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もしも巌流島の戦いで宮本武蔵が佐々木小次郎に優しくしていたら

作者: 柏木ひな

とあるアニメのテストシナリオです

脚本の宿題で出した作品です

自分で書いた作品なのでせっかくなので世に出そうと思い投稿します

もしも巌流島の戦いで宮本武蔵が佐々木小次郎に優しくしていたら


※巌流島の戦いには諸説ありますがこれは武蔵28歳、小次郎18歳、武蔵は小次郎を殺していなかった説に伴って書いています。



豊臣秀吉が天下統一をし小倉藩が九州平定をした頃、佐々木氏は小倉藩への降伏を余儀なくされる。

その中で小次郎は若くして剣術の師範としてその名を轟かせていた。

同じくして宮本武蔵は二天一流の流派を広めていく。

幸か不幸か流派の違う二人が小倉藩に名を轟かせていた。

流派の門下生達は『自分の師範が強い!』と譲らなかった。

そして小倉藩の細川忠興は自身の立場が小次郎によって危ぶまれているため、この門下生達の口論を利用し小次郎を亡きものにすべく策略を練った。

『よし、武蔵を小次郎と戦わせよう。無敗の武蔵だ。絶対に負けるはずがない。』

そうして有名な巌流島の戦いは幕を切って落とされるのであった。


細川忠興に呼び寄せられた小次郎は忠興に色々吹き込まれてしまう。

『宮本武蔵は佐々木小次郎を馬鹿にしている。あんな若造が師範だなんておこがましい。きっと裏があるに違いないと』

若く短気でもあった小次郎はまんまと手のひらで踊らされてしまう。

『あんなジジイに俺の何がわかる!無敗だかなんだか知らないが、俺が人生初の敗北を味あわせてやる!』

こうして小次郎は武蔵に決闘書を申し込んだ。

困ったのは武蔵だ。

『なぜこんな若者が私に敵対心を抱いているのだ?』

理由もわからず困惑するが門下生達は燃えていて決闘を断りづらい雰囲気になってしまう。

『仕方ない、何とか怒りをおさめて貰おう。』

こうして、時は慶長17年4月13日に巌流島の戦いは火蓋を切ったのだった。


しかし武蔵はそれでも悩んでいた。

『若くて頭も切れるという子だ。時間を空けて行けば少しは穏やかになっているかもしれない。』

そう思った武蔵は二時間も遅刻をして巌流島へ向かった。

しかし短気な小次郎は冷静になるどころか完全に頭にきていた。

『遅い!約束の刻をとうに過ぎているではないか!』

時間が経つ事に怒りのボルテージは上がっていった。

『そろそろ冷静になっている頃あいかな』

そんな事はつゆ知らず遅れて行った武蔵は怒りを顕にした小次郎と対面してしまう。

「何をやっていた!約束の刻を何時間と過ぎているではないか!」

怒りでどうにかなりそうな小次郎を見て武蔵は焦った。

『どうしよう……めちゃくちゃ怒ってる……』

『でもこんな若い子を斬るなんてとてもじゃないが出来ない。』

こうして小次郎は真剣、武蔵は木刀で戦う事となった。

しかしこれも小次郎の怒りに触れる事となる。

「真剣勝負に木刀でくるとは何事だ!馬鹿にしているのか!?」

小次郎は完全に冷静さを欠いていた。

いつもなら大振りでない剣さばきも雑になってしまう。

片や武蔵は至って冷静。それどころかこの場をどう乗り切ろうかと悩んでいた。

怒りで冷静さを失った小次郎。

冷静に状況を見極める武蔵。

どちらが優勢かは語らずとも劣らずだ。

「小次郎!敗れたり!」

そう叫んだ武蔵は一瞬怯んだ小次郎の脳天に一撃をお見舞いした。

勝敗は武蔵が勝利をおさめた。


夜になり小次郎は目を覚ます。

『あれ?俺は何をしていた?酷く頭痛がする……』

「まだ起き上がらない方がいい。」

聞こえた先には水を持った武蔵がいた。

「情けをかける気か!?」

怒りそうな小次郎を窘めた武蔵は水を与えながら語り出した。

「落ち着きなさい小次郎。何をそんなに怒る必要がある?たかだか門下生達の戯言から始まった話ではないか。君はまだ若い。その若さであのように沢山の門下生を従えいるとは素晴らしい事ではないか。何をそんなに焦っているのか?」

優しく諭すような落ち着いた声で武蔵は話し出す。

「この戦いは政治的な裏もある。おおかた細川忠興殿が差し向けた戦いではないか?」

「何故それを!?」

「やはりそうか。細川忠興殿はそなた、小次郎氏を恐れていたのだ。いつか反旗を翻すのではないかと。」

「まさか……そんな事………」

「まだ若いそなたを今のうちに亡きものにしようと企んだのだよ。」

武蔵の信じ難い言葉に小次郎は聞き入る。

「私達は流派は違えど同じ剣豪同士。敵対する藩でもないのにこんな戦いは無駄だと思わないか?今回は私は木刀で挑んだが真剣で戦っていたらそなたは間違いなく命を落としていただろう。私は若い命を無駄にはしたくない。」

武蔵の言葉を小次郎は静かに聞いていた。

そして色々悟ったのだった。

武蔵は語る。

「今回は私の大人気なさで勝ってしまったが、負けたそなたが生きているとなると細川忠興殿は今度はどんな策でそなたを亡きものにしようかとまた企むであろう。私としてはそれは避けたい。だからどうだろう。そなたがよければ私の家で暮らさないか?幸い私には娘がいる。私の娘と暮らすのはどうだろうか?」

小次郎は涙した。

武蔵の優しさ、懐の深さに自身が負けた理由をよく理解した。

そして武蔵の申し出を快く引き受けた。

そうして小次郎は亡くなった事となり武蔵の家で暮らし始めた。


あの戦い以降、小次郎は武蔵を慕った。

武蔵の家で顔に紅を差し顔を変え、武蔵の門下生の一人として暮らし始めた。

元々美少年であった小次郎は紅を差すと女性のように見えたので誰も小次郎だとは気づかなかった。

小次郎は昼は女性として、夜は本当の自分として、武蔵の家で暮らし始めたのだった。

これが巌流島の戦いでの宮本武蔵が木刀で戦った理由である。

いかがだったでしょうか?

巌流島の戦いには諸説あり文献を調べるのが大変でしたがその中でも宮本武蔵が佐々木小次郎を殺していないという説があったのでそれをヒントに書いてみました

イケメンだといわれている小次郎だからこそ女装も似合うのではないかと思いそういう最後にしました

巌流島の戦い、色々な文献を読ませて頂きましたがどれも面白かったです

皆様ももしお時間あれば巌流島の戦いを調べてみてはいかがでしょうか?

お読みくださりありがとうございました

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