#1プロローグ
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「カランコエ・レイン!!お前は居残りだ!早く準備をして、指導室まで来なさい!」
先生の怒号がクラスに響く。
「クスクス」
「また指導室行きか、あの落第生」
「今度は基礎問題で間違えたんだとよ」
「もう辞めれば良いのに」
周りからの視線が痛いなぁ………
おいらはこのネリック王国国立学園の一年生のカランコエ・レインって言うんだぁ。
ここの学園で幾つかの選択授業を受けるんだぁ。
戦士、弓使い、魔法使い、回復士、召喚士等々………
だからクラスにはそれぞれの選択授業を選んだ人たちの割合が平均化されるように編成されるんだぁ。
そしておいらは召喚士の一つである悪魔使いの授業を取ってるんだぁ。
悪魔使いなんて強そうだ?
そう思う?
ところがどっこい悪魔は契約に厳しくて、並みの主にはついて来ない。
それどころか強力な悪魔を出してしまうと命を取られることだってある。
危険だから内容も難しいし、試験も通りにくい。
お陰様でおいらはよく先生に怒られるんだぁ。
「分かりましたぁ~、今から行きまぁす」
「その訛りを辞めろと何回言えば分かる!!」
ありゃ、訛りで怒られちまったぁ
「すいません先生ぇ、これはもうクセみたいなもんでしてぇ」
「フンッ!もういい、早く着いてきなさい」
「はぁい」
この厳つい男の先生はアコン教官。
拳士の担当をしている人なんだけんど、精神論を主張し過ぎて生徒からの評判は良くないんだぁ。
おいらは言われるがまま指導室に行き、魔法論と悪魔についての授業を二時間ほど受けた。
ちなみに魔法論は魔法の詠唱や魔方陣の法則や属性別の魔方陣を習ったりするよ。
魔法使い以外でも魔法はある程度使えないと生きていけないらしいから学校で習うんだぁ。
悪魔については悪魔の住む魔界や悪魔のランクについて習うよ。
「カランコエ・レイン、ここらでよろしい、支度して寮に帰りなさい」
「分かりましたぁ」
アコン教官がそういって指導室から出るように指示する。
おいらはそれに従って支度をして指導室から出た。
「ありがとうございましたぁ」
そう言ったおいらは学園の中庭を眺めながら歩いていた。
学園はこの中庭を中心に広がっており、最大一万人以上がそこそこの生活を送れる程広い。
生徒一年生から六年生を合わせた約九千人なので、かなりゆったりとした学園になっている。
「あれ?あそこにいるのは………」
木々を眺めていたおいらが見たのはある女の人だ。
おいらが近づいて行くとこちらを振り向き、気楽に挨拶してきた。
「あら、レイン君じゃない。また指導室帰り?」
「こんにちはぁ、クレア先輩。実はテストで赤点をとっちゃたんだぁ」
綺麗な黒髪を持った彼女はセアリアス・クレア先輩。
魔導剣士という魔法にも剣にも長けた人で、生徒会執行部の執行員さん。
学園の十本指に入る実力者で成績も優秀な三年生。
何故そんな高嶺の花のクレア先輩と親しいかと言うと………
「赤点に関してはまたアレでしょう?召喚試験。」
「はい、また失敗しちゃったんですよぉ」
クレア先輩はそう落ち込むおいらを見て眉を八の字にすると、木の影から何かを持ち上げた。
「それはもう仕方がないわ。ほら、この子を撫でて元気でも出しなさいよ」
「にゃー」
そう、この先輩は無類の動物好きである。
クレア先輩はおいらが動物に好かれやすい事を2ヶ月前に知ってから毎日のように動物を懐けてもらいにおいらの所へ来る。
しかし、クレア先輩はあまり動物に好かれないので今も猫にひっかかれている。
「よぉし、よぉし良い子だねぇ~」
「に、にゃあぁぁ」
おいらが撫でた動物は大抵リラックスして蕩けてしまう。
実はおいらの数少ない特技だ。
「あぁあぁあぁぁぁぁ、可愛いぃぃぃぃい!」
クレア先輩は蕩けた猫に抱きつきこれでもかと言うほどに撫で回す。
猫はすっかり骨抜きなのでクレア先輩の事を全く気にしていない。
クレア先輩は………他の生徒が想像つかないような顔をしていた。
「ふぅ、ありがとうレイン君。私に癒しをくれて」
「お安いご用だよぉ、クレア先輩」
「そうだ!」
クレア先輩は手のひらをポンと叩くと西の校舎を指しておいらを見た。
「実は図書室に面白い物があったの、一緒に見てみない?」
好奇心に刈られたおいらは頷くとクレア先輩に付いて行った。
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