表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔使いの落第者  作者: Bros
第一章 ファントムサモナー
3/201

#3手助け悪魔とご主人

よろしくお願いします

「キシャォォォ!!!」


怪物……モストロの攻撃を避ける。

凄いや、まるでおいらの体が羽根みたいに軽い!!


「とりゃぁッ!!」


おいらはモストロの眼球に目掛けてブレードを突き出す。


「キシャラァッ!!」


しかし、モストロはおいらのブレードを受け止めると、お返しとばかりに鎌で斬り上げてくる。


おいらはバックステップで避けると、ブレードをしまって今度は拳で殴りかかる。


いま、おいらの体は黒い甲冑に覆われていて殆ど肌が見えていない。

顔面にはサングラスのような薄暗く透明な物があってそこから外部を見ることが可能。

体全体にぴったり密着するように甲冑が出来ており、そこまでゴツくは無くむしろスタイリュシュだ。


「キシャァァァァァァ!!」


「おりゃぁぁぁっ!!」


おいらとモストロの戦いは拮抗している。

でも、おいらは人と喧嘩したことがないから、戦い方なんて全く分からない。

パワーでは勝っているのに中々倒せない。

そんな感じでモタモタしているとエーデルヴァイスが呆れた声でアドバイスしてくれた。


『そんなんじゃあ何時まで経っても終わらないわ。両手のブレードを出して、構えなさい』


「わ、分かったぁ!」


おいらは言われるがままに両手のブレードを出して拳法家のように構えた。


『走りながら両ブレードをモストロに刺す!』


「ていっ!!」


ブスリとモストロの体にブレードが突き刺さる。

するとモストロは苦しみ悶え始めた。


『次は右足で蹴りながらブレードを引き抜いた後、左のブレードで斬り下げて!』


「せいやぁっ!!」


ブレードを抜いた所から緑色の液体が出る。

そして、おいらがブレードで頭を割ると、モストロは緑色の液体を吹き出しながら倒れた。

やがてモストロの亡骸が燃え始め、完全に無くなった。


「これでおしまい?」


『ええ、モストロは倒せたわ。お疲れ様』


「やったぁ!!」


おいらは思わず両手を万歳してしまう。

エーデルヴァイスはそんなおいらを見て呆れたように溜め息を吐いた。


『じゃあ、武装を解除するわよ』


エーデルヴァイスがそう言うと、黒い鎧が光となって消えていき、代わりにエーデルヴァイスがおいらの体内から出てきた。


あれ?なんだか力がぁ


「あ、言い忘れていたけれど。アンタ体力ないから、武装解除後はとてつもない疲労が伴うから気をつけてね」


「それを先に言っ………て」


おいらはとうとう力が入らなくなり前に倒れる。


「レイン君?!大丈夫?!」


あ、クレア先輩の心配する声が聞こえるような聞こえないような……………


おいらの意識はそこで途絶えた。






「────君!」


「───ン君!」


「レイン君!!」


おいらの耳にクレア先輩の大きな声がぶちこまれる。


「わ、わぁぁあ!!」


あまりにも驚いたおいらは思わず飛び起きた。

あれ?ここは………………保健室?


「もしかしてクレア先輩が運んでくれたんですかぁ?」


「ま、まぁ………ね」


「?」


あれ、なんだかクレア先輩がよそよそしいぞ、何でだぁ?

おいら、何かしたかなぁ?


