#22未来のキミへ
二十二話です、よろしくお願いします!
ヴァイスがいなくなって一週間が過ぎた。
必死に探し、血眼になって勉強し、足が動かなくなるまで駆け回ったおいらは教室の机の上で動けなくなっていた。
「うおぉぉお…………足がぁ………足がぁ………」
「大丈夫ですかい?アニキ」
筋肉痛に悶えるおいらをカフ君達が心配そうに見つめる。
「ありがとうカフ君。それにしても………」
おいらはカフ君達をみる。
「………多くなったねぇ?」
「この前の戦いで更に同志が増えたんでさぁ!」
おいら達の戦いは全て生徒会執行部とカフ君達の手柄となっている。
クレア先輩やカフ君達はおいらのお陰だから手柄を持っていけと言ったが、まさか『ファントムサモナー』の事を話しても信用してくれないだろうし、知られると何をされるか分かったものじゃ、なかったので断った。
ただ、どうしても逃げ遅れた人が居たらしく、カフ君達が片っ端から捕まえて口外しないよう注意しようとしたら、仲間になったらしい。
「それはそうとアニキ今日もアネキを探しに行くんですかい?」
「まだ探してないところがあるからぁね」
「でも、アニキそろそろ休んだほうが────」
カフ君がそこまで言ったとき、教室のドアが開いた。
「レイン君、ちょっと良いかしら?」
そこにはクレア先輩が立っていた。
おいらはクレア先輩に連れられて学園の廊下を歩いていた。
「突然ごめんなさいね?もしかして用事とかあったかしら?」
「大丈夫ですよぉ、けんどおいらに何のようです?」
「実は図書室で重要な物を見つけたのよ」
「図書室で?」
「えぇ、興味深いものが、ね?」
おいら達は『ファントムサモナー』を見つけたあの本棚の近くに来ていた。
クレア先輩は本を十冊程本棚から取り出すと、その奥に手を入れた。
「これよ」
クレア先輩は日記のようなものを見せてきた。
その題名には『私の後継者へ』と書いてある。
「ヴァイスちゃんの手掛かりがないか探していたら見つけたのよ。まだ私はこれを読んでいないわ、レイン君が読むべきと思ってね」
クレア先輩がウィンクをする。
おいらは頷くと本を開いた。
「❬この本を開いた者へ、恐らくこの本が読まれていると言うことはとっくに私は死んでいるのであろう❭」
私は学者だった。
魔法を研究し、新たな戦い方の形、魔剣士を研究していた。
私の紹介などはどうでも良いからここまでにしよう。
私はキミが持っているであろう、『ファントムサモナー』の使い手だ。
今この世界は戦いに満ちている。
『幻獣等を捕獲し、その力を扱う事ができる道具』が48年前に開発された。
それは『ファントムシリーズ』と呼ばれた、中でも屈指の性能を持つ5つの道具。
それが『プロトタイプシリーズ』だ。
中でも『プロトタイプシリーズ』の中でも最も性能の高い『ファントムキング』が今の戦いの原因だ。
『ファントムキング』には天を落とすほどの力をもっている。
もし、これを読んでいるキミがあの娘と戦おうとしているのならばこの悪魔の小手を扱えきれなかったしがない学者からのアドバイスを1つ贈ろう。
キミがそれを手に入れたときから全ては始まっている。
キミの歩む未来は厳しい道のりだろう。しかし、これだけは覚えていて欲しい。
いつか差し込む一筋の光を待つんだ。
それがキミの助けになる。
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