分かるけどこれからは私達が拓真さんのお世話をするんだし、万が一も起こらないわ」

「そうね。でも職業病とでも言うのかしら、どうしても気になってしまうのよ」

「うーん……、それはどうしようもないかな。まあ、あまり気にし過ぎても仕方ないしほどほどにね」

「分かったわ」

 なんて話しつつも作業を進めていく。大体十五分程で冷蔵庫、冷凍庫の中身を処分し終わったので、お次は棚に入っている食器類の移動と調理器具の処分だ。まずは食器を居間にあるテーブルへと移す。一人暮らしなので量は少ない為あっという間に終わってしまった。そして調理器具の処分だがお鍋やフライパン等はそのまま段ボールに入れればOKだが、包丁が問題だ。当然そのままでは危ないので布か何かでぐるぐる巻きにするかガムテープで刃の部分を覆えばいいのだろうか?今までこういった経験が無い為どうすればいいのか分からない。こういう場合は女性陣に聞いてみるのが一番だな。という訳で小百合さんに聞いてみた。

「小百合さん、包丁は何かで包んだ方が良いですか?」

「ゲル状のクッション材がありますので、それに包丁を置いて包みます。ですが、危ないので拓真さんは作業してはいけませんよ」

「分かりました」

 普通こういう少し危ない作業は男がするものだが、この世界では逆になるんだよな。それに可愛らしく両掌を胸の前で合わせながら『危ないので拓真さんは作業してはいけませんよ』なんて言われたらはいとしか言えない。なんというか可愛らしさの中に母性も垣間見えるのはズルいと思う。小百合さんは年下だけどやっぱり女性には敵わないなと改めて感じたよ。

 そんな風にちょっとぽわぽわした気持ちでいると、いつの間にか作業は終わっていていよいよ新しく購入した家電の搬入作業が開始される。まずは大型の物からという事で冷蔵庫から室内に運び込まれ事になった。作業員さんは全員女性で見た目は細身で筋肉が無さそうだけど、二人で大型の冷蔵庫を軽々と持って来たので驚いてしまったよ。そんな細腕で百キロ以上ある物を持ち上げるとか本当に意味が分からない。力学的な作用を上手く利用しているのかもしれないが、それにしても凄い。

 指定の場所に置いた時には思わず拍手をしてしまったよ。その際に美人な作業員さん――全員が吃驚する程美人だ――が頬を赤らめて恥ずかしそうにしている姿を見れたのは僥倖だったな。小百合さん達の少しだけ棘がある視線を受けたがそれでも後悔はない。

 その後も電子レンジや食器棚、各種炊事道具などが運び込まれて梱包を解いていく。段ボールは一纏めにして紐で縛り、クッション材は潰してゴミ袋の中に入れているが量が多い為手持ちのゴミ袋が底をついてしまった。

「すみません、ゴミ袋が無くなったのでコンビニまで買いに行ってきます」

「それでしたら私が買ってきますね。ついでにゴミを捨てましょうか」

「それじゃあ、お願いします。ゴミ捨てに関しては俺も手伝います」

「はい、分かりました」

 菫さんがコンビニまで行ってくれるという事でお願いする事にした。さて、ゴミ捨て場まで行くとしますか。結構な量があるので二往復くらいはしなくちゃ駄目かな?そんな目算を立てつつ一旦梱包作業は中断です。

 そんなこんなで小一時間程で諸々の作業が終わり、キッチンは最新家電&最新調理道具が所狭しと並ぶ豪邸も顔負けの状態になりました。うん、良い感じだなと思っていると隣で様子を眺めていた雪音さんが言葉を紡ぐ。

「ふぅ、これである程度料理を出来るくらいには揃いましたね。足りないものは後日買い足していくという事で決定していますし、今晩のご飯の材料を買いに行きましょうか。今ある食材では野菜炒めくらいしか作れませんから」

「それじゃあ少し歩きますがいつも行っているスーパーがあるのでそこに行きましょう」

「分かりました。今後私達もそこを利用する事になると思うのでしっかりチェックしなきゃ」

「普通のスーパーなので高級食材とかは置いていませんが大丈夫ですか?」

「問題ありません。一般のお店で手に入る食材でも美味しいご飯は作れますから。どうしても欲しい物があれば事前に買っておけばいいだけですし」

「ですね。――えーと、小型端末も持ったし家の鍵も大丈夫と。皆の準備はOKですか?」

「はい、いつでも行けます」

「それじゃあ出発」

 四人並んでスーパーへと向かっているが、なんというか家族感が凄いな。年齢も全員二十代だし、傍から見たら夫婦に間違われそうだ。……俺が居た世界だとただのハーレム野郎だが、この世界では一夫多妻が認められている――というか推奨されているので三人も奥さんがいるんだとなる。俺としては夫婦に見られるのは嬉しいが、彼女達はどうなんだろうか?恋人でもない相手が夫だと勘違いされるとか不快です!となってもおかしくない。