「レイン君、物凄く軽いのね。女の子よりも軽かったわ………」


グサリ、とおいらの胸に言葉の槍が刺さる。

い、痛い所を…………そう、おいらはあまり食べないし、あまり太らない。

よって見た目以上に体重が軽いんだ。


「ごめんね、気にしてたら………」


「元々自覚しているので大丈夫ですよぉ。それよりもエーデルヴァイスは?」


おいらの問いに不思議そうに首を傾げるクレア先輩。

ハッとしたかと思うと保健室の外を指差した。


「あぁ、レイン君の召喚した悪魔の女の人?その人ならさっき保健室の外に………」


「ただいま戻ったわ」


ガラリと保健室のドアが開いた。

噂をすればなんとやらエーデルヴァイスが戻ってきた。


「さっきの戦闘ではありがとうエーデルヴァイス。おいらでも戦えたよ」


おいらが礼を言うとエーデルヴァイスは厳しい表情をした。


「あんなの、ワタシの全力ではないわ。これからアンタを鍛えてもう少しマシな戦いを出来るようにしてあげる。」


「良いのぉ?」


「アンタみたいなもやしだと他の悪魔の笑い話にされるわ。そして、ワタシのことはヴァイスで良いわ。」


「分かったよぉヴァイス。おいら頑張るねぇ!!」


「フンッ」


ヴァイスはそう鼻を鳴らすと、籠に入った果物を差し出してきた。


「体力を回復するために食べなさい。偶々外に落ちてたから上げるわ」


おいらは籠に入ったたくさんの果物を貰うと、手にとって食べる。


「そぉ言えばクレア先輩は大丈夫なんですかぁ?」


クレア先輩はおいらの質問に答えるように袖をまくり、腕を見せてくる。


「この通り、レイン君のお陰で怪我はないわ。」


「良かったぁ………」


おいらがそう言うとクレア先輩はクスリと笑う。


「助けてくれてありがとう、レイン君。意外と度胸あるのね」


クレア先輩がおいらをそう言って誉める。

人に誉められるなんて久しぶりだなぁ………


「ヴァイスのお陰ですよぉ。おいらはただ戦っただけですよぉ」


「フン」


「あはは………」


おいらがヴァイスに感謝するたびにヴァイスは不機嫌そうな顔をする。

そんなおいら達を見てクレア先輩は苦笑いをした。


おいら達はその後しばらく談笑していた。


「でもヴァイスちゃんのその体どうにかしないといけないわねぇ」


クレア先輩が唐突にそう言った。

確かに良く見ると大人の身体をしていながら服が薄くて布が少ないなぁ


「ヴァイスちゃん、どうにかなる?」


クレア先輩はそう言ってヴァイスを下から見上げる。


「う、上目遣いなんてあざといわね…………ワタシ、上級悪魔だし、それくらいどうとでもなるわよ……………よっと」


ヴァイスはそう言うと自分に魔法をかける。

眩い光がヴァイスから出て、しばらくすると治まった。


そして、おいら達が目を開けたときにいたのは先程のように大人のヴァイスではなく、デフォルメされた手のひらほどのヴァイスだった。


「わぁっ!可愛い!!」


無類の可愛い物好きのクレア先輩がちっちゃくなったヴァイスに抱きつく。


「やめなさい!!」


ヴァイスがしばらく暴れるとクレア先輩が名残惜しそうに話した。

解放されたヴァイスは悪魔の羽をぱたぱたと羽ばたいておいらの肩に乗った。


「いい?これから普段はこの姿で過ごすわ。アンタがあの身体を見て間違いをおこされたくないし」


「……………うん、そうだぁ…………ねぇ」


ごめんよヴァイス、それはないと思うんだぁ


「微妙な間が気になるわね………まぁいいわ」


「『ファントム・サモナー』を使う時以外はこの姿になるから周りにはあくまでも普通の悪魔として扱ってよね」


「なんで?」


おいらは素直な疑問をぶつける。

すると、ヴァイスはまた呆れたように溜め息を吐いた。


「あのねぇ、アンタみたいに魔力量が貧弱な奴がいきなり上級悪魔なんて呼び出していたらアンタ、絶対いろんな人から尋問を受けるわよ?」


グサグサとおいらの心に突き刺さるよぉ…………


でも確かにヴァイスの言うとうりだねぇ。

ただでさえ赤点のおいらが召喚成功どころか上級悪魔を呼び出したなんて、皆ズルだと思うかも


「分かったよぉヴァイス。これかはよろしくね」


おいらは手をヴァイスに差し出す。


「フンッ、精々死ぬまでの間、精進しなさい」


ヴァイスはその小さな手でちょこんとおいらと握手をした。

コメント、評価を頂けると作者が嬉しさで大爆発します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 爽快でテンボの良い主人公の活躍に、胸が熱くなりました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