#35動き出す歯車
遅れました!
三十五話です、よろしくお願いします!
おいらが振り返るとそこにはいつも大人しく読書をしているクラスメイトの女の子、カガリさんがいた。
少し延びた前髪が右目を隠しているので印象的な容貌だ。
身長は低く、若干幼い印象を受ける
「あの………私、料理係で買い出し組になったから………」
「あ、そうなんだ!よろしくねぇ!」
おいらは笑顔で手を差し出す。
「え、あ、う、うん」
カガリさんは恐る恐る手をだして、控えめに握手をしてくれた。
「じゃあ時間もあんまりないし買い出しに行こうか!」
おいらはリストをポケットに突っ込んで立ち上がった。
「いろいろあるねぇ…………」
おいらは調味料のコーナーで腕組みをして悩んでいた。
「あの…………これとかは、どう……………かな」
カガリさんがオリーブオイルを持ってきてくれる。
「あんがと!オリーブオイルはそれで良いよぉ」
それを腕に下げた籠にいれる。
おいらはまた腕組みを始める。
ここは巨大商店の食材コーナーだ。
各地から運ばれた品物が置いてあり、直売なので値段が安い。
しかし、買い方を分かっていないと買えないので何度も来ているおいらが今回ここに足を運ぶことになった。
「うーん、こっちにするかぁ………」
おいらはようやく決めると籠に入れる。
おいら達は調味料を手に入れた後、しばらく商店を回っていた。
商店はかなり大きく、王都の家が10戸は余裕で入ると思えるほど大きい。
「カガリさんは何か出したいモノとかある?」
「…………ーむ」
「ん?」
上手く聞き取れなかったので耳を近づける。
「しゅーくりーむ…………」
次に買うのは乳製品になりそうだ。
おいら達が牛乳を選んでいると、近くにいたミルクを売っていたおっちゃんが近づいてくる。
「よお、『ハシツル』のレイン君じゃねぇか!」
「ライフルさん!お久しぶりです!」
いつも呑みに来てくれる常連のお客さんだ。
最近、牧場の仕事が忙しくなってきたと久しく顔をだしていなかったけんど、意外なところで再会したなぁ。
「あんちゃんはここで何してん…………」
ライフルさんはカガリさんを見るやいなやニヤニヤ笑っておいらと肩を組んできた。
「彼女か?彼女なのか?あんちゃんも隅に置けねぇな!」
「違いますよぉ、学園祭の買い出しですよぉ」
「何だよ、弄くろうと思ったのに」
都会ジョークってやつなのかな?
ライフルさんは肩を離すとおいら達にあるものを見せてくる。
「これ、最近うちで始めたんだよ。一個どうだ?」
それはきつね色の丸い手のひらサイズのお菓子
「しゅーくりーむ」
カガリさんが呟いた。
「お、嬢ちゃん知ってんねぇ!どうだい、1つ!」
「……………お金がない」
カガリさんはそう落ち込む。
けんど、シュークリームを見る目がキラキラしてるなぁ…………
うーん、今日は散々手伝ってもらったし………
「ライフルさん、二つ頂戴」
「毎度アリ!男気あんね!あんちゃん!」
ライフルさんからシュークリームを貰うと、カガリさんに1つ渡す。
「はい、今日手伝ってくれたお礼」
「………良いの?」
「うん、いっぱい手伝って貰ったしね!」
ちなみにもう1つの方はもう既に半分がヴァイスに食べられている。
「ひょうよもひゃえふもひょはもひゃっひょひなひゃい!」
いや、キミは何もしていないかんね?
「あ、ありがとう………」
「うん!どういたしまして!」
おいらがそう言うとカガリさんはシュークリームを食べ始めた。
よっぽど食べたかったのかほとんど喋らずに食べていた。
「おいしい…………」
けんど、顔が緩んでいるし、喜んでくれているみたいだ。
買い出しが終わり、レイン含め、皆が帰った後。
教室に独りだけカガリが立っていた。
夕日に照らされた彼女の表情は明るくはない。
そして、彼女の目の前には黒服の男がいた。
「良いな?貴様が狙うのはそのレインと言う奴だ。必ず組織の障害になる。」
黒服の男はカガリの肩に手を置く。
「消せ、殺すではなく消せ。それが今回の任務だ」
「イエス、マスター」
黒服の男はカガリの生気のない声に面白くなさそうな顔をすると黒い霧と共に消えた。
「…………わたしの任務は彼を消すこと…………」
カガリはそう呟きながら窓の外を見る。
そこにはカフ達に追いかけられるレインがいた。
「それ以上の感情は………いらない」
彼女の影は小さかった。
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