 少し距離を取って歩いた方が良いのかもしれないなと思い、離れようとしたら左右からガチッと腕を掴まれた。左には雪音さん、右には小百合さんがいるがむにょんと胸の形が変わる程押し付けられているし、更に斜め後ろに居る菫さんまで近づいてきておっぱいを押し付けてくる。

「あの~、これはどういう状況なんでしょうか?」

「拓真さんが距離を取ろうとしたので捕まえました♡」

 ……うん、確かに捕まえられたね。でもね、俺が少し離れて歩こうとしたのは彼女達が俺の恋人とか奥さんとかに勘違いされて嫌な思いをさせたくないからであってそれ以外に理由は無いんだけど。

 それを上手く伝える方法がすぐには思いつかないが、多少直截的になっても行った方が良いのかもしれないな。そう思い口を開こうとした所で左隣にいる雪音さんが更に近づいて話しかけてくる。

「私達は別に他人に勘違いされても構いませんよ。寧ろそう見えるというのは嬉しい事ですから。ですので拓真さんがご懸念されているような事は起こり得ません」

「そういう事でしたらこのままで居ましょうか」

「はい」

 微笑を浮かべながら雪音さんが頷いてくれたが、どうして俺が考えている事が分かったんだ?とか勘違いされても構わない、どんとこい!という返事とか色々と言いたい事はあるが押し付けられている柔らかいおっぱいの感触で全てがどうでもよくなってきた。左右と後ろから大きな双丘がムニムニと形を変えながら素晴らしい感触を伝えてくる。……しかし待てよ。ブラジャーをしていたならここまで柔らかさを感じないはず。ワイヤー入りブラジャーなら金属の固い感触があるし、ノンワイヤーブラジャーでもパットの固さがあるはず。という事はノーブラ?――いや、それはないか。家電の処分や搬入の時に結構動き回ったが乳首が浮かんでいたり、ぶるんぶるん揺れていたりはしていなかった。うーん……、こうなると正直男の俺には全く分からない。謎技術を使用した下着でも身に着けているという事にしておこう。直接聞くわけにもいかないしね。

 なんて、本当に下らない事を考えている内にいつもお世話になっているスーパーに着いた。

 何時も買い物に来ているので勝手知ったる我が家では無いがどこに何が置いてあるか等は大体把握しているので、菫さん達が困ることは無いだろう。ということで、いざ店内へと歩き出した時少し離れた場所から俺を呼ぶ声が。

「佐藤さん、こんにちは」

「こんにちは。お仕事帰りですか?」

「はい。今日は早めに終わったので買い物に来たのですが……、そちらの方は?」

「彼女達は俺の友人です。左の女性が静川雪音さん、右の女性が九条小百合さん、その隣にいる女性が倉敷菫さんです」

「初めまして。私は鴻池美沙と申します。佐藤さんとは買い物に来た際に出会いまして、それ以来親しくさせてもらっています」

「静川です。よろしくお願い致します」

「倉敷です」

「九条と申します」

 簡単に三人の紹介をしたが、どうにもぎこちなさがあるな。初対面だしバチバチと火花を散らし合うという事にはならないだろうが、お互い探りを入れている感がある。俺とはどういう関係なのか?どこまで進展しているのか?好意の有無等々この短い時間で様々な情報を得ているのだろう。とはいえ何時までも入り口の前でお見合いをしている場合では無いので鴻池さんには悪いが一言断ってさっさと買い物をしよう。

「すみません、今から買い物をしないといけないので今日の所はこれで失礼しますね」

「はい、分かりました。それではまたお会いしましょう」

 そういって笑みを浮かべてからさっと踵を返す。そのまま少し見送った後俺達も店内へと移動する事にした。

「さて、何から買いましょうか?」

「そうですね……。最初は生鮮食品から見ても良いでしょうか?」

「分かりました。売り場はあっちにあります」

 雪音さんに答えた後、売り場へと行くと旬の野菜が売られていたり珍しい果物なんかも数量限定で並んでいたりといつもより気合が入っているな。レモングレープとか言う良く分からない果物に興味があるがここはグッと我慢。なにせ三人があれこれと食材を吟味しているのだから俺がどっかに行くというのは宜しくないからね。後ろ髪を引かれるが、三人の様子を見ることにしよう。

