あけない夜に まだ
日の出より、夕焼けのほうが好きかも。
路地裏でゴミ箱をあさる 黒猫は誇り高い
泥水をすすっても
餌づけされない生きかたが
金色の目で光をはなつ
屋根裏にアジト築いてる ネズミなら与し易い
咲かないで 枯れないで
散るの選んだ生きかたが
ほら人の目をしのんで群れる
あんたが怖がってた 夕暮れが近づいて
朱い果実が腐り堕ちるように黒ずんだ空
枕を高くして眠れたらやりすごせるはずだけど
苛立ちは胸の中 喧騒と化した
あけない夜に まだ
太陽が裏切ろうと知ったことじゃない
闇に怯えるだけなら生涯の半分を無駄にする
太陽にすっぽかされたっていいよ
手さぐりで爪をたててやる
夜明けは勝ち取るものだって教えてくれたから
幕裏で骨身さえ削る その汗に報いてたい
花道は飾るけど
歩むことない生きかたは
唇だけをゆがめて笑う
あんたが欲しがってた 朝焼けは遠いけど
紅い血潮が煮え滾るような燃えさかる空
姿勢を低くして待ち伏せでやりすごせるはずもなく
悔しさは奥歯でも 噛み潰せない
あけない夜は まだ
太陽がひねくれても愛想つかすなよ
明日への船代には生涯の半分もやれないさ
太陽がもったいつけたっていいよ
手まねきで誘い出してやる
夜明けは夢に敗れ去った戦士を照らすから
そんなこといったら。
日中より、夜のほうが好きかも!