星座は巡る その動力は回し車
ある時、星座の巡りが遅くなった。
空を見上げてもあまり変わりない星々。夜がなかなか明けず、昼は長い。
地球を含めた星々の自転、公転共に緩やかになってしまっていたのだった。
自転公転速度が変わると星々への影響が大きく、勿論生物が住めたものではない。惑星そのものの危機、ひいては宇宙全体の危機とも言えたが、原因不明のまま、その動きは遅くなる一方であったが……
カラカラカラカラ
「博士!せ、星座の巡りが戻っています!」
カラカラカラカラ
「博士!こ、これは地球は救われるのでは!!」
ピタッ
『ふう……久しぶりじゃあ身体鈍ってるハム』
「博士!!全惑星の自転公転共に、と、止まりました!!宇宙は、終わりだああ!!」
『ここは、少しハムギア上げてみるかっ!』
ダンッ!カラカラカラカラ!!
「博士ええ!!今度は自転公転が、は、早すぎる!!ど、どうなってるの?!」
◇
宇宙の存亡握る何かがあると知った人々は、大いに戸惑い、それを探り、一つの可能性にたどり着いた。
それは
【ハムスターの回し車が星々の自転、公転の動力源になっている】
という、世界の学者が驚くモノだった。
しかし、そんな事実に肝心のハムスター達は目を背けた。小さな生物には余りにも重責だったのだ。何より回し車にそんな事実要らない。
そんな中、立ち上がった一匹のハムスターが居た。
『俺は、おがくずの中でグッスリ寝ててえハムが……ま、ヒマワリの種食えなくなるのも困るし。仕方ねえハムか』
その名は、ハム助。
ビルの屋上、月夜に佇む、その小さくも愛らしい後ろ姿に、宇宙の命運は預けられた。
『やれやれ、ちょっくら宇宙救って……くるハムか』
カラカラ……
カラカラカラカラ!!
『見てろよ、全宇宙! ハムスターのハムは、運命に歯向かうのハムだって事、見せてやるハムッ!』
ブワッ!トドンッ!!
ガラッ! ガラガラガラ!!!!
『あっ』
!?
コケッ
グルングルングルン
ポーン
ハム助は回し車を回し過ぎて、外に投げ出されたのであった。
そして宇宙は滅亡した。
『いってー。よし次は本気のハムギア行くぜ! って全宇宙どこ行った?! さては、俺の勇姿に照れやがったハムな。へへっ、待ってろよ……全宇宙。』
ハム助は消滅しなかった。
何故なら、彼は消滅の運命にすら歯向かうハムスターなのだから。
これが、ハム助が全てに歯向かい、伝説のスターになっていく始まりであった。
頑張れハム助。負けるなハム助。お前の勇姿を見届ける星も生物も居ない。
お読みいただきありがとうございました。一体何を見せられたのかとお思いの方、奇遇ですね私もです。いいねやご評価など良ければお願いいたします。