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悪魔使いの落第者  作者: Bros
第三章 白の陰謀と黒の愚策
117/201

#116 アガリアレプト

遅くなりました!116話です!よろしくお願いします!

「少し…本気を出すよ」


その言葉がテリアの耳に聞こえると共に、頭・腹・両足に激しい痛みが走り、テリアは崩れ落ちる。


「……っ!!」


「痛いかい?そりゃあそうだよね。ボクの攻撃をノーガードで受けたんだからさ」


テリアが視線をカロスに移すとカロスの拳から摩擦で発生したらしき煙が上がっていた。


(こいつ…あの瞬間に4ヵ所も攻撃しやがったのか……!!)


テリアはカロスから一度も目を離していなかった。

だが、見えないほどの高速移動でテリアに攻撃を仕掛けたのだ。


(だが何故だ……何故奴は斬り付けてこなかった……)


「さぁ……もういっちょ行くよ!!」


「っ!!!」


今度は三発腹に入れられ、テリアは思わず吹き飛んでしまう。


近くの家屋の壁に激突し、全身が張り付いたように動かなくなる。


「隊長!!」


「馬鹿やろう!来るんじゃねぇ!!」


駆け寄った班員にテリアが叫んだ瞬間、班員達は2メートルほど吹き飛ばされ、あるものは地面に、あるものはテリアと同じように家屋に激突し、動かなくなった。


「お前ら!!」


「いやぁ~脆い脆い。本っ当にニンゲンって脆いね?」


カロスはまた手をヒラヒラさせながら挑発するようにテリアを見る。


「本当に脆い……そして愚かだ………」


「ッッ!!」


カロスは両腕を天に向けて伸ばすと、背中から大きな黒い翼がメキメキと生え、額から白色のは1本角が生える。


持っていた剣は禍々しく黒くなり、その様相はまさしく悪魔と言うべき姿となった。


「君は本当にしぶといね。ボクも楽しくなってきちゃった♪」


「これが……悪魔……!」


「そう……ボクは『六仙』の一人、カロス。またの名を」


カロスが翼を大きく開き、その覇気を余すことなく解放する。


カロスを中心に竜巻が起こり、辺りの瓦礫を吹き飛ばしていく。


アガリアレプト(謎の管理者)


