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悪魔使いの落第者  作者: Bros
第二章学園祭
31/201

#31心の強さ

三十一話です!よろしくお願いします!

おいらはとうとうアレックス君の蹴りをノーガードで受けてしまい、闘技場の壁にぶつかる。


「………やはり、君の使っていたあの力は君の力ではなかったみたいだな」


アレックス君の言葉が右から左に流れていく。

脳が何も受け付けてくれない。

身体中痛いのに何も反応出来ない。

痛いとさえ言えない。

肩でヴァイスが呼び掛けてくれているが、それもおいらの耳には届かない。


「レイン君!」


クレア先輩が心配して飛び出そうとするが、リオンさんが止める。


「離して!このままだとレイン君が!」


「だめだよ、クレアちゃん。多分、先輩は自分と向き合っているんだと思う。」


「だからって!」


「それにあたし達には口出しする権利がないよ。さっきの言葉を聞いていても今回の決闘はあたし達がトリガーだし、あくまでアレックス君の相手は先輩だよ」


それを聞いたクレア先輩は顔を俯かせると、悔しそうに表情を歪めた。

決闘は戦う者以外の介入を禁じている。

ここで彼女が飛び出しても追い出されることは明白だ。


「なんで、私は何も出来ないの………!」


クレア先輩の肩が小さく震えた。



そんな観客席を尻目にアレックス君はじりじりと迫ってくる。

観客の生徒は先程のアレックス君とおいらの掛け合いで静まり返っていた。


「そろそろ終わらせようか」


今回の事はかなり学園に広まっていて、二人の美少女を取り合う優等生と落第者だなんて触れ回られていた。


が、蓋を開けて見ればそこにはそれはただの口実に過ぎなかった。


それに驚くもの、意外と激しかった戦いに見いるものが多かったが、皆が皆、アレックス君が勝つとどこか確信していた。


「もう僕の勝ちだ。落第生……………」


そういったアレックス君が構えたのを視界に写したおいらは突然、立ち上がった。


喉が熱い、おそらく血を吐き出しすぎた。

目がぼやける、衝撃を受けすぎた。

体は重たい、それでも動かす。


おいらにはようやく分かった。

なんで、おいらはあんな浅い覚悟でこの決闘を受けたのか。

なんで、おいらは戦うのか。


「おいらは…………」


「!」


「おいらはッ!!」


思い切り力を込めて叫ぶ。

身体中に血が滲むがそんなの今は関係ない。


「おいらは落第生じゃない!もう誰も助けられないおいらじゃない!!」


あの日、あの時、おいらが『ファントムサモナー』を使ったのは自分の力を上げられると思ったから。


「例え弱いと言われても!仮初の力だと言われても!おいらはおいらだ!」


「………ほぅ」


「おいらは目の前で苦しんでいる人を助けたくてあの力に手を出した!それを卑怯と言われても!おいらはその力で戦う!」


エゴ、なのかもしれない。

それに誰かを守りたいという理由で隠していたのかもしれない。

目の前の人を全て助けるだなんて出来ないことの方が多いだろう。


「おいらはもう後悔したくはない!誰かを犠牲にして、後悔して、悲しみの連鎖を見ておくだけなんて、おいらには出来ない!!」


「それは偽善と言うんだ!大体大きな力を手に入れて君が扱えきれる確証はあるのかい!」


アレックス君の覇気が強まり、威圧してくるが、もうおいらは気圧されない。


「それでも!おいらは助けたい!エゴと言われても!偽善と言われてもおいらはおいらの………」


おいらはヴァイスに力を借りてショートソードに炎を纏わせる。


「正義を貫くッ!!!!!!」


おいらは大きく踏み込むと、アレックス君の懐に滑り込む。


「たぁぁぁぁぁあっ!!!」


「チィッ!!」


二つのショートソードで回転斬りを仕掛けるが、上手く避けられる。


アレックス君はおいらから距離を取って、構え直す。


「ハハハハハ!!君はどうやら中々のやり手らしい!」


アレックス君は唐突に笑いだす。


「僕が間違っていた…………君は落第生なんかではなく立派な戦士だ!」


アレックス君の覇気が更に強まる。

そして不敵な笑みを浮かべておいらに剣の切っ先を向ける。


「君への失礼を謝罪しよう…………そして、改めて名乗らせてもらう!」


アレックス君は元々戦闘狂なのだろう。

先程まではプライドの為に戦っていたいたようだが、今は目の前の戦いにのめり込んでいる。


「僕は勇者の末裔、アレックス家の剣士レッド・アレックス!!」


相手が名乗るのならおいらも名乗り返す。


「おいらは悪魔使いのレイン!」


おいらも構え直して名乗る。


「僕は───」


「おいらは───」



二人の目に炎が灯る。


「「君を倒す者だ!!!」」

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