「お野菜はすぐに鮮度が落ちてしまいますから、二日くらいで食べきれる量を買いましょう」

「そうね。拓真さんのお家に行く際に足りない物を買い足せばいいしそうしましょう」

「となると、今日のお夕飯はどんな料理を作りましょうか?」

「んー……、そうですね。――拓真さん。何か食べたい物はありますか?」

 雪音さんからいきなり声を掛けられて少し驚いたが、食べたい物か。何でもいいは絶対に言ってはいけない禁止ワードだから無しとして、なんだろう?中華は重いしパスかな。洋食だとビーフシチューとかだけど作るのが大変だろうしこれもパスで。残りは和食だが今の気持ちとしてはあれだろうか。

「煮物と焼き魚が食べたいです」

「分かりました。では、煮物は定番の筑前煮と鶏肉とインゲンの煮物にしましょう。お魚は売り場を見てからですね。良いものがあるといいのですが」

 俺の大雑把な希望に対してすぐにメニューを決めてしまうのは凄いな。俺だとパッと思い浮かばないし面倒だからお惣菜かパックに入っている出来あいで済ませてしまうんだが流石と言った所だ。

 そして、すぐに食材の吟味を始めるのもまた料理上手と思わせる。あれこれ話し合いながらもパパッと決めていき十分程で終了。お次は魚売り場へと行く事になった。

「鮭、サンマ、アジ、サバ……。どれも焼き魚としては定番ですがしっくりきませんね」

「どの魚も色々とレパートリーはあるけど、作ろうとしている料理とは少し合わないかもしれないわ」

「そうね」

 雪音さんと菫さんが話しつつどうしようかと迷っている姿を見ていると俺もなにかアドバイスをと思うが門外漢だからなぁ。下手に提案するのはよそう。そう決めて様子を眺めていると、少し離れた所にいた小百合さんがこちらに戻ってきてこんな事を言ってきた。

「あの、あちらにブリがありましたのでブリの照り焼き等はどうでしょうか?」

「おっ、良いですね。俺好きなんですよ、ブリの照り焼き。ご飯と合いますし、程よくサッパリしていて幾らでも食べられます」

「では決定ですね。私買ってきます」

 そう言ってから一分もかからずに小百合さんが戻ってきたので、魚売り場はこれで終了。あとは肉とか調味料とか、その他日用品を買ってお終い。なんだかんだで最終的には結構な量を買ってしまったよ。女性陣の両手には買い物袋がぶら下がっており、合計六つとどんだけだよと突っ込まずにはいられない程大量だ。中には一リットルのボトルが何本も入っている袋もあるので、俺が持とうとしたんだが即答で断られてしまった。『男性に重たい物を持たせる訳にはいきません。それに万が一怪我でもしたら大変ですから』と真剣な口調で言われた為素直にお願いする事にした。ここで『いや、男の俺が持ちます!』と言っても相手を困らせるだけだし、そもそも価値観が全く違うのだから俺の方が引くべきだろう。男性に強くごねられたら女性は引くしかないのだから。

 そんな事を思いつつ、歩いているとあっという間に家の前まで来てしまった。玄関扉の鍵を開け中へ入った後は、買ってきた物を冷蔵庫に入れたり棚に入れたりしていく。全て片付いた所で時計を見るともう少しで十九時と言ったところ。

「それでは晩御飯の支度をしますね。三人で作るので三十分ほどで出来上がると思います。ご飯は買い物に行く前にセットしているので問題無いですし。拓真さんはお座りになって待っていて下さい」

「分かりました。それじゃあお願いします」

「「「お任せ下さい」」」

 そうしてリビングからぼぉーと料理している後姿を眺める。エプロンはスーパーに売っていなかったので今回は着用していないが、私服姿で料理しているのも良いな。お尻がフリフリ揺れたり、移動する際におっぱいがたゆんと弾んだり、細くて綺麗な腕で食材を調理していくのも実に良い。まさに眼福だがこれでエプロンが装着されたら男の夢である裸エプロンの妄想を出来るのだが残念だ。といってもあくまで妄想であって実現はしないのだが……。ワンチャンお願いすればしてくれそうでもあるが、彼女でもない人に裸エプロンで料理して下さいとは口が裂けても言えない。それならばおっぱいを触らせて下さいとか、パンツを見せて下さいとかの方がまだマシだ。……いやどっちも最低だな。いい大人が男子中学生みたいな事を考えてどうする。ブンブンと頭を振って煩悩を追い払う。

