#85 憧れた背中
少し開きました、すいません……
今回はカフ100パーセントです。
八十五話です、よろしくお願いします!
「………友軍の損傷を確認、敵の殲滅を開始」
「言っておくが、俺様はアニキほど優しくはねェ、アンタが俺たちを敵だと言うなら俺様もテメェを敵として潰しにかかるぜェ?」
カガリはほんの少しピクリと動いたが、静かに拳を構える。
「あぁそうかい、後で泣いて後悔しても知らねぇぞ!!」
カフは大剣を構えると地面を蹴ってカガリに接近する。
頭上から大剣を振り下ろすがカガリの左手でいとも容易く掴まれる。
カフはカガリの左手を振り払い、後ろに飛び退くと呪文を唱えてカガリの足元に魔方陣を描く。
「シビれろ!<サンダーストーム>!!」
雷で構成された嵐がカガリを包む。
しかしカフはこれで倒せたとは思っていない、なのですぐさま次の魔法の呪文を唱える。
カフが呪文を唱えると、雷の嵐の周りに30程の魔方陣が円を描くように現れ、その向きをカガリのいた位置に向ける。
「おかわりもあるぜェ!<雷撃>!!!」
魔方陣からカガリに向かって雷が落ち、辺りが光りに包まれる。
カフは光を腕で遮る。
光が納まり、カフが腕を下ろす。
そこにあった光景はある意味予想出来ていたが、あって欲しくない状況だった。
カガリがノーダメージで立っていた。
まるで何事もなかったかのように。
「チッ、万事休すか」
カフは不良のような振る舞いをするが、その成績はいたって優秀だ。
勉強の面では少し劣るものの、その戦闘センスは教官を唸らせるほどで、先程放った<サンダーストーム>や<雷撃>なんかの『雷魔法』は難しくて威力が高いとよく言われる。
流石にもっと威力が高く、難易度の高い古代から受け継がれる伝説の魔法『古代魔法』や、教会の大司教クラスが扱える『神聖魔法』、勇者一族がよく扱う『光魔法』などには及ばないが、そういった特例の魔法と比べられるほどには高火力だ。
だが、結果はほぼ無効。悲しいくらい効いていない。
白煙の中からカガリが歩いてくる。
カフは少し汗を垂らしながら大剣を構える。
「凄まじいなァ。どうやって勝てってんだよォ」
じりじりと迫るカガリにカフの汗は止まらない。
「っ!!」
「カハッ!!」
カガリが一秒も待たずにカフの懐に迫り、鳩尾に一撃いれる。
カフはその一撃で吹き飛ばされて木に激突する。
「ち、チクショウ………なんてパワーなんだァ………」
息は荒れて視界は霞み、顔は出血で赤く染まっている。
「こんなとこで…………」
見るとフェンリルも回復したのかカガリに着いていくようにカフへと向かう。
「こんなとこで…………」
カガリとフェンリルが次で仕留めんと構えを取る。
後ろは木々があって逃げられない。
周りの味方はモストロで手一杯。
レインは前線に来ていない。
正に今のカフは四面楚歌だ。
頼みの綱が何も無い。
己の身体でさえあちこちが損傷していて言うことを聞かない。
「終わってたまるかってんだ…………!!」
でもカフは立ち上がる。
「俺様ァ、いつまでもアニキに頼っていられねェ…………」
絶体絶命の状況でもカフの目には炎が宿っていた。
「アニキのあの背中に憧れて俺様ァ舎弟になったんだ」
カフの脳裏をよぎるモストロと臆することなく戦うレインの姿。
ちっぽけだと思っていたレインが。
昔の自分に似ていたレインが。
自分達を護って戦う姿に彼は憧れた。
「こんなとこで諦めてどうするッ!!」
カフは自分を叱責するかのように頬を叩く。
「俺様ァ…………俺はアニキのような誰かを護れる人になりたいとッ!!」
「そんな漢になりたいとッ!!」
カフは手に持っている大剣を思いっきり地面に刺す。
「そう思ったんだろうッ!!!!!」
カフの覇気がどこからともなく溢れでて、辺りの地面を揺らす。
フェンリルとカガリは何かを感じ取ったのか、その場から飛び退く。
刹那、カフの周りに爆発が起きた。
そして、黒煙の中から、明らかに異質なオーラを纏ったカフが這い出てくる。
「カハ~~~~~~」
カフが口を開けて中から煙を出す。
そして鋭い目をフェンリルとカガリに向けてこう言い放った。
「構えな、怪我するぜェ」
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