#86圧倒的なチカラ
八十六話です、よろしくお願いします!
「構えな、怪我するぜェ」
俺は左手を狼擬きとカガリに向けて人差し指で挑発した。
何故だか今の俺は負ける気がしねェ。
体の中からエネルギーが溢れて止まらない。
高ぶっているのか………俺の視界には奴らしか映らねェ、この場に俺達3人以外誰もいないのかと思うくれェだ。
あぁ、体が疼く、速く動かせと脳が命令して来やがる。
良いぜ、答えてやるよォ。
カフの覇気が明らかに変わったことでカガリとフェンリルは警戒を強めた。
それもそのはず、今彼らが立っている空間はカフの覇気によって激しく揺れている。
この世界での『覇気』とは発信源のモノが纏う魔力によって出来る空間のような物を指す。
例えばラディが自分の魔力を解放したとき、色の付いたオーラが現れることがある。
これは『覇気』によるものだ。
魔法であれば魔力を一定の形にして出現させるが、『覇気』は型どらずにただただ魔力を垂れ流したような状態のことを指す。
一見すれば無駄なように見えるが、相手に対して牽制をする際に『覇気』という不規則な魔力の“波”を放つことで魔法のような固まった規則正しい“波”をぶつけるよりも相手が魔力の“波”を理解しづらいので『覇気』は生物ならば本能的に起こすものなのだ。
そしてもちろん魔力の量、質が強ければ強いほど『覇気』もまた強くなる。
そして今、カフの覇気は明らかに空間を揺らしている。
これはかなり強い部類に入る。
ゆえにフェンリルとカガリは迂闊に手を出せない。
「ほら、どうしたァ?来ないのか?」
分かりやすくカフが挑発する。
とうとうフェンリルは耐えきれなくなったのかカフに向かって一気に駆け出す。
「個体名:フェンリル、それは危険です。今すぐ後退を…………」
よほど頭にきていたのかカガリの警告を無視して木々の間を駆け抜ける。
「グラァァッ!!!」
そして不敵に笑みを浮かべるカフ切り裂こうと腕を振り抜いた時。
「掛かったな?」
カフの一声がフェンリルの耳に届いた瞬間、カフは人外の速度で攻撃を避け、体を後ろに反った体勢からフェンリルを右手で殴り飛ばした。
「グァッ?!」
フェンリルが驚く暇もなく瞬間移動でもしたかのようにカフがフェンリルの目の前に現れ、フェンリルの顔面を掴む。
「ダッラァッ!!!」
そしてフェンリルの頭を地面に叩き付け、クレーターを作る。
「個体名:フェンリルの保護を開始」
カガリが純白の鎧を揺らしながらカフに接近し、拳を振り抜くが、カフはそれを真正面から拳で相殺する。
レインの使う『ファントムサモナー』の装甲さえ物ともしなかった拳を生身の人間が受け止めた。
「っ!?」
驚いたカガリは大ジャンプして飛び退く。
「無駄だぜ、今の俺は既に自分の限界よりもずっと上にいる。そう易々とやられねェよ。」
カフの覇気がさらに強くなる。
カフの圧倒的な姿を見て組員を含むその場の者達はカフの勝ちだと確信した。
そんな空気の中、拍手が聞こえる。
「いやはや素晴らしいな、これは非常に喰いごたえがありそうだ」
明らかに異質な雰囲気を纏った黒服の男が森の奥から拍手をしながら歩いてくる。
「テメェ、ラディではないな?」
カフの質問にその男は高笑いをする。
「ハハハハハっ!!このワタクシがあんな羊擬きと同じ?笑わせてくれますね」
男は黒服をバサリと脱ぎ捨て、その姿を現す。
「自己紹介しておこう」
その黒い羽はあらゆる者を恐怖に陥れ。
「ワタクシの名前はオニオ。またの名を『六仙』の1人、メフェストフェレスですよ」
オニオの口が三日月に割れた
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