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悪魔使いの落第者  作者: Bros
第三章 白の陰謀と黒の愚策
118/201

#117 決着。ラディとレイン

百十七話です!よろしくおねがいします!

──レインがラディと交戦している──


その一報はレインの生存が確認された喜びと同時に、自分達のリーダーが危機に陥っていることを示していた。


レイン組は正規の騎士団でもなければ軍隊でもない。しかし、それ故に戦いにぬかりはなく事あるごとにモストロを記録し、対策を練り、最低限の労力で撃破出来るように努力してきた。

つまりレイン組副総長のテリアをあしらい、何度もレイン達を苦しめたラディの恐ろしさはレイン組が一番理解している。


緊張が走る。だが、その緊張を加速させるような一言を誰かが呟いた。


「あれ……目撃報告にあったオニオとの接敵報告ってあったか……?」


同時刻、学園の体育館でもオニオの目撃情報が寄せられて以来、発見していないことに気が付いた。


「不味いね………☆いくら私の魔法でも特定の悪魔を見つけ出すのは至難の業だよ……☆」


リオンは水を飲みながらかなり暗い表情で魔法で出現させたモニターを見る。


今回、生徒会や騎士団の助けがあったこともあり攻め込んできた大量のモストロ押し返すことには成功している。

空を飛ぶモストロはカフとアレックスにより全て排除され、地を這うモストロもレイン組の必死の防衛で都市の最外殻まで撤退させることに成功している。


だからこそ抜けていた。

あれだけ沢山の部隊と人を動かしていたリオンは自然と姿を消したことに気が付かなかったのだ。


「くっ……落ち込んでいる場合じゃないね……☆すぐにカフ君に連絡を!!オニオの対処はあの2人に任せる。残りの人たちは一刻も早く王宮へ!!王族の身に何かあればもうこの国の混乱は収まりが付かなくなってしまう!!」


「分かりました。報せを飛ばします」


「うん、ありがと☆」


(私が手伝えるのはここまでみたい……皆…頑張って……)


リオンがそう願いを込めようとしたとき、急に部屋のドアが開かれ、汗ばんだ組員が入ってきた。


「リオンさん!緊急入電です!!」


「えっ?」


「総長よりオニオが王宮に向かって高速で移動中とのことです!!」


「…………っ!!!全勢力を王宮に集合!絶対王族は守るよ!!」


「はい!!」


「私も現地に行くね、あなた達はここの防衛をお願い!」


「リ、リオンさん。多少のお供は……」


「大丈夫、私も少しなら戦えるよ。それよりも避難民の防衛をお願いね」


「わ、分かりました」


「うん、じゃあ行ってくるね」


そう言い残すとリオンは転移魔法を展開し、転移した。


同時刻、王宮。


禍々しいエネルギーの玉をレインに向けたラディは不敵に笑う。


「貴様、人間にしては中々噛みごたえがあったぞ……………クククク………まぁ、俺の勝ちだがな」


「っ!!」


レインが覚悟を決め、俯いた時だった。


「待ちなさい!!悪魔!!」


「あ…?」


「っ!!」


「おねえさま…?」


レインが声のする方に視線を向けると、ボロボロになった第2王女がいた。


「キミ……!何やって!!」


「私は…」


レインの声を遮って第2王女はラディに鋭い視線を飛ばす。


「私はこの国の王族。私には、民を守る義務がある。」


「ほぅ…?」


「でもそんな私は貴方に踊らされて、大切な民を処刑しろとまで口走った。」


「なら、私がするべきことは何か。」


第2王女の目付きが更に鋭くなる。


「レインさん、貴方が国を脅かそうとする存在でないのは今助けて貰った経緯も含めて理解しました。」


「……!」


「ですから早く逃げなさい。私が大した抵抗が出来ずに死んだとしても貴方はその間に仲間を集めてください」


「そんなこと出来るわけないよ!!」


「良いからいきなさ───」


「うるさい小娘だ。」


ラディの体が第2王女の方へと向き、すぐさま跳躍の準備をする。

すると第2王女がレインに向かってウインクをした。


(…!!そうか!そういうことか!!)


ラディが第2王女に注目を向けたことにより、レインへの警戒が少し緩んだ。

また、ラディは思っていたのだろう。もうレインはしばらく『ファントムサモナー』を使えないのだろうと。


ラディの拳が第2王女へ高速で接近し、その頭を打ち砕かんとする。

しかし


拳を弾く轟音が鳴り響き、土煙が舞う。


「っ!!なにっ!?」


ラディは急いで土煙から脱出し、警戒の態勢を取る。


「やっぱり……やってくれると信じてたわ」


土煙が晴れ、そこには再び『ファントムサモナー』を纏ったレインが立っていた。


「おいらが成長したのは攻撃力やスピードだけじゃない………んだよぉ」


「ぐ………!ならばもう一度地に縛り付けてやる!!カランコエェェェェェェェェ!!!」


さっきよりもスピードを増したラディがレインに急接近し、拳を振り抜く。

しかし、負けじとレインも拳を振り抜き、強い衝撃波が周りを襲う。


「きゃっ!」

「おねえさま…!」


(まずい……ここだと二人にケガをさせちゃう)


