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悪魔使いの落第者  作者: Bros
第一章 ファントムサモナー
4/201

#4コック・レイン

四話です、よろしくお願いします

きぃ、とドアの開く音が響く。

おいらはあの後先輩と談笑し終え、別れた後自室に戻ってきていた。


「ヴァイス着いたよ」


肩で寝ていたヴァイスを起こす。

校舎から寮までは一番遠い所で20分歩く必要があるんだぁ。


「んんっ…………。アンタの部屋までやたら遠いわね」


「おいらはお金持ちじゃないから一番安い部屋だからねぇ」


そう、おいらは裕福じゃないから自分で稼いで借りられるほどの寮しか借りられない。

下町で借りても良いけれど意外と下町の方が高くつく、なぜなら


「ア、アンタの部屋…………どうなってんの?!」


ヴァイスが驚く。

無理もないよねぇ、先生でさえも定期点検で驚いていた位なんだから。


「アンタ、このフライパンは鉄屑で作ってるの?!」


「お金がないからねぇ」


「電球も何か手作り感満載なんだけど?!」


「お金がないからねぇ」


「皿も、もしかして1から………?」


「お金がないからねぇ、粘土から採集したよぉ」


ヴァイスが軽く引いている。


「おいら、バイトは幾つも掛け持ちしてるんだけんども、学費が高いからねぇ。家具にはお金をかけていられないんだぁ」


ヴァイスが絶句している。

仕方ないよねぇ、部屋の8割が手作りだもん。


「アタシ、住むところには拘って来なかったけれど、こんな部屋は初めてだわ………」


ヴァイスの目から同情が伺える。

少し距離が近くなったかも?

それなら良いなぁ


「まぁ、良いわ。アンタ、料理は出来るの?」


あれぇ、もしかして悪魔もご飯食べるのかなぁ?


「ワタシ、アンタに()()召喚されたから不完全に受肉しちゃったのよ。だから魔力量が足りないからエネルギーを取る必要があるのよ」


「なるほどねぇ、ちょこっと待っててねぇ。今から何か作るよぉ」


おいらはそう言うと手作りのフライパンと、木から削りだしたボウルを取り出す。


「おいら、実は料理店の厨房もバイトでやってるんだぁ」


おいらは自信満々にそう言うと、食材を手に取った






「か~んせ~い!!」


約20分程が経ち、料理が完成した。

ボロネーゼだ。


「この前バイト先でパスタが余ったから貰ってたんだぁ。ちょっと味が薄いかもしれないけんどもおいしいと思うよぉ~」


ヴァイスは恐る恐る小さなフォークでパスタを絡める。


「はむっ………………!!」


ヴァイスの手がせっせと働き出した。

あ~、お気に入りになったのかなぁ?

どんどんお皿からパスタが消えていくねぇ。


「フンッ、まぁまぁね。作れる人がアンタしかいないからこれで我慢して上げる。感謝しなさい?」


そう仰々しく言うものの、口元にはソースがついている。


「ソース、付いてるよぉ」


手持ちのハンカチ(お手製)で拭いて上げると、ヴァイスは少し赤くなりながらベシベシと胸板を叩いてきた。


ははは、痛いなぁ……………

いや、本当に痛いよぉ?

痛い!痛いよぉ!?


「コホン、少し取り乱したわね」


一通りおいらを殴ったヴァイスは小さく咳払いすると、パタパタと飛んでおいらの肩に乗った。


「さて、気を取りなおして。アンタのスペックを見せてもらうわ」


「おいらのすぺっく?」


すぺっくなんか計ってどうするんだろう………


「アンタを鍛える為に運動性能、学力、精神力の面から調べるわ。魔力はもう分かりきってるし計らないけどね」


何だか今日は痛いところを突かれる日だなぁ………


おいらがそう思っているとヴァイスはおいらの額に手を当てて目を瞑った。

おいらも何となく瞑って終わるのを待つ。


目を瞑ってから5分が経った。

ヴァイスの手が離れるのが感じ取れたのでおいらも目を開けた。

すると、ヴァイスの呆れた顔がおいらの目に映った。


「アンタ…………ここまで能力の低い人間は初めて見たわ………」


グサリッ!!

おいらの心に深々と言葉の槍が突き刺さる。


「そ、そんなに言わなくてもぉ………」


「ワタシだって驚いている程だわ。どれもこれも良く今まで生きて来れたと言うしかない数値よ?アンタ本当に人間?」


おいらはちゃんと人間なんだけどなぁ………


「アンタの数値は極端に調理、荷物運び、細工に偏ってるわ………少し記憶を見たけれど全部アンタのバイトに必要な能力じゃない」


「た、確かに今日みたいな休みの日以外はバイト尽くしだけんど、そこまで言わなくても………」


おいらの心はもう瀕死だ。

度重なる攻撃においらは持ちそうにない。


「安心しなさい、このワタシがアンタをキッチリ育ててあげる。すぐに強くしてみせるわ」


た、頼もしい!!


「わ、分かった、よろしくだよぉ。せんせ!」


おいらが先生と呼ぶとヴァイスの機嫌が明らかに良くなる。


「ワタシの指導は厳しいけれど、しっかり付いてきなさい!」


色々不安はあるけんど、何とか仲良く出来そうだなぁ。

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