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悪魔使いの落第者  作者: Bros
第一章 ファントムサモナー
2/201

#2ファントムサモナー

二話です。

是非読んでって下さい

「あ、見えてきたわよ」


クレア先輩とおいらは二人揃って図書室の目の前まで来ていた。

図書室とは言うものの殆ど図書館である。


中に入ると開放的な空間に本棚が並んでいて、その広さを見せつけていた。

二階建てで天井はガラス張りだ。

蔵書数は万を軽く越え、国中の本を集めているとさえ、言われている。


「クレア先輩、どこにあるんですか?」


「二階のあの本棚の奥ね」


そう言うクレア先輩について行くと、本棚の奥に木箱が置いてあった。

クレア先輩はその木箱を開くとおいらに見せてきた。


黒いグローブだった。

両手分あり、左手の甲の部分には鉄のような板がついていた。


「クレア先輩、こりゃなんですかぁ?」


「これはね、『ファントムサモナー』って言う物らしいわ、この前ここに本を取りに来たときに偶々見つけたの。」


クレア先輩はそう語るとおいらにその『ファントムサモナー』を持たせてきた。


「木箱の中に入っていた手紙によると昔の悪魔使いが使っていた道具らしいわ。」


クレア先輩がそう言うが、おいらはそのグローブを木箱に戻した。


「そんな、人様の物を勝手に使えないですよぉ」


「大丈夫よ、手紙の最後にこれを見つけたものは是非使うと良いって書いてあったし」


でもおいらはそんな事では納得出来ない。

どうしようかあたふたしていると。


「きゃぁぁあ!!」


ドカンという爆発音と共に、悲鳴が図書館の一階から聞こえてきた。


「クレア先輩!」


「えぇ、行きましょう」


おいらとクレア先輩は悲鳴のした一階に戻る。

そこには異形の怪物が生徒を襲っていた。


「クルルルルルルルルルル」


カマキリのような容姿をしているが、二足歩行で体長は二メートル程。


「キルルルルルルゥ!!」


「止めなさい!!」


おいらが怪物をみてオロオロしていると、クレア先輩が、怪物の鎌を剣で斬り飛ばし、怪物と対峙していた。


「魔物………ではないわね、魔力が感じとれない。あなたは一体何なの?」


「キシャァァァァァァ」


クレア先輩が怪物を見てそう聞くが、怪物は関係無いとばかりにクレア先輩へ残った鎌で斬りかかる。


「ッ!!」


奇襲ではないからか、クレア先輩は先程のように鎌を斬り飛ばせず、剣で鎌を弾いて対抗する。


「鬱陶しいわね、<アイスランス>!!」


クレア先輩が、氷の槍を魔法で創り、怪物に飛ばす。

しかし、怪物はそれを鎌で両断すると、クレア先輩を蹴飛ばした。


「クレア先輩!!」


あ、しまったつい声がでちゃったぁ!!

怪物はクレア先輩からおいらに標的を変えて、じりじりと迫ってくる。


「レイン君………逃げて!」


クレア先輩はそう促すが、おいらの体は硬直して動かない、いや動けないかなぁ?


吹き出る汗を我慢しながら必死に対抗する策を練る。


そんなおいらは手に持っていたグローブに気が付いた。


「い、一か八か。かけるしか…………!」


おいらはグローブを両手に嵌めた。

すると、脳内に一つのメッセージが駆け抜けた。


───悪魔を召喚せよ───


え、誰の声だぁ!?

い、今はそんなこと気にしている場合じゃぁないか!


「<召喚(サモン)悪魔(デビル)>!」


おいらがそう詠唱すると、おいらの足元に魔方陣が出現し、そこから女の悪魔が出てきた。


ひ、ヒト型?ヒト型は上位の悪魔の筈なんだけんど………


「アンタがワタシの主人?………冴えないわね」


「ぐはぁっ!」


お、思いもよらない言葉が来たなぁ。いや、そんなことに傷ついている場合じゃあない!


「い、今あの怪物に襲われていて困ってんだぁ、助けてくれないですかぁ!?」


「ふむ、モストロね。でもアンタそんな貧相な魔力量じゃワタシを制御出来ないわよ?それにアタシ、上級悪魔だから代償は高くつくわよ?」


「こ、これでどうにかならないかなぁ?」


おいらは『ファントムサモナー』をその悪魔に見せた。

悪魔はマジマジとそれを見ると頷いた。


「それなら確かにワタシを扱えそうね、代償はどうするの?」


おいらは戸惑ってしまった。

だ、代償なんて召喚初めてだから分からないだけんどぉ!?


「召喚が初めてなのね………そうね」


悪魔は仕方がないと言うように肩を竦めると、おいらの胸の辺りに人差し指を当てた。


「アンタの命、とか?」


「えぇっ?!」


「契約期間は五年、期間満了でアンタの命を頂くわ。どう?」


おいらはますます戸惑うけれどもすぐそこまで怪物……モストロは迫っている。


「どうするの?ここで契約しないとアンタもあの小娘も死んじゃうけれど?」


覚悟を決めなさい、そう言われている気がした。


お、おいらだって男だ。覚悟をしないと!!


「わ、分かったよぉ。それで良いからおいらに力を貸してくれぇ!!」


おいらがそう叫ぶと悪魔はクスリと笑い、おいらの体内に入っていった。


『ワタシはエーデルヴァイス、よろしくねご主人様?』


悪魔はおいらの体内からそう話す。

胸の辺りから声が出ている。


『そのグローブの左手の甲に右手を置いてこう唱えなさい』


ある呪文がエーデルヴァイスから伝えられる。


「わ、分かったよぉ。言ってみる!」


おいらは怪物に向き直すと左手の甲に右手を置いて、グローブに魔力を込める。


「装着、上級悪魔<エーデルヴァイス>、召喚(サモン)!!」


おいらがそう叫ぶと黒い嵐が起こり、おいらの体を包む。


召喚(サモン)!エーデルヴァイス!!DEVILWARNING!!』


どこからか無機質な声が響く。

嵐の渦がやがて収まり、全身に黒い鎧を身に纏ったおいらが現れる。


「レ、レイン君………なの?」


「クレア先輩、おいらがあの怪物を倒します。待っていて下さいぃ」


覚悟を決めた顔をしているつもりだったけんど、顔も覆われているのでおいらの表情はクレア先輩には見えない。

おいらは怪物と対峙すると、右手首の鎧からブレードを出して構える。

すごいなこれぇ。おいら、使い方が何となく分かる気がするんだぁ。


「キシャァァァァァァッ!!!」


『くるわよ!』


「うんッ!!」


おいらは迫りくる怪物へ斬りかかった

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