レインは体を捻り、回転蹴りをラディに食らわせる。

満身創痍のラディは堪らず吹き飛び、レインはそれに追撃をしかける。


「ッチ!!調子に乗るなよ!!」


「ダッ!!!」


なんとか空中で態勢を建て直したラディはもう一度レインと拳を交わし、その勢いのまま尻尾でレインを拘束する。


「な、なに!!」


「くたばれっ!!」


ラディは尻尾で拘束したレインを蹴り上げると直ぐ様レインよりも高く飛び上がり、タックルを決めてレインを地面に叩きつける。


「がっはぁ!!」


地面と衝突し、少し跳ね上がったレインはなんとか受け身を取るとよろめきながらも体を起こす。


「オラオラオラオラどうしたァァァ!!」


しかし、そんなレインにお構い無く拳でラッシュを仕掛けるラディ。

レインは避けずにそれを全て受け止めると反撃しようと拳を振り抜くもガードされてしまう。


「甘いなァ!!カランコエ!!」


レインはとうとうラディのかかと落としと回し蹴りのコンボを食らい、王女達がいるところまで吹き飛ばされてしまった。


「………どうやらオレの勝ちのようだな。」


「ぐっ……!」


ラディが今度は逃がさないと言わんばかりに魔力を手のひらに集め、禍々しい球を練り上げていく。


──────

おいらは気力を振り絞って立ち上がり、ヴァイスに話しかける。


「ヴ……ヴァイス……さっき言ってた必殺技……使えそう?」


『………使えるのは使えるわ。ただし5%の威力ならね。それに………』


ヴァイスの言葉が少し詰まる。


『今のご主人の危険な状態だと安全に放てるかどうかは分からないわ』


「………うん……でもやらないと結局生きて帰れないよね」


『……やるのね』


「おいらはもう決めたよ。お願いヴァイス、準備を手伝って!」


『……上等よ!!』


ヴァイスがそう応えると同時においらの甲冑が蠢き、胸の辺りに甲冑が集中していく。


「抵抗しても貴様は終わりだ!カランコエ・レイン!!!王国もろとも消え去れぇぇぇぇぇぇッッ!!!」


ラディから王国を滅ぼせるほどのエネルギーを持った魔力のエネルギーがレインに向かって真っ直ぐ放たれる。


『いけるわ!!ご主人!!』


「ッ!!!」


ヴァイスの掛け声を聞いておいらは必殺技の名前を叫んだ。


「ディアボロキャノン!!!」


叫ぶと同時に胸に集まった甲冑から神々しい光線が放たれ、ラディの魔力とぶつかる。


ぶつかった瞬間身体が押される感覚に襲われる。

押し返さないと負けると直感がそう訴えている。


「ぐ………ぐぬぬぬぬぬく…!!!」


「ぐ……ぐぐぐぐ……!!!」


おいらとラディは互いに押し合う。

しかしラディの方が少し優勢なのか段々おいらの身体は押し返される。

でも……ここで負けたら………!!


「負けて……」


「!?」


(な、なんだ……!カランコエの魔力が急に膨れた……!!まさか、周りの魔力を急速で食っているのかっ!!?)


「負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「ぐっ……押され……!!」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


おいらが叫びながら思いっきり押し返すと、おいらのディアボロキャノンがラディの魔力を破ってその勢いのままラディを飲み込んだ。


「はぁっ……!はぁっ……!はぁっ……!」


体内の魔力をほとんど使いきってしまったようでおいらは息を荒くしながら甲冑を着けたまま膝をつく。


「だ、大丈夫…!?」


第2王女さんがおいらの肩を持ち、支えてくれる。


「う………うん…………っ……!」


まだ胸がジンジンと痛む。必殺技はかなりの威力だったらしい。

それに眠い……けんど今ここで『ファントムサモナー』を解除しちゃうとラディが健在していたときに太刀打ち出来なくなる。


ラディを倒せたことを願っていると崩れたラディが少しだけ動いた。


「き、効いた……ぞ……落第者…………!!」


「………!!」


ち……ちくしょう……倒せてなかった……っ!!


「く………もう、これ以上は……戦えないか。落第者……また合間み─────」


ラディがそこまで言葉を紡いだ時、彼の腹に大きな大きな穴が空いた。


「っ!?」


『なっ!!』


「みちゃダメ…!」


「お姉さま…?」


ラディの腹から大量の血が吹き出て、とうとうラディは地に伏せてしまった。


「いやはや、悪魔卿のラディでもあろうお方が3度も作戦に失敗するとは……」


倒れたラディの後ろから出てきたのは黒い黒い羽を背に抱え、ラディを貫いたであろう爪を引き抜いた悪魔だった。


「君は……!!」


「おや、紹介が遅れましたね」


「私は……オニオ………貴方たちを絶望に───」


オニオは不敵にニヤリと笑う



「落としに来たぜぇ……」

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