#111 返り咲くカランコエ
ふひぃ~受験も終えたのでこれからは多少ペースが上がると思います!
いよいよ主人公復活(多分)!
第112話です、よろしくおねがいします!
牢屋から出たおいらはラディがいると言う王宮に向かうために地下道を駆け抜ける。
後ろに回された手に手枷が付いていて走りにくいがそんなことに構っている場合ではない。
今のおいらは『ファントムサモナー』以外何も持っていない。
リオン☆キャッチ☆も無ければショートソードもないし、なんならヴァイスも今は居ない。
本当なら地上に出て状況を確認したいところだけんど、それをしている暇はなさそうだ。
2分程第3王女をなんとか背負いながら走り、ようやく地上への階段が見えた。
そして階段を上がると目を疑うような光景が広がっていた。
王宮だった建物は瓦礫の山となり、国王は倒れ、ラディがまさに第2王女を絞め殺さんとしているところだった。
「おにいさん!おねえさまをたすけて!!」
「ッ!!」
うんと言おうとしたのに動けない。
多分、体が戦うのを拒否している。
もしまた暴走したらどうしよう。
もしまた人を傷つけたらどうしよう。
そんな自分勝手なことばかりが頭に浮かぶ。
「はやく……にげ…なさい…」
第2王女が絞り出すように声を出す。
「まだ喋れたのか小娘」
ラディがさらに彼女の首を絞め、彼女の瞳から涙が溢れた。
「────っ!!?」
その涙を見た瞬間、様々な記憶が頭を駆け抜けた。
おいらが暴走しているのを悲しげな顔で見つめるクレア先輩。
血を流しながらおいらを止めてくれたカフ君。
ベッドで寝ていたおいらを優しい表情で見守ってくれていたリオンさん。
必死に戦うレイン組の皆。
そして。
『レイン、お前は……せめてお前だけは自分の生きたいように生きろ』
『貴方だけが、私たちの最後の希望なの……』
「ッ!!!!!」
おいらの思考が一気にクリアになる。
気がつけば駆け出し、ラディに迫っていた。
「たぁぁぁぁぁっ!!!」
「うぐっ!?」
おいらは渾身の体当たりをラディにぶつけ、ラディをよろけさせると、第2王女は首が解放されて地面に落ちた。
「いたっ……あ、あなた!何をやって!!早く逃げなさい」
第2王女をチラリと見る。
どうやらその言葉に偽りはないらしい。
「クククク……来ると思っていたぞ、落第者……」
「ラディ……!」
「しかし……貴様はそんな状態で戦えるかな……?いやぁこれは大変な好機だ。これほどまでに貴様を殺す条件が揃っているとはなぁ」
「それに貴様をあれだけコケにした女を庇うのか…?」
ラディはクツクツと笑いおいらを挑発する。
確かに彼の言う通りだ。
おいらは今手枷が付いていて自由に動けないし、正直『ファントムサモナー』を使うのも怖い。
あれだけ酷い扱いをした王女に思うところが無いわけでもない
でも。
「おいらは」
「あん?」
「おいらは……確かに酷い扱いを受けたかもしれない……こうして助けるのは偽善だと………理屈に合わないと言うかもしれない………」
「だけど………だけど!!」
おいらは段々と手首に力を込める。
カチカチと鎖が擦り会う音が鳴り、おいらは更に足に力を込め、大地を踏み抜かんとする。
「おいらは、手に届く範囲の人の笑顔位は守りたい!!涙を流させたくはない!!例えそれが最低な人だったとしても!!」
さらに力を込め、手枷が段々食い込んでくる。
「エゴというなら言えば良いさ!!大馬鹿者と笑えば良いさ!!だけど、だけどおいらは!!」
おいらは想いっきり手枷を引っ張り。
「誰かの笑顔を守るために戦うッ!!!!!」
その時おいらの中の何かが切れた。
心につっかえていた何かが。
ずっとずっと苦しんでいた何かが。
「はぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!!!!!」
ブチブチと背中から骨が軋む音が聞こえる。
キリキリと手枷の鎖が軋む音が聞こえる。
「あぁぁぁぁぁッ!!!!!」
そしてとうとう、キシャリ、と言う音と共に手枷の鎖が千切れた。
「嘘……」
「な……!」
王女とラディが驚く。
でも今のおいらはそんなことに構わない。
「来てッ!!!ヴァイスッ!!!!!」
「ようやく呼んでくれたわね!遅かったじゃないの!」
おいらが大声で叫ぶと上空からヴァイスが飛んできた。
何がしたい、とは言わない。
ヴァイスは大人の姿になり、おいらの中に入った。
「……これはお前の新たな能力………?いや違う……奴の覇気に変化はない……しかしなんだこの胸騒ぎは………」
ラディが何かぶつぶつ呟くが、おいらは好機とばかりに両手を前に出す。
「すぅぅぅぅぅ…………」
息を吸い込み、色んな不安を体の奥に仕舞い込む。
「装着ッ!!!」
何度も使った呪文を
「上級悪魔<エーデルヴァイス>!!!」
全ての思いを込めて
「召還ッッッ!!!!」
その場を揺らす声量で唱えた。
刹那の静寂、それもすぐに破られる。
『召還!!エーデルヴァイス!!DEVILWARNINGッ!!!!!』
黒い煙が体から溢れ、そして嵐となり、おいらを包み込む。
「まぁ良い……なんにせよ、ここで殺して見せる…」
おいらを纏う嵐が消え、真っ黒な甲冑を着たおいらが現れる。
「悪魔使いの落第者………………」
もう言葉はいらない。
おいらはブレードを出し、ラディに切っ先を向けた。
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