「謎の管理者……」


「そう……ボクは君たちの知りたい謎を全て知っている……この世界で起こりうる事象は全てボクが把握している。その意味が分かるかな?」


「敵わない……そう言いたいのか」


「理解が早いね。どう?首を差し出す気になった?」


「なるかよッッ!!」


テリアが気合いを入れて大きく跳躍し、カロスの顔面へ渾身のパンチを食らわせる。

しかし、カロスは微動だにしない


「本当に君たちは弱くて愚かだ」


刹那、テリアの口から血反吐が吹き出される。


テリアが腹を拳で殴ったらしい。


「が…………は………」


「さぁ……もっと楽しませてよ!!」


カロスはテリアを持ち上げると空中へ放り投げ、翼を羽ばたかせて飛び、カロスへ容赦の無い攻撃を浴びせる。


「ゴハァッ!!」


「ほらほらほらほら!!まだまだイケルでしょッッ!!」


「ガァッ!!!」


「ボクを楽しませてよ!!ボクを追い詰めてよ!!」


「グハッ……!」


空中で攻撃を食らったテリアは満身創痍となり、重力に従って落下していく。


土煙を上げながらテリアは地面へ激突し、その数メートル先にカロスはゆっくりと降り立つ。


「あーあ、ボロ雑巾みたいになっちゃった。案外弱いんだね、君」


「カハッ………」


テリアが血を吐きながら息を吹き返し、ヨロヨロになりながらも立つ。


「お……?」


「テメェ………あんまり舐めたマネしてんじゃァねぇぞ……」


「…………ほう」


「荒ぶってでもテメェだけは倒す………」

「もう一度俺に力を貸せッ!!暴れ狂え!特殊能力(アビリティ)『不屈の闘志』ッ!!」


そう言ってテリアが低い姿勢を取ると彼の心臓の部分が光を放ち、周りの瓦礫が宙に浮き始める。


「た、隊長……!!」


意識が落ちかけていたレンが見たテリアの姿は、体が煌々と光輝き信じられない程の魔力とエネルギーを発していた。


「ッ………へぇ……キミ凄いね…」


「テメェに褒められたところで嬉かねぇよ…」


「フフッ……何も出ない……のかな?」


「拳くらいならくれてやるぜ」


音が駆け抜けるよりも速くテリアはカロスに接近し、拳を構える。


「ッ!!」


カロスが防御態勢を取り始めた頃にはテリアの拳はカロスの頬を捉え、その胴体ごと吹き飛ばす。


「何ッ………!」


「まだ終わらねぇよ!!!」


テリアはすぐさま宙を浮くカロスの腹に踵落としを入れ、地面にめり込ませる。


「ガハッ!!」


「オラァァァァァァアアッ!!」


そしてめり込んだカロスに向かって無数のパンチを打ち込み、砂塵が舞った。


テリアが打ち込んだ地面を見るとカロスの姿がない。

しかしテリアは慌てず更に魔力を覇気として放出し、砂塵を払う。


()った!!」


「あめぇよ!!」


砂塵を払った直後、剣を構えたカロスがテリアの背中に現れるが、テリアはすぐさま拳を振り抜くと剣を真っ二つに折った。


「!!素手で剣を!!」


「テメェのターンはもう来ねぇよ!!」


よろめいたカロスにテリアは回し蹴りを食らわせる。


「でぇぇぇぇりゃぁあぁぁぁっっ!!!」


「ガハァッ!!」


そしてそのまま思いっきり蹴り飛ばし、カロスをくの字に曲げる。


カロスが壁に激突し轟音が鳴り響き、発生した衝撃波がテリアの頬を撫でる。


テリアは追撃を加えることなく、しばらく様子を見守る。


少しすると瓦礫が動き、中からカロスが這い出てくる。



「な……何故だ……。今ならボクを殺せたはずだ……。何故追撃をしない!!」


「………テメェは俺に攻撃を叩き込んだ時……何故か剣で斬り付けて来なかった」


「!?」


「テメェはとっくに限界を迎えてるんじゃないのか?」


「ッ!!」


図星を突かれたのか、カロスの汗がどっと吹き出る。


「確かにテメェは強い。強いが、戦闘を見る限りテメェは戦闘向きの悪魔じゃねぇ」


「なぜ……そう言いきれる……」


「魔法の小出しばっかしているだろ?確かに戦闘センスは良いがそうでもしないと火力を補えていないんだ。」


「……!」


「火力だけで勝負は勝てない……技術も大事な要素だ。だが、同じ技術を持っているとき、そこでリード出来る要素は火力だ」


「………何が言いたいんだい…」


「テメェはもう俺に抵抗出来るだけの体力は既に無い。わざわざそんなやつにトドメを刺す程俺は堕ちちゃいない。」


「ボクらは……必ずキミ達に牙を向く……」


「その時はテメェを粉々に叩くまでだ」


「後悔しても知らないよ…」


そう言うとカロスは暗闇を作り、そこに消えていった。

テリアも『不屈の闘志』を解除し、いつもの姿に戻る。


「た……隊長……」


ボロボロのレンが駆け寄ってきたテリアに手をのばす


「喋るな。今手当てをする」


「何故奴にトドメを刺さなかったのですか……奴も言っていたように必ず驚異になります…!」


「それよりもお前達が優先だ」


「!!」


レンはハッとしたように目を開く


「確かにトドメを刺しても良かった。だが、今あいつに抵抗されるとお前達がどうなったか分かるもんじゃねぇ」

「既に救護班には連絡を入れた。リーダーが各地の残党を撃破してほぼ戦闘は終わりかけているらしい」


「それは良かっ……っ!!」


「動くな、今は寝ていろ」


「はい……すいません」


テリアが最後の包帯を結び終わるとレンはスウスウと寝息をたて始めた。


「さて……残りの手当ても済ませるか」


テリアは懐から追加の包帯を取り出すと一人一人手当てしていった。


10分後。


救護班が到着し、怪我人を引き渡したテリアは少しよろめきながらも救護班の最後列で警護に当たっていた。


「テリアさん、痛みはどうですか?」


「あぁ……だいぶ良くなったぜハル」


「それなら良かったです!」


テリアの怪我を手当てしたのはハルという女の子だ。

彼女はテリアと同期の一年生なのだが昔からの癖らしく、敬語で話す。

元々は班長のリファの親友で回復魔法も優秀であったこともあり、両親と相談して『レイン組』に入った。

『レイン組』は元々秘匿の組織だったのでなるべく情報は漏れないように徹底していたが、家族にはその限りではなかった。

特に生徒会にその存在を認知されるまではその学校の承認もないため反対する親が多く、親の制止を振り切って入った者もいるほどだ。

その点ハルは珍しく両親と合意の上『レイン組』に参戦している。


「しかし……町が滅茶苦茶になっちまった……」


テリアが町の様子を見て目線を下げる。


「テリアさんのせいじゃないですよ」


「そう…思いたいがな」


続けてテリアは話す


「だが……もっと早く気付けたはずなんだ……兄貴が捕らえられて事に頭がいっぱいで周りに気を配れなかったから……」


「………テリアさん……」


落ちかけている日の光がテリアの背中を眩しく照らす。


顔をなんとか上げて周りを見渡すテリアの顔はどこか悲しげだった。


そんな一団に走ってくる一人の班員がいた。


先頭にいたリファが話を聞くと彼女はその内容に思わず声を上げた。


「れ……レインさんがラディと交戦してる!?」


まだ戦いは終わらない。

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