 ようやく冷静になった所で改めて三人の料理風景を見ると手際よく食材を切っていたり、ボウルで和え物を作りつつフライパンで炒め物を作っていたりと同時進行で幾つもの事をしているのに気が付く。それも狭いキッチンで三人並んでいるのに、動作に無駄が無く各々が最適な行動をしているというのは普段から料理をしている人でもかなり難しいだろう。雪音さんと菫さんに関しては何度か手作りお弁当を食べた事があるので腕前は知っていたが、小百合さんも二人と遜色ないレベルで料理が出来るとは思わなかった。日本王国女王の娘という立場なので料理人に全てお任せなのかなと思っていたが良い意味で想像を裏切られた。そんな風に暫く見ていると、雪音さんがこちらに振り向いて声を掛けてくる。

「拓真さん。お待たせしてすみません。もう少しでご飯が出来ます」

「分かりました。じゃあお皿とか出しますね」

「お願いします」

 箸やら皿やらをテーブルの上に並べていく。後は炊飯器からご飯をよそう為に茶碗を持っていかないとな。あとはコップは……いらないか。味噌汁があるし、流石に和食とコーヒーは合わないし。――よし、大体こんなものかな。

「用意出来ました」

「はーい。ではそちらに作った物を持っていきますね」

 そうしてお皿の上にブリの照り焼きや筑前煮、鶏肉とインゲンの煮物、茶碗にはお味噌汁が注がれていく。更に副菜として彩り豊かなサラダや白和え、茄子の煮びたしがある。一通り終わった所で全員が椅子に座った後手を合わせて頂きますをする。まずはブリの照り焼きから食べてみようか。

「……滅茶苦茶美味しいです!ご飯とも相性バッチリだし箸が止まらない」

「お口に合ったようでなによりです」

 昔定食屋で食べてものとは雲泥の差だよ。別に高級食材を使っている訳でも無いのにこの美味さは反則過ぎる。やはり作った人の腕が違うのだろうな。よし、次は煮物をいただこうか。

 ほわぁ~、これも美味しい。時間が無いから味があまり染みてないと思ったけど具材に確り旨味が浸透している。野菜も歯応えを残しつつ、口の中でホロッと崩れていくし無限に食べられるぜ。

 次から次へと黙々と食べ続けていると、いつの間にか茶碗が空になっていた。おかわりを持ってこようかなと席を立とうとした時菫さんが声を掛けてきた。

「拓真さん。おかわりをもってきますね」

「すみません。お願いします。あっ、大盛でお願いします」

「ふふっ、分かりました」

 しかしこういう遣り取りは夫婦感があるな。いや、まあ結婚はしていないんだけどさ。こんな美人な嫁さんが三人も居たら毎日幸せだろうな。俺もまだ二十代前半とはいえ結婚を視野に入れる年齢だし、気が早いけど子供も欲しいし数年以内には何とかしたい所だが……そのまえに彼女を作らないといけないんだけどね。――今は一旦棚上げして美味しいご飯を食べましょう。将来の事は未来の俺に丸投げという事でOK。

 他愛無い話で盛り上がりつつも夕飯は終わり、時刻は二十二時を少し過ぎた所だ。流石に女性を一人暮らしの男の家に泊める訳にはいかないのでそれとなく促してみる事にした。

「もう二十二時を過ぎていますけど、時間は大丈夫ですか?」

「あら、もうこんな時間なんですね。随分と長い間お邪魔してしまったようですみません」

「いえいえ、俺も楽しい時間を過ごせましたし問題無いですよ」

「それじゃあ、私達もそろそろお暇しましょうか」

 雪音さんが菫さんと小百合さんに目配せをしながら聞くと二人とも首肯で返す。それからは荷物を纏めたりした後玄関までお見送りをする事に。

「それじゃあ、気を付けてお帰り下さい」

「有難うございます。今日は色々な事がありましたから拓真さんもお疲れでしょうしゆっくりとお休み下さい」

「分かりました。皆さんもゆっくり休んでくださいね」

「「「それじゃあこれで失礼します」」」

「はい、今日は楽しかったです」

 手を振りながら三人の姿が見えなくなるまで見送った後室内へと戻る。なんというか凄く濃い一日だったな。でもこういう日も悪くない。

 お腹も一杯だし、お風呂に入って言われた通り早めに休むことにしようか。

 こうして一日は終わるのだった。

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